老若男女、何も中高年に限ったことではありませんが、昨今富みに著しい。。。

■キレる中高年、精神科医が指摘する哀しき理由

光浦晋三[フリーライター]

インターネットの登場以来、以前にもまして巷にはニュースがあふれ返っています。そうしたニュースや出来事の中から、DOL編集部が気になる出来事を厳選し、正面のみならず右から左から、価値あるニュース、楽しいニュースをお届けします。

駅のホームや病院の窓口など、公共の場所で激昂し、キレる中高年が増えている。しかもそうした人たちは一見、見た目も普通で良識がありそうな男性に多いという。なぜ中高年はキレるのか。
(フリーライター 光浦晋三)

中高年だからこそキレる
その危ない実態

血気盛んな若者がキレやすいと思いきや、些細なことでキレるのは、むしろ中高年が多いという。その心の底には、意外な理由が潜んでいた

 ごく最近、70歳過ぎの男性がキレる瞬間を見たことがある。夕方のスーパーで、幼稚園の女児が商品棚に隠れ、母親相手に1人でかくれんぼを始めていた。母親は女児に「やめなさい」と小声で叱るのだが、女児はニコニコ笑って遊び続けている。冷静に見て、それほどうるさいという感じではなかったと思う。

 
ところが突然、女児の近くにいた男性が「うるさい。クソガキ!ここは遊ぶ場所じゃない!」と大声で女児に怒鳴ったのだ。母親が女児のもとに急行すると、男性は母親に対しても「前から言おう言おうと思ってたんだ。最近のガキはうるさい。親のしつけもなってない。そもそもな…」と激怒。母親は「すいません」と謝るのみだった。男性はなおも「こんなんじゃ気持ちよく買い物ができないだろ。お前らのせいで、食べ物がおいしくなくなるんだ」などと怒鳴り続けた。


 恐らく店内の別の棚を見ていたのだろう、そこに女児の父親が戻ってきた。見知らぬ男性が妻子を“罵っている”ところを見るや、「やめろ。うちの子どもも悪いけど、あなたの声もでかいですよ。子どもが怯えてますよ」とキレる男性の前に立った。すると男性は急に黙り込み、そのまま店を出て行ってしまった。


 中高年のキレやすさを端的に示すデータはない。しかし、全国のJRと私鉄計33社が2016年夏に発表した「鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について」によると、15年度の暴力行為は792件で、20代以下は127件(16%)、30代は149件(18.8%)、40代は140件(17.7%)、50代は153件(19.3%)、60代以上は188件(23.8%)、不明は35件(4.4%)となっている。

 40代以上の中高年が481件で60%を占めている計算となる。駅員にキレるのは自制心がなく、精神的に未熟な若者のイメージだが、実は中高年が多くキレているのだ。

 ブログ「プラセボのレシピ」での情報発信を行う医療法人社団榎本会榎本クリニック池袋の山下悠毅院長は「なぜ、いい年をした中高年がキレるのか。そんな思いの方は少なくないと思います。しかし、私に言わせれば、むしろ中高年だからこそキレるのです」と指摘する。


ビビリな人ほどキレる!
中高年を取り巻く「不安」の正体

 そもそも怒りをコントロールできないのが“キレる”ということ。その怒りを理解するには、大まかに3つの視点があるという。


 まず始めに、「怒りは二次感情である」という点だ。

 私たちは「楽しい」「おいしい」「悲しい」「驚き」といった様々な感情を日常の中で体感している。これらは一次感情と呼ばれ、反射的・反応的な感情だ。しかし、こと「怒り」に限ってはこれらと異なり、二次的に自分が生み出す感情なのだ。山下院長は「怒りはあくまでも二次感情です。そして、その二次感情を生みだす一次感情は不安です。つまり、すぐ怒る人は極めて不安耐性の低い、いわば『ビビリな人』なのです」と話す。


 たとえば、道を歩いていて、乱暴な運転手のせいで車とぶつかりそうになり、歩行者が「危ねーじゃねーか!」と運転手にキレたとする。しかし、歩行者の本音は、実は「怖かったじゃねーか」なのだ。まずは「怖かった」という一次感情が湧き、その後「次はしないでほしい」という防衛本能から、怒りという二次感情が生まれ「危ねーじゃねーか!」と怒鳴るというわけだ。


「長年生きてきた中高年は、多くの不安を抱え続けています。頼るべき親もいない、先生もいない。そして、人は先が見えないと不安になりますが、実は先が完全に見えきってしまっても、同じくらい不安になるのです」

「この先も同じ会社にいて、給料はいくら、お小遣いはいくら、買えるものはこんな感じ、妻とはこう、子どもとはこう、そしてそのまま定年を迎えて死んでいく…。こんな状況では誰も希望は見出せません。つまり、先が見えない不安、そして先が見えきってしまう不安、この2つの状況が相まって不安が強くなってしまう方がいるのです」

 こうして常日頃から、中高年が心に抱き続けている不安。それはいつ爆発するとも知れないマグマだまりのように、心の中に溜まり続ける。


「人の心の中には“不安を溜めるバケツ”があり、私たちが日常の中で感じている様々な不安はそのバケツに溜まっていきます。そして、それがいっぱいになったところに別の不安が生じると、ついには不安がそのバケツから溢れ出し、それが「怒り」という二次感情となって出現するのです」(同前)

 つまり、直前に起きた出来事だけでキレるのではなく、むしろ問題の本質は、日常的にその人の心のバケツが不安で満たされてしまっていることにあるのだ。実に些細なことも、人間には「不安」として認識される。たとえば睡眠不足や疲労、残業やネットなどでの夜更かしも、中高年のキレを加速させる要因なのだという。


キレるのは別の理由
無意識に相手を探している?

 次に「人が怒る理由の9割は別の理由だ」という点がある。

 たとえば、サラリーマン中高年にとって、“かわいい後輩”と“いけすかない後輩”がいるとする。かわいい後輩が遅刻しても、「しょうがねえなあ」と思う程度だ。しかし、いけすかない後輩が遅刻すると、「あのバカ、なに遅刻してるんだ」と腹が立つ。つまり、後輩の“遅刻”という出来事自体は、怒りとは関係がない。いけすかない後輩を怒るためのアラを日頃から秘かに探していて、それ見えた瞬間、「待ってました!」とばかりに怒り、キレるわけだ。


 山下院長は「キレる人の心には、怒っても反撃できない人を見つけると『チャンス!』となり、その相手がミスなどをした瞬間『オレの日常の怒りをぶつけよう!』といった無意識の構造が働いています。それで駅員や窓口の係員、子どもなどにキレるわけです」(同前)

 確かに、駅員にキレる中高年も、ヤクザがどんなマナー違反をしたからといって、キレたりしないだろう。

「それはヤクザを見ても『チャンス』とはならいからです。つまり、不安の強い人は、本人の中の無意識が、キレる相手や理由を探しているのです。そして、そうした心の動きについて、人は自分では気がつくことができないのです」(同前)


 最後に「怒りは自己紹介である」という点だ。

「他人の遅刻に厳しい人は自分も遅刻魔なんです。後輩の服装に厳しい人は自分が若いときに服装がだらしなく注意されていますし、『空気読め』が口癖の人も同様で、自分はどこか空気を読めていない人だと思っています」

 なにか逆さまにも見えるロジックだが、ここにも人間心理の微妙なアヤがある。

「そもそも『自分は空気を読むことが苦手』というコンプレックスがなければ、空気を読む、読まないということに、意識のアンテナが立たない。そして、そんな人は 空気を読めてない人を見つけて怒ることで、『自分は空気を読めている』と安心したいのです。つまり、駅員さんに『仕事をちゃんとしろ』とキレる人は、『自分は仕事をちゃんとしていない』と心のどこかで思っているのです」(同前)

 この3つのどれか、もしくは複数が、中高年が公共の場にもかかわらず、突然キレてしまう理由だという。では、どうしたら“キレない中高年”になれるのか。

キレない大人になるために
怒りをマネジメントする方法

「自分が本当にやりたいことがある人は、それ以外のことはすべて雑音(どうでもいいこと)になります。目標に向かって動いている人は、他人が何をしてようと、人から何を言われようが、そんなことには無関心になれる。結果、他人にキレないわけです。せいぜい、『あー、世の中にはそういう人もいるよね』程度です」

「加えて、自分の進むべき方向性が明確になっている人は、日々の生活の中でも充実感が生まれ、心のバケツに不安も溜まらないのです。そして、これは怒りのマネジメントとして大切な話なのですが、その目標は壮大なものである必要はなく、はたから見たならほんの小さな目標でもいいのです。しかし、それが他人から与えられたものではなく『自分が設定した』、ということが重要なのです」(同前)


 近年、キレる中高年が増えているのは時代的な側面も関係しているという。

「終身雇用や年功序列制度の時代には、年を重ねるごとに給与や役職は上がり続け、尊敬も得られるという不文律が存在していました。しかし現在、終身雇用の制度は崩れ、年功序列もなくなり、パソコンができなければ無能のレッテルを貼られてしまう時代になってしまった」

「加えて、昔はいわゆる『年の功』というものがありました。年を重ねれば自然と知識量も増え、質問されたり、それがゆえに尊敬もされたのです。しかし、現代は知識がものを言わない時代です。知識量でスマホに勝てる人は存在しませんからね」(同前)

 あらゆる職場や個人にパソコンやスマホを普及させた、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズの功績がキレる中高年を大量生産しているのか。いずれにしても、現代の中高年が充実感や安心感を抱きにくくなっていることは間違いないようだ。

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2017年04月26日 13:07

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。Vol.4/実践している方も多いかと思いますが、私もお薦めします。。。

■健康や美を損なう「口呼吸」を「あいうべ体操」でストップ!
第1回 お風呂や就寝前に舌の体操を!

「口をぽかんと開けて無意識に行う“口呼吸”が、健康や美を損なう元凶」──そう確信する医師が、口呼吸をストップさせるメソッドを考案。そのメソッドとは、口呼吸の原因である“たれ下がった舌”を引き上げるというもの。不調が改善するほか、顔のたるみがなくなる人が続出! 驚くほど簡単な舌の体操、ぜひ身に付けて。

舌の体操で顔のたるみは取れる!

 「口呼吸の害に向き合うきっかけは、関節リウマチ患者特有の“におい”だった」と話すのは、みらいクリニックの今井一彰院長。「病気が治るとにおいが消えることから、においの一番のもとと思われる口臭を消せば病気が良くなると考えた」(今井院長)。

 今でこそリウマチの症状の悪化は歯周病が関係し、歯周病菌を増やす原因となる口腔乾燥を防ぐことが大切だと分かってきた。しかし、2000年当時は口呼吸を止めるとリウマチの症状が改善するのが不思議だったという。今井院長は、花粉症やアトピー性皮膚炎なども、口呼吸をやめて劇的に良くなる患者を数多く見てきた。

 どうすれば口呼吸をやめられるのか─と考えたところ、自然と口が開く人は、舌の位置が下がっていると判明。「原因は、舌筋(ぜっきん)が弱くなっていることだった」(今井院長)。

 舌の筋肉には下あごを支える働きもある。舌の筋肉が弱って舌の位置が下がると、下あごの上にべったりのって、その重みで下あごが下がり、口が自然と開いてしまうと分かった。「舌が下がっている人は女性全体の9割」(今井院長)という。あなたも、舌の位置を知るチェック法(次ページに紹介)でぜひ確認しよう。また舌が下がる要因には、舌の筋肉の構造も大きく関係するようだ。

新発見! 口呼吸は「舌のたるみ」が原因だった

舌が下がり、前歯の裏についている

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舌が上の歯の裏側についているのが分かる。これは舌が下がっている証拠で、口呼吸をしている可能性が高い。もっと舌が下がっている人は下の歯の裏側につく。

舌が上あごにべったりつく

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上あごの歯茎の上にあるくぼみ、硬口蓋(こうこうがい)に舌がぴったりくっついている。この状態だと自然と口が閉じ、逆に開けづらい。

 美容面でも大きな影響がある。“舌のたるみ”で、あごがたるみ、ほうれい線やシワができてしまう。さらには乾燥肌を招く一因にも。「口呼吸は体内の水分をどんどん気化させ、水分量を減少させてしまう一因に」(今井院長)。まさに顔のエイジングにかかわる舌のたるみ。舌の体操で舌を引き上げて口呼吸をストップさせよう!

あなたの「口呼吸」レベルをCheck!

確かめてみよう! 正しい舌の位置はココ

音を鳴らしたときの場所が正解!

 舌先を丸め、上あごにつけ、「カッ♪」と音を出そう。最初に舌が当たる場所が、本来舌があるべき位置になる。

 次回は、あいうべ体操の実践編を紹介する。


■「あいうべ体操」で舌筋を鍛えて舌と顔のたるみをとろう!
第2回 舌はどこででも鍛えられる!

「口をぽかんと開けて無意識に行う“口呼吸”が、健康や美を損なう元凶」──そう確信する医師が、口呼吸をストップさせるメソッドを考案。そのメソッドとは、口呼吸の原因である“たれ下がった舌”を引き上げる「あいうべ体操」。今回はいよいよ「あいうべ体操」を実践してみよう!

あいうべ体操で、舌&顔のたるみをとる!

 前回の記事(「健康や美を損なう「口呼吸」を「あいうべ体操」でストップ!」)では、口呼吸が美容や健康に与える悪影響を紹介した。口呼吸の原因は「舌のたるみ」。みらいクリニックの今井一彰院長は、「舌のたるみは顔のたるみに直結する」という。だから、下あごを支える舌筋と口まわりの表情筋をストレッチして、舌とフェイスラインをぐ~んと引き上げよう。まずは上の「あ」「い」「う」「べ」の動作を1セットとし、連続して10回行ったあと、口を閉じて舌の位置を確認してほしい。舌の先が引き上がっているのが分かるはずだ。

 大げさなくらいに大きく口を動かしゆっくり行うのが効かせるコツ。お薦めは入浴時や就寝前だ。「浴室は湿度が高く口の中が乾燥しない。また就寝前に行うことで、就寝中に極端に少なくなる唾液の分泌をカバーする効果もある」(今井院長)。顔や首の血行も良くなる。

 舌先が上あごについているか、そうでないかの舌の位置は1cm差。「この1cmが顔のたるみや健康を大きく左右する」(今井院長)。さあ始めよう!

step 1 : 「あ~」と口を大きく開ける。

縦の楕円形に近くなるようにして、のどの奥が見えるくらい口を大きく開ける。

step 2 : 「い~」と口を横に開ける。

ほおの筋肉が両方の耳の前に寄る感じがするくらいが目安。首に筋が浮き出るくらいに。

step 3 : 「う~」と口をとがらせる。

思い切り唇を前に突き出すようにする。

step 4 : 「べ~」と舌を伸ばす。

舌の先を舌あごの先端まで伸ばすような気持ちで、舌を出す。

「あいうべ体操」のポイント

* 口を大きく動かすことを意識する。
* 1つの動作(例:「あ」)を約1秒で。1セット(「あ」「い」「う」「べ」)を約4秒かけて行う。
* 1セットを10回続けて行う。
* 1日に3度に分けて(10回×3=計30回)行うのがお薦め。
* お風呂や就寝前がベスト。
* 声は出さなくてOK、少し声を出して行うとストレッチ効果がアップ。

あいうべ体操直後、下あごが持ち上がった。

さらに舌を鍛えるなら…
舌を唇と歯の間でぐるぐる回そう。

 舌先を出す角度を変えても複数の舌筋が鍛えられる。どこでもできるので、気付いたときにどんどんやろう。

「あいうべ体操」終了60分後も、表面皮膚温度が持続。

 29歳の女性があいうべ体操を30回行った直後と60分後のサーモグラフィーによる表面温度の測定結果。あごや鎖骨のデコルテ部分の血流改善効果が長時間持続した。

寝ているときに口が開いてしまう…
マウステーピングをして寝よう。

 「うつぶせ寝や横向きに寝ると、口が開きやすい」(今井院長)。12mm幅のテープを5cmの長さに切り、唇の真ん中に縦に貼って寝る。「あくまで対症療法であることを忘れずに」(今井院長)。

 テープはなんでもOK。サージカルテープだと、はがすとき痛みが少ない。


いずれの記事も

今井一彰さん
みらいクリニック(福岡市博多区) 院長

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月26日 12:01

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。Vol.3/そして生活習慣。。。Vo.2/まずは睡眠。。。Vol.2/8時間睡眠も昼寝もなかなか難しい。。。

■人間が本当に必要な「睡眠時間」は何時間か?

Popular Science : 睡眠には本当に時間を取られますよね。推奨されている1日の睡眠時間(成人の場合は8時間)に平均寿命(アメリカでは78.8歳)を掛けると、なんと約9,587日になります。人生の3分の1は意識の無い状態で過ごすわけです。

進化論的見地からは、睡眠は文字通り時間の無駄ですが、そうは言っても、果てしない歳月を重ねて地球上のほとんどすべての生物が睡眠を取るように進化してきたわけですから、きっと重要に違いありません。

現に、身体のほぼすべての器官が機能するには睡眠が極めて重要な役割を担っていることが科学的に実証されています。

同時に、病気の有無、多忙なスケジュール、そして、加齢という単純にして回避不可能な現象により、睡眠に充てられる時間が違ってきます。そうなると、私たちには実際には何時間の睡眠が必要なのでしょうか。睡眠時間を短くする訓練はできるのでしょうか?

世間一般に知られている8時間睡眠

睡眠時間は何時間でもいいというわけでは決してありません。8時間は、間違いなく人間が自然に必要とする睡眠時間数であり、これには確固たる論拠があります。

太陽の光も一切の視覚的手がかりも無い実験室に被験者を入れて、夜は必ず9時間の睡眠を取る機会を与えるという実験が行われました。数週間にわたり被験者が毎晩これを実行したところ、常に同じ結果が出ました。それは、人間はどれだけたくさん時間があっても、睡眠に費やす時間は通常平均8時間になるということです。

8時間睡眠を支持する研究は他にもあります。さかのぼること1938年、Nathaniel Kleitmanという名の睡眠学者とその学生の1人がケンタッキー州のマンモス洞窟で32日間過ごしたという研究があります。

マンモス洞窟は、世界で一番深い洞窟で、太陽の光が完全にシャットアウトされた環境です。そこで過ごした期間の睡眠パターンを分析した結果、やはり1晩に8時間から8時間半の睡眠を取っていたことがわかりました。

では、睡眠時間が8時間より少ないとどうなるのでしょうか? 

それに関しては、多くのことがわかっています。2003年に、ペンシルべニア大学の睡眠学者、David Dinges氏と『Walter Reed Army Research Institute』の睡眠学者、Gregory Belenky氏が睡眠不足の結果に関して極めて重要な研究を行いました。この研究の目的は、人間は認知能力に影響を及ぼすことなく、どこまで睡眠時間を減らせるか調べることでした。

睡眠については多くの実験で証明されている

2週間にわたって実施されたこの2つの研究では、被験者の睡眠時間をさまざまに変える実験が行われました。実験を始める前に、被験者に8時間睡眠を取らせ、翌日一連の認知テストを受けてもらいました。

これにより、被験者の回答速度、文章の読解力、1秒か2秒ウトウト居眠りをする回数(専門用語では『マイクロ睡眠』といいます)を測定して、各被験者の平常時の認知能力の基準値を割り出しました。

Dinges氏の研究チームは被験者を4つのグループに分け、それぞれのグループに8時間、6時間、4時間の睡眠時間を割当て2週間観察しました。最後のグループには全く睡眠時間を与えずに最長で連続3日間観察しました。

カリフォルニア大学バークレー校睡眠神経画像研究所のディレクター、Matthew Walker氏によれば、最後のグループを観察することで、たった1晩全く睡眠を取らなかっただけで認知能力がどれだけ低下するかがわかりました。Dinges氏のチームは、1晩徹夜しただけで脳の認知能力が酩酊状態とされる状態と同じぐらい低下することを発見しました(これは、その後に続く諸研究でも証明されています)。

残りのグループから得られた結果もそれほどかけ離れたものではありませんでした。

8時間睡眠のグループは2週間の実験期間を通して認知能力に目立った変化は見られませんでした。6時間睡眠のグループは、実験を初めて10日目以降は、1晩全く睡眠を取らなかった人たちと同じ程度の認知能力の低下が認められました。それと同程度の認知能力の低下が4時間睡眠のグループの場合は、たった3日目で起こり、実験10日目には、2日間徹夜した人たちと同程度に認知能力が低下しました。こうした認知能力の低下は日を重ねても緩やかになることはありませんでした。

「データのグラフを見ると、どこまでも限りなく低下していきます。これは実に恐ろしいことです。」とWalker氏は語っています。

『Walter Reed』でも同時期に全く同じ実験が、睡眠時間を7時間、5時間、0時間という奇数の時間数にして行われましたが、得られた結果はDinges氏のチームが得た結果と基本的には同じでした。

1晩に7時間睡眠を取ったグループでさえ(7時間も眠るなんて贅沢だと考える人もいますが)、実験5日目にして、ウトウト居眠りをする率が8時間睡眠のグループに比べて3倍も高くなったとWalker氏は言います。ですから、認知能力を低下させずに睡眠時間を8時間から何時間減らせるか、と言えば、その答えは、1時間未満ということになります。

残念ながら「例外なく、1日8時間は睡眠を取るべきだ」ということに確定のようです。

そうは言っても、誰もが特に平日はとても忙しい生活をしています。週末だけエクササイズしているのに健康でいられるツワモノの例もあることから、平日に不足した睡眠を週末に補うことはできるのでしょうか。それにより平均睡眠時間を8時間にできるなら何よりです。この疑問の答えを見つける研究も実施されました。

睡眠時間を削る実験をした後で、同じ被験者に「睡眠を取り戻す」ために3日間を与え、その間はいくらでも好きなだけ眠っていいことにしました(予想通り、ほとんどの被験者は8時間以上寝ました)。

3日目の終わりに、同じ認知力テストを受けてもらうと、最初に割り出した各人の基準値レベルには戻っていませんでした。言い換えれば、睡眠時間が1日7時間以下だと睡眠不足になり、週末に補完しただけでは本来の認知能力には戻れないということになります。どれだけ長く回復期間を取れば本来の能力に戻れるのかは、わかっていません。

「睡眠は貯金できると思われています。借金がかさんでも、ある時点で巻き返せると思いたいからです。しかし、睡眠に関してはそうはいかないことがわかっています。」とWalker氏は言います。

脳には失ったものを全部取り戻す能力はありません、とWalker氏は説明しています。なぜでしょうか。カロリーを脂肪にして蓄えることで飢えをしのぐのと同じやり方で睡眠不足を補う方法が進化しなかったのはなぜでしょうか。

「その答えは簡単です」とWalker氏は言います。「意図的に睡眠時間を削る種は唯一人間だけだからです。」地球上の生物は睡眠を蓄えるシステムを作る必要が無かったので、脳の中にそういうシステムがないのです。

この記事を読んで、「いつも6時間睡眠で問題なく暮らしているのに、どうしてそれ以上の睡眠時間を無理に作らなければならないのだ。そんなことは時間の無駄だ。」と冷笑している人も多いことでしょう。

そんな人には、こんな実験結果をご紹介しましょう。Dinges氏の実験チームが、6時間睡眠の被験者が6時間睡眠の夜を1晩経た後で受けた認知テストの出来栄えを聞くと、誰もが「良くできた」と回答しました。

