正しい知識と認識から、、、リテラシーこそが不確定な社会を生き抜く力。。。

 

新型コロナ「検査の陽性者」=「感染者」ではない…!PCR検査の本当の意味

ウイルス学研究者の定義する「根本的な感染」は

「新規の感染者」とは、じつは単なる検査の陽性者

ここ最近の報道では、新型コロナウイルスの「第2波」とも伝えられる現在の流行に関し、8月下旬、「7月末がピークであり、新規の感染者数はゆるやかに減少している」との専門家の見方が示されています。厚生労働省に助言する専門家組織(アドバイザリーボード)の見解です。

その根拠として、「1人の感染者が何人にうつすかを示す実効再生産数は、8月上旬の段階で多くの地域で1を下回っている」ということがあげられ、その結果、「感染は縮小している」との趣旨でした。

たしかに大筋では現在の状況はその見解に近いものにあるとは感じています。しかし、ウイルスを研究してきたものとして、この見解とその報道の仕方には異論があります。

日本で「第2波」がきている根拠として、「検査の陽性者」を「感染者」としてとらえ、報道されていることがほとんどで、これはとてもとても重大な問題です。私の結論から申し上げると、「検査の陽性者」=「感染者」ではありません

PCR検査でわかるのは、ウイルスが「いる」か「いないか」だけ

PCR検査での陽性とは、PCR検査で新型コロナウイルスが検出されたことを意味します。

PCR法は何を検出しているのかというと、ウイルス遺伝子(新型コロナウイルスRNA)の断片になります。ウイルス遺伝子の断片が見つかったということは、「ウイルスが今いる」、あるいは、「少し前にいた痕跡がある」ということになります。

つまり、ウイルスの断片が残っていれば陽性になるということです。そのうえで、ウイルスの状態がどうなのかまでは、わかりません。ここがポイントです。PCR検査で確定できないことはいくつもあるのです。その例を5つ示します。

1=「ウイルスが生きているか」「死んでいるか」もわからない。

ウイルスは「生物」ではないという考え方もあり、正式には「活性がある」との意味ですが、この記事では一般にわかりやすいように「生きている」と表現します。PCR検査では、ウイルスが生きていなくても、ウイルス遺伝子の一部が残っていれば陽性になります。

2=「ウイルスが細胞に感染しているかどうか」もわからない。

PCR検査では、細胞に感染する前のただ体内に「いる」段階でも陽性になりますし、感染し細胞に侵入したあとのいずれの場合でも陽性になります。

3=「感染した人が発症しているかどうか」もわからない。

PCR検査では、発症していてもしていなくても、ウイルス遺伝子の一部が残っていれば、ウイルスはいることになるので検査は陽性になります。

4=「陽性者が他人に感染させるかどうか」もわからない。

たとえば、体内のウイルスが死んでおり、断片だけが残っている場合は他人に移すことはありません。また、ウイルスが生きていても、その数が少なければ人にうつすことはできません。

通常ウイルスが感染するためには、数百〜数万以上のウイルス量が必要になります。しかし、PCR法は遺伝子を数百万〜数億倍に増幅して調べる検査法なので、極端な話、体内に1個〜数個のウイルスしかいない場合でも陽性になる場合があります。

5=ウイルスが「今、いるのか」「少し前にいた」のかも、わからない。

一度感染すると、ウイルスの断片は鼻咽頭からは1〜2週間、便からは1〜2か月も検出されることがあります。これらはあくまで遺伝子の断片です。

感染とは「生きたウイルス」が細胞内に入ることで、発症とは別

いっぽうで、「ウイルスに感染している」とは、どのような状態かというと、感染しているとは、通常(生きた)ウイルスが細胞内に入ることを意味します。

新型コロナウイルスは多くの場合、気道から感染します。気道に生きたウイルスがいても、粘膜や粘液、さらにはウイルスを排出する気道細胞のブラシのような異物を排除する作用などが強ければ、排除され感染に至りません。

