その暴挙を赦し従っているのは私たち自身、、、日本人の善悪の基準は依存と従属の度合いによって計られる。。。

日本を私物化して開き直る安倍夫妻の異常

「真実ではないこと、偽りのこと。極論でいえば、嘘というものは、それを発言した人にとどまることなく、第三者、他人をまきこんでいく」。愛 媛県の中村時広知事は5月11日の記者会見でそう話した。元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏は「嘘をつき続ける安倍首相の言動は異常だ。また公私をわけら れない昭恵夫人の行動も理解できない。2人とも人間として大事な何かが欠落している」という――。

■安倍晋三という政治家をひと言で表す漢字は「嘘」だ

12月に京都・清水寺で発表される今年の漢字は「嘘」に決定した。

それ以外にないと、私は思っている。これに似た漢字「偽」が選ばれたのが、年金偽装問題が起きた2007年であった。これは第一次安倍内閣の時だ。安倍晋三という政治家をひと言で表す漢字に「嘘」ほど適切な言葉はない。

歴代総理で嘘をついた人間は数多いる。筆頭は佐藤栄作であろう。彼は沖縄返還を急ぐあまり、アメリカからは「核付き返還」といわれたにもかかわらず、「核抜き本土並み返還」だと国民を欺き、ノーベル平和賞まで授与されてしまうのである。

ここまでスケールの大きな嘘だと、沖縄返還という大義名分があるから仕方ないかと、騙されたほうもため息をつくしかないのかもしれない。

■「公約は嘘だった」といってのけた小泉元首相

もう一人あげるとすれば小泉純一郎である。竹中平蔵を経済財政政策担当大臣に据え、派遣法改悪を含む格差拡大政策を取り、非正規労働者を激増させ、貧しい者をより貧しくしてしまった”元凶”である。

私が小泉を許せないと思うのは、この発言である。

総裁選出馬の時に公約した「国債30兆円枠」を守れなくなると、衆院予算委員会で「大きな問題を処理するためには、この程度の約束を守れなかったというのは大したことではない」といい放ったのである。

時の総理があの公約は嘘だった、破ってもいいといってのけたのだ。麻生太郎・財務相も真っ青の、狂気ともいうべき大暴言であるはずだ。

だが不思議なことにメディアの追及は甘く、小泉はそれからも放言を重ねた。当時のブッシュ大統領がイラク進攻の名分にした「大量破壊兵器」に、根拠 もなくいち早く賛成した。後にアメリカが嘘だったと認めたのに、私が知る限り、小泉自らが誤りを認めて謝罪したという話は聞いていない。

在任中には原発を容認しておいて、今になると反原発をいい続けていたかのように振る舞う。この男には政治家に最低限必要な節操というものがない。

この二人に比べると安倍の嘘はスケールが極めて小さい。だからといって罪が軽いというわけでは決してない。

■官房長官や大臣、秘書官、官僚までが嘘に嘘を重ねている

妻・昭恵が親しくしていた森友学園理事長の国有地購入に便宜を図ったこと。安倍の腹心の友である加計学園理事長の進めていた獣医学部新設に安倍自らが便宜を図ったことは、ほぼ間違いない事実なのに、安倍夫妻は嘘をつき続け、しらを切りとおしている。

最高権力者がついた嘘を、周りが寄ってたかって糊塗(こと)しようと、官房長官や大臣、秘書官、官僚たちまでが嘘に嘘を重ねてきているのである。異常というしかない。

集団思考の研究で有名なアーヴィング・ジャニスは、大統領とその側近がいかに優秀であっても、集団になるとばかげた意思決定をしてしまうことがあると、ベトナム戦争時のトンキン湾事件やウォーターゲート事件を例に出して分析している。

まして優秀ではない権力者が保身のために嘘をつけば、つじつまを合わせるために、官僚たちが文書改竄という犯罪的行為にまで手を染めてしまうのである。

愛媛県の中村時広知事は5月11日の記者会見でいみじくもこう指摘した。

「真実ではないこと、偽りのこと。極論でいえば、嘘というものは、それを発言した人にとどまることなく、第三者、他人をまきこんでいく」

困ったことに、嘘も百万遍いい続ければ嘘ではなくなるという空気、「安倍症候群」とでもいうべきものが日本中を覆い尽くしているのだ。

■茂木経済再生相、内田日大監督、小池都知事……

今年に入ってからも、茂木敏充・経済再生相が地元の有権者に線香を無料で配布していた件で、個人の名前は書いていないから公選法違反にはならないと嘘をついた。

日大アメフト部の内田正人監督は、自軍の選手に、相手の選手にけがを負わせるよう指示したが、内田は記者会見で「指示はしていない」と否定し続けた。内田は日大の人間に「否定し続ければそのうち忘れる」と嘯いていたと報じられている。

