効果大であることは日頃体感していますが。。。

「肩凝り」「首凝り」「目の疲れ」を足の指から解消する

リフレクソロジー式 不調別マッサージ

足裏は“体の調子を映し出す鏡”であることを知っている人は多いかもしれない。そこで、足裏をほぐす基本のケアから、肩や首の「凝り」や、頑固な脚の「むくみ」などに効果的なセルフマッサージを紹介。リフレクソロジー式の反射区を使って、足裏から体の不調をリセットしよう。今回は、「肩凝り」「首凝り」「目の疲れ」。肩が凝っている人は、首の凝りや目の疲れも抱えていることが多い。足の指に近い「反射区」をマッサー ジすると効果的。凝りと疲れを一気に取ろう。

頑固な「肩凝り」「首凝り」は 目の反射区も加えて一気に解消

現代人にはもはや“付き物”ともいえる、「肩凝り」「首凝り」「目の疲れ」──。こうした首から上に出る不調の解消も、足裏の反射区を知っていると便利だ。

もちろん、首、肩、目にはそれぞれに関連しているとされる「反射区」(イラスト)はあるが、リフレクソロジストの市野さおりさんによれば「肩や首の凝りには、目の反射区を加えてマッサージするのがお薦め」だという。

「首や肩の凝りは目の疲れが原因だったり、反対に肩凝りから頭部への血流が悪くなり、目の疲れを生むこともある」(市野さん)。

該当する反射区に触れてみて、コリコリとした所を見つけたら、重点的にマッサージをしてみよう。肩や首の凝りに加えて、手が届きにくい肩甲骨まわりの凝りが足裏の反射区からほぐせるのも、足裏マッサージならではの特徴だろう。

足裏の反射区は左と右で関連している器官が違う

しっかり押してもみほぐし「肩の凝り」を取る

肩凝りを感じている人は、肩と肩甲骨(けんこうこつ)の反射区を集中的にマッサージしよう。

肩凝りは、主に肩甲骨の周りや、大胸筋(だいきょうきん)といった胸にある筋肉などが固まり気味で、肩の血液循環が悪くなっている状態。凝りがひどければ、肩の反射区も硬くなり、コリコリとしたしこりが見つかるはず。

しこりや痛みのある所は、凝りのひどいところ。柔らかくなるまで、しっかり押してもみほぐす。

足の小指と第4指の付け根付近が肩甲骨の反射区。手の親指を使い、指元に向けて下から上に3方向を押し進めて1セット。これを3セット繰り返す。
肩の反射区は足指の付け根にある。手を使って足指全体を反らし、足指の下にある肩の反射区にもう一方の手指を当て、押しこむように10回もむ。

親指の根元から側面に向けて押し「首の凝り」を取る

「首周辺が凝ると、脳に送られる血液の流れも滞り、頭痛やめまいが起きることもある」(市野さん)。

首の凝り取りは、親指の付け根にある後頸部の反射区から側面にある頸椎にある反射区までの小さなエリアを押す。凝っているとかなり痛いことがあるので、時間をかけて十分にもみほぐそう。

親指の根元にある、少しくびれた部分を手の親指で押しさする。最低5~6回、付け根から側面まで満遍なくほぐそう。

第2指の側面と下側を4方向にこすり「目の疲れ」を取る

長時間のパソコン作業や携帯電話でのメールなど、目を酷使する場面の多い現代では、いつも眼精疲労に悩まされるもの。

足の第2指の親指側と第3指側の根元から関節までが目の反射区。「指の側面と下側を満遍なくマッサージしましょう」(市野さん)。

手の親指を滑らせるように押し進めると痛い場合は、付け根部分を押しこんでもよい。目の奥のどんよりした疲れや、重いまぶたもスッキリしてくる。

足の第2指の付け根から関節までが目の反射区。手の親指を付け根から指先に沿わせて滑らせる。指の下側と側面の4方向を、押しさするように満遍なくマッサージしよう。

(取材・文:船木麻里/写真:岡崎健志/モデル:小町あかり)

市野さおり
看護師 リフレクソロジスト
[日経Gooday]

柔軟な感性と発想。。。

 