これらは重要な自然免疫の作用の一つです。補足すると、自然免疫にはさらに白血球などの細胞が関係する免疫もあります。

また、生きたウイルスが細胞内に入り、「感染」したとしても、その後に症状が出るかどうかはわかりません。細胞内に侵入しても、細 胞の自浄作用などでウイルスの増殖を阻止する場合があります。また、感染細胞が少ない場合も症状としては出ません。これらの場合は発症しないことになります。

一般には、感染したが症状が出ない場合を「不顕性感染」、感染して症状が出る場合を「顕性感染」といいます。

不顕性感染という言葉はよく使われますが、新型コロナウイルスでは、「ウイルスが気道にいるが感染する前の状態」と「感染してからも症状が出ない状態」の両方を不顕性感染とひとくくりにして使われていると思われます。理由は、これらの違いを区別できないからです。

不顕性感染では、通常症状が出ないまま(主に自然免疫系の働きで)治っていると考えられます。通常の感染症の場合、症状が出ない場合は感染しているかどうかわからない訳ですから、病院の受診も検査も薬の服用もしないことになります。

「発症」とは、症状を認める状態

それに対して、顕性感染は感染し症状を認める状態ですので、通常の感染症の場合、感染とはこの状態を指すことになります。この状態で病院を受診し検 査を受けてはじめて「感染している」といわれるのです。では、新型コロナウイルス感染症の「発症」とはどのような状態でしょうか。

新型コロナウイルス感染症が発症するとは、「病気として症状を認めること」をいいます。当然ですが発症している人が、感染した患者さんとなります。

ウイルスに体内の細胞内に侵入(=感染)されてしまうと、隠れてしまったような状態となり、通常、免疫系はウイルスを見つけることができずにウイルスを排除できません。この感染してから症状を認めるまでの期間を潜伏期といいますが、この間は症状が出ないのです。

症状が出るのは、ウイルスが細胞内で増殖し、感染細胞を破壊するか血液などを介して全身に広がることにより生じます。

「検査陽性者」を「感染者」とすることが問題になる理由

さて、ここからが、「検査の陽性者」を「感染者」とすることが、なぜ問題になるのかの説明になりますが、まずは、一般的な風邪のケースをあげてみます。

風邪とは、もちろん風邪の原因となるウイルスの感染により起こる病気です。寒い冬に、素っ裸で布団もかぶらずに寝てしまったら、よほど強靭な人でな ければ、間違いなく風邪をひきます。では、冬に裸で寝たときだけ「偶然に」「運悪く」風邪のウイルスをもらっているのでしょうか?

そうではなく、風邪のウイルスには、裸で寝ようが普通に寝ようが、私たちは普段から常に接触しているのです。つまり、常にウイルスは気道上(のどや鼻)に「いる」のです。

しかし、正常な免疫力がある場合には、風邪のウイルスに感染せずに発症もしません。風邪にかかったのは、冷えなどで免疫力が低下したことによるのです。つまり、通常の免疫力がある場合は気道にウイルスがいても全く発症しないのです。

もし、ウイルスが「いる」状態(PCR検査陽性)を感染=病気としたら、風邪の場合は国民のほぼ全員が感染している、つまり風邪をひいているということになります。

つまり「検査陽性=ウイルスがいる」ことだけでは「感染といってはいけない」のです。

ウイルスをもらっても感染しなければ何も問題はない

私たちは身の回りに存在する微生物と常に接触しているわけですから、ウイルスをもらっても(ウイルスがいても)感染しなければ何も問題はありません。感染しても発症しなければいいのです。そして、たとえ発症しても、重症化しなければいいのです。

補足ですが、これらを決めているのは、ウイルス自体ではなくウイルスをもらった側の免疫力であることも大切な部分です。

現在の日本では、「検査陽性数」=「感染者数」であり、ときには、「感染者数=発症数=患者数」としてひとくくりにされている場合が見られます。ここは今こそ明確に区別して伝える段階にあるのではないでしょうか。

ただし誤解のないように申し添えると、私はPCR検査に問題があるといっているわけではありません。PCR法は一般にはウイルスをもれなく見つける精度はとても高い検査になります。