福田淳一・財務事務次官は、テレビ朝日の女性記者へのセクハラ発言を録音され、週刊新潮がその音声を公開したのに、「オレの声ではない」と嘘をつき続けた。

小池百合子・東京都知事は、これまで経歴に「カイロ大学を”首席”で卒業」と書いてきたが、文藝春秋に「コネ卒業ではないか」と報じられた。会見で小池は、卒業したことは事実だとはいったが首席については黙して語らなかった。

■安倍首相にも「経歴詐称」の過去がある

実は安倍にも同じ経歴詐称の過去がある。彼は成蹊大学を卒業後、アメリカの南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学していたと、当初の経歴には書いてあった。だが週刊ポスト(2004年2月13日号)が「経歴詐称」だと報じたのである。

南カ大学側は、安倍は1年間在籍してはいたが、それは「外国人のための英語」の授業だったことを認めた。その1年前は語学学校に通っていただけだったのだ。

以後、安倍は自分のプロフィールからこの部分を削除している。

極めつけは安倍の”嘘友”加計学園の加計孝太郎理事長の記者会見であった。

■「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」

問題が起きて以来、逃げ隠れしていた加計が会見を開かざるを得なくなったのは、加計学園が獣医学部新設を進めるためについた嘘について申し開きするためだった。

15年3月、愛媛県に学園側が説明する時、学園側の人間が2月25日に加計理事長が安倍首相と面会し、獣医学部新設について説明した際、安倍が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」といっていたと説明していたのである。

愛媛県側に残されていた文書にはっきりそう書いてあった。そこで慌てた加計学園側は、話を前に進めるために嘘をついたといい出したのである。

首相の名前を使って相手に圧力をかけ、それがバレると嘘だったと臆面もなくいい出す輩が、教育者の仮面をかぶっているのだ。

■「2月25日の記録が残っていないというのは考えにくい」

しかし名前を騙られた安倍は怒りもしなかった。やはり加計との間であのようなやりとりが実際にあったのだろう。そう思うのは私だけではないはずだ。そうした空気が蔓延することを恐れた安倍が、加計に「あんたが出て釈明しろ」といったのではないのか。

ようやく会見に出てきた加計だったが、記者クラブへの通告は2時間前、時間は30分、地元記者に限るというさまざまな制限を付けた。

そこで加計は、部下が嘘をついた、安倍とはその日面会していない、当日の記録はないと全否定したのだ。記者も核心を突く質問ができず、加計は間違いなく嘘をついているという印象が強く残っただけの会見だった。

ノンフィクション作家の森功は、昨年5月に文藝春秋で「安倍首相の腹心の友の商魂」を書いた際、加計側から猛烈な抗議を受けた。その際、加計側は理 事長の詳細なスケジュールを出してきたと日刊ゲンダイで話している。それなのに「15年の2月25日の記録が残っていないというのは考えにくい」(森 功)。

すべては17年2月17日、衆議院予算委員会で、森友学園に対する国有地払い下げに昭恵が関与しているのではないかと聞かれ、思わず口走ったこの言葉が発端だった。

「私や妻が関係していたということになれば、私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」

森友に続いて加計学園問題も追及され、いったんついた嘘に嘘を上塗りして、身動きが取れなくなってしまったというのが実態であろう。

■「昭恵さんを慰める会」に集まった保育業界の思惑

その昭恵に新たな疑惑があると週刊文春(7/5日号、以下文春)が報じている。

6月2日、山口県下関市の割烹旅館「春帆楼」に昭恵が6人ほどのSPを従えて入っていった。「帝の間」で待っていたのは保育サービス業大手「ポピンズ」の中村紀子会長(69)と森まさこ参院議員(53)だった。

3月に開催された「ポピンズ」の30周年パーティで、昭恵は乾杯の音頭をとっていたそうだ。この日は中村が音頭をとり「昭恵さんを慰める会」を名目に、3万円コースのふぐを食らい、たらふく飲む会だったという。