星野リゾートの社内はなぜ風通しがいいのか

社員が自律的に動ける組織が持つ5つの特徴

前田 はるみ : ライター

いま、「ティール組織(進化型組織)」と呼ばれる次世代型組織モデルが、経営者や人事担当者たちの注目を集めている。組織には売り上げ目標や予算もなければ、上司からの指示もない。にもかかわらず、社員はモチベーションを高く持ち、自律的に仕事をする。ティール組織とは、働く人が主導するセルフマネジメント組織であるという。

効率重視と合理主義がもたらした弊害

どうすれば社員1人ひとりの主体性を引き出し、限られた人材で生産性を最大化できる組織をつくることができるのか――。これは多くの経営者や管理職、チームリーダーが抱える共通の課題ではないだろうか。今年はじめに日本語訳が発売された『ティール組織』(フレデリック・ラルー著)によると、現代の資本主義社会においては、徹底した目標設定と目標管理のもと、競争に勝つことで利益を拡大し、成長を目指す達成型組織が主流だという。従来型のピラミッド構造をもつこの組織モデルで、これまで多くの企業が業績を上げてきた。

一方で、過度の効率重視と合理主義が働く人たちを機械の歯車のように扱い、人々のやる気を奪い、仕事をつまらなく苦しいものに変えてしまった。そこで、達成型組織に代わる新たな組織モデルとして生まれたのが、ティール組織というわけだ。海外では20年ほど前から登場し、ティール組織の条件に合致する企業もいくつかあるようだが、「完成型」はいまのところない。

日本ではどうか。じつは、ティール組織に極めて近い組織をつくりあげてきた企業がある。国内外で旅館やホテルを展開する「星野リゾート」だ。

1914年に軽井沢で創業した星野リゾートは、4代目経営者・星野佳路代表が運営に特化した経営方針を打ち出し、全国展開するリゾート運営会社へと成長を遂げた。

ラグジュアリーリゾート「星のや」や、温泉旅館ブランド「界」など、国内外にさまざまな業態の旅館を出店。今年4月に都市観光ホテル「星野リゾート OMO7 旭川」を開業、5月に「星野リゾート OMO5 東京大塚」をオープンした。

この躍進を支えているのが、今や星野リゾートの代名詞ともいえる「フラットな組織文化」である。上司と部下の間の主従関係は存在せず、ピラミッド型 組織にありがちなポジション争いや足の引っ張り合いもない。ホテルや旅館の総支配人などの管理職は立候補によって決まり、人事評価は業績ではなくプロセス重視で公平に行われる。現場はトップに“お伺い”を立てなくても、自分たちで意思決定することができる。社員が自分の能力を存分に発揮し、生き生きと働ける環境があるのだ。

筆者は過去数年間にわたり、星野リゾートの競争力の源泉であるフラットな組織と、そこで働く社員の活躍を取材してきた。社員の主体性とやる気を引き出し、企業の競争力につなげられる組織とはどのようなものなのか。拙著『トップも知らない星野リゾート~「フラットな組織文化」で社員が勝手に動き出す』 でも詳しく解説している、日本版ティール組織ともいえる星野リゾートの「フラットな組織文化」の一端を紹介したい。

自由に発想したことを提案し、行動に移せる

1.上からの指示に頼らない

世界のホテルチェーンと星野リゾートの決定的な違いは、前者が本社や本部主導による均一のサービス品質を保証しているのに対し、後者は現場主導で各 地域の魅力を反映させたサービスを提供していることだ。そのため、同じ星野リゾートの施設であっても、コンセプトやサービス内容、滞在の楽しさはさまざまである。現地主導のスタイルを採用するのは、地域の魅力はそこに暮らすスタッフがもっともよく知っていると考えるからだ。

現場に多くの自由が与えられているだけではない。現場レベルでも、スタッフは上司の指示を待つことなく、自由に発想したことを提案し、行動に移せる。実際に現場スタッフの自由な発想から生まれた人気プログラムには、奥入瀬渓流ホテルの「苔さんぽ」やトマムの「雲海テラス」、軽井沢ホテルブレストンコートの「マイ・マルシェ・ウエディング」などがある。その土地でしか体験できないユニークなサービスの数々が、星野リゾートの競争力を高めている。