繰り返しになりますが、遺伝子の一部を数百万倍から数億倍にも増やして検出しますので、理論的にはわずか1個〜数個の遺伝子の断片でも検出できます。

しかし、新型コロナウイルスに対してでは、この「もれなく見つけるという能力」が低く、精度は70%ほどと推定されており、せっかくのメリットが生かされていません。

この能力が低い理由は様々なことが考えられますが、大きくはウイルス量が少ないこととウイルスが変異していることの2点になると思います。にもかか わらず、新型コロナウイルスの検査法ととし、PCR法が世界で共通して行われているのは、他の検査法がないためという点に尽きます。

陽性者が少ない状態で検査数を増やすと、間違いばかりが多くなる

検査にはある程度の間違いが必ず生じます。まず、PCR法は、まれに間違えて、他のウイルスを持っている人やウイルスがいない人(陰性)をいる(陽性)と判定してしまうことがあります。

間違いの頻度が少なくても、数が多くなると問題が大きくなります。とくに陽性者が少ない状態で検査数を増やすと、この間違えて「陰性を陽性」としてしまう数ばかりが多くなってしまうのです。

しかし、これを理由にPCR検査がまったく意味がないということにはなりません。陽性者が少ない状態で検査を増やすのが問題ですので、本当の陽性者が多いと疑われる集団に限定して検査するのは問題ないのです。

つまり、PCR検査とは、無症状の人を含めて闇雲に検査をするものではなく、医師が診察して(あるいは問診などにより)コロナウイルスの検査が必要だと判断した人(陽性の可能性が高い人)に対して行う検査なのです。

PCR検査は、これらのことを熟知して検査するのであれば、全く問題なくとても有益な検査になります。

検査に精力を傾けるよりもみずからの暮らし方や食生活を見直す

もう一点、逆の視点から補足すると、「検査陰性」でも絶対に安全とはいえないのが、PCR検査でもあるのです。

ウイルスをもらってすぐ、あるいは細胞に感染してすぐの状態でウイルスが増えていない場合では、結果は陰性になります。また、検査した後に新たにウイルスをもらっている可能性がありますので、検査が陰性であっても、絶対に安全とはいえません。

安全性を高めるためには、定期的に繰り返しの検査が必要になりますが、それでも絶対にはなりませんし、費用や煩雑さの問題も生じます。

そもそも新型コロナウイルスはそこまでして絶対にいないことを確認する必要があるウイルスではない、と私は考えています。

そこに精力を注ぐよりも、みずからの暮らし方や食生活を見直し、不自然な日常をひとつずつでも自然に沿った暮らし方に改めていくことが、自分自身の 免疫力や自然治癒力を高めていくことにつながります。それこそが、新型コロナを恐れない根本的、かつ、唯一の方法と信じています。

現在の流行は「感染の第2波」ではなく「第1波のくすぶり」ととらえるべき

最後にもうひとつ、定義があいまいなことは「感染の第2波」です。いったんは収束しつつあったとされた日本や、ヨーロッパ諸国で現在起きているとされる第2波は「何」を指していっている言葉でしょうか?

私は、全世界208か国のPCR陽性数やPCR検査数、死亡数などのデータを集めています。詳しい解析結果は私のSNSに紹介していますので、ここ では省きますが、現在の第2波がきているとされる世界のすべての国(16カ国)のデータをまとめると次のようなことが見えてきました。

●流行は必ず収束するが、患者の発生がなくなることはない。私はこれを「くすぶり状態」といっています。

●COVID-19では不顕性感染が多く、検査数が増えると陽性数も増えるため、陽性数だけでは第1波と第2波を単純に比較できない。

●陽性率(陽性者/検査数)を計算すると、全世界のすべての国の解析で第1波の陽性数ともよく相似しており、陽性数よりも流行の実態に近いと考えられる。

●第2波がきているように見えても、陽性率の推移ではほとんどの国(13か国)が第1波後のくすぶりの状態であり、死亡数の増加はみられない。日本もこの中に入る。

13か国とは、日本、スロベニア、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、ギリシア、マルタ、スロバキア、スペイン、カンボジア、トニダード・トバゴです。