しかし、実際には、8時間睡眠後に受けた実験開始前のテストの結果と比較すると、著しく劣っていました。

「睡眠不足のときは、自分が睡眠不足だと自覚していないのです」とWalker氏は言います。

「多くの人が、自分は6時間睡眠かそれ以下で大丈夫だという誤った考えを持ってしまうのです。」睡眠時間を削る効果的な訓練の方法は存在しないとWalker氏は主張しています。慢性疲労に慣れてしまうことはあっても、疲労を実際に抑制できるわけでもなければ、認知力テストで8時間眠ったときと同じ成績を出せるわけでもありません。

午後の昼寝はパフォーマンスを上げる

さらに、タンザニアのハッツア族のような、いまだに電気が全くないままの文化に目を向けてみると、特に夏場は、2回に分けて睡眠を取る傾向があることがわかりました。

夜に6時間眠り、午後に2、3時間眠るのです。これにより、人間は果たして16時間連続して起きていた方が良いのかという問題が提起されるとWalker氏は言います。

実際、誰でも午後はちょっと能力が低下する時間帯があります。このように注意力が生理的に低下することは専門用語で食後性低下と呼ばれており、代謝システムの変化や脳波や認知反応時間の調整を通して測定できます。

誰でも認知能力が一時的に低下するなら、その時間帯に昼寝をすると良いのかもしれません。「まだ明確にはされていませんが、もしかしたら、人間のパフォーマンスを真に最適化するためには、睡眠を2回に分ける必要があるのかもしれません。」とWalker氏は語っています。

1点科学的に実証されていることは、毎晩の睡眠が少ないほど、日を追うごとに認知能力が低下し続けるということです。

Walker氏いわく、睡眠が1時間減ると人間にどの程度の影響が及ぶか立証したいなら、アメリカなら毎年3月に冬時間から夏時間に変わった直後の感覚を思い出してみることです。そのときは、全国一斉に睡眠時間を意図的に1時間減らすことになるからです。

しかしWalker氏に言わせれば、一番覚えておくべきことは、「やるべきことが多すぎて睡眠時間は5時間しか取れない」と言う人に対して、次のように言い返すことです。

「残念ながら、それは皮肉な話だね。そんなにやることがたくさん残っているのは、5時間しか眠らないせいで認知機能が低下しているからかもしれないよ。だからいつまでたっても仕事が終わらないんだよ。」

How many hours of sleep do you actually need? | Popular Science

Claire Maldarelli(訳:春野ユリ)

[ライフハッカー]


■夜の睡眠は「5時間」でもOK グーグル、ヤフーが勧める「昼寝」の方法

□睡眠のプロが提案する「5時間快眠法×朝5時起き」とは

2017年の年明けから、はや4カ月。皆さんは、毎日、「自分の時間」を確保できていますか? このまま時間に追われてしまえば、あっという間に年末です。それを避けるために、自由な時間をつくる方法を考えてみたいと思います。キーワードは「睡眠」です。

日本睡眠学会所属の医師・坪田聡さんは、著書『朝5時起きが習慣になる5時間快眠法 睡眠専門医が教えるショートスリーパー入門』(ダイヤモンド社)のなかで、「5時間快眠法×朝5時起き」というスタイルを提案しています。睡眠の質を向上させれば5時間でもぐっすりと眠ることができ、朝早く起きることもできる。また、睡眠時間が5時間になれば、自分が自由に使える時間も確保しやすくなります。

たとえば、23時に寝て7時に起きるようなサイクルだと、勉強やワークアウトに使える時間、趣味にあてられる時間などはほとんど確保できないはずです。ベッドのなかでスマホを見るくらいがせいぜいでしょう。

これを24時に寝て5時に起きるサイクルに変えるとどうなるでしょう。寝る前と起きた後、合計で3時間の余裕が生まれることになります。これを「自由に使うことができる時間」として活用するわけです。

朝の時間帯はしっかりと休んだ後なので頭がよく働きます。また、日を浴びれば心身も活性化します。早朝は周囲も静かですから、集中して物事に取り組むこともできます。語学や資格の勉強には最適でしょう。こうした時間をつくるためには何をすればいいのか。大切なのは睡眠の質を上げることです。

坪田さんは、著書の中で「いたずらに長いだけの睡眠に費やす時間の多くは『無駄」」と指摘しています。

睡眠のよしあしは、単純に「時間」だけで測れません。一般的に「1日の疲れをとるには6時間〜8時間程度の睡眠が必要」などといわれますが、坪田さんの考えによれば、重要視すべきは「睡眠時間の長さ」よりも「睡眠の質」だというのです。

これを数式にすると<時間×質=満足度>。仮に睡眠時間が短くても、睡眠の質が高ければ得られる満足度は同じという考え方です。

同書では次のような例が紹介されています。これまで7時間睡眠をしていたとしましょう。1時間あたりの睡眠の質が50点だった場合、7時間×50点で満足度は350ということになります。一方、睡眠の質が70点だったとしたらどうでしょう。5時間睡眠でも、同じ満足度が得られるわけです。

□朝5時起きはクリエイティブな作業と相性良し

その他、坪田さんが推奨する、睡眠の質を上げるための条件はこちらです。

・寝付きを良くするために就寝3時間前までには食事を終える。
・ラベンダーの香りなど寝室でアロマを焚く。
・興奮を鎮める効果がある緑色の寝具に揃える。

さきほど「就寝前にベッドの中でスマホをみる」という生活スタイルを例に出しましたが、そんな方は要注意。この行為は「エスプレッソ2杯分の興奮状態になる」と説明されています。

睡眠の質を高めるには、部屋着ではなくパジャマで寝る、というのも効果的なようです。オムロンヘルスケアとワコールが行った実験によると、スウェットやジャージなどの部屋着で寝た場合は一晩で平均3.54回目覚めてしまう一方、パジャマで寝た場合は平均3.01回と、中途覚醒(夜中の目覚め)の回数が約15%も下がりました。

筆者も、この3年ほど朝5時起きに挑戦しています。この原稿も朝5時から書き始めました。3歳の子供が起きてくるのは毎朝7時ごろ。それまでの2時間は、本当にひとりになれる時間だと実感しています。

まだ家族が寝ているうちに、コーヒーを淹れ、気になっていた本を開き、窓の外を眺める。そうすると、とてもリフレッシュできるのです。また、クリエイティブな作業とも相性がよく、原稿執筆や企画書作成も非常に捗ります。とはいえ、私の場合は24時まで起きていられず、22時〜23時には寝入ってしまうので、坪田さんの提案する効率的なショートスリープはまだ実践できていません。

筆者の周囲にも短時間睡眠を上手に取り入れている人がいます。ハフィントンポスト編集長・竹下隆一郎さんは、24時ごろに寝て、朝5時に起床するスタイル。早朝の時間は、ニューヨークで暮らす仕事仲間とSkypeで会話しながら現地の最新情報を収集したり、子どもの朝ごはんを作ったりして過ごしているといいます。子どもの宿題をみてあげることも多く、「朝は雑音が少ないので、普段より集中して勉強してくれる」と語ります。

「早起きのため、寝る前にはユーカリの香りを嗅ぎながら瞑想します。息の色を想像しながら、ゆったりとした呼吸を繰り返し、心を落ち着かせるんです」(竹下編集長)

ショートスリープを実践している人の多くは、眠りに入るためのルーティンを持っているようです。寝室には、心地のよい香りやリラックスできる音楽、落ち着いて過ごせる照明を用意します。そして、歯を磨き、パジャマに着替え、ベッドに座って瞑想する……。自分なりの“眠りの作法”を見つけることができれば、睡眠の質も自ずと高まるのでしょう。

□グーグルやヤフーは社員に仮眠を推奨

睡眠の満足度をあげる方法は、夜だけではありません。日中の「仮眠」も重要です。『朝5時起きが習慣になる5時間快眠法』には、「中世のころには1日の睡眠を2、3回にわけてとっていた」「多くの動物も、1日に短時間の睡眠を繰り返す『多相睡眠」をおこなっている』という記述があります。

現在、日米のIT企業では、社員に仮眠を推奨する企業が増えています。たとえばグーグルは、米シリコンバレー・マウンテンビューの研究機関に「睡眠マシン」を導入しています。上半身をドームが覆い、睡眠を促す音楽が流れて、外部からの光と音を遮断。体を休めるのに最適の姿勢をとることができ、短時間でもぐっすり眠ることができるのです。タイマーをセットしておけば、振動でやさしく起こしてくれるので、寝過ごす心配もありません。

また日本では、昨年9月に社屋を移転したヤフーが、千代田区紀尾井町の新オフィスに「仮眠スペース」を設けました。従業員が好きな時に「昼寝」のために利用できるスペースで、予約制の「個室」もあるそうです。狙いは、従業員の集中力を高め、生産性を向上させること。就業時間のなかで「昼寝」をとったほうが残りの就業時間の効率が高まる、という考え方のようです。

こうした「昼寝」の効果に、科学的な根拠はあるのでしょうか。睡眠に詳しい東京福祉大学の栗原久教授は、「仕事中の仮眠にはメリットが多い」といいます。

「仕事を続けると脳が疲れて集中力や記憶力が低下して、間違いや事故のリスクが高まります。とくに、午後は疲労の影響が強まります。そこで、午後の早い段階で仮眠をとると、脳の疲労を解消することができ、仕事の能率を保つことにもつながるのです」

つまり仕事で高いパフォーマンスを発揮したい人ほど、仮眠を積極的に取り入れたほうがいいようです。具体的にはどんな環境で「昼寝」をしたほうがよいのでしょうか。栗原教授は次のように解説します。

「刺激が多いと脳は休まりません。通常、脳に入力される刺激の内訳は、視覚が85%、聴覚が10%、皮膚・筋肉感覚が4%、嗅覚・味覚が1%です。そのため、仮眠をうまく取るには、刺激がマイルドな淡い暖色系の照明、超音波(※1)を含む適度な音楽、心地よい香り、そして身体全体を均等に支えてくれる自分にフィットした寝具が大事です。すべてが整った環境を用意するのは難しいと思いますが、できるだけ脳への刺激が少ない場所を選ぶことで、仮眠の質は高まりますよ」

「昼寝」をとる時間帯にもコツがあるそうです。

「午前中に一仕事を終えて、昼食を済ませた12時から14時ごろは生理的に眠気が出てくる時間帯です。そのため、ランチ後に仮眠をとり、脳機能を回復させることが、午後の仕事の効率アップに有効となります。ただし、深い眠りは覚醒までの時間が長くなるので逆効果になりかねない。寝入りすぎてしまうのを回避するには、昼寝の前にコーヒーを飲んで眠り、カフェインの効果が強まる30分後くらいに目覚めるようにするのが効果的でしょう。昼食後の仮眠は生産性の向上に大きく寄与しますから、その仕組みづくりに真剣に取り組んだ企業ほど、成長できる可能性も上がると考えます」

栗原教授は「今後、社員に仮眠をすすめる企業はますます増えていくだろう」といいます。日々の忙しさにてんてこ舞いの皆さん。思い切って「昼寝」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

※1:超音波は2万ヘルツ以上の音。人間の耳では音として聞き取れないが、音波が脳に働きかけ、リラックス感を向上させるという説もある。MP3などのデジタル音源は、人間が聞き分けられない音域をカットしてデータ量を圧縮しているが、最近広まりつつあるハイレゾ音源はデータ量も多く、超音波域まで収録している。なお、テープやレコードには超音波が含まれているので、従来からリラックス効果が高いとされてきた。

(上沼祐樹=文)

[プレジデントオンライン]

Posted by nob : 2017年04月19日 10:54

確かに運動後のリセット体操は面倒そうですが、早速試してみたいものです。。。

■【ニッポン柔道式】最先端トレーニングで体力復活!

仕事や運動の疲れを速攻回復、日本柔道式エクササイズを伝授
長時間の仕事で凝り固まった筋肉を伸ばして疲れを取る

松尾直俊=フィットネスライター

2016年のリオデジャネイロ五輪で全7階級でメダルを獲得し、復活と躍進を遂げた柔道男子日本代表。これには科学的なトレーニングによるフィジカル強化に加え、疲労を素早く回復させて、次の日も効率的な練習を繰り返すことができるようになったことも大きい。そこで、井上康生監督のもと、総務コーチとしてトレーニングプログラムの組み立てや疲労回復メニューの指導に当たった日本体育大学准教授の岡田隆氏に、ビジネスパーソンが仕事やオフタイムの運動で感じる疲れの回復にも役立つ“日本代表式ストレッチ”を教えてもらった。

 トレーニングや練習を行うと、大きな力を出した筋肉には小さな損傷が起こり、エネルギー代謝によって作り出された代謝物が残る。これらが疲労を感じる主な原因だ。できるだけ早く回復させないと、筋肉痛が長引いたりして、次の練習が効率的にできないことになる。また、回復しきらないうちに新たな負荷がかかることで、筋肉の損傷が重なって大きなケガにつながることにもなりかねない。

 「練習や筋トレで大きな力を出した後は、以前より筋肉が短くなったままの状態になります。すると、血管が圧迫されて血液の流れが悪くなり、老廃物の排出が遅くなる可能性があります。また、損傷を起こした筋肉を補修するために必要な、たんぱく質を中心とした栄養の補給も滞るかもしれません。それが選手たちのパフォーマンスを落とす原因となるのです」

 こう語るのは柔道男子日本代表の総務コーチを務める、日本体育大学の岡田隆准教授。疲労回復を促すには、筋肉が何度も強く収縮し硬くなって阻害された血流を、いかに早く元に戻すかが大切ということだ。

縮んだままの筋肉が疲労につながる

 「シンプルに考えれば分かることですが、筋肉が収縮して固まっているのですから、伸ばしてあげるストレッチが最も適した方法です。意外に思われるかもしれませんが、一流アスリートの中にも、練習前の準備運動は念入りに行っても、練習後のリカバリーやケアをおろそかにする人が結構いるのです。選手たちには、それがパフォーマンスを落とし、けがの原因になることを伝え、練習後のケアをしっかりするように言いました」

 これは、一般のスポーツ愛好家も陥りがちなミスだ。例えば久しぶりにジョギングなどを行う時、走り出す前にはストレッチを行うのに、終わってしまえばそのままシャワー、そしてビール…というパターンになる人が多いだろう。すると、翌日からは筋肉痛が続くということになってしまうのだ。

 選手たちも同じだ。キツイ練習が終わった後は、早く食事をしてリラックスしたいがために、リカバリーのためのエクササイズを軽く終わらせてしまうことが多いのだという。

 「練習を始める前にはできるだけ体を動かす動的ストレッチや、以前にも紹介したHIITなどを行って体を温めることが必要です。しかし練習で動かし、力を出して収縮固定の状態になっている筋肉に対しては、ゆっくり静的ストレッチをすることで血行を回復させてあげるほうが、柔軟性を取り戻すことができて、疲労回復の役に立ちます」(岡田さん)

 これはスポーツを行う時だけではない。ビジネスパーソンであれば、長時間のパソコン作業や会議、海外出張時の長時間のフライトなどによって同じ姿勢を強いられることでも、筋肉は収縮して硬くなってしまう。それが筋肉の不快感やコリとして現れ、疲れと感じるのだ。

オフィスでもできる疲労解消ストレッチ

 柔道の日本代表選手たちも、練習後に収縮した筋肉を伸ばすストレッチを日々実践している。今回は、一般ビジネスマンの疲労回復にも有効なストレッチを、岡田准教授が実演してくれた動画で見ていこう。

1.胸部と肩甲骨周辺のストレッチ

 長時間のパソコン作業で固まりがちな肩周辺の疲労を取る。

動画
両腕を左右に開き、背骨が動くことを意識しながら背中を丸めて行き、顔の前で手のひらを顔のほうへ向けて合わせるようにする。元に戻す時は、肩甲骨を背骨に向かって引き寄せるような感じで動かし、胸を広げる。5往復1セットが目安だが、気持ちよく感じるのであれば、数セット行ってもいい。※音声は入っておりません

2.股関節周辺のストレッチ

 意外と盲点。座りっぱなしで動きが悪くなる股関節を回復させる。

動画
膝からすねにかけて、脚を椅子の座面に載せる。反対の脚を曲げていき、太ももの内側にある内転筋とお尻の大臀筋をゆっくりと伸ばしていく。15秒程度伸ばしたら、反対側も同様に行う。※音声は入っておりません

3.ハムストリングスのストレッチ

 太もも裏を伸ばし、脚の血流を促進する。

動画
椅子の背もたれに片手を添えて立つ。膝を軽く曲げるようにして、少しお尻を突き出しながら上半身を前に曲げていく。太ももの裏のハムストリングが伸びるのを感じるはず。15秒程度伸ばしたら、反対側も同様に行う。※音声は入っておりません

4.上部体幹のストレッチ

 肩甲骨周辺と首後面の疲労感を軽減する。

動画
椅子に浅く座る。背もたれに背中をつけて両腕を上げ、その重みで体を後ろに反らせるイメージで上半身前面の筋肉群を伸ばし、背面の筋肉を押しほぐす。力で無理やり伸ばすのではなく、脱力する感じで15秒程度その姿勢をキープする。ゆっくり元の姿勢に戻す。※音声は入っておりません


 どのストレッチもオフィスで簡単にできるものだ。少し疲れを感じたら、どれか一つでもいいので実行すると、疲れが蓄積して不快感が強くなるのを防げるはず。また、仕事中にこのような小さなブレイクタイムを入れることで、作業の効率もアップするはず。ぜひ試してみてほしい。

岡田隆(おかだ たかし)さん
日本体育大学 准教授

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月18日 20:05

最低限の消極的対策として、、、何より参戦しないさせないという積極的基本的対策から。。。

■【北ミサイル】有事で身を守るためには 情報見極め、地下街へ避難、地面に伏せる…

 朝鮮半島をめぐる緊迫感が増す中、日本に影響が及びかねない有事が万一起きた際に身を守る方法を、確認しておくことは大切だ。識者は確度の高い情報が提供される必要性を指摘している。

 北朝鮮によるミサイル発射が確認された場合の避難先について政府の担当者は「堅牢(けんろう)な建物。理想は地下街」とするが、自然災害のように避難場所が定められているわけではないため、混乱も予想される。

 政府の担当者によると、周囲に建物や地下街がない場合は、頭を抱えて地面をはったり、しゃがんだりするのが有効という。こうした対応は、イスラエルの民間防衛組織のパンフレットにもあるという。また、車に乗っている場合はガソリンに引火する恐れがあるので、下車して地面に伏せる必要がある。

 東京都が作成した防災ブック「東京防災」でも、テロや武力攻撃の際の対策や避難方法を紹介している。

 爆発に対しては、姿勢を低くして頑丈なテーブルなどの下に身を隠す。爆発は複数回続く可能性もあり、安全な場所への避難が必要だ。閉じ込められた場合は配管などをたたき、居場所を周囲に知らせるといいとしている。また、化学剤や生物剤を使った攻撃が疑われる場合には口と鼻をハンカチで覆い、密閉性の高い屋内や風上の高台など、汚染のおそれのない安全な場所へ避難する。

 情報の見極めにも注意が必要だ。東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)は「仮にミサイルが着弾すれば、『次はどこに来るんだろう』といった臆測や噂が拡散し、パニックにつながるおそれがある」と指摘。「大事なのは、国などが確度の高い情報を国民に十分に提供すること。受け取る側も、正確な情報なのかをきちんと判断しなければいけない」と話す。

 また、普段から家族や学校などで緊急時の連絡方法や集合方法について話し合い、「有事の際には常に警戒心を失わず、絶えず情報や状況を把握することが必要だ」としている。

[産経新聞]

Posted by nob : 2017年04月18日 12:14

ほどほどにバランス良く。。。Vol.2/尽きぬ珈琲と緑茶論議。。。

■何杯飲めばいい? 飲むタイミングは? コーヒーVS.緑茶

 日本人が好む飲み物の代表格であるコーヒーと緑茶。2015年の国内でのコーヒーの消費量は約46万トン、緑茶の消費量は約8万トンだ。1日にどちらかを必ず飲んでいる人は多いのでは。この2大嗜好飲料は健康にもいいと、ニュースにもなっている。いったいどれだけ飲めばいいのだろうか。

 まずは国立がん研究センターの「多目的コホート研究」を見てみよう。この研究では長期観察型の疫学調査を行い、これまでに約14万人を追跡している。

「1990年から調査を続けていて、5年に1回、生活習慣に関するアンケートをとっています。開始時から追跡してデータを蓄積しているので、たとえば病気になった人が20年前にどんな生活をしていたのかがわかるというのがコホート研究です」(同センター社会と健康研究センター疫学研究部室長・澤田典絵氏)

 直近のコーヒーと緑茶に関わる調査では、「コーヒーを1日に3杯以上飲む人は脳腫瘍(しゅよう)のリスクが低下する」という結果が出た。

 一方で、緑茶をよく飲む人には同様の結果は見られなかったという。

 なぜだろうか。東京大学医学系研究科特任助教の齋藤英子氏は言う。

「コーヒーに含まれているクロロゲン酸という抗酸化物質が作用しているのではないかと考えられます。クロロゲン酸はほかにも血糖値の改善や血圧を適切にする効果があると言われています」

 では、がぶがぶとコーヒーを飲めば脳腫瘍リスクはぐんぐん減るのか。どうやらそうでもないようだ。澤田氏は言う。

「脳腫瘍に関して言えば答えは出ていないです。海外ではコーヒーを7杯以上飲むとリスクが上昇するという報告もあるんです」

 センターでは、日本人の主要死因であるがん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患と、大きなくくりでの全死亡リスクも調査している。それによれば、1日にコーヒーを3〜4杯飲む人はまったく飲まない人に比べて24%低いという。やはり量をたくさん飲めばいいのかと希望を持ちたくなるが……。

「1日4杯の人まではリスクが下がっているのですが、5杯以上の人になると結果がぼやけているんです。まったく飲まない人と5杯以上飲む人で効果に差はないように見えます」(齋藤氏)

 とはいえ、無類のコーヒー好きでも1日に5杯以上飲む人はなかなかいない、と語るのは全日本コーヒー協会専務理事の西野豊秀氏だ。もちろんコーヒーミルで豆をひいていれるコーヒー党だが、それでも毎日4〜5杯だという。

「午前中に2杯、昼に1杯、午後に1〜2杯です。あくまでも嗜好品ですから、健康のためと言って義務的に飲むことはやめてほしいですね。エナジードリンクなどに含まれるカフェインの過剰摂取でアメリカや日本でも死者が出ています」

 コーヒーといえば、カフェイン効果を期待して眠気覚ましに飲むという人も多いだろう。その際の注意点はあるのだろうか。

「カフェインの錠剤を併用したり、極端な量を飲んだりというのでなければ問題ないです。140ミリリットルのカップ1杯で約80ミリグラムのカフェインが入っているのですが、カフェイン摂取にうるさいヨーロッパでは、1日400ミリグラムに抑えましょうと言われています。これは単純計算でも5杯以上。やはり飲みすぎはよくないですね」(西野氏)

 対して、緑茶はどうだろうか。前述どおり、脳腫瘍に関する調査では緑茶を飲む人にリスクの低下は見られなかった。

「ただ、主要死因による全死亡リスクの調査では、緑茶を飲めば飲むほどきれいにリスクが下がっているんです。これはコーヒーとは異なる点です」(齋藤氏)

 緑茶については、1日1杯未満から5杯以上までの調査で、男女ともに摂取量が増えるにつれリスクが低下しているが、特に脳卒中との関連性に注目したい。

「データを見ると、1日に4杯以上飲む人には脳卒中や脳梗塞、脳出血に対して有効に働いています」(澤田氏)