「誰かの言うことや、誰かの指示に頼らないのが私たちの組織です。トップの言うとおりにすれば評価されるのではなく、顧客満足が高まることに取り組まなければ自分たちの評価にはつながらない。顧客の満足につながると自分たちが信じることをやるしかないのです」(星野代表)

2.安心して言いたいことが言える

意思決定プロセスがトップダウンではないなら、ボトムアップかというと、そうではない。役職に関係なく同じテーブルで議論ができ、誰が発言したかに 関係なく、説得力のある意見が採用される――。これが真にフラットであるということだ。各施設で毎月開かれる戦略会議では、総支配人の意見にスタッフが反 論することもあれば、総支配人の反対にもかかわらず、スタッフの意見が採用されることもある。

言いたい相手に自由に言えるためには、普段から人間関係がフラットであることが求められるが、「これは制度を導入すれば達成できるものではなく、文 化そのものを変えていく必要がある。だからこそ、会社のトップの覚悟とコミットメントが欠かせません」と星野代表。役職にかかわらず皆が同じデスクで仕事 をしたり、互いに役職名で呼ばず、誰に対しても「〇〇さん」と「さん付け」で呼ぶことを徹底したりするなど、フラットな組織文化の阻害要因となる「偉い人 信号」を1つずつ排除していったという。

また、マネジメント層と現場スタッフに与えられる情報量の均一化にも取り組んできた。星野リゾートでは、社員なら誰でも、自分たちの施設の売り上げ や顧客満足度など業績に関する情報にアクセスすることができる。上層部が経営判断に使うのと同じ情報を現場とタイムリーに共有することで、現場スタッフに 正しい議論や判断を促し、自分の仕事に責任を持ち、主体的に取り組める環境を整えているのだ。

管理職にとっても心地よい環境

3.リーダーはつねに正しくなくていい

誰もが経営情報にアクセスでき、しかも言いたいことを自由に発言できる環境では、管理職はこれまでのように「一般社員が知らない情報を持っている」 とか、「部長だから偉い」といった特権や優位性にあぐらをかくことができなくなる。部下からの反論を受けて議論を有利に進めるには、論理的思考が必要になるし、会議で皆の意見をまとめるには、より高度なファシリテーション能力が求められる。リーダーとしての真の実力が問われるという意味で、管理職は試練に直面することになるのだ。

その一方で、「『管理職はつねに正しい発言をしなければならない』というプレッシャーから解き放たれる」という側面もあるようだ。「組織がフラット であるということは、管理職も議論に参加する1人であるということ。思いつきをどんどん発言し、妥当性のある批判を受けたら直ちにそちらに乗り換えればいいのです」(星野代表)。管理職にも自由に発想し発言する機会が与えられるフラットな組織文化は、慣れれば管理職にとっても心地よい環境になるはずだとい う。

4.将来のキャリアパスを自由に描ける

星野リゾートでは、総支配人やユニットディレクターなどの管理職は、立候補によって決まる。やる気のある人がマネジメントに挑戦できる仕組みが整えられているのである。一方で、マネジメントから降りることも自由だ。マネジメントを経験した人が、興味関心の変化や、個人や家庭の事情などでマネジメント から離れ、重責の伴わない現場に戻る選択も可能なのである。星野リゾートでは、役職に就くことを「出世」ではなく「発散」、役職から外れることを「降格」 ではなく「充電」と呼ぶ。

社員がライフステージに合わせて自由にキャリアを設計できるのは、年功序列によらない給与体系であることも理由の1つだと星野代表は話す。「私たちが採用するのは、仕事に見合った給料を支払う給与体系です。勤続年数に関係なく、仕事の価値に対して給料を支払うので、会社として採算が合わないということがありません」。立候補制度の導入により、社員にキャリア設計の自由が与えられるのみならず、マネジメント層の入れ替わりを促し、組織の活性化にもつながっているのである。

社員を放ったらかしにはしない

5.自律するためのスキル習得の機会がある

発言したり行動したりする自由や、マネジメントに挑戦できる自由が与えられていても、それを実行するためのスキルが不足していれば、自由を謳歌できない。結局、上司に頼らざるをえないか、むしろ上司の指示に従っていたほうが楽だろう。フラットな組織文化で主体的に動くためには、相手を説得できるだけ の論理的思考、プレゼンテーション能力、意思疎通のためのコミュニケーション能力、議論を導くファシリテーション能力など、さまざまなスキルが求められるのだ。