●本当に第2波がきていると考えられる(陽性率も増加している)のはわずかに3か国だけで、第2波の死亡数が増加しているのは、この3か国のみである。

3か国とは、オーストラリア、イスラエル、クロアチアです。

●現在の日本の陽性者数であれば、今後重症者や死亡数が大きく増加する可能性は低いと思われる。

現在の日本の現状は、陽性数がかなり増加しているように見えても、陽性率ではほとんど増えておらず、第1波後の「くすぶりの状態」の範囲内というのが私の結論です。

つまり、見かけ上、「第2波」のよう見える今の流行は、本当の第2波ではないと思われます。陽性率もわずかに上昇していますので、これを仮に「第2波」としても、とても小さな第2波ということになります。

今後、新型コロナウイルス感染症は、単純に検査陽性数だけではなく、陽性率や重症者数、死亡数に着目していく必要があると考えています。そういう意味では、真の第2波に備えることは、これまで以上に大切になるでしょう。

[マネー現代]

何事もよく考えて調査をしてから実行に。。。

 

本当に覚悟してる? プライベートキャンプ場のための森林購入

 今、「森林購入」がブームだそうだ。それもプライベートキャンプ場をつくるのが目的だという。

 テレビ番組や新聞などがこうした話題を相次いで取り上げている。私のところにも何かとコメントを求める申し込みがやって来る。

 ただ私が「素人が森林を買う」ことの問題点やデメリットを説明しても、ほとんど採用されない。あくまで明るい話題として「森林購入」を取り上げたいのだろう。

たしかに今年になって森林を買いたいという人が増えたのは事実らしい。どうやら芸能人のヒロシが、自分で山を買ってプライベートキャンプ場づくりをしていることをユーチューブで配信したことがきっかけだとか。そして、思いがけず森林が安いことを知る。何千坪の土地がせいぜい数十万円なの だ。これなら自分の小遣いでも手が出るぞ、と気づいたのだろう。

意外と頻繁に行われた森林売買

 せっかくだから、森林売買に関する事情の推移を紹介しておこう。

 まず、これまでも山(もしくは森)の売買は、結構頻繁だった。先祖代々引き継いできた山…といった言い方をする人もいるが、かなりの頻度で所有者が変わっているのが普通だ。おそらく2、3代以上前から持っている森林は多くないだろう。

 戦後は、木材価格が高騰したため森林の購入が多くなった。購入者は、当然山にある木を伐って売る、あるいは木を植えて林業を行うことを目的に購入するのだ。

 だが林業が斜陽になり、木材価格も安くなると、森林売買も沈静化する。

 そんな林業斜陽時代の森林売買というと、その山に道路や鉄道を敷く、工業団地やゴルフ場を建設するといった目的が多くなる。最近では、メガソーラーを建設するケースもある。バイオマス発電の燃料として生えている木をすべて伐採して、その後は放置されることも起きる。いずれも森を森でなくしてしまう使い道だ。そのため森林売買によいイメージがなくなってきた。

 むしろ所有者が森を捨てる(相続や経営を放棄する)ことの方が話題に上がりやすくなってきた。

外資が森を奪う?原野商法も

 2010年前後から、今度は「外資が日 本の森を奪う」という声が突如出てきた。ようするに外国人・外国籍の会社が日本の土地を奪う(もちろん正規の手続きで購入する)ことに危機感が現れたのである。なかには「日本移住のため」「日本の水資源を狙っている」という推測(妄想?)が幅を利かせ始める。

 実際に取材してみると、つまらないガセネタだった。山を買って水を取るというのも、非科学的である。もちろん森を購入する外国人も多少はいるだろうが、たいてい別荘地とかその周辺の土地だ。むしろ「外資が森を奪おうとしているから日本人に買ってほしい」というネタで山林ブローカーが暗躍し たというのが本当のところだろう。これは原野商法に近い。

そして今年になっていきなり「キャンプ場にするため」の森が買われ始めたというのである。これまでと違って、牧歌的な理由だけに、マスコミも楽しいネタとして扱えると飛びついたか。だから楽しくない私のコメントは、カットされるのかもしれない(笑)。