 飲めば飲むほど効果抜群!とも言えそうな緑茶だが、飲みすぎることで弊害はないのか。大妻女子大学「お茶大学」校長で農学博士の大森正司氏に聞いた。

「飲みすぎて悪いということはないです。嗜好品として飲む形であれば、飲みたいだけ飲んでください。ただし、実際にはものすごく飲む人でも5杯から10杯。現実的な量で、ということです」

 また大森氏によれば、緑茶に含まれているカテキンは、がんの抑制や認知症予防にも効果があるとされているという。

「がん細胞を植え付けたネズミによる実験で、緑茶を飲ませたほうが発がんしなかったんです。加齢による衰えを調べるために迷路の出口に餌を置いた実験では、飲ませていないネズミは出口まで来られなかったんですが、飲ませたほうはちゃんとたどり着くといった結果が出ています」

 カテキンにはコーヒーに含まれるクロロゲン酸と同様に抗酸化作用があるため、体によいとされる。バランスのいい摂取方法はあるのだろうか。

「体に吸収されるカテキンの量は飲んだ量の約100分の1です。ですので一気に大量の茶を飲むのではなく、1日に何度もこまめに飲めば、成分を効率よく吸収できます」(大森氏)

 緑茶のいれ方にもコツがあると大森氏は力説する。

「お湯の温度によって成分のバランスが変わってくるんです。カフェインは熱湯でしか溶け出しませんが、カテキンはぬるま湯でも溶けます。ですので、カフェインを抑えてカテキンをとりたければ50度ぐらいのぬるま湯でいれるのがいいです。味も温度によって変わりますから、なんでもかんでも熱いお茶というのではなく、おいしいいれ方を探してほしいですね」

 コーヒーと緑茶。どちらも共通して言えるのは「1日にほどよい量」を「好んで飲む」のが肝要なようだ。澤田氏は言う。

「私たちのデータは無理やり飲むことをおすすめするものではないです。飲んでいればよい効果があると言えますが、人それぞれの適量があると思いますし、普通に飲んでいただくのなら害はないと言えますね」

[週刊朝日]

Posted by nob : 2017年04月18日 12:09

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。Vol.2/そして生活習慣。。。/まずは睡眠。。。

■あの習慣は逆効果? 睡眠を改善する「4つのNGと3つの法則」
「4つのNG」を回避、「4-6-11の法則」を守ればOK

伊藤和弘=フリーランスライター

仕事やプライベートの時間をやりくりするために、真っ先に削ってしまうのが「睡眠」ではないだろうか。また、年齢とともに、眠りが浅くなったり、目覚めが悪くなったりする人も多いに違いない。もう眠りで悩まないための、ぐっすり睡眠術をお届けしよう。

 作業療法士・睡眠健康指導士の菅原洋平さんが、企業の依頼を受けて「睡眠マネジメント研修」を行うユークロニアを設立したのは5年前のこと。当初は外資系企業が中心だったが、最近は国内企業からの依頼も増えてきたという。

 「事故防止、社員のメンタルヘルス、生活習慣病の予防、生産性の向上、といった目的で依頼される企業が多いです。特に外資系では“スリープ”はビジネススキルの一つと見なされていますので、社内研修に取り入れる企業が多かったのですが、日本でもストレスチェックの義務化をきっかけに昨年から睡眠改善に関心を持つ企業が増えてきました」(菅原さん)

 菅原さんが睡眠研修を担当した出光興産で研修に参加した人たちに聞くと、82%が研修による睡眠の改善を自覚したという。加えて、生産性の向上も確認された。

 その菅原さんが指導する睡眠改善法の基本は、「4つのNG」を解消することと、「4-6-11の法則」を守ることだ。それはどんなものなのか、順番に説明しよう。

良かれと思ってやっている習慣が逆効果に

 まず、「4つのNG」から。例えば「眠る前にコーヒーを飲むと良くない」なんていうのは誰でも知っているだろう。問題は「いい睡眠を取ろうとして逆効果になっている習慣」だ。

1. 寝室で本を読む

 眠る前に本を読む習慣がある人は少なくない。それ自体は悪くないのだが、「まずいのはベッドの上で読むこと」と菅原さん。テレビを見る、スマホをいじるといった行為も同じ。要するに、「ベッドの上で眠ること以外の何かをやる」のが良くないという。

 菅原さんは「脳にはフィードフォワードという働きがあり、場所と行為をセットで記憶するんです」と説明する。その結果、次にその場所に行ったとき、よりスムーズに同じ行為ができるようになる。本を読んでいれば「ベッドは本を読む場所」、テレビを見ていれば「ベッドはテレビを見る場所」と脳は思い込んでしまうわけだ。それが安眠を妨げてしまう。

 それを防ぐには、眠らないうちはベッドに入らないこと。睡眠以外の行為は極力しない。そうすることで、「ベッドは眠る場所」と脳に覚えさせるのだ。

 ただし、これまでの生活習慣をやめろというわけではない。「ワンルームマンション暮らしだったら、就寝前にベッド以外のイスなどに座って本を読んだり、テレビを見てもいい。とにかく、ベッドの上でしなければOKです」と菅原さんはアドバイスする。

2. 眠くないのに早起きするため早くベッドに入る

 翌朝、出張で早く起きなければいけないときなど、睡眠時間を確保するためにいつもより2時間も早くベッドに入る。ところが、なかなか眠れず、深夜になるまで悶々と過ごしてしまった――こんな経験はないだろうか?

 「人間は目覚めて光を見てから16時間後に眠くなるようにできています。無理に早く眠ろうとしても、なかなか眠れるものではありません」と菅原さん。眠れないと、いろいろなことを考える。それが前述のフィードフォワードによって、「ベッドは考え事をする場所」と脳が信じてしまうと、慢性の不眠症にもつながりかねない。

 例えば、朝7時に起きたとしたら、「寝るのに丁度よいのは、16時間後の午後11時くらい」などと計算してベッドに向かうといい。多少の早寝は構わないが、眠くもないのに、いつもより早い時間にベッドに入って、無理に寝ようとしてはいけない。

3. 毎日同じ時刻にベッドに入る

 規則正しい睡眠リズムを作るため、毎日同じ時刻にベッドに入る。いいことに思えるが、まず意識すべきなのは就寝時刻ではなくて起床時刻が正解だ。一般的には目覚めて光を見てから16時間後に眠くなるので、「就寝時刻ではなくて、起床時刻を一定にすることが大切なんです」と菅原さんは話す。

 毎日同じ時刻に眠って同じ時刻に起きられれば確かに理想的だが、仕事に追われるビジネスパーソンが毎日同じ時刻に就寝するのは難しい。ときには眠くならない日もあるだろう。そんなときに無理にベッドに入っても、なかなか快適な眠りはやって来ない。

 一方、毎日の起床時刻を同じにして、同じ時間に朝日を見ていると、少しずつ就寝時刻もそろってくるようになるという。

 特に注意してほしいのは休日だ。平日は出社のため早く起きなければいけないが、休日なら昼まで寝ていることもできる。しかし、そうすることで平日にできていた体内時計のリズムが崩れてしまう。平日と同じ時刻に起きるのは無理でも、「寝坊による起床時刻の遅れはせめて3時間以内に。そうしないとメンタルの不調が起こりやすくなります」と菅原さんは注意する。それでは足りないという人は、前日に少し早めに寝るようにしよう。

4. 帰りの電車で睡眠不足を補う

 通勤電車で睡眠不足を補っているビジネスパーソンも多い。行きの電車で寝るのはまだいいが、帰りの電車で寝るのはいけない。睡眠圧といって、起きている時間が長いほど直後の睡眠は深くなる。「夕方以降に眠ると睡眠圧が減って、夜間のメジャースリープが浅くなってしまうんです」と菅原さん。

 特に通勤時間の長い人は要注意だ。夕食後のうたた寝も同じく良くない。夕方以降は眠くてもガマン。たっぷり睡眠圧をためて爆睡しよう。

3種類の生体リズムを整える

 「4つのNG」を覚えたら、次は「4-6-11の法則」を実行してほしい。これは睡眠に関係する3つの生体リズムを整える方法で、数字はそれぞれの時間を表している。

■起床後4時間以内に光を見る(メラトニンリズムを整える)

 夜になると、脳の松果体からメラトニンというホルモンが分泌されて眠くなる。一方、早朝を迎えて強い光を見ると、メラトニンの分泌が止まって眠気が消える。だから、起きたら光を見ることが大切なわけだ。前に触れたように、光を見ると16時間後に再びメラトニンが増加する。

 起きても窓を開けずに薄暗い部屋で過ごしていると、メラトニンの分泌が止まらず、いつまでも目が覚めない。メラトニンを止める感度が最も高いのは起床後1時間以内。時間が経つほど感度が落ちて、起きてから4時間以上経つと光を見ても反応しなくなる。起きたら1時間以内に朝日を浴びるのがベスト、自宅に籠もりっきりの日でも4時間以内には光を見るようにしよう。

■ 起床後6時間経ったら仮眠タイム(睡眠-覚醒リズムを整える)

 目覚めてから最初の眠気がやって来るのは8時間後。朝7時に起きている人なら午後3時頃だ。「この時間に眠くなりやすい人は、起床後6時間が経った頃、一般的には昼休みの時間に仮眠を取るといいでしょう」と菅原さん。

 昼間の仮眠のポイントは「眠くなる前に」「1~30分以内」「イスに座ったまま」「起きる時刻を3回唱える」ことだ。

 わずか1分目を閉じるだけでも、脳を休めることができる。6分以上の仮眠で、その後のパフォーマンス低下を防ぐことも確認されている。ただし、30分以上寝ると睡眠が深くなって、夜のメジャースリープに影響するのでNG。仰向けにならず、イスの背もたれにもたれて寝たほうがいいのも同じ理由だ。

 「自己覚醒法といって、寝る前に起きる時刻を3回唱えると意外とスムーズに起きられます。夜の就寝前にも、ぜひやってみてください」と菅原さん。目覚まし時計を使わずに決めた時刻に起きると、気分がいいのはもちろん、日中の居眠りも少なくなるという(Psychiatry Clin Neurosci. 2002 Jun;56(3):223-4)。

■起床後11時間経ったら体を動かす(深部体温リズムを整える)

 睡眠中は体温が下がる。起床後は体温が上がり出し、起床してから11時間経つと、体温が最も高くなる。このタイミングで運動すると、さらに体温が上がり、眠るときスムーズに下がりやすい。逆にこの時間帯に眠ってしまうと、夜中に体温が下がりにくくなり、眠れなくなってしまうという。

 朝7時に起きた場合、11時間後となるのは午後6時だ。快眠のためには、運動は夕方から夜のほうがいい。会社からの帰りに、一つ前の駅で降りて歩くのもいいだろう。特に気をつけてほしいのは休日の夕方だ。つい家でゴロゴロしがちな時間帯だが、散歩でも買い物でもいいので体を動かすことを心がけてほしい。

 この「4-6-11の法則」すべてを実行しようと思わなくてもいい。「一つ整えば自然と他のリズムも整っていきます。やりやすいものを一つ注意するだけでも効果はあるはず」と菅原さんは話す。睡眠を改善したい人は早速今日から試してみよう!

菅原洋平(すがわら ようへい)さん
ユークロニア社長、作業療法士、睡眠健康指導士

[日経Gooday] 

Posted by nob : 2017年04月16日 23:40

生前の関係性の問題かと。。。

■遺骨の「送骨サービス」 申込は4年間で数千件に到達

【遺骨の扱いにも変化が現れている】

 多くの友人、知人が葬儀に参列し、親しかった人たちに骨を拾ってもらう。そして毎年、墓参りには子や孫が訪れる──かつて当たり前だったそんな「死に方」が、もうすぐできなくなるかもしれない。

 話題書『無葬社会』の著者で浄土宗僧侶でもある鵜飼秀徳氏がいう。

「きちんと地縁や血縁に根ざした供養を受けられず、誰にも見送られず、宗教的な弔いもなく送られていく。そういうケースが、年々増えています。それを私は“無葬社会”と呼んでいます」

 葬送をめぐる実態の深刻さは、こんなニュースにも表われている。2015年4月、東京都練馬区のスーパーの屋外トイレで人の頭蓋骨が発見された。骨は焼かれた状態で、洋式便座の中に転がっていたという。

「骨を捨ててしまう事件は後を絶ちません。遺棄される場所でとくに多いのは、電車内です。網棚に骨壺を乗せ、置き忘れたフリをして去っていく。近年、骨壺は警察に届けられる遺失物、拾得物の定番になっている」(鵜飼氏)

 兵庫・大阪・京都の2府1県における遺骨の拾得物は10~15年で少なくとも91件にのぼり、うち69件、76%が所有者が不明だと報じられた。

 お骨をどうするか。そんな悩みに応えるために、NPO法人「終の棲家なき遺骨を救う会」が2013年4月にスタートさせたのが、「送骨サービス」、通称“ゆうパック送骨”である。

 申し込むと、3万円の代金引き換えで「送骨セット」が送られてくる。骨を入れた骨壺の蓋をガムテープで固定して桐箱に入れるなどし、火葬証明書と埋葬承諾書とともに段ボール箱に入れて送る。すると、「終の棲家なき遺骨を救う会」にお墓を開放している南春寺(東京・新宿)に埋葬され、永代供養してもらえるという仕組みだ。同会理事長の柿崎裕治氏が説明する。

「火葬場からお骨を持って帰宅し、そのまま何年もご遺骨を自宅に置いているという人が少なくありません。一説によると100万人分のご遺骨が自宅に眠っているともいわれています。

 新しくお墓を建てようにもお金もない。そうした方のための埋葬支援としてこの方法を考えました。3万円の永代供養の申し込みは、この4年間で数千件。こちらからお骨を取りにうかがう迎骨(手数料別)もやっています」

 ゆうパックで南春寺に送られてきた遺骨は、1週間分をまとめて僧侶が供養してから、永代供養墓である「有縁塔」に埋葬される。

「骨壺からお骨を取り出して塔の内側のカロート(納骨室)に撒いていきます」(柿崎氏)

 さらには「骨も残さない」という選択肢すら出てくる可能性がある。欧米では1200度以上の高い温度の炉で遺体を焼いて、骨が灰になるまで焼き切ることも多い。

「都心部を中心に、遺骨を焼き切って引き取りの必要がない状態にしてほしい、といったニーズも出てきています。火葬場に遺灰がある程度溜まったら、僧侶がお経を上げて埋葬してくれればいい。そんなスタイルがこれから主流になるかもしれません」(前出・鵜飼氏)

[NEWSポストセブン]

Posted by nob : 2017年04月16日 23:31

神経ガスとトマホーク、そもそも攻めても攻められてもそこで人が死ぬのは同じ、大国や時の権力者の思惑に翻弄され抑圧され犠牲になるのはいつも戦争など決して望まない一般国民。。。

■米国のシリア攻撃、一番得をするのは中国だ

北野幸伯:国際関係アナリスト

米軍は4月7日、シリアのシャイラト空軍基地をミサイル攻撃した。理由は、アサド軍が4日、イドリブ県ハンシャイフンを空爆した際、化学兵器を使用したとされること。唐突に感じる米軍のミサイル攻撃だが、これで世界はどう変わるのだろうか?(国際関係アナリスト・北野幸伯)

過去6年にわたって
内戦が続いてきたシリア

 少し詳細に、何が起こったのかを見てみよう。シリアでは、2011年から内戦が続いている。「アサド派」と「反アサド派」の戦いだ。ロシアとイランはアサドを支援し、米国、欧州、サウジアラビア、トルコなどは、反アサド派を支援している。

 13年8月、オバマは、「アサド軍が化学兵器を使った」ことを理由に、シリア攻撃を実行しようとした。しかし、翌9月、戦争をドタキャンして世界を仰天させた。

 その後、反アサド派から分かれた「イスラム国」(IS)が勢力を拡大。14年8月、米国と有志連合はISへの空爆を開始した。さらに15年9月、有志連合とは別に、ロシアがIS空爆をはじめた。

 つまり現在、シリアには、ロシア、イランが支援するアサド派、欧米、サウジ、トルコなどが支援する反アサド派、そしてIS、大きく分けて3つの勢力が存在している。

 米国とロシアは、シリア問題での協力関係を深め、16年2月には、「停戦合意」がなされた。しかし、この合意は破棄され、現在は、ロシア、イラン、トルコがアサド派、反アサド派の仲介をしながら、停戦に向けた努力が続けられている(米国は、事実上このプロセスに関わっていない)。

 アサド軍は4月4日、シリア北西部イドリブ県の反体制派支配地域を空爆。86人が死亡した。この時、化学兵器サリンが使われた疑惑が浮上している。

 トランプ大統領は、「文明世界は、この事件を看過できない」とアサドを批判。英国のジョンソン外相は、「わたしが目にした全ての証拠は、アサド政権が自国民に対し違法な兵器を使用したことを示唆している」と語り、アサドの仕業と断定した。国連のグテレス事務総長は、「シリアで戦争犯罪が続いている」と化学兵器使用を非難。フランシスコ・ローマ法王は、「受け入れられない虐殺だ」と嘆いた。

鵜呑みにするのは危険
米国もウソをつくことはある

 非常に苦しい立場に立たされたアサドだが、彼自身は化学兵器の使用を否定している。では、アサドを支持するロシアの主張は、どうだろうか?時事通信4月5日付を見てみよう。

<ロシア国防省はシリア軍が「テロリストの倉庫」を標的に空爆を実施し、倉庫に毒性物質が含まれていたと主張している。報道官は国連安保理の緊急会合で「われわれの国防省の資料を示す」と語った。>

 つまり、アサド軍が空爆をしたのは事実だが、化学兵器は使っていない。反アサド派の倉庫に化学兵器があり、それが漏れたのだと。

 このような2つの矛盾する情報に接すると、日本人はほとんど無条件に、「米国は本当のことを語っている」「プーチンとアサドは、ウソをついている」と信じがちだ。

 しかし、実をいうと、米国もウソをつくことはある。

 例をあげてみよう。米国は03年、フセインが「アルカイダを支援している」「大量破壊兵器を保有している」ことを根拠に、イラク戦争を開始した。しかし、この2つの理由が「大ウソ」だったことは、米国自身が認めている。読売新聞06年9月9日付には、以下のようにある(太線筆者、以下同じ)。

<米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定

[ワシントン=貞広貴志]米上院情報特別委員会は八日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。>



<報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも一九九六年以降、存在しなかったと結論付けた。>

 もう1つ例を。既述のように、オバマは13年8月、アサド軍が「化学兵器を使った」ことを理由に、「シリアを攻撃する」と宣言した。今回と同じパターンだ。ところが、国連調査委員会は、「化学兵器を使ったのは、アサド軍ではなく、反アサド軍」と報告していた。

<シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官

AFP=時事5月5日(月)配信

[AFP=時事]シリア問題に関する国連(UN)調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は5日夜、シリアの反体制派が致死性の神経ガス「サリン」を使った可能性があると述べた。
 スイスのラジオ番組のインタビューでデルポンテ氏は、「われわれが収集した証言によると、反体制派が化学兵器を、サリンガスを使用した」とし、「新たな目撃証言を通じて調査をさらに掘り下げ、検証し、確証をえる必要があるが、これまでに確立されたところによれば、サリンガスを使っているのは反体制派だ」と述べた。>

国際機関の調査を待たずに
トランプは空爆に踏み切った

 もちろんこの報告書は、「アサド軍が化学兵器を使っていない証拠」にはならない。しかし、アサド派も反アサド派も化学兵器を使っているとすれば、米国は、なぜアサド派を責め、(同じく化学兵器を使う)反アサド派の支援を続けるのか?米国の論理は、非常に矛盾している。

 筆者も、「米国は常にウソをつく」とか「アサドやロシアは正直だ」と主張するつもりは、全くない。ただ、米国は、過去にイラクやシリアの件で、はっきりとウソをついたのだから、「即座に米国の主張を妄信するのは危険」と言いたいのだ。

 では、どうすればいいのか?常識的に考えれば、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査結果を待つべきだろう。実際、OPCWは、すでに調査を開始している。

<シリア化学兵器疑惑、調査を開始 OPCW
朝日新聞デジタル 4/7(金) 18:03配信
 シリアの反体制派が拠点とする北西部イドリブ県で化学兵器が使用されたとされる問題で、オランダ・ハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)は6日、調査に着手したと発表した。すでに情報の収集や分析を開始。シリア当局とも連絡をとり、情報提供を求めているという。>

 しかしトランプは、調査結果を待たず攻撃することを選択した。トランプは4月7日、シリア攻撃に関する演説を行った。曰く、

<火曜日(4日)、シリアのアサド大統領は恐ろしい神経ガスを使って、罪のない市民に恐ろしい化学兵器を発射した。>
 
<シリアが禁止された化学兵器を使用し、化学兵器禁止条約に違反し、国連安全保障理事会の説得を無視したことは疑いの余地がない。>

 トランプはOPCWの調査結果を待たず、アサドの仕業と断定した。

 <かわいい赤ん坊までもが、この非常に野蛮な攻撃によって無情にも殺害された。どんな神の子も、このような恐怖に苦しんではならない。>

 キリスト教徒が大部分の米国民は、この部分を聞いて同意したことだろう。そしてトランプは、「シリア攻撃」を指令したことを明かした。

<今夜、化学兵器による攻撃をしたシリアの航空施設に標的を定めた軍事攻撃を命じた。>

<多くの困難を抱える世界の挑戦に直面する我々に、神の英知を求める。負傷者や、亡くなった人々の魂のために祈る。米国が正義と平和、調和の側に立つ限り、最終的に勝利を得ることを望んでいる。米国と世界全体に神のご加護を。>

 米国が、正義と平和、調和の側に立つというのは、大いに疑問のあるところだが、大部分の米国民は、トランプを支持するだろう。

 こうして、米軍によるシリア攻撃が実施された。巡行ミサイル「トマホーク」59発が、シャイラト空軍基地に向けて発射された。この基地は、アサド派が化学兵器を使った空爆を実施したとされる戦闘機の拠点である。

米軍のシリア攻撃で
世界はどう変わるか?