社員が好きに動ける環境はあっても、個人の努力や能力に任せきりにする企業が多いなか、星野リゾートでは社員を放ったらかしにはしない。社内ビジネススクール「麓村塾」を通して、上司の指示に頼らず主体的に動くためのスキル習得の機会を社員に提供している。社員1人ひとりに発言や行動の自由を与えると同時に、学びの場を通して社員の自律的な働き方をサポートする。これも社員が自分の能力を存分に発揮し、生き生きと楽しく働くためには大切なことである。

上記に挙げた「フラットな組織文化」の5つの特徴は、「生命体的組織」「個人の自律分散型組織」とも呼ばれるティール組織の条件と近しい。

社員のモチベーションや能力を企業の原動力として機能している点も一緒だ。

先述した新業態「星野リゾート OMO」では、ホテルスタッフが「ご近所専隊 OMOレンジャー」と名付けた案内役を務める。色違いのユニホームを着用し、徒歩圏内でガイド本に載ってないような穴場の飲食店や、名物ママのいるスナッ ク、エンターテインメントなどを案内するという。社員が自ら考えて動く会社でなければ、思いつきもしないサービスであろう。

[東洋経済ONLINE]

ペットの健康管理の第一歩。。。

 

猫のがん原因に飼い主のたばこも、5〜6才以降は発症率高まる

たばこの煙にさらされた猫や犬は、がんの発症リスクが高くなる――。2015年、イギリス・グラスゴー大学の獣医学者らが、受動喫 煙によるペットの健康被害についての研究結果を発表した。それによると、飼い主の喫煙本数が1日10本以下でも、たばこの煙に触れている猫の血液中のニコチンレベルは、非喫煙家庭の猫に比べて明らかに高かったという。

 もちろん、がんの原因はたばこの煙だけではない。近年、ペットの高齢化が進んでいるが、その分“ペットのがん”も増えていると、白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック顧問の獣医師・佐藤貴紀さんは言う。

そもそもがんとは、突然変異を起こした細胞(がん細胞)が増殖し、体に悪影響を及ぼす病気のこと。がん細胞が増殖しすぎると体の組織や臓器が機能しなくなり、最終的に死に至る。

「がんが発生する部位は、人間と同じでほぼ全身。5〜6才(人間の年齢で換算すると36〜40才)以降、急激に発症率が高まることもわかっています」(佐藤さん・以下同)

がんに侵されていても、初期は症状がわかりづらく、発見が遅れることも多いという。

「皮膚がんや乳腺腫瘍の場合、しこりで気づくこともあります。しこり=がんではありませんが、しこりを見つけたらなるべく早く動物病院を受診してください」

動揺してしまうだろうが、まずは落ち着くことが大切。そして「がんの進行具合」「年齢に応じた治療法の相談」「治療費」などを整理しよう。判断が遅くなるほど、がんは進行する。医師から要点を聞いたら、なるべく早く今後について決断すること。

治療法は主に、【1】手術【2】抗がん剤治療【3】放射線治療の3つ。それぞれの治療法のメリット・デメリットは次の通り。

【1】手術
すべてのがん病巣を取り除き、他の部位への転移もなければ完全治癒できるため、がん治療として最も効果が期待できる。一方で、麻酔のリスクと免疫力低下による二次的な障害が懸念される。

【2】抗がん剤治療
麻酔などのリスクを伴わず病気の治癒が見込めるが、体への負担が大きく、耐えられないこともある。

【3】放射線治療
手術で切除できない部分のがんにも効果があり、諦めなければいけなかったがんにもアプローチできる。しかし、全身麻酔が必要になることがほとんどで、治療回数も月2回程度と、体力面・経済面の負担が大きい。

がんの治療は、主にこれら3つの治療法を、進行度や体力などを考慮しながら組み合わせて行う。

また獣医学も日々進歩しており、治療の選択肢は増えているという。では、がんを防ぐにはどうしたらいいのか?