甘くない草刈りや伐採

 私は、何も一般人が森林を購入してそこでキャンプすることを否定したいのではない。キャンプを通して自然と親しむ機会が増えるのはよいことだ。また下手なキャンプ場では、シーズンだとすし詰め状態で、見知らぬ他人の目を気にしたり、騒音などマナー違反も発生する。それに木を伐ったり、たき火したりするにも制約があって難しい。その点、自分の土地で自由にキャンプ、というのは憧れだろう。

 実は私も親戚から引き継いだわずかな山林を持っており、よく似たことをやっている。だから魅力は知っているつもりだ。

 だが、森林を所有して利用しようとすると、甘くない事項がいろいろある。

 ここで細かな山林に関する法律や税金の話は控えるが、たとえば建築物を建てるのは慎重にしなくてはならないなどの問題はある。

 もっと身近な例で言うと、草刈りが大変。日本の山は、放置するとたいてい草ぼうぼう、低木がびっしり生えてブッシュになる。それではキャンプもできない。だからせっせと刈らねばならないが、1か月もすればまた草ぼうぼうになる。もし月1のスパンのキャンプを行うつもりだったら、行くたびに草刈りに時間を費やさないといけないだろう。

 また木の伐採も慎重にやらないと、死傷事故につながる。チェンソーの事故は多いし、倒れる木を制御できずに人を傷つけることは非常に多いのだ。

野生動物や虫の大群の出現

 そして野生動物の恐怖にも備えないといけない。とくにイノシシは増えている。もし、食べ物を外に置いておいたり、食べ残しを捨てたりすると、臭いで寄ってくる。埋めても掘り返す。少々の網や柵はあっと言う間に壊される。

 最近はクマもよく出るようになった。食べ物を不用意に出すと、野生動物を誘引してしまうから注意が必要だ。

たき火をして、煙が上がると、近隣の人が山火事と間違えて通報したり、怒鳴り込んでくることも少なくない。事前に「ここで今晩キャンプします。たき火もします」と伝えるような手間も必要となってくる。(伝えても、たき火は絶対許さないと拒否する人もいる。)

水の確保も大変だ。沢があるからと勝手に引いたら地元の水利権に抵触する場合がある。逆に平坦な場所は雨が降ると、すぐに水浸しになる土地もある。そのうえヒルが群生しているケースだってある。それでなくても、虫が多すぎてうんざりすることは多い。

大雨で崩壊すると賠償問題?

より恐ろしいのは、近年頻発する台風・大雨で崩壊することだ。もし 自分の森林が崩れて他人の土地(宅地や田畑)を傷つけたら大変だ。あるいは倒木が道を塞ぐような事故も起きる。その倒木が電線や電話線を切断したら大騒動となる。もしかしたら賠償責任を問われる可能性だってあるだろう。緩やかな斜面でも、雨が一カ所に流れ続けたら、地面が抉れて気がついたら深い谷(深さ 2~3メートルぐらいは珍しくない)になってしまう。

 だが、そうしたこと以上に私が心配しているのは、「本当にキャンプ場として生涯(少なくても数十年)利用するの?」という点だ。おそらく飽きてくることもあれば、事情で通えないことも起きるだろう。年をとれば体力的にきつくもなる。

 利用しなくなれば、山は荒れる。ブッシュになって近寄りがたくなる。すると、いよいよ行きたくなくなる。結果、放棄林となるだろう。もともと不在地主だろうが、忘れられた土地になる。本当は使わなくなった時点で処分すればよいのだが…。

キャンプに飽きたら忘れられる森

 キャンプ場に向いた森林として売り 出されるのは、たいてい小さく分筆しているが、そうした狭い土地(森林業界?では1ヘクタール程度の広さでは、狭くて価値がないとされる)が所有者不明になれば、手を付けられなくなる。仮に所有者が亡くなった場合、ちゃんと相続登記されないと、さらに複雑に分散してしまう。