 次に、米軍のシリア攻撃で何が変わるかを見てみよう。

1.シリア情勢は、あまり変わらない

「米国が決意したのだから、アサドは終わりだ」と考える人も多いだろう。 しかし現時点では、米国がアフガン、イラク戦争並みの兵力をシリアに投入してアサドを倒すという話にはなっていない。

 シリア内戦は、始まってからすでに6年が経っている。そして、今後もダラダラと続いて行く可能性が高い。哀れなのは、犠牲者になるシリア国民だ。

2.トランプ人気は上がる

 一方、トランプの人気は上がる可能性が高い。前述した、13年のオバマのシリア戦争ドタキャンは、「オバマ最大の失態」とされ、彼は「史上最弱の大統領」と呼ばれることになった。トランプは、オバマの失敗を繰り返さないために、シリア攻撃を即決したのだろう。

 これまでトランプは、政権基盤が非常に脆弱だった。民主党は全部敵。共和党の「反ロシア派」も敵。ことあるごとに「フェイクニュース」と批判するので、マスコミも概して敵。特に、CNN、ABC、ニューヨーク・タイムズなどは、はっきりと反トランプである。

 しかし、「シリア攻撃」でトランプは救われるかもしれない。「化学兵器を使った」という衝撃的な事件ゆえ、マスコミもトランプを強く批判できないだろう。
 
 とはいえ、リスクもある。OPCWの調査で、「化学兵器を使ったのはアサド軍ではなかった」との結果が出れば、今度は逆に厳しい批判にさらされることになる。支持率は、一転急降下することになるだろう。

3.米ロ関係は悪化する

 アサドを支援し続けるロシア。アサドを攻撃する米国。当然、米ロ関係は悪化する。

 プーチンは7日、米軍のシリア攻撃について、「主権国家に対する侵略だ!」と強く非難した。大統領選挙戦中、トランプは「プーチン愛」を語り続けてきたが、就任後わずかな期間で米ロ関係はボロボロになってきている。

早くも米ロ関係はボロボロ
漁夫の利を得る中国

4.一番得をするのは、また中国

 元「世界の警察官」米国は、世界3つの地域で問題を抱えている。

 中東では、イラン、シリア問題。
 欧州では、ウクライナ、ロシア問題。
 アジアでは、中国、北朝鮮問題。

 オバマは、シリア、ウクライナ問題に深入りし、中国を放置した。彼が、シリア、ウクライナで、ロシアと「代理戦争」を戦っている間、中国は着々と南シナ海を埋め立て、軍事拠点化していたのだ。

 オバマは、15年3月のAIIB事件でようやく目覚め、中国へのバッシングを強めた。そして、彼はロシアと和解し、ウクライナ、イラン、シリア問題解決への道筋を作った。

「ロシア好き、中国嫌い」のトランプ大統領が誕生し、「ようやく米国が中国の暴走を止めてくれる」との期待が高まった。しかし、蓋を開けてみればトランプは、15年以前のオバマと同じ過ちを繰り返している。すなわち、シリア問題でロシアと激しく対立しているのだ。

 米軍がシリア軍基地を攻撃したその日、トランプは習近平と会談している。「シリア攻撃」の命令を出し、夕食中にそのことを習近平に伝えた。習はトランプの説明に謝意を示し、攻撃に理解を示したという。

 このタイミングでシリアを攻撃したのは偶然ではないだろう。

 米国は、「間もなく米本土に届く大陸間弾道ミサイルを完成させる」と宣言している金正恩を放置するだけでなく、支援し続けている中国に憤っている。今回のシリア攻撃は、「もし中国が北を放置するなら、米国はシリア同様、北朝鮮攻撃を開始するぞ!さっさと金正恩をなんとかしろ!」というメッセージだったのではないだろうか。

 それにしても、米国のシリア攻撃を「侵略だ!」と強く非難したプーチンと、「理解を示した」習の反応はずいぶん違う。(習の場合は、唐突に切り出され、アドリブで適切な反応ができなかっただけかもしれないが)

 ロシアは米国の行動に「敵対的」であり、中国は米国に「融和的」である。シリア攻撃で米ロ関係は悪化するが、米中関係は、これまでと変わらない。

 中国の「理想的な戦略」は、「2頭のトラの戦いを、山頂で眺めること」といわれる。つまり、「米国とロシアを戦わせ、中国が漁夫の利を得ること」。中国は、またもや理想的なポジションを確保しつつある。 

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2017年04月12日 08:31

重傷ですね、、、薬剤は即効性はありますがあくまで対症療法、私はじっくりと自然療法で克服というよりも協調できるようになりました。。。

■ライブ続行で荒療治…円広志さん「パニック障害」を語る

「パニック障害」と診断されるまでが苦しかったですね。診断されたときはホッとしました。「気持ちの問題じゃなくて病気なんだ」とわかって、とてもうれしかったんです。

 この病気は、脳の中の不安や危険を感じたりする神経が誤作動を起こし、不安や危険がないのに恐怖や回避行動を起こしてしまう病気です。今でもトイレが怖い日もあるのですが、薬で劇的に良くなりました。

 発症したのは、約20年前。そのころは、毎日の生放送を含め週10本以上の仕事があって、ものすごく忙しかったんです。にもかかわらず、金曜は学生時代の友人とほぼ毎週、夜遊びに興じていました。当時は二日酔いと寝不足を楽しんでいたんです。忙しいのがうれしかったし、仕事がどんなに忙しくても夜遊びもちゃんとするのが“ザ・芸能人”みたいなね(笑い)。「たぶん、関西で一番寝不足なのは俺ちゃうかな」なんて言っていた時期でした。

■スタジオが怖くて生放送では時計ばかり見ていた

 いつごろからか、クルマを運転していたらなんとなくトンネルが怖くなっていて、「嫌だな」と思っていたら、ある日異変が起こりました。渋滞でブレーキを踏んでいるのに景色の方が動いている感覚になったのです。「このままじゃぶつかる」とブレーキをさらに踏むけれど、止まっているからぶつかるわけがない。でも、景色はまた動きだす。そんな現象が帰宅するまで続いたのです。それをきっかけに、急にすべてのことが怖くなりだしました。

 症状としては、小さい音がやたら大きく聞こえてびくびくするとか、夕暮れになるとなぜか怖くて泣いてしまうという状態。仕事でもスタジオが怖いのです。1時間の生放送の前半はずっと怖くて、「倒れるんじゃないかな」「いつ終わるんだろう」と時計ばかり見ていました。最後の10分ぐらいになると落ち着くんですが、日に日に恐怖感が増していくばかり。

 そしてある日、番組終わりのテレビ局の駐車場で「俺を責めないでくれ!」と号泣してしまったんです。景色が動きだした症状が出てから、たぶん半年後ぐらいでしょうか。マネジャーもさすがにおかしいと思って、すぐにすべての番組を降板。病院へ行きました。

 でも、当時はパニック障害という病気はあまり知られていなくて、「精神的な病気」と言われました。確かに食欲もなくなるし、ゴハンの味もない。一番ひどいときは「死ぬんじゃないか」とか「本当に生きているんだろうか」と思ったりして、「鬱」のようにもなりました。

 脳の検査もしました。過呼吸や心臓が痛くなったりもしたので、心臓の検査もやりましたけど異常なし。トイレはドアを開けっぱなしにしても怖いし、散髪も怖い。行きつけの散髪屋ですら、店内が怖いので路上で切ってもらっていたほど。店内で大丈夫になったのは最近です。でも、10分ぐらいが限界ですよ。

 故郷の高知に帰った時期もありました。それでも、夕暮れになるとメソメソ泣く症状は治まりません。ただ、お酒を飲むと落ち着くのです。だから、この病気でアルコール依存症になる人もいるらしいですよ。

■番組降板後もライブは続行。“荒療治”が運よく功を奏した

 病名がわかったのは、番組降板から2〜3カ月後のことで、とある病院の「めまい科」でした。ふらつきがあったので受診したら三半規管に異常はなく、「パニック障害」と診断されました。処方された薬は毎食後に飲む安定剤のような薬と、症状が出たときに飲む頓服薬。で、その頓服薬がすぐ効きました。神経を鈍らす薬なんでしょうかね。そこから少しずつ楽になりました。

 実は番組降板後も、ライブはキャンセルすると違約金が発生してしまうのでやるしかなくて、ステージ脇にベッドを置いたり、ピンスポットが怖いので客席が見えるように明かりをつけてもらったりしながら続けました。普通は外出なんてできず、今日は1歩だけ外へ、明日は2歩……といった経過をたどるわけですから、いわばかなりの荒療治です。でも、その荒療治が運よく功を奏したことと、頓服薬のおかげで今に至っています。運転も大丈夫になりました。

 ただ、寝不足になるとお約束のように体調が悪くなります。医師には「君の病気は死ななきゃ治らないよ」と言われました。つまり、病気は自分そのもの。顔と同じで「持って生まれたものなんだ」と病気を受け入れました。多くの人は今の社会のスピードや仕組みに追いついているけれど、それに馴染めない人もいる。私も若いころははね返せたけれど、年齢とともに無理ができなくなったのだと思います。

 今言えるのは、「がむしゃらに頑張るのもいいけれど、勇気を出して自分の生き方を探すことがあってもいい」ということ。私にとってのパニック障害は、今や体調のバロメーターです。

▽まどか・ひろし 1953年、高知県生まれ。78年、自身が作詞・作曲した「夢想花」でレコードデビュー。森昌子の「越冬つばめ」など数々の作曲を手掛ける。現在は関西テレビ「よ〜いドン!」にレギュラー出演中。著書に「パニック障害、僕はこうして脱出した」がある。

[日刊ゲンダイDIGITAL]

Posted by nob : 2017年04月11日 15:32

同感です、、、自ら話す分だけしか英語は身に付きません。。。Vol.2

■英語を話せる人は何を「音読」しているのか?
話せない「根本的理由」から見える対策

青野 仲達 :ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授

これからは、英語が不可欠だ。
そう言われ始めてから、はたしてどれくらいの時間が経っただろうか。中学校・高校だけでも、多くの日本人は1000時間以上、英語を勉強している。しかし、「英語を話せる日本人」は、なぜいまだにこれほど少ないのだろうか。
大前研一監修、ビジネス・ブレークスルー大学編の新刊『プロフェッショナル イングリッシュ』が刊行された。執筆者の1人である青野仲達氏は、日本人が英語を話せない「根本的な理由」を知ることが、「話せるようになる」ための最短ルートだという。どういうことか、解説してもらった。

英語が話せない。そう悩んでいる人は多いのではないでしょうか。私は多くのビジネスパーソンと日々お付き合いをしていますが、胸を張って「英語を話せる」と言える人は、本当に一握りにすぎません。

では、中学校、高校、大学受験であれほど勉強し、社会人になってもTOEICなどの学習をこれほど続けているのに、なぜ多くの日本人ビジネスパーソンが「英語を話せない」のでしょうか。その理由を考えてみましょう。

主な理由は3つあります。最初に、発音ができない。次に、話したことがない。最後に、話すことがない。意外に思われるかもしれませんが、私はこの最後の理由が最大の障壁だと考えています。

順番に見ていきましょう。

「発音」「経験」はいくらでも克服できる

理由1:発音ができない

最初の理由が「発音ができない」です。

英語と日本語はいろいろな意味で「かけ離れた」言語です。その違いは音声面でも顕著です。日本語に比べて英語には圧倒的に多彩な音があります。訓練を受けていない日本人が「発音できない」のも当然です。

ただし、発音に関しては解決策があります。書店に行けば、発音に関する多くの本が並んでいます。敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。英語の音の特質を知り、日本語との違いを理解したうえで練習を重ねることによって、道は開けます。

さらに言うと、世界にはさまざまな英語話者が存在します。たとえば米国の人とオーストラリアの人、シンガポールの人では、その発音はかなり違います。つまり、「正しい発音」などというものに、それほど神経質になる必要はないのです。

ですから、「発音ができない」ことは大きな問題ではありません。

理由2:話したことがない

次の理由が「話したことがない」です。

やったことがないことは、うまくできません。できてしまうとしたら、その人は天才です。話したことがないのに「英語が話せない」と悩んでいる人は、「なぜ自分は天才ではないのか」と考え込んでいることになります。ソファに寝転び、テレビでオリンピックの体操を観ながら「あの演技がなぜ自分にはできないのか」と悩む人はいないでしょう。

そして、この理由についても解決策があります。話したことがないのであれば、話す練習をしましょう。

とにかく、英語を話してみる。その方法を考えましょう。そう言われても、自分の周囲には英語のネーティブスピーカーがいない。英会話スクールに通う時間もおカネもない。いろいろと「できない理由」を挙げることは簡単ですが、要はやる気の問題です。

たとえば、外国人をほとんど見かけることがない地域に住んでいても、ネットでスカイプ英会話を利用することができます。料金が気になる人には格安のサービスもあります。

また、わざわざ有料サービスを使わなくても、たったひとりでできる練習があります。それは音読です。音読とは「英語の文章を声に出して読む」ことです。黙読では、頭で内容を理解したつもりでいても、いざ話そうとしたときに英語が口から出てきません。

野球の打者は素振りをします。ボクサーはシャドーボクシングを欠かしません。どちらも、本番を想定しながらひとりで行うトレーニングです。

英語も同じです。話すことは口を動かす運動ですので、話すためには普段から口を動かしておく必要があります。英語を読むときは音読する。まずはそこから始めてみてください。

「話すネタ」を仕込んでいますか?

理由3:話すことがない

さて、最後の理由が「話すことがない」です。

私は、これこそが多くのビジネスパーソンが「英語を話せない」根源的な理由だと考えています。

みなさんの中には、英会話スクールに通っている方がいるかもしれません。以前通っていた方もいるでしょう。慣れてくると、講師との会話が続くようになり、英語が話せるようになってきたと感じます。

ここで、少し冷静に考えてみてください。それはもしかして、決まり文句やあいさつ文を覚えただけではないでしょうか。英語を趣味として楽しみたい人が、海外旅行に役立つ会話を覚えるのであれば、それで十分かもしれません。しかし、それだけでは仕事の現場で「結果を出す」ことはできません。ビジネスでは発言の中身が問われます。内容のある発言をするためには、当然ながら事前の準備が不可欠です。

ビジネスで成果をあげる人たちは、話すべきことの整理収集を習慣にしています。いわば「ネタの仕込み」です。うれしいことに、それは仕事以外にも役立ちます。持ちネタが増えると、外国人とも自然に「中身のある」会話が続けられるようになります。英語が話せている実感が生まれるので、義務だと思っていた英語が楽しくなります。

自分は英語が話せない。そう思っている人は、自分自身に問いかけてみてください。あなたは「話すネタ」を持っていますか。

「自分が書いた文章」を音読しよう

では「話すネタ」は、どのように仕込んでいけばいいのでしょうか。

まず大前提として、英語学習(というよりも語学全般)において、音読は圧倒的に重要です。音読とは「自分が読んだことを自分の口で話し、それを自分の耳で聞く」ことです。「読む」「話す」「聞く」を同時にこなすことになる音読は、英語の実践力強化に直結します。

この音読をさらに一歩進める方法があります。それが「自分が書いた文章の音読」です。先ほどの「読む」「話す」「聞く」に「書く」が加わりますので、英語の4技能がそろい踏みすることになります。これで力がつかないはずがありません。ちまたではやりの「英語の聞き流し」とは、その効果に雲泥の差があります。

一般的な音読の素材としては、英文講読用の教科書やニュース記事などが挙げられます。また、洋楽を口ずさむことも立派な音読です。ただし、いずれにしても、それは「他人が書いた文章」です。自分の意見でもなければ、声を大にして言いたいことでもありません。

一方、自分が書いた文章は自分の意見そのものです。ビジネスパーソンが書くべき英文は、「自分の考え」をあらかじめ整理しておくものです。当然、他の音読素材に比べて実際に話す可能性が高くなります。

そのようにして作った文章は、音読を重ねることによって「自分の言葉」として定着していきます。話す必要があることを、あるいは話したいことを、最初から話すつもりで書いているのですから、そこには不要な語彙も文法もありません。すべてが実践に直結します。

具体的な文章の書き方は、以下「英語がペラペラになる『魔法の5行エッセイ』」という記事でご紹介しました。新刊『プロフェッショナル イングリッシュ』でも、詳細に解説しています。

これらを参考にしながら書いた文章を、自信を持って音読する習慣をつけてください。「話せる人」は、そこから始めています。


■英語がペラペラになる「魔法の5行エッセイ」
ハーバード流「非ネイティブ」の英語勉強法

青野 仲達 :ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授

ビジネスシーン、学校など、今やどこでも「英語を話す」ことが求められているが、英語を話すための近道は「英語を書く力」を鍛えることにあるらしい。これは意外に感じられるが、ハーバード大学をはじめとする世界に冠たる教育機関では、標準的な学習法だとのこと。『グローバル時代を生き抜くための ハーバード式英語学習法』(秀和システム)の著者であり、自身も外資系企業勤務後にハーバード大学でMBAを取得し、現在はビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)経営学部で教授を務める青野仲達氏に話を聞いた。

書けない英語は話せない

――「英語を話す」ためのいちばんの近道が「英語を書く」ことだというのは、意外ですよね。

今、英語学習法というと、とにかく「英語を話す」ということからスタートすると思うのですが、実は英語を話す前に書く力を鍛えるほうが、はるかに効率がいいのです。

というのも、英語を話すことより、英語を書くことのほうが、ハードルが低いのですね。書くときは、しっかりと時間に余裕を持って自分の考えを整理することができます。一方、話すとなると相手が目の前にいるので、ゆっくりと考えている暇もありません。

逆に言えば、そもそも書けない英語は、どんなに頑張っても話すことができないのです。ですから、英語を話したいのであれば、まずは書くことから始めるほうが入りやすいですし、何より簡単なので、挫折しにくいのです。

――ハーバードといった世界的に有名な教育機関でも、「書く」からスタートしているのでしょうか?

はい。ハーバードのビジネススクールには、英語を母国語としない「非ネーティブ」の学生を対象に、「英語で生き抜く技術」を教えるプログラムがあります。その最重要項目が「エッセイの書き方」なんですね。

ここで言う「エッセイ(essay)」は、日本語の「随筆」ではありません。気ままに思いついたことを書きつづったものではなく、相手に伝えることを前提に「自分の考えを整理して書いたもの」です。

エッセイの書き方を習得すると、それまでは自信なげにうついむいていた人も、理路整然と話すようになっていくのです。欧州出身者も、中南米出身者も、アジア人も同じです。

――話す前に、自分の考えを整理する必要があるのですね。ただ、エッセイと聞くと、少し難しく感じられますが。

たった5行で書けるエッセイ

そうですね。本格的なエッセイとなると難しいのですが、エッセイの基本的な部分はたったの5行で書くことができます。たとえば、「私は夏が好きだ」ということが言いたいのであれば、こんなエッセイが書けます。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)
The days are longer.(日が長い)
We can dress down.(楽な服装ができる)
I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)
My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

特に難しい単語や文法を知らなくても、こうして自分の考えを伝えることができます。

――なるほど、これならすぐに実践できそうですね。何かコツのようなものはあるのでしょうか?

5行のエッセイを書くのは、とても簡単です。次の3つのルールに沿って書いていくだけです。

ルール1 結論を書く

「要は何が言いたいか」を書きます。「私は◯◯が好きだ」「◯◯はこうあるべきだ」という表現を使うと、うまく結論を導くことができます。たとえば、「夏が好きだ」と言いたいのであれば、シンプルに次のように書けばOKです。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

ルール2 理由を3つ挙げる

結論を述べたら、理由を3つ挙げます。結論の後に理由を挙げるのは、それが自然な流れだからです。理由を3つにするのは、「それくらいがちょうどいいから」です。ひとつや2つだと頼りないけれど、「3つあると安心」という心理が人間にはあるからです。

夏が好きな理由は人によってさまざまだと思いますが、あまり難しく考えず、思いつくままに書いていきましょう。たとえば、こんな簡単なものでOKです。

The days are longer.(日が長い)
We can dress down.(楽な服装ができる)
I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)

ルール3 結論を繰り返す

結論を述べ、理由を3つ挙げたら、最後にまた結論を繰り返します。結論を繰り返す方法は2つあります。ひとつ目は「反復」です。これは、単純に結論とまったく同じことを書きます。この場合だと、単純に次のように書けばいいわけです。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

もうひとつは「換言」です。1行目の結論と同じことを、言い方を換えて書いてみます。「夏がいちばん好きだ」は、「好きな季節は夏だ」と同じ意味ですので、最初の結論は次のように言い換えることができます。

My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

「最初に結論を述べる」「理由を3つ挙げる」「最後に結論を繰り返す」。たった3つのルールですが、自分の考えを伝えるための次のようなエッセイが完成します。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)
The days are longer.(日が長い)
We can dress down.(楽な服装ができる)
I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)
My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

5行エッセイで作る「自分の意見」

――とてもシンプルな方法ですね。これは英語学習だけでなく、「自分の意見や考えを整理する」のにも役立ちそうですね。

そうですね。英語が話せない人の特徴として、そもそも「話すことがない」というものがあります。日本では空気を読んだり、あいまいさを理解する気遣いがよしとされます。

しかし実際に世界へ出ていくと、つねに自分の意見が求められますし、意見は明確な理由がないと通りません。つまり、ロジカルであることが要求されるのですね。そうした意味で、さまざまなトピックについてこの5行エッセイを書いておくと、「自分の意見」が持てるようになるはずです。

文法や単語の勉強は「最重要」ではない?

――5行エッセイを書いていれば、「文法」や「単語」、「発音法」の勉強はしなくてもよいのでしょうか?

しなくてよいというわけではないのですが、文法や単語の勉強というのは、個別にやるべきものではありません。

5行エッセイを書くうえで、これは英語で何と言うのだろうと立ち止まることが必ずあると思います。その際は、ネットなどを使って、単語や文章を調べることができます。

たとえば、「サッカーが好きだ」と書きたいのであれば、「サッカー 好き 英語」と調べれば、Web辞書の例文を調べることができます。そうして5行エッセイを書くうえで、つまり自分の考えを伝えるうえで、必要な単語や文法を調べるだけで十分です。

むやみに単語を2000個覚えたり、英文法をすべて暗記するのは時間がかかるうえに、それを使う機会が訪れないので、頭に残りません。

5行エッセイであれば、それは自分の考えや意見ですし、何より自分で書いたものなので、使った単語や文法はしっかりと頭に残ります。おまけに海外では自分の意見が求められることが頻繁にありますので、使いながら覚えていくこともできます。

5行エッセイを会話やスピーチで使う

――実際に、この5行エッセイを会話やスピーチに応用することは可能なのでしょうか?

もちろんです。書いた5行エッセイは何度も音読・暗誦してください。そうすることで、一つひとつの英文が頭の中に残っていきます。たとえば、「コーヒーが好きだ」ということについて、次のような5行エッセイを書いていたとします。

I like coffee.(私はコーヒーが好きだ)
It tastes and smells good.(味や香りがいい)
It keeps me awake.(眠気が覚める)
It is good for health.(健康にいい)
Coffee is my favorite drink.(私のお気に入りの飲み物はコーヒーだ)

食後に会話がコーヒーの話題になったときに、書いておいた5行エッセイの中から「It tastes and smells good.(味や香りがいい)」と言ってみるだけでも、会話がつながっていきます。

大切なのは、普段からさまざまなトピックについて、5行エッセイを書き、自分の意見を整理しておくことです。そうしてしっかりと準備をしておくことで、世界中のどこへ行っても通じる形で、英語が話せるようになるはずです。


[いずれも東洋経済ONLINE]

Posted by nob : 2017年04月11日 09:56

同感です、、、自ら話す分だけしか英語は身に付きません。。。

■英語が聞き取れない人に共通する5つの弱点
ただ英語を聞いているのは時間の無駄

谷口 恵子 :英語学習コーチ

いくら英語の勉強をしても、なかなか聞き取れるようにならない、と感じることはありませんか。外国人に電話をかけなければいけない時、相手の言っていることがわからない。1対1の会話なら聞き返せるけれど、大人数のミーティングになると、聞き取れなくて置いていかれてしまう……。そうした「聞き取れない」悩みを持っている人は少なくありません。

こうした悩みを解決するにはどうしたらいいのでしょうか。『3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング』の著者で、英語学習コーチの谷口恵子氏が、英語が聞き取れない原因と、その効果的な対処法を紹介します。

英語の電話が怖くてかけられない!