「乳腺腫瘍に関しては、避妊手術を受けることでできにくくはなりますが、現段階でがんを100%予防する方法はありません」

がんの治療には、早期発見・早期治療が大事となる。そのためにも、日々の健康状態のチェックや定期的な健康診断、そして猫と同じ空間でたばこは吸わないなどの配慮を忘れてはいけない。

愛猫の健康を守れるのは飼い主しかいないのだから。

[NEWSボストセブン]

昨今のトレンド、シングルグレーンウィスキー

 

知ったかぶりは恥をかく…「グレーンウイスキーはモルトを薄めた安酒」にあらず【ビジネスマンのための一目おかれる酒知識】

ビジネスマンのための一目おかれる酒知識 第9回ウイスキー編その3~

ビジネスマンであれば、酒好きでなくても接待や会食で酒に親しむ機会は多いです。そして多くの人は「それなりに酒に詳しい」と思っているはず。しかし、生半可な知識、思い込みや勘違いは危険。飲み会の席で得意げに披露した知識が間違っていたら、評価はガタ落ちです。酒をビジネスマンのたしなみとして正しく楽しむために「なんとなく知っているけどモヤモヤしていた」疑問を、世界中の酒を飲み歩いた「酔っぱライター」江口まゆみがわかりやすく解説します。

通常ウイスキーは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしてつくられています。これを「ブレンデッドウイスキー」といいます。
モルトウイスキーとは、大麦麦芽を原料とし、ポットスチルと呼ばれる単式蒸留器でつくられます。一方、グレーンウイスキーは、トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀類に、糖化のための麦芽を15~25%程度加えたものが原料で、連続式蒸留機でつくられます。

ウイスキー愛好家であれば、モルトウイスキーについてはよくご存じですよね? もしかしたら、お気に入りのシングルモルトも1つや2つではないかもしれません。では、グレーンウイスキーについてはどうでしょうか。

ウイスキーの入門書を読むと、モルトウイスキーのつくり方は詳しく解説されていますが、グレーンウイスキーについてはあまり書かれていません。

しかも、ブレンデッドウイスキーに何パーセントグレーンウイスキーが含まれているかは、世界的に規定はなく、メーカーから公表もされていません。

そこでなかには、 「グレーンウイスキーは安価な原料で機械的に蒸溜された混ぜ物ではないか?」 と考える人がいます。

安いウイスキーにはモルトはあまり含まれておらず、ほとんどがグレーンではないかと言う人もいます。安いウイスキーほど飲みやすく味がシンプルなので、そう思うのかもしれません。

たしかに、グレーンウイスキーの成り立ちをひもとくと、はじめは税金逃れのコストダウンが目的だったようです。麦芽に比べて安価な穀類を大量に使用し、19世紀前半に連続蒸留機が発明される前は、単式蒸留器で3回蒸溜してつくられていました。

こうしてつくられたウイスキーの品質は雑味が多かったので、そのまま飲用されることはほとんどなく、スコットランドからロンドンに送られてジンの原料になっていたそうです。ロンドンではグレーンウイスキーをゆっくり精溜して不純物を取り除き、純度の高いスピリッツにしてからジュニパーベリーの実やハーブ類を加え、ジンとして生まれ変わらせていました。

グレーンウイスキーというと、カフェ式とかカフェスチルという連続蒸留機の名前が出てきますが、これは1830年にこの蒸留機を発明したイーニアス・カフェの名前に由来します。それ以前にも連続式蒸留機はいくつか開発されていましたが、カフェ式蒸留機は、縦型の蒸溜塔を何段にも仕切り、もろみが上段から下段に流れながら分溜を繰り返すことによって、アルコール度数を高めていくという革新的なものでした。この設計は、今でも連続蒸留機の基礎になっています。

連続式蒸留機が発明されたことで、グレーンウイスキーの品質は向上し、ジンの原料から、徐々にモルトウイスキーとブレンドするための原料に
なりました。グレーンウイスキーの軽やかさや穏やかさは、重厚なモルトウイスキーとは異なる個性を持っていたので、ブレンデッドウイスキーのベースとして最適だったからです。こうしてブレンデッドウイスキーの軽い味わいは市場で高く評価され、ウイスキーの主流になっていきました。

グレーンウイスキーもモルトウイスキーと同じように、蒸留後は樽に入れて熟成
させます。そしてたとえば12年もののウイスキーであれば、モルト同様12年以上熟成されたグレーンが使われています。