文春によれば、第二次安倍内閣発足後に中村と昭恵は親しくなり、毎月のように飲んでいるそうだ。中村には当時、ぜひとも安倍首相に近づく必要があったというのである。中村はテレビ朝日にアナウンサーとして入社し、結婚、出産を経て退社した。

87年に娘をベビーシッターに預けて苦労した経験から、富裕層向けのベビーシッター業を始めた。その後、保育施設運営に乗り出そうとしたが、厚労省の岩盤規制にぶち当たったという。

■目的は「官邸主導の国家戦略特区制度の活用」

一方安倍首相のほうは、アベノミクス新三本の矢として「待機児童解消加速化プラン」を打ち出す。そこで中村は安倍に近づき、岩盤規制を打ち破ろうと画策するのである。

女性経営者の交流団体(JAFE)を再始動させ、13年12月の発会式に安倍を呼ぶことに成功する。16年4月にはJAFEのセミナーで昭恵が講演している。

中村のもくろみは、認可保育園の場合、職員は全員保育士資格を持っていなければならないのだが、この規制を緩和して、保育士不足で進まなかった保育施設の増設を進め、国や自治体から手厚い補助金給付を受けられないかというものだ。

そこで中村が頼りにしたのが加計学園獣医学部設立問題でも出てきた「官邸主導の国家戦略特区制度の活用」(文春)だった。

要は、保育士の代わりに幼稚園教諭や小学校教諭の資格を持つ人間も認めてほしいというものである。だが厚労省関係者はこう疑問を呈している。

「中村さんの主張は、自分が運営する保育所増設のために、規制緩和して欲しいと主張しているようなもので、保育の質の確保は二の次に見えます。陳情にも来られましたが、厚労省相手では埒が明かないから、政治の力を頼りに内閣府で特区提案をしたのでしょう」

■人件費70%を想定していたのに、平均50%程度しかない

結果からいえば、中村の望み通りに16年から規制が緩和されたのである。そのおかげで「ポピンズ」は120施設を増設し、全国で220カ所の保育施設を運営し、約70億円だった売上を17年度には約140億円に増やしているという。

その収入の半分が国や自治体からの補助金によるものだが、文春の調べによれば、国は保育所の経営実態調査などから人件費を70%と想定して補助金を支給しているのだが、「ポピンズ」運営の認可保育所の保育士人件費率は平均50%程度(16年度)しかないそうである。

中村の経営の私物化についてはここで触れないが、文春がいう通り「国家戦略特区には莫大な公金が投入される。首相夫人が規制緩和のメリットを享受す る利害関係者と”お友だち”付き合いをしていては、その選定過程に疑念が生じることは加計学園の例からも明らかだ」。昭恵には人間として大事な何かが欠落 している、そう思わざるを得ない。もちろん夫の安倍も同じである。

■「50年後には再評価されるかもしれない」はあり得ない

来年のいろは歌留多は「嘘つきは泥棒の始まり」ではなく「嘘つきは安倍晋三の始まり」と変更されるだろう。

安倍がごり押しして今年から小学校で始まった(中学校は来年度から)道徳の授業でも、嘘をつくことは古来日本人の”美徳”であったと教えるようになるに違いない。

安倍は死しても嘘つき宰相としての名は末代まで残るのである。

それでも安倍は「悪名は無名に勝る」というかもしれない。「祖父の岸信介は、日米安保条約は50年後に評価されるといっていた。オレも50年後には再評価されるかもしれない」。そう考えているとしたら、期待は無残に踏みにじられるだろう。

■とんでもないことをやった総理として歴史に名を残す

安倍が16年間通った母校・成蹊大学の元学長で、安倍の恩師でもある宇野重昭は、『安倍三代』(青木理著・朝日新聞出版)の中で涙を浮かべながら、安倍のことをこう語ったという。

「(違憲だと批判された安全保障関連法制は)間違っていると思います。私の国際政治学(の授業)をちゃんと聞いていたのかな、と疑っているところです。(中略)
はっきり言って彼は、首相として、ここ2,3年ほどの間に大変なことをしてしまったと思っています。憲法解釈の変更などによって平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった」