仕事で使えるレベルの英語力を身に付けたい、と思っている方は多いと思いますが、中でも「聞き取れない」という悩みは切実です。ある程度の文法力と辞書があれば、読み書きは何とかなりますが、「聞き取り」に関しては、タイミングやスピードなどを自分がコントロールできないうえに、そもそも聞き取れなければ会話にもなりません。そのため、リスニング力を上げていくことが緊急の課題という方は多いでしょう。

私も、今では英語学習コーチとして英語のトレーニング法を広めていますが、かつては、どうしたら仕事に使える英語力を身に付けられるのか、悩みながら社会人生活を送っていました。

新卒で入社したIT企業では、ときどき米国やインドの同僚に英語で電話をしなければなりませんでした。自分が言いたいことは練習すれば何とか言えますが、相手の英語が聞き取れないときの焦りを想像すると、なかなか受話器を上げることができませんでした。「Sorry? 」と何度も聞き返してもダメなときには、「念のため今の内容のサマリーをメールでも送ってください」とお願いして電話を切るようにしていました。

英語が聞き取れないのは、英語を聞く絶対量が足りないからに違いない、とたくさん英語の音声を聞いている人も多いでしょう。しかし、残念ながら、聞き流しだけでは聞き取れるようになりません。多少英語の音に耳が慣れる、という効果はあっても、それだけではリスニング力が劇的に伸びることはないのです。

私も、効果的な英語のトレーニング法に出合うまでは、通勤時間や自宅で、Podcastやニュース、英語のリスニング教材など、とにかくいろいろな英語を聞き続けました。でも1年やってもリスニング力はまったく上がりませんでした。聞き流しが効果を発揮するのは、意識的なリスニングのトレーニングもしっかり行っている場合だけです。聞き流しだけで聞き取れるようになることはありません。

やはりリアルな英語に触れたほうがいいだろうと、英会話スクールに通っている方もいらっしゃるでしょう。英会話スクールはうまく活用できれば、とても良い実践の場として使えますが、英会話スクールに通うだけではリスニング力はアップしません。

なぜでしょうか。まず週に1回や2回では、英語に触れる頻度として少なすぎます。また、英会話スクールのような実際に英語で会話をする場は「試合」のようなもので、それ以外の日に「自主トレ」をした成果を試す場なのです。試合では、場馴れをして度胸がつくことはありますが、英語力自体はそれほど伸びません。英語力を本当に伸ばすには自主トレが欠かせないのです。

英語力を向上させるには、体を変える必要がある?

自主トレとして、どんなトレーニングが有効なのでしょうか。特に忙しいビジネスパーソンの方々には、リスニングを柱として伸ばしていくことをお勧めしています。それは、リスニング力を伸ばすためには、単語力、文法力、発音力、そして情報処理のスピードなど、さまざまな力が必要となるからです。リスニング力を伸ばした結果、英語の総合的な力をつけることができます。

では、リスニング力を効果的に伸ばすためには、どんなトレーニングが必要か。ここを勘違いしてしまうと、大切な時間を無駄にしてしまいます。「聞けるようになりたい、ではたくさん聞こう」ではダメだということを、まず知ってください。

聞けるようになるためには、実は「音声を聞いて真似すること」がいちばん効果的なトレーニング法です。まず、真似をするつもりで集中して聞くことで、音の特徴をしっかりつかむことができます。また、その特徴を真似して話すことで、しっかりと音の特徴が定着します。自分で正しく言えるようになった発音は聞き取れるようにもなります。聞いて真似をするトレーニング法として有名なのが、「リピーティング」や「シャドーイング」です。

英語を「勉強」だと思っている方も多いと思います。文法や読解などの基礎力は確かに勉強で身に付けることができるので、ある意味でそれは正解なのですが、勉強だけでは身に付かないスキルがあるのも事実です。特にリスニング、スピーキングにおいては、スポーツの練習と同じように、自分の体を変えていくための意識的な「トレーニング」が必要です。

そして、忙しいビジネスパーソンが限られた時間で英語力を上げたいと思ったら、できるだけ自分の弱点を知って、効果的なトレーニングをすることも大切です。一日中英語に浸っていられるわけではないからです。

ただし、リスニング力を上げる前に、1つやらなければいけないことがあります。それは、「聞き取れない原因」を突き止めることです。自分の弱点を知ることが、効果的なリスニングトレーニングの出発点となります。ここでは、ありがちな5つの原因と、効果的なトレーニング法をご紹介します。

「聞き取れない!」が起こる5つの原因

(1)使われている単語や表現を知らない

「聞き取れない」という前に、そもそも使われている単語や表現は知っていますか? まず、英文を読めば100%理解できるのかをチェックする必要があります。使われている単語や表現を知らなければ、いくら音としては聞き取れたとしても、自分の中にその意味が入っていないので、マッチングができません。

【効果的なトレーニング】

「単語や表現を知らない」というのが原因で聞き取れなかったら、その単語や表現の意味を知り、覚える必要があります。ただし、意味を日本語で丸暗記するよりも、できるだけイメージを結びつけて、反射的に意味を思い浮かべられるようにするのが効果的です。そして、必ず正しい発音も一緒に覚えましょう。オンライン辞書などで正しい発音を聞いて、真似してみたり、イメージをしながらその単語を繰り返し発音してみるのがお勧めです。

「単語は知っているけれど、そういう表現を知らなかった」という場合もありますね。たとえば、”Our project is running behind schedule.” という一文を聞いたとします。すべて知っている単語でも、”run behind schedule” =「予定より遅れている」という表現だということを知らなければ、この文の意味を理解することができません。

英語の音声を聞いたときには、できるだけ自分の知っている単語や表現に置き換えようとしますので、running behind scheduleの部分が違う単語に聞こえてしまうかもしれません。こうした「表現」も、単語と同じように、正しい発音で口に出しながら、意味をイメージしながら定着させていくのがお勧めです。

(2)正しい発音を知らない

単語も表現も知っているけれど、音では聞いたことがなかったり、自分の思い込んでいる発音が正しい発音と違ったりすると、聞き取れません。それもやはり、聞こえてくる音と、自分の中にある音とがうまくマッチングできないからです。このときには、「正しい発音をしっかり覚え直す」必要があります。

【効果的なトレーニング】

正しい発音を覚え直したいときには、音声を聞いてから真似をする「リピーティング」をしましょう。真似をしようと思って聞くことで、聞くときの精度、集中力がグンと上がります。また、どこが強くなるのか、どこが上がるのか、というアクセントやイントネーションの特徴がつかみやすくなります。

「英語の発音は大事ではない」と言う人もいますが、私は仕事で使える英語力を身に付けたい人には、発音に敏感になることを強くお勧めします。英語らしい発音を身に付けていくと、リスニングにもスピーキングにも効果が現れるからです。ただ、発音といっても、LとRの使い分けや、thの発音といった、「発音記号どおりに正しく言えること」よりも、アクセントやイントネーションなどの「英語の音の特徴をしっかりとらえること」のほうが、実は即効性があります。英文スクリプトにアクセントやイントネーションの特徴を書き込んで印象づけるのも効果的です。

英語の音に慣れるには?

(3)英語の音の特徴に慣れていない

アクセントやイントネーションをしっかりつけたり、リズミカルに話したりする英語特有の話し方自体に慣れていないと、英語を聞いたときに、どの部分に注目して聞けばいいのかわかりません。また、イントネーションの付け方によっては、同じ文章でも意図が変わることがあります。同じ “Why didn’t you do it?” でも、単に理由を聞かれている場合もあれば、責められている場合もあります。

【効果的なトレーニング】

こうした英語の音の特徴に慣れるためには、英文を見ながら聞いて繰り返す「リピーティング」、英文を見ながら音声と重ねて話す「オーバーラッピング」、英文を見ないで音声のすぐ後を真似して話していく「シャドーイング」のトレーニングが効果的です。

リピーティングでは、しっかり落ち着いて英語の音を聞き、真似をすることができます。オーバーラッピングでは、音声と重ねて話すので、イントネーションやリズムのずれが見つけやすく、自分の弱点を把握して集中的に練習することができます。シャドーイングでは、英文を見ないで音だけを聞いて真似するため、自分の思い込んでいる発音から離れて、聞いた音声の発音に近づけていくことができます。ですから、できるだけ自分が得意になりたい英語の音声に近いものを教材として使うのがお勧めです。

(4)単語と単語がつながって音が変化している

「単語と単語がつながる」ということが英語では頻繁に起こります。英語の場合、基本的には単語ごとに切って話すのではなく、一文や、カンマまでの区切りを一気に話して、少しポーズを置く、という話し方です。このとき、なめらかに話すために、単語と単語がつながる部分で「音の変化」がよく起こります。

たとえば、What are you doing here? という文章の場合、「ワット・アー・ユー・ドゥーイング・ヒア?」のように区切って話すのではなく、「ワラユードゥーインヒア?」のようになめらかにつなげて話します。ここで、What areの部分がワラのようになるのが、「音の変化」です。音が変わる場合もあれば、音が省略されて聞こえない場合もあります。

【効果的なトレーニング】

こうした「音の変化のパターンに慣れる」ために効果的なのが、音声だけを聞いて、そのすぐ後を追いかけるシャドーイングです。ただし、いきなりシャドーイングで真似をしようとすると、自分が話すのに一生懸命になってしまい、しっかり音を聞くことができません。そこで、この場合にも、(3)と同じようにリピーティング、オーバーラッピング、シャドーイングの順でトレーニングをしていくことがお勧めです。

スピードについていけない場合は?

(5)スピードが速すぎて理解が追いつかない

話されるスピードが速いと、自分の頭の中で情報処理が追いつかない、という状態になります。前の文を理解しているうちに、話は次に進んでしまいます。単語力はあるし、音の変化や、英語の音の特徴にも慣れているものの、速く話されると聞き取れない、という人は、これが原因になっている可能性が高いでしょう。特に頭の中で和訳をしてしまうクセがある人は、どうしても理解に時間がかかるので、スピードが速いと追いつけなくなってしまいます。

【効果的なトレーニング】

この場合には、英語を聞くときの情報処理のスピードを上げる必要があります。そのために効果的な方法が2つあります。1つは「意味をイメージしながらの速音読」です。速音読とは、できるだけ早口での音読のことですが、意味を意識しながら速音読ができるようになると、情報処理のスピードは上がっていきます。

ただし、いきなり意味を意識しながらの速音読にチャレンジするのは難しいので、3段階でスピードを変えた音読をお勧めします。順番は「速音読」→「意味を意識しながら、やや早口の中速音読」→「意味をしっかり意識しながら、普通音読」です。

2つ目の方法は、「意味を意識しながらのシャドーイング」です。最初のうちは意味を意識せずに音の特徴だけを真似するシャドーイングで構わないのですが、余裕が出てきたら「意味を意識しながらのシャドーイング」に移りましょう。これができると、そのスピードで情報が処理できる、という状態になっていきます。

私自身、かつて「英語が聞き取れない」ために、仕事で何度も悔しい思いをしてきました。だからこそ、今そういう思いを持っている方には、一刻も早く、効果的なトレーニングを始めていただきたいと思っています。原因を突き止めて効果的なトレーニングをすることで、必ず英語は聞き取れるようになっていきます。自分の体がトレーニングで変わっていくことを実感しながら、英語力をアップしていきましょう!

[東洋経済ONLINE]

Posted by nob : 2017年04月11日 09:04

ほどほどにバランス良く。。。

■「酒は百薬の長」はあくまで“条件付き”だった
「適量の飲酒なら健康にいい」は、すべての病気でいえるわけではない

葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

お酒は一般に、「適量の摂取なら健康にいい」といわれている。左党の多くにとって、これがお酒を飲む際の安心材料の一つとなっている。しかし、これは本当なのだろうか。そして、すべての人に対して言えることなのだろうか。そこで今回は、“適量飲酒”の健康への影響をまとめた。

「適量の飲酒は長生きにつながる」は本当か

 「酒は百薬の長」―。

 そんな言葉を裏付けるよう、昔から「お酒は適量摂取」なら健康効果があるといわれている。まさに左党にとっては印籠のような言葉になっているといってもいいだろう。「酒を飲まないより、飲んでいるほうがカラダにいい」と勝手に解釈し、飲む言い訳にしている人も多いのではないだろうか。

 この「適量の飲酒は長生きにつながる」ことを裏付けるデータがある。専門用語で「Jカーブ効果」と呼ぶものだ。飲酒量を横軸に、死亡率を縦軸にとると、グラフの形状が「J」の字に似ることからそう呼ばれている。

 つまり、適量を飲む分には死亡率が下がるが、一定量を超えてくると、死亡率が上がってくるというものだ。このグラフは、酒の健康効果を示す図としてさまざまなシーンで登場するので、左党はもちろん、そうでない方も少なからず目にしたことがあるのではないだろうか。かくゆう筆者もそうで、酒を飲む際の安心材料の一つとして、ありがたく崇めている。

 しかし、ふと冷静になって考えてみると、このJカーブ効果は、実際のところどうなのだろうか。死亡率が下がるというのはもちろんだが、すべての病気、すべての人に対して同じ傾向を示すのだろうか。世の中には、例えば高血圧などの持病を抱えている人は多いし、アルコールに対する耐性が強い人もいれば弱い人もいる。男女差、年齢などなど、考え出すときりがない。

 うううむ、ここはひとつ、より安心して酒を飲むためにも、真偽を確かめねばならない。ということで独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長の樋口進さんにお話をうかがった。

Jカーブ効果は、すべての病気にいえるわけではない

 「結論から言いますと、コホート研究などにより、飲酒と総死亡率についてはJカーブ効果が認められています。ただし、すべての疾患に対してあてはまるわけではありません。つまり、病気によっては、少量の飲酒でも悪影響を及ぼす可能性があります。少量の飲酒がすべてに対していい効果が出るというわけではないのです」(樋口さん)。コホート研究とは、一般住民の集団を対象にした長期にわたる観察型の疫学研究のことだ。

 樋口さんによると、飲酒量と健康リスクについては、欧米や日本で研究が進められており、飲酒量と総死亡について「Jカーブ」の関係にあることが示唆されているそうだ。「欧米人を対象とした14の研究をまとめて解析し、1996年に発表された報告では、男女ともに1日平均アルコール19gでの飲酒者の死亡リスクは非飲酒者より低くなっています」(Holman CD,et al. Med J Aust. 1996;164:141-145.)。

 国内でも、大規模コホート研究により、適量飲酒が死亡リスクを低下させているという結果が出ている(Ann Epidemiol. 2005;15:590-597.)。これは国内の40~79歳の男女約11万人を9~11年追跡した結果で、総死亡では男女ともに1日平均23g未満(日本酒1合未満)で最もリスクが低くなっている。

 このような国内外での報告から、「適量飲酒は死亡率を下げる」ということが通説となっているわけだ。なお、樋口さんは、次のように補足する。「コホート研究の結果によって、少量飲酒者の死亡率が低いという結果が出ていることは確かです。しかし、これは飲酒との因果関係を示すものではありません」。また、「Jカーブ効果が認められているのは、先進国の中年男女だけ」(樋口さん)だという。

高血圧、脂質異常症などは少量飲酒でもリスクは高まる

 先ほど樋口さんが話したように、Jカーブ効果が認められるのは、ある一定の疾患に限られるという。

 私はこれまで、「酒は百薬の長」で、「適量飲酒はカラダにいい!」と長年信じてきたが、樋口さんの一言でかなり怪しくなってきた…。では一体、少量飲酒であってもリスクが高くなるのはどんな疾患なのだろう。

 「少量飲酒であっても、リスクが上がるのは主に高血圧、脂質異常症、脳出血、乳がん(40歳以上)などです。これらの疾患は、飲酒量に比例してリスクは直線的に上がっていきます。つまり、少量でも飲酒すればリスクは上がります。乳がんは遺伝的な要素が強い疾患ですが、それでもアルコールを飲まないより、飲むほうが罹患リスクは上がります」(樋口さん)

 「肝硬変の場合は、指数関数的な傾向を示します。飲酒量が増えるとリスクが上がるのは同じですが、少量の場合のリスクの上がり方は穏やかで、ある水準を超えると一気にリスクが高くなります」(樋口さん)

 樋口さんの挙げる疾患名を聞いて、恐れおののく。高血圧も脂質異常症も乳がんも、いずれもミドル以上におなじみの病気だ。しかしそうであれば、なぜ全体の死亡率については、「適量の飲酒でリスクが低くなる」という傾向が見られたのだろうか。

 「上のグラフにあるように、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病などは、少量飲酒によって罹患率が下がる傾向が見られます。そして、心筋梗塞などの心疾患が死亡率に及ぼす影響はとても大きいのです。つまり先に挙げた少量飲酒によってリスクが上がる疾患より、心疾患などリスクの下がる疾患の影響が大きいために、全体の総死亡率としては、Jカーブのパターンになっているのです」(樋口さん)。このほか、樋口さんによると、(高齢者の)認知機能低下についても、発症するリスクが低くなることが確認されているという。

 なるほど、そういうことだったのか。では、これらの結果をどう受け取り、飲酒をどうしていけばいいのだろうか。樋口さんに聞いてみた。

 樋口さんは、「高血圧、脂質異常の持病を持った方、肝機能の数値がおもわしくない方、乳がんに罹患した人が身内にいる方などは、少量飲酒でもリスクが高まるわけですから、通常の方より飲酒量を抑えるように注意したほうがいいのは確かです」と話しながら、こう続けた。「とはいえ、飲酒はコミュニケーションツールであり、日常のストレスから解放してくれる楽しみの一つでもあります。例えば高血圧の方が飲酒量を抑えた方がいいのは確かですが、過度に神経質になる必要はありません」(樋口さん)

 注意するに越したことはないが、過度に神経質になり過ぎることはない。これを聞いてちょっとホッとする。ムチャ飲みせず、楽しむ程度にたしなめば、酒は決して怖いものではないのだ。

お酒を飲んで顔が赤くなる人は注意

 ここまでの説明で、飲酒によるリスクが病気により異なることはよくわかった。では、アルコールに対する耐性が弱い人、つまりお酒を飲んですぐ顔が赤くなる人はどうなのだろうか。
久里浜医療センター院長の樋口進さんは、「高血圧や脂質異常症などの疾患がある方はもちろん、アルコールが弱い方、高齢者の方も飲酒量を抑えた方がいいでしょう」と話す。

 「アルコールを飲んで顔が赤くなる人、つまり生まれつきアルコールの分解能力が低い人は注意が必要です。こうした体質の人は飲酒によって食道がんなどのリスクが高まることがわかっています。飲酒量は、飲める人に比べて抑えた方がいいでしょう」(樋口さん)

 さらに、樋口さんによると、リスクがより高いのは高齢者なのだという。「高齢者はアルコールを分解するスピードが遅く、体内の水分量も少ないため、血中アルコール濃度が高くなりやすいからです。持病を抱えている人が多いですしね。また、飲酒時の転倒リスクも高まります。これが原因で骨折して、寝たきり生活になってしまうというケースも少なくありません」(樋口さん)

 高齢者の飲酒は、さまざまなリスクとの背中合わせということか…。筆者はまだ高齢者に分類されるに至ってないが、確かに年齢を重ねるごとに、酒が抜けにくくなっているのは事実。樋口さんの言葉がザクザクと突き刺さる。

 「結局、飲まないに越したことはないの?」と悲観的になってしまいそうだが、樋口さんは「無理に断酒することはない」と話す。飲み過ぎの人は飲む量を減らすことから始めてほしいと話す。

 「アルコール健康障害で病院を訪れる患者さんにも同じことが言えるのですが、習慣化している飲酒をいきなり断つことはストレス以外の何ものでもありません。『飲酒をやめなさい』という上から目線の指導は逆効果です。ではどうしたらいいか? それは“無理のない範囲”で量を減らすこと。その量も本人が決めることが大切です」

少しでもいいから減らすことが大切! 記録をつけよう

 「よく飲酒量の目安として、男性の場合、アルコール換算で20g程度(ビール中瓶1本、日本酒なら1合程度)などと言われますが、いつも飲んでいる量をいきなり3分の1や2分の1に減らせと言われてもなかなかできません。ですから、目標をつけて、少しでもいいから減らすことが大切です。お酒の量を多少減らしただけでも、リスクは確実に下がります」

 「例えば、一日に焼酎を2合飲むのが通例なら、1.5合に減らすといった具合に小さな目標を設定するのです。そして、さらに大切なのが目標をクリアできたら手帳に〇(マル)をつけること。すると、自然と飲む量を頭でモニターするようになります。そうした日々の小さな成功体験を重ねることで、飲む量は自然と減っていきます」(樋口さん)

 ダイエットにも言えることだが、飲酒においても「レコーディングする」ことで飲酒量を減らす成功率はアップする。また樋口さんによると、「周囲に公言することも効果的」だという。公言してしまった手前、やらずにはいられなくなるからだ。

 なるほど、断酒はできなくとも、これだったらすぐにでも実践できそうだ。

 前述のように、アルコール摂取の適量は、男性なら純アルコール換算で20gだが、女性は半分の10g(ビール小1缶)程度だ。「す、少ない…」と思う方も多いだろう。左党にとって、この量を守るのはかなりハードルが高いが、飲み過ぎの自覚がある人は、この量に少しでも近づこうとする努力はしたほうがよさそうだ。

 しかし、量を減らしたり、休肝日を作ったりすると、やってしまいがちなのが「どか飲み」。左党は「昨日、休肝日だったから倍の量を飲んでも大丈夫」と自分に都合のいい言い訳をつけてしまいがちだ。

 「適量である20gを一週間続けるのと、一日にまとめて140g飲むのとでは、後者のほうが数段、カラダに負担がかかります。休肝日をつくりつつ、まとめてどか飲みするのではなく、日々適量を守ることが大切です」(樋口さん)

 樋口さんによると、そもそも休肝日という言葉は日本だけのものだという。「欧米では肝臓を休めるというよりも、アルコールに依存しないために飲まない日を作るという考え方をします」(樋口さん)

         ◇        ◇        ◇

 地道に毎日、適量を守る。飲み過ぎの人は少しずつでも量を減らす―。

 結局のところ、さまざまな疾患のリスクを減らすには、これ以外の得策はないようだ。といってもJカーブのからくりを知ってしまった以上、少量、適量であっても安心はできないということを心しておかねばならない。「酒は百薬の長」という言葉は、あくまでも条件付きなのだから。

樋口 進(ひぐち すすむ)さん
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月09日 17:30

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。

■あの人のカラダマネジメント術
正しい姿勢で「ドローイン」それだけで体幹は鍛えられる
人気トレーナー・木場克己さんのカラダメンテ術

松尾直俊=ライター

 年齢を重ねるに従って筋力は低下し、そのまま高齢になると健康な生活を送れなくなってしまう。それを防ぐために日々できることと、自らが実践している方法を体幹トレーニングで有名なトレーナー、木場克己さんに聞いた。

 木場克己さんは、サッカーの長友佑都選手をはじめ、多くのアスリートや有名人、将来を有望視されるサッカーのジュニアユース選手などに“体幹バランストレーニング”を指導し、実績を上げている人物。第1回「腹を凹ますだけ! プロ直伝、太りにくい体になる体幹トレーニング」では「ドローイン」を紹介したが、今回は、体幹部や下肢の強化につながる「姿勢の正し方のコツ」について教えてもらった。

◇     ◇     ◇

 第1回では「ドローイン」について話しましたが、ちょっとしたコツを覚えると、より効果的にドローインで体幹深層部にある筋肉、インナーマッスルを鍛えることができます。そのコツとは「姿勢を正すこと」です。実は、日常生活の中で正しい姿勢を意識するだけでも、体幹を強化していくことができるのです。