また、モルトウイスキーと同じように、グレーンウイスキーも様々な個性を持っています。モルトウイスキーを蒸溜するポットスチルにはストレート型、ランタン型、バルジ型、オニオン型、ローモンド型などがあり、それぞれ違う個性の原酒をつくり出していますが、グレーンウイスキーの蒸留機にもいろいろな種類があります。

私はキリンディスティラリーの富士御殿場蒸留所でグレーンの蒸留機を見たことがありますが、そこでは3種類の蒸留機を使ってグレーン原酒をつくり分けていました。

五塔式のマルチカラムという連続式蒸留機では、味や香り成分の少ないライトタイプの原酒を、ケトルという単式蒸留機では味や香りが残るミディアムタイプの原酒を、バーボンに使われるダブラーという連続式蒸留機では、ヘビータイプの原酒をつくっているのです。

また、実際に見たことはありませんが、ニッカウヰスキーではカフェ式の連続蒸留機を使っています。創業者である竹鶴政孝氏がこの蒸留機を導入した1963年当時でも、すでにきわめて旧式の蒸留機でしたが、新型の連続蒸留機に比べて原料由来の香味成分がしっかりと残るからと、カフェ式にしたそうです。

世界的にはシングルグレーンウイスキーの商品は珍しいのですが、モルトもグレーンも同じ蒸留所でつくっている日本では、各社からシングルグレーンウイスキーが商品化
されています。

サントリーの「知多」はスッキリと軽やかで、ひじょうに飲みやすい
シングルグレーンウイスキーです。グレーンとは何かを知るのに、最適のウイスキーではないでしょうか。

一方、ニッカの「カフェグレーン」は、飲みやすさのなかに旨味が凝縮されていて、驚きの旨さ。竹鶴政孝がこだわった、カフェ式連続式蒸留機の実力のほどがうかがえます。

キリンディスティラリーの「富士御殿場蒸溜所シングルグレーンウイスキーAGED 25 YEARS SMALL BATCH」は、昨年のワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で「ワールド・ベスト・グレーンウイスキー」を受賞しました。3万円以上する高価なグレーンウイスキーですが、富士御殿場蒸溜所へ行けば試飲できるそうです。

こうしたシングルグレーンウイスキーは、単独で飲むためにつくられたものですが、一般的なグレーンウイスキーは、ブレンデッドウイスキーの味わいのベースとなり、モルトの個性を引き出してくれる存在になります。

サントリーの名誉チーフブレンダー輿水精一さんは、著書の中でこのように言っています。 「ブレンディングの世界は、交響楽団の指揮者にたとえられます。ブレンダー(指揮者)は、多彩なタイプの原酒(楽団員)を統率し、妙なる香味のブレンデッドウイスキーを響かせるというわけです」 つまりグレーンウイスキーは、けしてウイスキーを水増しするための安価なアルコールではなく、ブレンデッドウイスキーという交響楽を奏でる楽団の一員なのです。

[日刊SPA]

新たな一つのライフスタイル。。。

 

ここまできた!「車中泊」の奇想天外な利用実態

車に住む人が増えれば社会が変わる可能性も

 

車離れが言われて久しい。その一方で移動するツールとして以外に車を使おうという動きが加速している。わかりやすいのは車中泊だ。リーマンショック後の節約志向を受け、安く旅する手段としての車中泊に注目が集まり、2008~2009年には車中泊をテーマにした雑誌が登場した。

さらに民主党政権下で行われた2010年6月から1年弱の高速道路無料化の社会実験は車中泊経験者を増やすことになった。2011年の東日本大震災 以降、熊本地震、西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震と時代を追うごとに被災地でのトレーラーハウスの利用が拡大し、北海道では仮設住宅として使われるまでになったことも車内で暮らすことへのイメージを変えた。さらに最近では泊まるだけにとどまらない使い方も出てきている。車中泊はこの先、どこへ向かうの か。

インバウンド旅行者が使う例も増えている

現在、国内にあるキャンピングカーは約11万台。10年ほどで約2倍に増えており、ここ数年は年間数千台ずつ増加している。一般社団法人日本カート ラベル推進協会のアンケート調査によると車中泊経験者のうちの46%がキャンピングカー以外で宿泊していることを考えると、市場規模はそれよりはるかに大 きい可能性もある。近年の特徴はレンタルが増えていること。インバウンドも含め、旅行者が借りて使うケースが増えているのだ。