さらに、宇野は、現在の自民党の保守主義は本物ではないといっている

「現代日本にあるべき保守とは何か。民衆は、生活のことを第一に考える穏健な保守を望んでいる層が大半でしょう。(中略)
でなければ、(肯定的な意味で)歴史に名を残すのではなく、とんでもないことをやった総理として歴史にマイナスな名を残すことになる」

宇野がいうように、安倍が極端な保守主義に染まったのは、政治家になってからであろう。同級生たちの安倍評は異口同音に「可もなく不可もなく、どこまでも凡庸で何の変哲もないおぼっちゃま」(『安倍三代』より)である。

■日本人は善悪の判断ができなくなってしまったのか

さしたる勉強もせず確固たる信念も主義主張もない安倍は、政界に入り、岸の孫として受け入れてくれる人間たちの考えや思想を取り入れ、それを自分のものと勘違いして生きてきたに違いない。

「(自民党支持が高い10~30代は)一番新聞読まない世代だ。新聞読まない人は、全部自民党なんだ」といい放つ暴言の塊のような麻生太郎を、自己保身のために斬ることさえできない、気弱で凡庸な宰相である。

だが困ったことに、気弱な人間にありがちな独裁への憧れが強く、民主主義を蔑ろにすることを何とも思わない一面もある。

今回のように、働く者をより過労死させる働き方改悪法案や、ギャンブル依存症を増やすカジノ法案などを、ろくに審議もせずに成立させてしまう強引な手法も厭わないのである。

これほど劣悪な安倍政権を国民の4割近くがまだ支持しているということが、私には信じられない。あまりの安倍の言動の異常さに慣らされ、日本人の何割かは善悪の判断ができなくなってしまった。そう思うしかない。(文中敬称略)

(ジャーナリスト 元木 昌彦 )

[PRESIDENT Online]

スマートフォン一つあれば、すべてのフィールドがオフィス。。。

屋外でテントを貼り会議も 東京で「アウトドアオフィス」が人気

 

 そよぐ風、降り注ぐ陽光、青々とした芝生。ピクニックさながらの環境で会議や仕事ができる。そんな「アウトドアオフィス」が人気だ。

*  *  *

議論が煮詰まり、終わりが見えない会議中。目を移すと窓の外にはそよぐ緑、降り注ぐ日差し。こんな日に、自分はいったい何をしているんだろう……。社会人なら誰でもそう感じたことがあるのでは。

ならば会議室ごと、いや、いっそのことオフィスごと、屋外に移してしまおう。そんな「アウトドアオフィス」という試みが広がり始めている。

「◯◯さんはどう思う?」

「あ、それ面白いね!」

広々とした芝生に張られたテントから会議の声が漏れてくる。

品川駅港南口からすぐの複合ビル「品川シーズンテラス」(港区)では5月14〜18日、ビルに隣接する芝生広場にテントやテーブルを設営し、仕事場として 使えるようにした。テントの中では円卓を囲んで車座に。日よけつきのテーブル席もある。最大8人で会議ができ、電源やWi−Fi、ホワイトボードも備えら れている。

1時間1千円で誰でも使え、数十人が座れる席が、連日ほぼ満員。5日間で約400人が利用した。品川シーズンテラスの管理会社で、イベントを主催したNTT都市開発によると、社内会議、社外との打ち合わせ、事務作業など様々な使い方をする人がいたという。

会社経営の上田浩史さんはノートPCや資料を持ち込み、同じ事業に取り組む他社の2人と打ち合わせをした。

「開放的な雰囲気のなかで、いつもよりもリラックスしながらミーティングできた」

部署での定例会議に利用したという女性は笑顔で話す。

「草のにおいも気持ちよかったし、アイスコーヒーがいつもよりもおいしく感じた。普段の会議では耳しか働いていないけれど、五感全部を使って仕事ができた気がする」

一人で仕事をしていた街づくりコンサルタントの若尾健太郎さんは「集中したりリラックスしたり、メリハリをつけて仕事ができた。カフェだとあまりくつろげないし周りが気になる。家だとリラックスしすぎてしまうこともある。新鮮でした」

8人で会議をしていた人たちも「アウトドア効果」を実感していた。

「普段なかなか出ないような率直な意見が多く出た」

「心の枠が外れた感じで、いつもと違った思考ができた気がする」

アウトドアオフィスは都心部を中心に徐々に広まりつつある。品川では2016年、17年の秋に続いて3回目。今年の9月にも予定している。

渋谷駅近くの複合ビル「渋谷キャスト」では東京急行電鉄が6月から、広場に大型のテントを設置し、期間を定めずにオフィスとして使えるようにする「キャンピングオフィス」というサービスを始める。まずは関係企業に貸し出し、8月から一般の人も使える予定だ。