 最近は会社での長時間のパソコン作業や、電車の中などでのスマートフォン(スマホ)いじりなどの影響で、背中の丸まった、いわゆる「猫背」の人が増えています。猫背は見た目が悪いばかりでなく、胸を圧迫するために呼吸が浅くなり、体に十分な酸素を取り入れられない状態を作り出します。また、頸椎(けいつい)の自然な湾曲がなくなる「ストレートネック」の原因にもなり、肩こりや頭痛、ひどい場合は頚椎ヘルニアになることもあります。さらに、脳から頸椎を通って全身に張り巡らされている神経を圧迫したり、脳への血行を阻害したりするために、内臓の不調やうつ症状を促すという医療関係者もいます。

正しい姿勢のコツは、肩甲骨を意識すること

 猫背になっていないかをチェックするには、まず、いつも通りの姿勢でまっすぐに立ってみてください。この時に、ご自分の手が太ももの横にまっすぐに来ていれば、まず大丈夫です。しかし、猫背になっている人は、手が太ももの前に出ます。この状態だと頭が前に下がって重心が前になるので、脚を引き上げられずに階段や段差でつまずきやすくなるんです。

まっすぐに立った時、自分の手が太ももの真横に来ていればOK。猫背になっている人は、手が太ももの前に出る。

 正しい姿勢を作るコツは、胸を張るよりも肩甲骨を意識することです。多くの人が長時間のパソコンやスマホ操作のために肩が前に入り、肩甲骨周りが広がっています。つまり胸の大胸筋が縮んでしまっているんです。それが猫背の原因ですが、是正するにはまず腰に軽く手を当てて、肩甲骨を背骨に寄せるようにします。肩こりがある人は、それだけでも気持ちがいいはずですよ。

 そして自然に肩周りの力を抜き、頚椎の上に頭部がのるように意識します。すると横から見た時に、背骨が自然なS字を描く姿勢をつくることができるのです。

 姿勢を正して体を固定すると、体幹部や腰の周りの筋肉を使うので、その強化につながります。そうして膝とつま先をまっすぐに前に向け、膝をしっかり引き上げて歩けば、全身に刺激が入ります。

 これは私も意識して実行していることで、特別な時間を作らず、日常生活の中でできる体幹バランストレーニングの方法です。そうした姿勢で日々過ごしていると、体幹にある太ももを引き上げるインナーマッスル(腸腰筋)が強くなりますから、下肢もよく動かせるようになります。すると、脚全体の筋肉の衰えを防ぐこともできます。買い物や通勤途中の移動、散歩の時などに試してみてください。

正しい姿勢でドローインをすると、より効果的
今こうして話している間もドローインをしています。

 正しい姿勢でドローインをすると、インナーマッスルの腹横筋や多裂筋、腹斜筋群、腸腰筋などをうまく刺激することができます。時間がある時には、ドローインをしたまま3秒で鼻から息を吸って、5秒かけて吐き出すというのを10回くらい繰り返してみてください。息を吐き出す時に、ドローインした腹部が緩まないように気を付けることが、効かせるためのコツです。そうすることで効率良くインナーマッスルが鍛えられます。

 正しい姿勢を保つことやドローインは、今こうして話している間にもできます。実際に私も取材や打ち合わせの時、そして移動で電車に乗っている時や歩く時にも、肩甲骨を引いて胸を開き、ドローインを実践しています。そうすればわざわざトレーニングの時間を取らなくても、常に体幹を鍛えることになりますから。

 ただ、最初のうちは四六時中やっているのは難しいかもしれません。その場合は、日常生活の中で気がついた時に、正しい姿勢とドローインを30秒から1分くらい維持することから始めるのでもいいです。

 インナーマッスルは加齢とともに衰え、その衰えは、首・肩のこりや腰痛、脚の筋力低下、ダイエット後のリバウンドしやすさなど、様々な体の不調につながります。そのインナーマッスルを鍛えるのに役立つ体幹トレーニングは、1回や2回で効果を出すことを求めるのではなく、地味な運動と心がけを継続することが大切です。選手たちにもそう言って指導しています。私も50歳を過ぎましたが、インナーマッスルを意識しながらここで紹介したような方法で日々体を鍛えています。こうしてメンテナンスしながら、求められる限りはトレーナーとしての仕事をやっていこうと思っています。

木場克己(こば・かつみ)さん
鍼灸師、柔道整復師、日本体育協会公認アスレティックトレーナー

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月06日 21:17

移住セカンドライフの現実/私の知り合いにもリターン組は少なくない。。。/何処で何をするかではなく、何処ででも何事にもどのように取り組むのかということ。。。Vol.2

■人気番組『人生の楽園』 出演に至るまでの道とその反響

 長い老後をどう過ごそうか。いつか訪れる夫の定年や子供の独立に、「第二の人生」をふと考える人も多いだろう。それを前向きにとらえるか、後ろ向きにとらえるか…いずれにしても知っておくべきは、そんなに甘くはないということ。

 2月20日、2016年度の「移住先希望ランキング」が発表された。1位山梨県、2位長野県、3位静岡県。いずれも風光明媚で都会にも出やすい地域が選ばれた。

 昨今の移住ブームもあってか、ふるさと暮らしを希望する都市住民と地方自治体のマッチングを支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」に相談に来る人は、前年から20%以上増加。男性が80才、女性は87才と平均寿命が延びる中、「第二の人生」に思いを馳せる人がそれだけ多いのだろう。

「子供が独立したり定年退職を迎える年齢にさしかかったかたはシニア期をどのように生きていくかを考え始めます。そんななかで『新しいことを始めたい』との気持ちから起業の相談に来るかたは、毎年1.5倍くらいずつ増えています」

 そう語るのは、「銀座セカンドライフ株式会社」でシニア世代の起業の相談に乗る、片桐実央さん。

「“やりがいのある仕事をしたい”“今までの仕事や趣味で培った経験を生かしたい”と起業にチャレンジするかたが多い印象です。実際、商品開発の仕事をしていた男性が、趣味のジョギング関連の商品を開発する会社をつくったり、“ケーキ作りが趣味で得意だけど、パティシエ並みではない”という女性がペット用のスイーツを作って売ったりする例もあります。

 健康を維持しつつ生きがいを見つけて働くのが“第二の人生”の理想だと思っていらっしゃるのだと思います」

◆高視聴率番組『人生の楽園』

 そんななか、「自分にとっての人生の楽園」を見つけ、充実した第二の人生を歩む人たちの暮らしぶりを紹介する番組、『人生の楽園』(テレビ朝日系)が人気だ。放送が800回を超えた今も、土曜夕方6時という時間帯に、平均視聴率11%台をキープしている(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。番組プロデューサーの森川俊生さんは、好調の理由をこう見ている。

「高齢化が進む今の日本で、“第二の人生をどう生きていくのか?”は大きな社会的関心事。この番組は時代の要請に応えているのではないかと考えています。放送開始から16年ですが、“第二の人生”は多様化しています。妻が都会に残り、夫が田舎で新しい暮らしに挑戦しながら適度の距離感で暮らしたり、“冬は都会、夏は田舎”のように、季節ごとに生活場所を変えるなど、同じ“2地域居住”でも、時代とともにそのスタイルは変わってきています。そういった変化を番組で見られることも人気の理由なのではないでしょうか」

 石川県でどぶろく造りをしながら冬季限定で農家レストランも営む夫婦や、少年時代の夢を追いかけて薪ストーブ職人になった夫とそれを支える妻など、どの人もうらやましいかぎりのセカンドライフ。ただし、番組では“その先”は描かれていない。

 本誌・女性セブンが調べてみると、実はせっかく始めた「第二の人生」からひっそりと手を引いている人も少なくなかった。店や旅館などを閉めていたり、ブログの更新が止まり、電話がつながらなくなっているところも…。なかには経営している宿泊施設を、「別の人にゆずりたい」と発言している人もいた。

『笑顔育む木曽馬の楽園』として2009年に同番組に出演した『吉良の赤馬牧場』の河井弘康さん(69才)、裕子さん(70才)夫婦も2015年に牧場を閉鎖し、第二の人生に幕を引いていた。“楽園”でいったい何が起きたのか…。

◆「まるで昔の彼女に再会したような気持ち」
 
弘康さんが馬に興味を持ったのは、高校3年生のとき。

「農業高校だったので、北海道に酪農実習に行ったんです。裸馬で走る先輩の姿が、格好よくて、うらやましくて。ぼくも何日か馬に乗せてもらって、すごくうれしくて、“馬と一緒に暮らせたらいいな”と思ったことをよく覚えています」

 しかし、その後、進学・就職と人生のコマを進めるうちにいつしか馬のことは忘れ、妻子のため、公務員として忙しく働く日々が続いた。

「だけど35才の時に家族で『木曽馬トレッキングセンター』に行ったとき、“やりたかったことはこれだ!”って感動したんです。女房はいるけれど、まるで昔の彼女と再会したように、胸がドキドキと高鳴りました(笑い)」

 それからは週末の休みを利用して地元・愛知県から長野県まで通い、乗馬や馬の扱い方を教えてもらう日々が始まる。

「基礎的なことから教えてもらって、乗れるようになったのが40才くらい。この頃から、“仕事を辞めて、牧場を始めようかな”と思っていたんです。だけど子供がまだ学生だったし、財産なんてなかったから、がまんしました。子供が就職して給料をもらうようになったら、好きにやらせてもらおうと、心の中で決めていました」

 シニア向け宿泊予約サービスを提供する『株式会社ゆこゆこ』が行った「第二の人生に関する調査」を見ると、「今、第二の人生が始まっていると思う」と答えたのは、70代以上が92.5%、60代が78.6%であるのに対して、50代は28.7%だった。

 弘康さんもまた、50代のうちは決心がつかなかった。

 平均寿命だけでなく、健康に暮らせる年齢「健康寿命」が男性71才、女性74才と大幅に延びている今、「第二の人生」をスタートさせる年齢も延びているのだ。

「50代に入ると、気力と体力が落ちてくるのを実感して、早く始めたいと焦りました。でも、仕事の給料もよくなってくるし、途中で辞めると退職金が減ってしまうことになるから、踏ん切りがつかなかった。結局、牧場を始めたのは退職後、61才の時でした」

 こうして木曽馬3頭とともに、弘康さん念願の「赤馬牧場」が2009年4月にオープンした。

「牧場は、自宅から車で5分の山の中腹にありました。お客さんが来てくれるか不安でしたが、地元の新聞が取り上げてくれて、初日は大盛況。10時から17時の営業時間中、馬を引きっぱなしでした」

 営業時間外も馬の世話や牧場の掃除で忙しく、牧場のゲル(テント)に寝泊まりし、朝6時に起きて23時に眠るハードな日々。しかし、弘康さんの心は高揚していた。

「“やった! おれの人生、61才からだ!”という感じで、就職した時より、ひょっとしたら結婚した時よりもうれしかったかもしれない(笑い)。やり遂げた達成感や満足感もありました」

 そんな幸せ絶頂のなか、『人生の楽園』のオファーが舞い込んだ。

「牧場を始めて1か月くらいの頃、電話で出演依頼がありました。実はずっと見ていた好きな番組だったから、すごくうれしかったです」(弘康さん)

 出演後の反響は大きかった。放送の途中から友人・知人などから電話が鳴り続け、来場者数も、放送後の土日が、約7年の営業のうちでいちばんのピークに。

「放送から1か月は、本当に休む間もないくらい忙しかった。人を乗せている馬も相当疲れたと思います(笑い)」(弘康さん)


■『人生の楽園』その後の現実 馬牧場経営者の例

◆「借の字」はやらないと決めていた

 弘康さんの赤馬牧場のスタッフは、基本的には夫婦と弘康さんの兄。あとはたまに娘や息子が手伝うという「一族経営」だった。定年まで公務員としてコツコツ働き続けた真面目な夫が、61才にして牧場を開くと宣言した時、妻はどんな気持ちだったのか?

「何を考えてるのって、大反対しました。私は犬や猫が好きで飼っていますけど、犬猫を飼うのと、車で5分もかかる山奥で馬を飼うのとじゃあ違うでしょ」(裕子さん)

 ここ25年で、熟年離婚率は7割も上がった。健康寿命が延びた今、「第二の人生」はひとりで自由に過ごしたいという人も多い。自由すぎる自分勝手な配偶者に愛想を尽かして別離を選ぶ夫婦も増えている。

 不満気な妻を横目に弘康さんは「実際に始めたら、やってくれるだろうという下心があった」と笑う。その目論みどおり、実際に馬が来ると、妻はかいがいしく世話を始めた。

「40才くらいから、酒を飲んだときに“馬を飼うぞ”って言っていたんです。その時は“何言ってるの”って感じで、相手にされませんでした。けど、女房は捨て犬や捨て猫の里親を探す活動をしているし、動物のふんが嫌だというタイプじゃないから、馬が来ればかわいくなって、手伝ってくれるだろうと(笑い)。本気で“離婚する”とでも言われたらあきらめていたけれど、これは口だけだなという、ぼくの読みが当たっていたね(笑い)」

 ふたりが離婚に至らなかったのは、弘康さんが妻の性格を熟知していたのはもちろん、「お金」の問題がなかったところも大きい。

 2015年度司法統計によると、妻から離婚を言いわたす場合の理由ランキングでは、1位は「性格の不一致」だが、2位「生活費を渡さない」、6位「浪費する」と、10位以内に2項目もお金がらみがランクインしている。

 その点、弘康さん夫婦は職場結婚で、ふたりとも定年まで勤め上げた。「お互いのお金はお互いで管理する」という決まりがあり、月に一定金額ずつ生活費として出し合う生活をしてきた。

「はじめから“借の字”はやらないと決めていました。借金、借地、借用。借りるとお金を返さなきゃいけませんからね。だから、退職金のうち約1500万円を使い、馬代はもちろん、ゲルや柵、軽トラやビニールハウスなどもすべて購入しました」(弘康さん)

 弘康さんは一から牧場をつくったため、特にお金がかさんだ。「第二の人生」で新しいことを始めるにはかなり高額な費用が必要だと思われるかたも多いかもしれないが、実際はそうでもない、と「銀座セカンドライフ株式会社」でシニア世代の起業の相談に乗る、片桐実央さんが言う。

「50代60代のかたは、小規模で起業する人が多く、起業にかける初期投資は、200万円から500万円、少ないと50万円というかたもいらっしゃいます。若者の起業とは違い、家を抵当に入れたり多額の借金をするかたが少ないため、大きな損失を生むことはありませんが、5年以上続く会社は半分くらいです」

 半分──つまり、2人に1人は“楽園”の夢を挫折するわけだ。長い老後を暮らす“虎の子“である退職金を使うリスクを裕子さんはどう考えていたのか。

「お互い長年勤めていて手に入れた、自分の退職金ですからね。使い方に口を出したことはありません。それに牧場の規模は小さくて、大きい赤字も出なければ儲けもない。私は、起業というよりも、道楽の延長だと思っていました(笑い)」

 馬の飼育費など、月にかかる経費は20万円くらい。収入は、『人生の楽園』に出た直後は50万円くらいになったが、ひと月しか続かなかった。

「年収にすると200万~250万円でしたし、経費もかかっているから利益はありませんでした。お客さんの“ありがとう”“楽しかった”“また来ちゃった”の言葉が、何よりの収入でした」(弘康さん)

 今回弘康さんは地元でセカンドライフを始めたが、移住の末に起業する人は、また違った苦悩を抱えることも多い。

 新たな地に移住して新たな生活を始めたものの、地元の人たちになじめなかったり、特にご近所づきあいが濃すぎる田舎ではプライバシーもないためそんな生活に耐えられず、都会に戻る人は多い。たとえば、リタイア後の移住先として人気のある沖縄は、3年以内に6割が地元に戻っていくという調査もある。

 その上、そこでビジネスを始めるとなれば、状況はさらに厳しくなる。東京から『移住先希望ランキング』2位の長野に移住して10年以上経つある夫婦は「雑貨屋を開いているけれど、開店休業状態」と苦笑する。

「東京で貯めたお金と長野で買った家があるから野垂れ死にすることはないけれど、お店としての収入はほぼありません。お店を開けても、やって来るのは道を聞きたい人ばかり…。観光客が来る夏はいいけれど、冬は閉めてしまう飲食店も多くて、正直暮らしづらいです。それでも、他のお店が東京から出店してきても利益が出ずに撤退してしまうのを見ると、とどまれているだけまだいいのかな、と思ったりもします。商店街の中にお店を構えているのですが、この10年で数えきれないほど“お隣さん”が変わりました」

◆やめる時は、始める時の10倍のエネルギーが必要

 なんとか営業を続けてきた弘康さんだったが、牧場を開園してから丸6年経った頃、目に異変が起きた。

「犬の散歩をしていたら、視界の上半分に黒い緞帳が下がったように、急に真っ暗になったんです」

 網膜裂孔だった。網膜に生じた破れ目のことで、放置すると網膜剥離を引き起こす可能性がある。高齢者になると発症しやすい病気だ。すぐに手術をし、日常生活に支障がないほどに回復した。しかし、激しい運動をして再発してしまえば、網膜にひびが入ったり、失明のおそれもある。

「重いものを持ったり、馬に乗って駆け足をするのはだめだと主治医に言われました。どうしたらいいのか悩み、眠れない夜が続きました」

 もし牧場を継続するなら、人を雇わなければならない。しかしそのお金はなかった。いつまでも元気に楽しく、幸せな日々が続くと疑ってやまなかった弘康さん。まさかたどり着いた人生の楽園で、病気に襲われるとは夢にも思わなかった。

 しかしそういった“想定外”は、シニア世代にはよく起こる。起業しているいないにかかわらず、これが老後破産や下流老人転落のきっかけとなるのだ。弘康さんは厳しい現実を突きつけられた。

「岐阜や名古屋など、遠くから来てくれる常連さんのことを思うと、やめたくなかったんですけどね…結局、採算が合わず、牧場を引き継いでくれる人も見つからなかったから、牧場を閉鎖せざるをえませんでした。やめるときの方が、始めるときより決断のエネルギーが10倍くらい必要でした。精神的な苦労で、体重が5kgほど減りました。これはなってみないとわからない心持ちですね。苦渋の選択で、最終的には馬ではなく、自分の体を取りました」(弘康さん)

 目の手術を受けて3か月たった12月20日、この日が赤馬牧場最後の日となった。その後、馬は岐阜と軽井沢の個人に引き取られた。

「別れる当日、馬はどこかに連れて行かれるってわかるから、全然、馬運車に乗らないんです。雨の降る1月の寒い日なのに、大人数人がかりで汗だくになって、馬を押したり引っ張ったりしました。1時間半くらいかかって、やっと馬が車に乗った時、ぼくは廃人のようになっていました。疲れと、信頼できる人に馬を引き渡した安心感で。その後は、未練が残るから、1回ずつしか馬に会いに行っていません」

 今は妻とふたりで、退職金を出し合って建てた家に住み、ささやかな家庭菜園を作っている弘康さん。そこには、飼っているニホンミツバチの姿もある。

 今でも、『人生の楽園』は毎週の楽しみの1つだと言う。

「最近は蕎麦屋とか喫茶店とか、飲食店が多いですね。うちより立派にやっとるな、とか思いながら見ています(笑い)」

 最後に、もしも退職前の決断の日に戻れたらどうしますか? と聞いてみた。

「やっぱりもう一度牧場をつくりたいです。廃業した今でも連絡を取り合う常連さんが何人もいるんですけどね、その中のカップルが今度結婚するから、牧場の跡地でお祝い会をやる予定なんですよ。馬が人を連れて来てくれた、牧場がなくなってもそんなふうに思うんです」

 自分だけの“楽園”が見つかって、運よくたどり着けたとしても、そこには幸せだけがあるわけじゃない。それでも思わずにはおれない。“楽園“を見つけられる人は、そうでない人より幸せなのではないかと


[いずれもNEWSボストセプン]

Posted by nob : 2017年03月18日 16:45

安楽死と尊厳死/私も自らの生き方(⊃逝き方)は自分で決めたい。。。Vol.2

■筒井康隆vs長尾和宏対談 安楽死と尊厳死の違いとは

 日本で「死に方」の議論が過熱している。これまでタブー視されてきた「安楽死」の“解禁論”も叫ばれ始めた。作家・筒井康隆氏(82)が、月刊誌『SAPIO』(小学館刊)に寄稿した論考「日本でも早く安楽死法を通してもらうしかない」(2017年2月号)も大きな反響を呼んだ。この論考に注目した、日本尊厳死協会副理事長の長尾和宏医師(58)の要望で、終末期医療と尊厳死、安楽死を巡る二人の対談が実現した。

長尾:先生ご自身は、理想の死に方ってありますか?

筒井:15年くらい前に、自分が死んだという想定で、著名人が架空の死亡記事を書く『私の死亡記事』という本が文藝春秋から出て、私も書きました。杖をついて原宿を歩き回り、気に入らない若者を杖でぶん殴っていたら、最後は若者たちの返り討ちに遭い、袋だたきにされて死ぬと。若い頃はそんなことを書いたんだけど、やっぱり痛い目に遭うのは嫌(笑い)。

長尾:袋だたきにされても、そう簡単に死ぬとは限りませんからね。

筒井:そうなんですよ。だから、やっぱり一番理想なのは、安楽死が法制化されることなんですね。

長尾:いや、私は安楽死に反対ですよ。ところで先生の最期はがんを想定されていますか? 認知症ですか?

筒井:認知症にならない自信はありますね。MRIで脳を診てくれたお医者さんが、「少なくとも90歳まで脳は大丈夫」と太鼓判を押してくれた。頭ははっきりとしているのだから、やはり安楽死がいい。がんにしても、尊厳死だと苦痛が伴うこともあるわけですよね。

──医師が薬物を投与することで患者を死に至らしめる「積極的安楽死」は、日本では認められていない。一方、「尊厳死」は回復の見込みのない患者が延命治療を拒否して亡くなることを指す。長尾氏は「尊厳死には苦痛が伴う」という筒井氏の言葉に敏感に反応した。

長尾:それが違うんです。

筒井:違うんですか?

長尾:『SAPIO』の論考でも、尊厳死は〈治療を絶つことによる苦痛が伴うから安楽死ではない〉と書かれていますが、それは間違いです。無理に延命治療をやるから苦痛が起きる。延命治療をやめて、緩和ケアに専念すると苦痛がなくなって穏やかに死ねます。これが尊厳死なんです。

筒井:本当?

長尾:本当です。医師の多くは、延命治療を断つと苦痛が増すと信じているけど、実際は延命治療を最後までやるから苦痛が大きくなる。

 ここに尊厳死協会の私の会員証がありまして、裏に宣言書が書かれているんですが、自分が意思を示せない状態になった場合、無駄な延命治療はやめてくれ、モルヒネを打つなど十分な緩和ケアをしてくれという意思を示すものです。

筒井:それはいいですね。

長尾:先生は『SAPIO』で〈苦痛を和らげる薬を貰いながら死ぬ方がずっとまし〉と書かれています。それこそ我が国では安楽死ではなく、尊厳死なんです。

筒井:日本では尊厳死は許されているんですか?