だが、問題がある。キャンピングカーを借りても停めて泊まれる場所が少ないのだ。よく利用されるのはオートキャンプ場や道の駅だが、オートキャンプ場は数が限られているし、道の駅は夜間、照明が点いておらず見つけられない、トイレが利用できないなどと宿泊できないケースが少なくないのである。

訪日外国人向けの情報発信、体験コンテンツを企画するNPO法人を主催している宮下晃樹氏がその問題解決のために思いついたのが、車中泊可能な場所 のマッチングアプリ「Carstay」だ。夜間使っていない駐車場や空地を登録してもらい、泊まりたい人がアプリ上で予約・利用するというもので、登録から予約、決済までをオンラインで行う。

民泊と違い、部屋はもちろん、寝具などを用意する必要もなく、現時点では旅館業法など該当する法律がないため、許認可も不要。遊んでいる土地が車1台分あり、駐車したところから500m以内に利用可能なトイレがあれば誰でも、どこででも簡単に始められるのが特徴だ。

しかも、このビジネス開始にあたり、三井住友海上火災保険が車中泊旅行者、車中泊事業者向けの保険を業界に先んじて開発し、自動的に付帯する仕組みに。これにより、貸す側、借りる側とも安心して車中泊ができるようになった。

訪日客の困りごと解決から思いついたサービスだったわけだが、このサービスが変えるのはそれだけにとどまらない。

「地方の花火大会やコンサートなど一時的に多くの人が集まるイベントで宿泊施設が足りない場合、あるいはそもそも宿のない場所でもCarstayを導入すれば、一時的に安価に宿泊場所を増やせる。日帰り客より宿泊客が多くお金を落とすことを考えれば、経済効果は大きいはずです」(宮下氏)

定住者ではなく、関係人口を増やす

公共交通機関利用の旅と違い、車での旅には時間の制約がない。そこに泊まるという機能が加われば、旅はさらに自由になる。好きなときに好きな場所に行き、そこに好きなだけ滞在できるようになるのだ。

とすれば、車中泊には地方に人を移動させ、活性化させる力があると言える。車に泊まれるなら、公共交通機関のない、宿もない場所にも行ける。それに泊まれるなら、そこで働ける、暮らせるということにもなる。

Wi‐Fiさえあれば働ける人が増えている今、車中で仕事をする人、なんだったら、そのまま車中で暮らそうという人が出てきても不思議はないのだ。 その人たちがあちこちを移動しながら暮らすとしたら、それによって地方は定住とは異なるものの、その地域に関心や愛着を持ち、関わってくれる人の数=関係人口を増やせるのではなかろうか。

実際、そこに思い至り、イベントを開いた自治体がある。茨城県つくば市だ。2019年3月21~22日に開かれたのは「VANLIFE(バンライ フ)」をテーマにした「つくばVAN泊2019」なるイベント。バンライフとはバンタイプの車で働き、暮らす人たちやライフスタイルのことである。

つくば市は「世界のあしたが見えるまち」を標榜しており、同イベントはこれからの生活、社会を考えるための実験の1つ。具体的に意図したのはズバ リ、関係人口の増加。つくば市の人口はつくばエクスプレス沿線では増加しているが、広大な市内では人口減少、高齢化、少子化が進むエリアがある。そうした エリアで関係人口を増やすためにはバンライフを送る人達に選ばれるまちという手があるのではないかという考えである。

イベントには実際にバンで暮らす「バンライファー」が多数集まった。たとえば、つくば市の担当者が1年前に出会い、イベント開催のきっかけになった という渡鳥ジョニー氏は2018年春から永田町のシェアオフィスの駐車場に置いたバンで暮らしている。離婚を機に10年ぶりに戻った東京で家賃の高さや、 満員電車にうんざりし、人生に最低限必要なモノは何かを自問自答した結果、それほど多くはないことに気づき、以前から気になっていたバンでの暮らしを選択したという。