東急電鉄によると、期間限定ではないアウトドアオフィスは全国で初めてという。東急は沿線の多摩川沿いでも、同様のサービスを始めることを検討している。

三菱地所も5月25〜26日、高級ブランド店が立ち並ぶ東京・丸の内仲通りにアウトドアオフィスを設置した。5月にオープンしたばかりのカフェからドリンクやスイーツをテイクアウトして、仕事をしながら楽しめるのが売りだ。(編集部・川口穣)

[AERA 2018年6月11日号より抜粋]

光があれば陰があり、そして闇がある。。。

日本人はダークウェブの危難をわかってない

いつ日本企業が狙われてもおかしくない

最近になって急にダークウェブが語られるようになったのは、仮想通貨の影響が大きい。たとえば今年1月に仮想通貨業者である「コインチェック」から 580億円相当の仮想通貨「NEM」が流出したが、この事件に関する報道においてもダークウェブが頻繁に語られていた。その理由は、犯人と思われる人物が 盗んだ通貨をダークウェブで別の仮想通貨に交換していたと見られているからだ。

「ダークウェブ」とはいったい何か?

では、このダークウェブとはいったいどういうものだろう。ダークウェブはよく「闇サイト」と混同されるが、まったく別のものである。

闇サイトはインターネットエクスプローラーやクロームのようなブラウザで閲覧可能でヤフーやグーグルといった検索エンジンなどでも参照できる「サー フェスウェブ」や、検索エンジンにはヒットしないが、ブラウザでアクセスできる「ディープウェブ」の中に存在しており、犯罪などの違法性の高い情報が掲載 されたサイトを指す。

一方のダークウェブとは、「匿名性を維持した通信が可能なネットワーク上で、自身を匿名化する特定のブラウザを用いて接続しないかぎり閲覧できない サイトなどが集まったネットワーク空間」のことを指す。これらのサイトは、サーバーの運営元などを特定することが非常に困難で、そもそもブラウザで閲覧す ることができない。また、検索エンジンで探し出すこともできない。いわばアンダーグラウンドなサイバー空間だ。

そのためダークウェブは、違法取引やサイバー犯罪の温床となっている。ある調査によれば、ダークウェブ上に存在しているサイトの半数以上で何らかの 違法取引が行われているという。たとえば薬物や武器、(盗まれた)クレジットカード番号やパスポートなどの売買だ。つい先日も、日本人の個人情報約2億件 が中国語のダークウェブで販売されていたと報道された。こういった取引の決済手段として、(クレジットカードなどから素性が明らかになることを避けるため に)仮想通貨が用いられている。

これだけ見るとダークウェブは非常に閉ざされた空間であり、なかなかアクセスできない世界であるように感じられる。しかし実は、中に足を踏み入れる こと自体はそれほど難しくはない。利用者の素性と通信経路を隠すことができる「Tor(トーア)」や「I2P(アイツーピー)」と呼ばれるソフトウエアを 用いることで、誰でもアクセスは可能になる。

もともと方法さえわかっていれば、誰でもアクセス可能だったダークウェブ。そこに仮想通貨の認知が徐々に高まってきたことやサイバー犯罪がこれまで 以上に大きく報じられるようになったことで、最近では初心者が興味本位でダークウェブの世界に入り始めているとも言われている。つまり、それだけダーク ウェブというものが多くの人に浸透し始めてきたということだ。

企業に与える影響は「情報漏洩」や「風評被害」がメイン

ダークウェブのインパクトはビジネスの世界においても無視できないものになりつつある。もはやどの企業も「ウチは関係ない」とは言い切れない状況にあると言ってもいい。

昨年、米国のサイバーセキュリティ関連企業が発表したデータによれば、2017年度版の米フォーチュン500にリストされている企業(日本からはト ヨタ自動車やホンダ、日本郵政、NTTなどがランクイン)はすべて何らかの形でダークウェブ上で言及がなされていると言われている。特に数多く言及されて いるのがテクノロジー系企業であるというのは想像に難くないが、金融企業やメディア、航空会社、流通小売企業など、幅広い業界、業種で言及がなされてい る。