長尾:法制化されていないのでグレーゾーンといえます。ただ現実には、在宅医療だと尊厳死は可能です。私は在宅で1000人の尊厳死を看取ってきて、逮捕されたことはありません。

 だけど、病院の先生はやりたがらない。病院には人の目がたくさんあって、尊厳死を行なった場合に、その医者に恨みを持つ看護師などが警察に密告したら、逮捕される可能性がある。

筒井:在宅医療でも、家族がチクるってことはないんですか。

長尾:家では医者と看護師と患者、家族の距離がものすごく近いんですよ。在宅医療の中で一体感が生まれるので、そういうリスクは少ないんです。だから、末期がんの人を100人受け持ったら、95%は最期まで在宅で看取ることができる。

筒井:在宅で死ぬのと、病院で死ぬのとでは、費用はどのぐらい違いますか。

長尾:一般に在宅のほうが安いです。高額になった場合、在宅でも病院でも、高額医療の自己負担額は上限が決まっているので、同じになります。しかし、尊厳死(平穏死)がどういうものか、世間ではまだまだ知られていない。リビングウィル(*注)も同様です。

【*注:終末期医療に関する意思を、生前にあらかじめ記しておく文書】

筒井:安楽死の議論にも誤解が多い。『文藝春秋』(2017年3月号)に「安楽死は是か非か」という記事が載っていますが、アンケートに答えている著名人の大半が、安楽死について勘違いしているように見えます。

 この記事で社会学者の上野千鶴子さんは、〈生まれる時も生まれ方も選べないのに、死に時と死に方を選ぶのは人間の傲慢〉といっていますが、痛いのや苦しいのは誰でも嫌なもの。子供でも「死ぬときは、楽に死にたい」と思うでしょう。それを傲慢だというほうが傲慢です。

長尾:上野さんは、どうやら尊厳死について誤解されているようです。著書『おひとりさまの最期』では、「在宅ひとり死」と名付け、24時間対応の訪問医療などを用いた在宅医療を提言している。それはつまり、「尊厳死」そのものなのですが、一方の『文藝春秋』のアンケートでは尊厳死にも安楽死にも反対と答えています。どうも主張が一貫していないように思います。

筒井:他にも、アンケートでは「認知症になったら安楽死したい」という人がいるけど、現実的にできるわけがないじゃないですか。認知症になってから自分で意思を伝えられるはずがないし、家族が許すわけがない。

長尾:だからこそのリビングウィルなんですけどね。

筒井:彼らにはこの記事を読んで、もう少し深く考えてほしいね。

[NEWSポストセプン]

Posted by nob : 2017年03月18日 16:37

起きてしまったことを消してしまうことはできないし、残された問題点は解消していかねば私たちは前に進めない。。。Vol.2

■廃炉について、デマと誤報を乗り越えるための4つの論点(下)

開沼 博:社会学者

>>(上)より続く

論点2:ほかの被災地の6年遅れで
福島の復興は始まる

 次に、福島問題のターニングポイントとなる、廃炉の3つの作業について取り上げる。

 今年は福島復興・1F廃炉にとって大きな転換点になる。復興から5年の節目だった去年よりも、今年の重要性は遥かに大きい。というのは、1Fとその周辺地域における実質的な復興作業が始まる年と言っていいからだ。具体的には、「相当な範囲で避難指示解除がかかること」と「廃炉作業の主軸が、汚染水対策から原子炉内の燃料取り出しに移っていくこと」の2点がある。

 まず、相当な範囲で避難指示解除がかかることの意味は大きい。3.11後の福島では、1Fから半径20km以内を中心に立ち入りができない警戒区域が設定され、その後、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域の3区域に再編され今に至る。いずれの区域も許可なしに居住はできないが、汚染の度合いの低い避難指示解除準備区域、居住制限区域の避難指示が解除されることになるのが今年だ。

 ここで何が起こるのかというと、端的に言えば、宮城、岩手、その他地域も含む地震・津波被災地域が11年からはじめていた生活の復興、つまり仕事や教育、医療福祉の再建と、それらを基盤にしたコミュニティづくりを、6年たったいまから後追いで始めるということだ。

 6年間も人が住まなかった地域は、あらゆるものが消滅している。店も病院も人のつながりも、もっと目に見えない、例えば地域の魅力や、そこで暮らす人の生きがいのようなものも。建物の老朽化もひどく、取り壊される家も多いだろう。津波で流された町の再建ももちろん大変だが、原発被災地には廃炉の仕事で3.11後にやってきた人や、避難先との往復を続ける2拠点居住をする住民もいて、また別な課題が山積する。

 もう1つが、廃炉作業の主軸が汚染水対策から原子炉内の燃料取り出しに移っていくこと。ニュースなどを見ていてわかるだろうが、この6年間あらゆるリソースが集められてきた汚染水の問題に一定の目処がつき、いよいよ原発内部の本格的な調査が始まっている。これは汚染水対策から燃料取り出しへと軸が移りつつつあることを指す。

汚染水対策が一段落して
燃料取り出しに焦点が移った

 福島第一原発で何が起こっているのか。断片的な情報が飛び交い、総括的な議論がなされる機会が少ないので混乱している人も多いかもしれないが、基本的には以下の3つの作業が行われていると考えればよい。

(1)汚染水対策
(2)燃料取り出し(使用済み燃料&燃料デブリ)
(3)解体・片付け

 よく分からない動きがあっても、基本的にはこの3つの作業につながることをやっている。そういう目でニュースを見ればいい。いずれも廃炉工程が続く限り必要な作業だ。

 1つずつ見てみよう。まずは(1)汚染水対策。これが一定程度落ち着いたのは、話題の中心から去ったということだけではなく、例えば、1F内部で働く人の数からも読み取れる。昨年度までは1F内では7000~8000人程度の人が働いていた。これは凍土遮水壁の設置工事や、事務作業をする建物などの土木・建設工事が大掛かりに行われていたからだ。しかし、それらが終わった今年度は6000人ほどに減っている。作業が労働集約的なものから、燃料取り出しのような、より知識集約型のものに移りつつつあるからだ。

 (2)燃料取り出しには、2種類あることは押さえておきたい。1つが使用済み燃料の取り出し。これはその名の通り、一度発電で使ってエネルギーを失っている燃料だ。4号機ではこの燃料の取り出しが終わっている。次は3号機で取り出し作業が行われる予定で、近いうちに動きがあるのでニュースでも報じられるだろう。

 もう1つがいわゆる「燃料デブリ」、溶け落ちた燃料の取り出しだ。これはややこしい。今はどういう戦略で戦うのかを、事前調査をしている段階。具体的に取り出し作業をするのは20年の東京五輪以降になる。

 ちなみに、今も土木工事は続いている。どこで続いているかというと、航空写真で見るとわかるが、福島第一原発構内の北側、自治体で言うと双葉町側の森だったエリアで廃棄物を保管・処理するためのスペースを作っている。森だったところは全部木を切って、整地されている。そこには、これまで6年間の作業で使った、いわゆるタイベックスーツ(防護服)や構内で出た汚染の低い廃棄物を置く。

 (3)解体・片付けは、最終的には、取り出した燃料や建屋自体にも及ぶ。それらを私たちは最終的にどう処理するべきなのかは、まだ全く議論を始められていない。次世代以降に押し付けないためにも、議論だけでも始めておく必要がある。

 (1)汚染水対策、(2)燃料取り出し(使用済み燃料&燃料デブリ)、(3)解体・片付け――。この3つ作業のうち、何がどこまで進んでいるのか、いま起こっているトラブルはどの作業のトラブルで、他の作業にどんな影響をおよぼすのか。そんなモノサシを持って見ると、今後1Fで起こることの根本的な問題を把握しやすくなるだろう。

論点3:最先端の優秀な人材が
廃炉作業に集結するか?

 次に見るのは、必要な人材について。これも新たな戦略が必要な時期になっている。

 ここまで述べたように、時間の経過とともに作業の内容も質も変わってきている。はじめは土木作業などが中心で、とにかく頭数が必要だった。現場の放射線量も高かったから、一人一人が長時間働くにも限界があった。

 しかし、現在の作業は、また別の人材の確保が必要になってくる。1つは高度な技術を研究・開発し、イノベーションを起こし続けるような人材。燃料取り出し、特に燃料デブリの取り出しには高性能ロボットやドローン、バーチャルリアリティ(VR)など、先端技術が関わってくる。それらを操ることができるかどうかで、作業進捗は大きく変わる。

 石棺化したチェルノブイリの事例のみを見て「人類に燃料デブリ取り出し実績なし」と思っている人もいるだろうが、過去に原発事故後の燃料デブリ取り出しの実績はある。1979年に起きたスリーマイル島原発事故の処理だ。1Fでのデブリ取り出しに関する予算や工法は、スリーマイルを参考にして試算されている。

 社会に存在する技術は、当時よりは充実していることは言うまでもない。それはアドバンテージだ。一方、スリーマイル島原発事故と違い、3つの建屋が同時に事故を起こしている上に、原子炉内部でのデブリの溶け方に関しては、明らかに福島のほうが状況が悪い。つまり、作業は圧倒的にしづらい。ここはディスアドバンテージだ。アドバンテージを享受しつつ、ディスアドバンテージをクリアして廃炉を進めるためには、先端技術に精通した優秀な人材が必要になる。

 それでどうやって人材を集めるのかということだ。紋切り型すぎる言い方かもしれないが、分かりやすく言えば、グーグルやアップルに行くような、あるいはトヨタや日産に行って自動運転をやりたいというようなレベルの人材だ。最先端技術を開発しながら実用化に落とし込む知識と技術力が求められる。

 昔は、宇宙産業などと並んで原発も最先端技術だった。しかし、今の福島にそんな人材が集まるだろうか?「厳しい」――これは現場で働く多くの人が口にすることだ。廃炉という後ろ向きな作業に、若くて野心ある人材が集まるのか。しかし、これはどうにかして集めなければならないし、集めれば廃炉作業は様々な展開が可能になる。

地元出身人材の確保も
廃炉の未来を左右する

 さらにもう1つ、必要な人材がある。長期にわたる作業を地元に根づいて支える人材だ。現時点で1Fで働く人のうち、地元住民の割合は5~6割程度だ。

 原発内には様々な業務がある。原発作業と言われて多くの人がイメージするような仕事ばかりではない。6000人が働く場所だ。自動車整備工場やガソリンスタンド、コンビニや食堂もあるし、ガードマンもいる。こういう作業を長期に渡って支える地元人材の層が厚いことは、作業の中長期の安定につながる。

 しかし、この地元人材の確保も、現状は厳しい部分がある。決して魅力ある労働環境ではないから、人が定着しないのだ。

 現在、1Fで働く人の多くは午前3時、4時から起きる生活をしている。1Fと、住宅地やスーパーなどが充実しているいわき市などの居住地が40km以上離れているような人も多く、通勤に時間がかかる。

 さらに、全面マスクにタイベックといった格好での作業が続いた時期が長く、夏場の熱中症が労働災害として多かったことも、この早朝の涼しいうちから働きだす慣習につながっている。それが冬でも変わらずに定着した。1F構内に何時に何人入っているのか、というのは各作業員がつける線量計の貸出数で推計できるが、それによれば、ピークは朝9時、10時。つまり、夜明け前に現場に入り、昼前には作業を終えて帰るというリズムで生活をしている人が多いことがわかる。朝は渋滞も起こるから、我先にと現場に入る。

 まだ若くて独身だったり、子育てが終わった世代ならまだしも、そうでない人には厳しい勤務条件だ。

 この問題を解決するには、家族と住んでも生活に不便がなく、通勤もしやすい場所に町がないとだめだろう。ただ、その復興の見通しはまだ立っていない。先に述べた通り、1F周辺の地域の復興はやっとこれからはじまるのだ。

 そういった意味では、1Fの構内=「オンサイト」だけを見ていては、廃炉の全体像は見えない。「オフサイト」も含めた全体像を見る必要がある。そして、廃炉を直接担っている、そこで働く人々にとって、そこでの生活がどれだけ魅力があるものになるのかが問われる。

 そこに求められているものを端的に言えば、「夢」だ。私は1Fの状況を呑気に楽観視しているのではない。しかし、ネガティブな課題の中に、いかに創造性や最先端性を見い出せるのか。あるいは、周辺地域の生活に子どもたちとの未来を感じること、老後も住む魅力を感じることができるのか。実際に、 3.11以前は、長年発電所で働いた技術者が生活環境がいいからと、わざわざ双葉郡に移住するケースもあった。廃炉が未来に「夢」を描ける形で進んでいるのか、いないのか。そのモノサシは現場の人はもちろん、それを外から見る私たちにも求められる。

論点4:廃炉が無事に済んだら…
豊洲問題から1Fを考える

 最後に、議論されてこなかったことだが、意識しておくべき問題に触れる。仮に、1Fの廃炉が進んでいったとして、最終的にあの場所をどうするのか、という問題だ。

 当然、東電は答えを用意している。「更地にして返す。それが福島の被災者との約束だ」と。事故当事者である東電の立場からそう言うのは当然だ。地元住民の中にも、そうしてもらわないと困るという心情が確実にある。

 しかし、更地にして返すことだけが唯一のゴールなのかというと、議論の余地はある。

 ここで言う更地を「グリーンフィールド」と呼ぶことがある。これと対になる「ブラウンフィールド」という言葉もある。グリーンフィールドとは廃棄物、汚染物質などが残っていない環境になった土地のことだ。一方、ブラウンフィールドとは一定の汚染が残っている土地を指す。厳密な定義の議論はあるが、ここでは割愛する。

 分かりやすくするために、あえて話を時事ネタに飛ばす。私たちは築地市場の豊洲移転問題で気づいたことがある。日本国内で何らかの施設を開発するのに有用な土地で、完全にグリーンフィールドの土地がどれだけあるのかということだ。東京だけではない。地方でも、よほどの過疎地に行っても空き地・山林に産業廃棄物が置かれているのを目にすることは多い。

 豊洲移転の話を私たちが初めて知った時に、まずは完全にきれいにするべきだと思ったのは当然だ。しかし、その汚染のレベルが、飲水の環境基準で見てどうなのか、コンクリートで遮蔽してどうなのか、という議論が進んでいき、ましてや、汚染を完全になくして更地にするための予算が、青天井と言ってもいいぐらいに膨れることを知る中で、立場は分かれていく。

 じゃあ、豊洲はやめにしよう、築地こそがゼロリスクだ、と思って話を進めようとしたら、戦後進駐軍のクリーニング店があった影響で汚染土壌が見つかり、でもそこで長年飲食物を扱ってきた事実もあり…。そんな話が繰り広げられる。

 この件についてこれ以上議論は深めない。グリーンフィールドだけがベストアンサーではない、という視点は、私たち素人には持ちにくい。事実として、豊洲を当初そうしようとしたように、1F跡地もブラウンフィールドにしつつ、リスクを抑える策を最大限施し、折り合いをつけながら利用する可能性を探っていく方法もある。

 ブラウンフィールドでも問題がないと言っているのではない。仮に完全なグリーンフィールドを目指すとして、誰が膨大な費用負担をするのか。他に折り合いをつける方法があるなかで、敢えてグリーンフィールドを目指すとするなら、その社会的合意を誰がどう取るのか。

 1F廃炉についても、そういう議論は視野に入れていく必要がある。21.5兆円。それがさらに増えるという時に、どこをゴールにするのか。その設定の仕方次第で全く先行きは変わる。実質的にかかる費用と、いわば「不安・不満解消費」とを分けながら、どう見ていくのか。これは「理科・数学」の問題ではなく「社会・国語」の問題だ。

 廃炉のゴール設定について、これまで「石棺化すればいい」という議論をしばしば聞いた。この議論には大きく2種類ある。

 1つが「どうせ廃炉は無理なんだから、チェルノブイリのように、とにかく今すぐ周りをコンクリートで固めて石棺化しろ」という感情論レベルのもの。これは論外だ。チェルノブイリの場合は、ああせざるをえなかったし、ああすることで一定の安定状態になる状態だった。しかし、福島の場合は同じことをしても汚染水の問題をはじめ、リスク管理ができなくなる。議論の前提が違うもの(チェルノブイリと福島第一原発)を無理に並べて語ってみたところで、全く的外れな話にしかならない。

 もう1つは、石棺といっても、チェルノブイリのようなものを指すのではなく、一定の手を加えた上で、原子炉やデブリの一部をリスク管理可能な形にして残す、ブラウンフィールド的なものを目指すべきだという議論だ。見た目も、チェルノブイリの石棺とは大きく違ったものになるだろう。

 これは議論としてありえる。デブリを全量きれいに取り出すことができるのか、できるとして、その作業をコスト・リソースを大量にかけてでも完遂すべきなのか。その点を追求していった時に、ここまではやって、ここからはやらない。やらない部分は、例えば、人が簡単には侵入できないように、何かあったらメンテナンスできるように覆いとなる建物で囲むなどする。そういう落とし所を目指す議論だ。

 現状では、デブリを全て取り出し更地にする可能性を追求すべきだ。住民の思いもあるし、あらゆるリソースを投入することに大きな反発はない。しかし、数十年単位で見ればその前提は変わる可能性はある。その中で、リスクとコストのバランスを見ながら柔軟な議論をしていく余地を残しておく必要はあるだろう。

なぜメディアは
デマにつながる報道をしたか

 皆が合意できる点を見つけていく作業を、時間をかけて成熟させて行く必要がある。当然、豊洲移転の問題で指摘されているように、裏でコソコソやるようなことは許されない。徹底的に透明性を確保し、住民の参画も促しながら議論をすべきだ。

 そのためにも、1人でも多くの人が最終的にどうするのか、というモノサシも持つ必要がある。その中で、長期的な先行きが見えてくる。

 冒頭では650シーベルトのデマ報道による2次被害について触れたが、メディアが何の躊躇も反省もなくそうなっているわけではない。

 2月に日本記者クラブが主催する福島視察に全国の新聞・テレビの記者が来た。彼ら一人ひとりを見れば、本当に悩みながら報道している。これは間違いない事実だ。県内メディア、自治体関係者、私のような研究者と違い、日常の仕事があるから、ずっと福島を見ているわけにもいかない。でも、福島や廃炉を伝えなければならないと思っている。

 彼らもどうにか分かりにくいものを分かりやすくしたい、そして多くの人に問題意識をもってほしいとモノサシを提示しようとしている。その結果が残念ながら「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」という表現になってしまった。ただ、議論を深めれば「報じないわけにはいかない話だったが、次からは活かしたい」「人が死に至るレベルといった上で、『それが外に漏れることはない』と付け加えればよかったのかもしれない」など、具体的な改善のアイディアが出てくる。こちらも、多くのことを考えさせられた。

 コミュニケーションを取り、学び合いながら次につなげる。これはメディアだけではなく、多くの人が1F廃炉を見る際に意識すべきことだろう。

 福島の復興や廃炉に限った話ではない。あらゆる社会問題は、時間が経つほどに追い続ける人が少なくなっていく。記者も行政官も、数年経てば人事異動で去っていく。ただ、その中で人が変わっても皆で共有する知見の水準を高め、引き継いでいくことを、より意識していく方法はあるはずだ。今後はそのことをますます意識する必要があるだろう。

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2017年03月15日 16:14

起きてしまったことを消してしまうことはできないし、残された問題点は解消していかねば私たちは前に進めない。。。

■廃炉について、デマと誤報を乗り越えるための4つの論点(上)

開沼 博:社会学者

3.11から6年。いまだに福島第一原発を巡っては誤報やデマが頻発し、福島の復興を遅らせ、廃炉作業の足も引っ張っている。廃炉が一筋縄でいかないことは事実。しかし、事実を正確に知ったうえで、「性急に判断せずに粘り強く議論を続ける」姿勢が醸成されれば、道は開けていくはずだ。(社会学者 開沼 博)

今も止まらない誤報・デマ
2月に起きたドタバタ劇

 650シーベルト――。2017年2月、東京電力福島第一原発(以下、1F)では、2号機の内部を調査する過程で過去にない高放射線量が検出された。新聞はこぞって「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」などと報じた。

 たちまち、1Fは「絶望の淵に立たされた」存在に立っているかのように扱われた。海外メディアは福島全体、あるいは東京までも放射線量が上昇したかのように報じ、再び原発事故が起こっているかのように語られすらした。明らかな誤報・デマの嵐に、米原子力学会はそれらの報道を「明らかな間違い」と冷静に対応するように声明を出したほどだ。

 しかし、それは単なる誤報・デマで止まらない。韓国の済州(チェジュ)航空は、今月18日に福島空港を出発、仁川空港に着いてソウルに向かい、20日に再び福島空港に到着するツアーのチャーター便を運行する予定だった。

 しかし、1Fの放射線量の「上昇」を受けて福島空港発着を拒否。福島空港ではなく仙台空港を利用するよう、ツアー主催のHISに要求し、客室乗務員も搭乗を拒否した。インターネット上では、済州航空への非難の声が上がったという。これを受けて日本政府は、韓国政府に3度に渡って抗議するも埒があかず、結局、HISは運航航空会社を日本航空に変更した。用意していた185席は、ほぼ満席だった。

 福島空港の放射線量は国内外の空港と同レベル、というか、むしろ福島空港よりも高い空港はいくらでもある。

 3.11前には福島空港から韓国への定期便が存在したが、6年間止まったままだ。日本全体ではインバウンド観光の激増が喜ばしい話題として扱われるが、福島は完全に取り残されて6年間を過ごしてきた。日本全体の外国人観光客数は、10年に比べて15年は238.5%と飛躍的に伸びた。しかし、同期間で福島県への外国人の観光客は58.7%へと減ったまま。その差は大きい。

2号機650シーベルトを
どう捉えるべきか?