10年前と違い、都会ではさまざまなものをシェアする暮らしができる。オフィスやキッチンはシェアオフィスで、洗濯はランドリーサービスで、風呂は ジムで、ネットはスマホ、電源はカフェでと考えると、自宅に必要な機能はさほど多くはない。コーヒー、音楽、上質なベッドがあればいいと割切れば中古のバンで十分なのである。

6人乗りバンをDIYし、旅しながら暮らす

しかも、思いついたら好きな場所に移動することもできる。海を眺めながら、鳥のさえずりを聴きながら仕事することも、仕事帰りに温泉に寄ることもでき、眠くなったらそのまま寝てしまえばいい。書いていてうらやましくなる暮らし、働き方である。

渡鳥氏よりもさらに移動を常としてバンに暮らしている人たちもいる。2年前にトラベルオーディオアプリ「ON THE TRIP」というサービスを立ち上げた成瀬勇輝氏と志賀章人氏だ。観光地に滞在して取材するとなると宿泊費や交通費が高くつくが、バンをオフィス兼住宅に してしまえば金銭的な問題が解決する。そこで6人乗りのバンをDIY、旅しながら仕事をし、暮らしているという。

1カ所での滞在は1~2カ月というが、オフィス(!)の面白さに興味を持ち、取材した人たちをはじめ、地元の人たちがバンを訪ねてくることも多く、ホテル滞在時とは違う、深い付き合いになるという。これこそ、まさに関係人口増である。

先端の暮らしを実践する人たちの話を聞いていて思ったのは最近増えている二拠点居住、多拠点居住にバンライフを組み合わせれば関係人口増に加え、空き家などの地域の問題にも解決の糸口が見えるのではないかということだ。

例えば空き家問題については、1人が複数の家を使うという考え方がある。地方の家賃や、住宅価格が下がればほかの地域から「別宅」を求めてくるようになるかもしれないが、そこで問題になるのは移動にかかる費用と時間だ。

あらゆる交通費をまとめて月額定額制にするなど大胆な施策があれば、人は移動するようになると思うが、それはあくまでも個人の妄想。行政がそんなこ とを考えるわけはないだろうから、現実的なのは車利用である。泊まれる車で仕事しながらなら長時間の移動も無駄にはならない。さらに自動運転が実現したら、寝ているうちに別宅に到着という日がくるかもしれない。

もちろん、問題も多数ある。不動産を所有するという経済的、精神的な負担からは自由になるものの、モノへの執着も同時に断ち切らなければバンライフは難しい。最近では断熱材をしっかり入れた一般の住宅以上の性能のあるモバイルハウスも出てきてはいるものの、それ以外では夏は暑く、冬は寒い。ソーラー パネル普及で電気はだいぶ、自由になったというが、まだまだバッテリーは高く、性能も十分ではないという声もある。

オフィス、サウナ、スナックに使っている人も

さらに現時点ではどうしようもないのが水とトイレ。とくにトイレ問題は大きく、バンライファーに女性が少ないのはそのためだ。ポータブルトイレもあるが、狭い空間でのにおい、衛生面の問題を考えると現状の商品では無理がある。

研究機関の集まっているつくばである、一瞬にして排泄物が分解されて粉末になるような技術を開発してくれたりはしないだろうか。災害時にもトイレ問題が深刻であることを考えると、これは決して冗談ではない。バンライフを快適にする技術は災害時の避難生活を快適にする技術でもあるのだ。

また、1人でのバンライフは快適だとしても、それが2人になり、子ども連れになったときにどうするか。住民票や税金その他行政的な問題も多々あるはずで、すべてがすべてバラ色とは思わないが、バンライフに未来の暮らしの糸口があることは確かだ。そこに目をつけ、かつ1985年のつくば科学万博をも じったイベントを開いたつくば市の慧眼(けいがん)には参加者同様、敬意を表したいところである。

ちなみにイベントではバンをオフィス、サウナ、ライブ演奏の舞台、スナックなどとして使っている人が参加しており、ほかの場所では茶室を見たことも ある。かくあるべしを取っ払ってしまえば、車は想像以上に自由で楽しく、社会を変える力にもなる。それが売れないというのはどうしたことか。自動車メーカー各社もつくばVAN泊に参加すべきではなかったかと思う。

[東洋経済ONLINE]