もちろんダークウェブ上で語られているからといって、それがそのまま何らかの危害に直結するわけではない。だが、ビジネスにインパクトを与える可能 性のあるリスク要因であることは間違いない。ダークウェブ上で頻繁に語られているということは、それだけサイバー攻撃の標的にされる危険性も高いと考えら れるし、情報漏洩や風評被害などの被害に発展する可能性も大いにある。

実際、ダークウェブ上では世界規模のサイバー攻撃に用いられるようなマルウェア(不正かつ有害な動作を行うウイルスなど)が非常に多くやり取りされ ている。こういったマルウェアは世界中のハッカーたちの手によって日々改良が重ねられ、その攻撃力も増している。ダークウェブがハッカーたちの共同の制作 環境になっている。

このようなハッカーたちの活動は、マルウェアの制作や改良だけにとどまらない。今はダークウェブ上でサイバー攻撃の依頼を受け、ダークウェブを通じ てメンバーを集め、依頼主から成功報酬を仮想通貨で受け取るようなことも行われているという。これは”HaaS(Hacking as a Serviceの略)”と呼ばれており、いわば制作から攻撃までを請け負う「サイバー攻撃のパッケージサービス」のようなものだ。

廃棄したパソコンから情報が漏洩するリスクも

近年、ダークウェブではその取引でやり取りされるものにも変化が見え始めている。これまでよく取引がなされていた薬物や武器だけではなく、企業に関 する機密情報が増えてきた。たとえば社員の個人情報や企業内でやり取りされるメールやファイル類などだ。これらのファイル類には経営幹部の会議に用いられ るような機密が満載された資料なども少なくない。場合によっては企業の財務情報や取引先との契約書、さらには資金のやり取り、不正行為の隠蔽工作に関する 文書やメールなどもやり取りされるケースがある。

今や機密データが漏洩する原因はサイバー攻撃だけではない。むしろ最近になってダークウェブ上で多くやり取りされているのは企業が廃棄したパソコン から復旧されたデータだ。たとえば企業が廃棄したはずのパソコンが中古パソコン店などに流れ、それを購入した人が何らかの手でデータを復旧させ、それを ダークウェブで販売しているようなケースである。あるいは、小遣い稼ぎや(リストラなどの)意趣返しを目的に意図的に機密データを盗み出し、ダークウェブ 上のマーケットで売りさばくようなケースも少なくない。

もともと特別に高いスキルや設備を要求されることもなく、誰でもアクセスできるうえに、その存在自体が徐々に広く知られるようになってきたことで、 ダークウェブ上にこういった新たなマーケットが生まれるようになってきた。今後企業は今まで以上に、オンライン上の“脅威”に対して自衛していくことが必 要になってくるだろう。

自衛とは単にこれまでのように自社のシステムの防御を強固にするということだけではない。社員一人ひとりが情報セキュリティに対するリテラシーを高 めることが必要だ。個人が興味本位でダークウェブに足を踏み入れることでリスクが増大している今、企業は、まずダークウェブ上でアンダーグラウンドな取引 に手を染めるということ自体が違法であり、処分の対象になるということを周知する必要がある。

さらにダークウェブからもたらされる脅威に対して“受け身”の対応だけではなく、自発的に動いていくことも求められる。そのためにはダークウェブ上 で何が今起こっているかをきちんと把握し、次に自分たちにどういった危機が降り掛かってくるかを予測する仕組みが必要だ。実際にそういったサービスを提供 する事業者も昨今拡大するニーズに伴い増えてきている。

このようなダークウェブ上の(簡単には気づかれない)情報のやり取りを早い段階で察知することで、たとえば“HaaS”を利用したサイバー攻撃だけではなく、爆破予告や殺人予告、あるいは風評被害や名誉毀損を引き起こすような事案の抑止にもつながる。

ダークウェブで行われていることは、もはや「知らない」では済まされない。企業にとって自分たちを守るためにも、その存在を認識し、きちんとしたアクションを取る必要があるのだ。

[東洋経済ONLINE]

「自分を大切にしないことです」

 

「私たちの生には、あらかじめ決まった目的も価値も意味もない」

「我々は、意味や価値があって生きているのではなく、生きていることが意味や価値を作ることなのだ」

禅僧・南直哉

[暮らしとおしゃれの編集室]