 では廃炉の現場で働く者たちは、この2号機内部の650シーベルトをどう捉えたのか。彼らの言葉に耳を傾けてみると、意外な反応が返ってくる。

 端的に言えば「特にどうとも捉えていない」人が大部分。むしろ、これまで誰も見たことがなかった未踏領域への到達を喜ぶ声さえ聞く。

 当然だ。今になって1Fの構内で放射線量が上がったという事実は微塵もない。むしろこの6年間、構内の放射線量は下がり続け、空間を飛ぶ細かいチリ、ホコリの放射線量も都内・霞が関周辺と同程度になっている。

 原発の運転中は、原子炉内部で650シーベルトどころではない高放射線量が日常的に存在する。問題は、それを外部に漏れ出ないように隔離できているかどうかだ。今回、650シーベルトを発見できたのは、作業が進み、厳重に外部に漏れ出ないように隔離されていた原子炉を格納する容器の内部まで、遠隔操作をもって計測しに行くことができたからだ。

 もちろん、安全だという話ではない。そこに人間が行けば「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」のは間違いない事実だ。ただ、原発が運転していた状態から6年たち、原発内で発生する熱エネルギーも放射線量も当然大きく減り、なおかつ、その放射性物質がザルのようにバンバン外に漏れ出る状態ではないことは自明だ(もし内部の放射能が外に漏れ出る構造にあったら、むしろ、もっと内部の放射線量は下がっている)。

 誤解を恐れずに例えるならば、「エベレストに登りました、人が長時間そこにいれば死に至るような過酷な環境がそこにありました」と言っているようなものだ。エベレストの未踏領域に行けばそういう状況があることは、その山を登る人は当然知っている。それがどのような環境なのか、はじめて現場に行って具体的にわかりました、やっとそこまで到達したんですねという話だ。

 もし、いま稼働している火力発電所のタービンの上に行って「ここに人がいれば数秒で死にます」と言えば「そりゃそうだ」と答えるだろう。元からそこにあった、わざわざ人が行く必要もない場所でもある。650シーベルトが見つかったことは「大発見!」などではない。

 先に言っておくが、今後作業が進む中で、もっと高い線量が出る可能性は高い。それは、作業が核心部の未踏領域に近づき、「Unknown」が「Known」になるからだ。例えば、1、3号機は今回調査した2号機よりも溶け落ちた燃料の量は多いと言われている。より事故状態の時間が長かったのだ。そういう事実関係を事前に把握しておく人がどれだけいるかどうかで、受け止め方は変わる。誤った方向に社会が進むリスクは減る。

マスコミや専門家の機能不全が
福島に「2次被害」をもたらす

 デマと差別は、無知と不安から生まれる。「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」という情報自体は、正確な事実。ただ、それを聞いて、デマを含めた誤った情報が世界に流通するのは十分事前に想定できた話だ。

 一方、「6年経ってやっと作業がそこまで進んだのか」という現場の認識も正確な事実。しかし、両者には大きな乖離がある。どちらを考え、判断するためのモノサシとするのかで、社会が進む方向は大きく変わる。今回は明らかに被災地・被災者への偏見を助長し、済州航空の一件のような、具体的な経済的損失も出したと言わざるをえない。

 本来、メディア=媒介はこういうモノサシが複数存在する現象に対して、ズレた複数の世界観同士をつなぐ役割をもっているはずだった。専門家の役割もそう。しかし、福島の問題、とりわけ廃炉の問題についてはその役割が機能していない。

 いわゆる「風評被害」と呼ばれる福島忌避による経済的損失や、それを引き起こすデマ・差別は問題だと世間は言う。ではそれを何が作り出しているのかと言えば、バランスの取れた世界観を得られずにいる世間自体でもある。背景に、モノサシの機能不全があることは明らかだ。

 福島からの避難者へのいじめもそうだ。「福島から来たお前は菌だ、病気になる」と言われるのは、子どもの無知が原因だということになっている。だから、道徳の教科書を読ませておけば、いじめはなくなるという対処療法がとられている。しかし、あまりに皮相的かつ責任転嫁も甚だしい対応だ。これは大人自身の問題だ。大人が「福島から来た人間や一次産品が汚染されていることはない」とモノサシ・根拠をもって言い返せる前提がなければ、今後も問題は続く。

 3.11以降、日本はその前提を整えて来なかったから、現にそこに起こった災害・原発事故そのものとはまた別の、2次被害が起こっている。

 前置きが長くなった。1Fには6年たっても福島に残った問題、そして今後も中長期に渡って残り続ける問題が凝縮されている。安全かどうかを大声で叫び合う前に、「不安だ」「とんでもないことになる」「廃炉なんか無理なんだ」と錯乱する前に、そもそも私たちはどういうモノサシを持って、現実に向き合えばいいのか考えておくべきだ。以下、いくつか1F廃炉が抱える課題をあぶり出しながら、私たちが持っておくべきモノサシをまとめる。

論点1:外れ続けてきた
1Fへの「負の予言」

 最初に取り上げたいのは、1F廃炉の失敗を願う人々が喧伝する「絶望の象徴」化だ。

 1Fが「絶望の淵に立っている」という設定で語られたのは、今回の「650シーベルト大発見!」問題に始まったわけではない。オオカミ少年が「オオカミが来た」と何度も叫ぶように、「1Fは絶望の淵に立っている」と叫ぶ声が何度も聞こえてきたのが1Fの6年間だった。

 例えば、「大量の被曝による廃炉作業員の人員不足で作業が継続できなくなる」「4号機が崩壊して使用済み燃料が原子炉建屋の外にこぼれ落ちて再避難」「多核種除去設備(ALPS)が完成せず汚染水問題は窮地に陥る」といった話が、その時々のトレンドになる。

 マスメディアはそれを匂わす。SNS等はそれをデマ混じりに拡散する。「4号機 崩壊」などで検索していけばその残骸はいまでも観察可能だ。それを見れば「このままいけば、日本滅亡」とでも言わんばかりの、煽りと虚偽にまみれたものが多数存在することに気づく。喜々としてネガティブな情報だけを選別してTwitterなどSNSで流し「こういう話を求めていた。これが福島の現実だ」などと、したり顔をする「有識者」「思想家」も多数いた。

 しかし実際には、作業の進捗と時の経過のなかで、それらの予言は外れ続けてきた。現在、作業員の確保も4号機もALPSも、安定的な状態にある。

 もちろん、それは現場での多大な努力があったからだ。人員確保も4号機の安定化も多核種除去設備の稼働も、様々なリソースを結集したからこそ成立したことだ。手放し無策のままでも大丈夫でした、という話ではない。

 ただ、この手の予言が厄介なのは、無責任なオオカミ少年たちが手を替え品を替え、デマを通して恐怖の共感を集めようとする中で、本当に必要な課題への注視がなされず、必要な手立てが看過されてしまうということだ。

 そろそろ外れたことが明らかになる予言は「凍土壁は絶対に失敗する」というものだ。凍土壁が完成すれば、汚染水管理などの大きな課題の解決に向けて前進することは間違いない。ただ、ここから先に問題となるのは、膨大な量のタンクに貯蔵されている浄化済み水の処理とデブリ取り出しという、具体的な、より難度の高い課題だ。

 そもそも原子力規制委員会もしばしば指摘してきたことだが、凍土壁は根治療法ではない。よりハードルの高い課題を解決すべき状況が目の前に迫ってくるということこそが、私たちがもっと早い時期から意識すべきだったのを、「予言」は覆い隠してしまう。

 1F廃炉の話は難しい。だから多くの人が口をつぐむ。饒舌に話す一部の人間の言葉には、明らかな偏りがあった。一般レベルでの1F廃炉を取り巻く言説は、その失敗を願う人ばかりに固められてきた。失敗を願って拝んでいれば思考停止できるから楽だ。デマには事実を持って反駁し、失敗を願うことしかしない思考停止の愚者は放っておけばいいが、一方で、いかにすれば前に進むのか頭を悩ませ、汗をかく人の層を厚くしていく必要がある。

「失敗か成功か」の二択クイズでは
廃炉の真実は見えてこない

 先日の2号機内部のサソリ型ロボットによる調査は最終的に想定していた作業を完了できず、結局、ケーブルを切って内部に放置することになった。その後開かれた記者会見では、どうにかして東電の担当者に「失敗した」と言わせようという問答が繰り返された。東電が「成果があった」という態度を取り続けたからだ。

 果たして失敗したのか、それとも本当に成果があったのか。ここでも正しいモノサシでもって考える姿勢が必要になる。

 途中でロボットが動かなくなったということは、当初の想定通りにことを進めるという意味では明確に失敗だった。一方で、今回は1F内部の情報を、カメラなどを入れながら細かく捉えることが目的であり、その意味では、一定の成果があったとも言える。

 東電が「失敗しました」と涙を流しうなだれる姿を見たい人はいまでも多いだろう。それでスッキリする人もいるかもしれない。ただ、この問題を追いかけ続け、どうにかしたいと思っている私にとっては、そんなものを見せられても何の得もない。知りたいのは、どんな情報が取れて、それがどれだけ意義あるもので、次の工程にどんな影響を与えるのか、ということだ。近日始まる予定の1号機内部の調査をはじめ、デブリ取り出し前の作業の今後につながる何かがあるのかということだ。さらに、それがどのように地域の復興に影響しうるのかということだ。

 成功か失敗か、という二択クイズをやっていては見えてこない、クロともシロともつかないことの中で、私たちは考え続けなければならない。同じようにシロクロで評価できない出来事は、今後も繰り返し起こるだろう。

 廃炉費用は21.5兆円で、当初想定していた額の倍になった。これは問題だ。電力消費者や国民の負担が出ることの正統性も、熟議されるべきなのは当然である。一方で、「こんな膨大な額の無駄遣いはだめだ。削減しろ」とでも言わんばかりの議論がある。

 では単純にカネをかけない、そして、技術もヒトも集まらなくていい、という話になったらどうなるか。ただでさえ30~40年かかると言われる廃炉の計画がさらに長期化するだろう。「そもそも30~40年なんて無理なんだ」という議論もあるが、現状ですら無理である可能性があるものが、さらに難易度を増すということだ。

 いかに効率的にカネをかけるか、あるいはこれだけの額をかけるからには、いかなるアウトプットを得られるのか。こうしたことを具体的に考えるには、相当な知力体力が求められる。

 とは言っても、普段から経済政策や外交防衛、医療福祉を考えて議論するのと大きなレベルの差はないと思う。ただし、最初に学んで前提知識をつけるためのツールが、廃炉に関しては大きく不足しているのも事実だった。だから私は『福島第一原発廃炉図鑑』という本を昨年刊行した。「いかにすれば前に進むのか頭を悩ませ、汗をかく」というモノサシをもち、思考停止しない人が求められているからだ。

>>(下)に続く

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2017年03月15日 15:48

私は極端に身体が固いのですが、特に疲れやすくはありません、、、それでも柔らかくなりたい。。。

■疲れやすいのは「体が硬い」せいかもしれない

べたーっと開脚したり前屈する姿を見ると感心しますが、体が柔らかいことは健康面でメリットがあることを知っていますか?

「私は体が硬いもので」「歳のせいかめっきり体が硬くなって」などと嘆く人は多い。確かに硬いより柔らかいほうがいいような気がするが、実際のところ体が硬いとどのような不都合があるのだろうか。そもそも体のどこがどのように硬いのだろうか。

 体の「柔軟性」という言葉があるように、柔らかさの定義を調べたほうが話が早そうだ。厚生労働省によれば、柔軟性とは「筋肉と腱が伸びる能力」のことで、筋力、瞬発力、持久力、調整力とともに基本的な運動能力のひとつとされている。つまり体が硬いということは、筋肉と腱が伸びる能力に欠けるということである。

体力テストの「前屈」の意味
柔軟性は代謝や血行に影響する

 柔軟性には「静的柔軟性」と「動的柔軟性」がある。静的柔軟性はいわゆる体の柔らかさで、一般に柔らかいほど普段の生活でのケガが少なく、疲労も回復しやすいとされる。動的柔軟性は体の動かしやすさ、つまり運動のしなやかさのことで主に競技能力に関わるものだ。言い換えれば、体が硬いと動作が不自由なだけでなくケガをしやすく、疲れやすいということになる。また体が硬く緊張状態にあると代謝や血行が悪くなりやすい。つまり腰痛や肩こりなどの不調や、免疫や代謝などあらゆる体機能の低下につながるとの説もある。

 体力テストの立位体前屈で体を深く曲げられたとして、「それに何の意味があるの?」とお思いの人もいるかもしれないが、柔軟性が高いということには大きな意味があるわけだ。

 前述のように体の柔軟性は「関節可動域」により左右される。関節可動域とは字面のとおり、体の各関節が自然に動くことのできる範囲のことで、「骨格構造」と「軟部組織(筋肉や関節など)」によって決まる。骨格の構造は生まれつきのものであり、努力によりどうにかなるものではないが、体の組織なら変えることはできる。

 関節可動域を変えるための手段がストレッチ運動だ。私たちはストレッチをすると関節が動きやすくなったり、筋肉が伸びやすくなること、運動前や後のストレッチが大切であることを経験から知っているが、もともと筋肉や関節の柔軟性を高めるための運動なのである。

ラジオ体操は優秀なエクササイズ
過度な効能を謳うストレッチにはご用心

 ストレッチには、比較的軽い運動というイメージがある。やりようによってはいくらでもキツくできるのだが、一人でもできる、時間や負荷を簡単に調節できる、場所を選ばないという意味でとっつきやすい運動なのは確かだ。

 運動の習慣がなく体の硬い人が、どれストレッチでも始めてみようというとき、困るのが選択肢の多さだ。ほとんど「効能」に近いことを謳う様々なストレッチやその類があり目移りしてしまう。

 無難なのは定評のあるストレッチを選ぶこと。例えばラジオ体操第一・第二もいいだろう。全身の筋肉や関節を動かすようにデザインされた体操だから、ストレッチとしても優秀である。体が覚えているはずだからとっつきやすく、見かけ以上にカロリーを消費するのでダイエット向きでもある。

 あえて流行に乗ってしまうのもよい。メディアに当たれば、ここ最近話題となっているストレッチがいくつかみつかるはず。現在は背中柔軟性ストレッチ、横隔膜ストレッチが話題に上り続けている。極端な内容だったり、ありえないほど多くの効能を謳っていない限り、どれでもいい。その場で試してみて「キツいけれど気持ちいい」と感じたら、そのストレッチに決めてしまおう。続けるにはまず始めてみることだ。

(ライター 工藤 渉)

[DIAMOND男の健康]

Posted by nob : 2017年03月15日 15:30

アレルギーとまでは言わないまでも、私の場合はウェイトロスはもちろん、乾燥肌や蕁麻疹などが大幅に改善しました。。。

■ジョコビッチ選手を変えたグルテンフリーの食事法の効果(前編)

文:山本奈緒子

錦織圭選手の大活躍とともに、テニスが注目を集めています。その錦織選手が2014年、準優勝をした全米オープンで、決勝進出をかけて死闘を繰り広げた相手が、現在、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ選手。

そのジョコビッチ選手の著書が、いま驚異的な売り上げを記録中です。その著書のタイトルは、『ジョコビッチの生まれ変わる食事〜あなたの人生を激変させる14日間プログラム』というもの。10万部を超え、Amazonでも総合3位に入るなど、その勢いはとどまるところを知りません。

実は世界トップのアスリートであるジョコビッチ選手、ある食事法を取り入れた途端、劇的に成績がアップ。いきなり3つのグランドスラム大会を制し、一躍、世界ランキング1位に躍り出ました。好調は現在も続いており、2015年もウィンブルドンや全米オープンなどグランドスラム大会3勝。さらに4度目の年間世界ランキング1位が確定するなど、まったく他を寄せ付けません。

ではジョコビッチ選手は、一体どんな食事法を実践したのでしょうか?それこそが、ダイエットだけでなく、実は今や多くの一流スポーツ選手やアスリート達が取り入れ始めている食事法、“グルテンフリー”なのです。

そこで、グルテンフリーの目を見張る効果と、実践する上でのポイントなどを、その著書から抜粋してご紹介しましょう。「疲労感が抜けない」「いつも頭がボンヤリしている」という人は、ぜひ試してみてください。

そもそもグルテンフリーとは?

グルテンとは、小麦や大麦、ライ麦といった穀物に含まれるタンパク質のこと。実は、自分では気付いていないことも多いのですが、このグルテンのアレルギーを持っていて、小麦などの穀物を食べると、息切れやめまいといったさまざまな不調を起こす人が、意外にも多いのだそうです。

ジョコビッチ選手は、まさにそのアレルギーの持ち主だったのです。そこで、パンやパスタなど、グルテンを含むあらゆる小麦製品を断って、健康を取り戻そうとしました。それが、グルテンフリー食事法というわけです。

グルテンフリーで得られる効果

ジョコビッチ選手は、グルテンフリーの食事法を14日間取り入れたところ、1週間たったあたりから、次のような効果があったそうです。

・身体が軽くなり、やる気が湧いてきた
・体重が減少した
・脳内の霧が晴れ、思考が明瞭になった
・長年悩まされていた鼻詰まりが消えた

その後、試しに再びグルテン製品を摂取したところ、あっという間に、めまいとさまざまな不調が再発したといいます。

このグルテンアレルギーは、気付きにくいのですが、「5人に1人が持っている」といわれています。いつも身体が重い、すぐ気弱になる、という人。「ストレスのせいだ」と片付けているかもしれませんが、実はグルテンアレルギーによるものかもしれません。試しに14日間だけ、小麦製品をやめてみてはいかがでしょうか?

グルテンアレルギーか調べるテスト方法

「もしかしたら、自分もグルテンアレルギーかも」と思った人には、簡単に調べられるテストがあるので、ご紹介します。それは、以下の方法です。

1.まず、左手をお腹に当て、右手は真横にまっすぐ伸ばす。
2.誰かに右手を下方向へ押してもらい、自分は右手を下へ押されないよう抵抗する。このときの右手の反応が、健常な状態のときの身体の反応である。
3.次に、左手にパンを持ち、お腹の前に当てる。右手は2と同じく、真横にまっすぐ伸ばす。
4.再び、右手を上から下方向へ強く押してもらう。このとき、パンを持っていないときより抵抗する力が弱い場合、身体がパンに含まれる小麦を拒絶している証拠といえる。

このテストは、パン以外の物でも応用できます。試しに携帯電話を持ってやってみると、「その電磁波が腕の力を弱めていることに気付くだろう」とのことです。

グルテンフリーはダイエットに最適

アレルギーでなくても、小麦は糖分が多いので、血糖値を急激に上げてしまうという弊害があります。糖質の多いものを食べると、身体は血液から血糖を取り除こうとします。そして脂肪細胞を血中にたくさん送り込んで、血糖を取り込ませようとするのです。

逆に考えれば、小麦製品を食べないようにしさえすれば、血糖値が急激に上がることもなくなるし、脂肪細胞を血中に送り込む必要もなくなる。つまり、太りにくくなるということです。

実際にジョコビッチ選手は、グルテンフリーの食事を始めてから、それまでなかなか落ちなかった体重が5kgも落ち、身体が軽くなったそうです。グルテンフリーは健康的に体重を落とせるので、ダイエットをしている人にもお勧めの方法といえます。

グルテンを含む食べ物

では、グルテンはどんな食べ物に含まれているのでしょうか?例を幾つか挙げてみましたので、参考にしてください。

・パン
・パスタなど小麦から作られた麺類
・揚げ物の衣
・ケーキやドーナツなど小麦から作られたスイーツ
・クッキーやクラッカーなどのスナック
・ビールなど麦芽から醸造されたアルコール飲料
・醤油や味噌などの調味料
・加工チーズ
・インスタントのお茶やコーヒー
……などなどです。

ひと口にグルテンフリーの食事をとるといっても、グルテンを含む穀物は実に多くの食品に使われているので、常に原材料をチェックする必要がありますね。

今回は、ジョコビッチ選手の著書から、グルテンフリーの効果と実践する上でのポイントを、簡単に抜粋してみました。

原因不明の体調不良に悩まされていたり、ダイエットしてもなかなか痩せないという人は、ジョコビッチ選手にならって、まずは14日間だけ、グルテンフリーを取り入れてみてはいかがでしょうか?


■ジョコビッチ選手を変えたグルテンフリーの食事法の効果(後編)

現在、世界ランク1位のテニス選手、ノバク・ジョコビッチ。その彼が著書『ジョコビッチの生まれ変わる食事〜あなたの人生を激変させる14日間プログラム』で明かした“グルテンフリー(小麦や大麦、ライ麦といった穀物に含まれるタンパク質を一切摂らない食事法)”は多くの人の注目を集め、今や一流スポーツ選手、アスリートの多くが取り入れるようになっています。

前回は、そのグルテンフリーについて、効果や実践法などを中心に解説しました。

後編の今回では、実際にジョコビッチ選手がおこなっている食生活の内容について紹介したいと思います。

起きたらまず摂取するもの

ジョコビッチ選手には、朝の習慣が2つあります。

1つ目は、グラス1杯の常温の水を飲むこと。寝ている間、身体は何時間も水分を摂っていません。そのため、起きて活動を始めるための水分を必要としています。

ただし、このとき氷水を飲むことは避けているそうです。身体は、入ってきた水を体温と同じ温度まで温めようとして、消化器官へ血液を送り込んできます。冷たい水を飲むと、そのプロセスに多くの血液が使われ、消化が遅くなるだけでなく、筋肉への血流が妨げられてしまうのです。

ちなみにジョコビッチ選手は、朝だけでなく、一日を通して温かい水を飲むようにしているそうです。

2つ目は、スプーン2杯の蜂蜜を摂ること。身体は糖分を必要としていますが、悪い糖分を摂ると、血糖値が乱高下することになります。そこで良い糖分である蜂蜜を毎朝摂っているそう。さらに、ジョコビッチ選手は、通常の蜂蜜より抗菌作用の高いマヌカハニーを、できるだけ摂るようにしているそうです。

ジョコビッチ選手の朝食

それではジョコビッチ選手は、どんな朝食を摂っているのでしょう?彼は“パワーボウル”と称して、普通サイズのボウルに次の材料を混ぜて、毎朝食べています。

・グルテンフリーミューズリー、またはオートミール ※ オーツ麦を脱穀し、平たく押し潰したものがオートミール。そのオートミールにドライフルーツやナッツを加えたものがミューズリー。
・一握りの分量の様々な種類のナッツ(アーモンド、クルミ、ピーナッツなど)
・ひまわり、またはカボチャの種
・スライスした果物(バナナや様々な種類のベリーなど)
・ココナッツオイルをスプーン1杯
・ライスミルク、アーモンドミルク、またはココナッツウォーター

毎朝、これらの材料の割合を変えて、味に変化を付けています。日本人には馴染みの薄い食材も多く含まれていますが、輸入食品を扱うお店やネットショップなら、入手が可能です。ぜひ試してみてください。

これだけでは足りず「もう少し何か食べたい」と思ったときは、パワーボウルを食べてから20分後に、グルテンフリーのトーストやツナ、アボカドを食べているそうです。

20分の時間を空けるのは、消化を良くするため。胃は、炭水化物とタンパク質を同時に消化することができません。そのため、このパワーボウルのような炭水化物と、間食に含まれるタンパク質を同時に摂取すると、消化にエネルギーと時間を要します。

すぐにタンパク質が入ってくると、胃に負担をかけてしまうので、胃が適応できる時間を20分与えているのです。

ジョコビッチ選手のランチ

ジョコビッチ選手の典型的なランチは、“野菜入りグルテンフリーパスタ”です。グルテンフリーパスタは、キノアかソバで作られています。

野菜は、次のものを混ぜています。

アブラナ、トマト、キュウリ、ブロッコリー、カリフラワー、インゲン豆、ニンジンなど。このグルテンフリーパスタと野菜に、オリーブオイル、少量の塩を混ぜるのが定番です。

反対にジョコビッチ選手が食べないのは、トマトソースなどのソース類。とくに缶詰のトマトソースは添加物が多く含まれているうえ、胃がもたれるので消化が遅れてしまうそうです。

ジョコビッチ選手の夕食

夕食は、肉か魚といったタンパク質を中心に摂ります。具体的には、牛肉のステーキか鶏肉、サーモンが多いそう。肉はローストかグリル、魚は蒸すか短時間茹でる、という調理法を取ります。これに、蒸したズッキーニやニンジンなどの野菜類、またはヒヨコ豆やレンズ豆、スープなどを加えます。

アルコールは、ときどきグラス1杯の赤ワインを飲むのみ。ビールやウォッカなどは、麦から作られているので飲むことができません。

摂取していい水分は?

お茶は、いつ飲んでもOKな飲み物です。とくにジョコビッチ選手は、リコリスティーとジンジャーレモンティーを好んで飲むそう。リコリスティーはカフェインが入っていないのに目覚まし効果があるので、オススメです。

“食べ方”で心がけていること

ジョコビッチ選手が食事を摂るときのルールとしているのが、「ゆっくりと意識的に食べること」です。

早く食べると、胃に一度に大量の食べ物が押し寄せてくるため、胃は得た情報を処理する時間がなくなり、消化が遅くなってしまいます。そのため「満腹」のサインが出なくなり、食べ過ぎてしまうのです。

さらにジョコビッチ選手は、食事中は次のことを実施しています。

・テレビを観ない
・メールを見ない、送らない
・誰かと長々話さない

このようにして、食事中は噛み砕くことに集中します。それにより、唾液に含まれるエンザイムが食物と混ざり、より正確に胃に「情報」が伝わるからだそうです。

いかがですか?ジョコビッチ選手もそうであったように、自分では気付いていないけれど、実は小麦アレルギーを抱えており、それによって様々な不調に悩まされている人は意外と多いようです。ぜひ、彼の食事内容を参考に、14日間のグルテンフリーを試してみてください。


[いずれもRhythm(リズム)]

Posted by nob : 2017年03月04日 17:01