 こうなると誰も手を付けられず、将来的に地元の人が道を入れようとしても無理となるし、利用不可能になる。外国人が所有する以上に厄介な存在になるだろう。

だから、森林を所有することには覚悟を持ってもらいたい。安いからとりあえず買っておくかと安易に購入すると、後々自分が後悔するだけでなく、地域にも迷惑をかけかねないのだ。だから私のちょっと否定的なコメントもカットせず注意を払ってほしい(笑)。

改めて付け加えるが、自分の森林を持ってプライベートキャンプを行うのは、楽しい行為だ。より深く森と触れ合うきっかけになるだろう。だが、どんな形であれ森林の所有には、長期的なヴィジョンを持ってほしい。その覚悟がないと、結局森嫌いになるだけかもしれない。

田中敦夫
森林ジャーナリスト

[YAHOOニュース]

夫婦共生涯労働こそが最強の老後対策。。。

 

最強の老後資産形成は
夫が家事・育児をやること?

先日、Twitterを眺めていたら、ちょっと興味深い“つぶやき”が目に入ってきた。その内容は「最強の老後資産形成は夫が家事・育児をやることである」というごく短いツイートである。一見、老後資産作りと夫の家事は関係ないように思えるのだが、要するにこのツイートが意図するところは「夫婦共働きのススメ」ということなのである。それも、いわゆる「106万円の壁」や「130万円の壁」などを意識してパートで限定的に働くのではなく、妻もフル タイムの正社員で働いていることこそが最強であり、そのためには夫婦が協力して家事や育児をやるべきだというのがツイートの趣旨だと思う。これは全くその通りで、筆者も以前から夫婦共働きこそが最強の老後対策だと考えているが、それには3つの理由がある。

専業主婦世帯は
2億円以上損をする?

まず最も大きな理由は、言うまでもなく「収入」それも「生涯年収」が大きく増えることである。労働政策研究・研修機構が2019年に出している資 料※1によれば、大卒で正社員の場合、男性の生涯賃金は平均で約2億6900万円、女性の場合で約2億1700万円となっている。残念ながらまだまだ男女 の賃金差は大きいのが現状なのだが、それでも夫婦が共働きの場合だと、夫一人が働いて妻が専業主婦になる場合に比べ、生涯賃金は2億円以上差がつくことになる。

一方、高校卒の場合は男性が2億1100万円、女性は1億5000万円である。仮に夫婦共に高校卒であったとしても合計すれば3億6100万円となるので、大卒で男性一人だけが働く場合と比べても1億円近く多くなる。

後述するが、この金額はいずれも退職金は含まず、60歳まで働いた場合のものなので、これに退職金および60歳以降の就労による賃金を加えると、「1人」対「夫婦」で稼ぐ総額の差はさらに大きくなるだろう。

共働きなら「老後資金2000万円問題」も
解決できる?

次に2つ目のポイントだが、将来受け取る年金額についてもその差は大きくなる。令和2年度の年金額改定によるモデル年金額は、夫婦2人の場合で月 間22万724円だ。これは妻が専業主婦、夫が平均標準報酬43.9万円で40年間就業した場合の数値である。これが単身の場合だと男性の場合で約15万6000円、女性の場合は12万7000円が平均となっている。

ここでも生涯賃金における男女差が反映されているのは残念だが、それでも夫婦共働きの場合はこの金額を合計すればいいので、その額は28万 3000円となる。夫1人で働き続けていた家庭の場合の22万724円と比較すれば月額6万円あまり増えることになる。昨年話題になった2000万円問題は収入よりも支出の方が5万5000円多いために5.5万円×12カ月×30年=1980万円が不足するという計算になっていた。

ところがここでも仮に夫婦共働きであれば、同じ30年間で2160万円増えることになるので、仮に2000万円不足という場合でも共働きをしてき たのなら一挙に解決することになる。つまり、生涯賃金で見ても、その後の年金額で見ても、夫婦共働きはやはり老後資産形成のためには最強の手段と言えるのだ。

リスクだらけの世の中だからこそ
共働きが最強

最後は3つ目の理由である。夫婦共働きは別の意味においても今後ますます必要になっていくと考えられる。それは何かと言うと、リスクコントロールである。

言うまでもなく、今回のコロナ禍の中で、飲食業や小売業においては多くの店が閉店や廃業に追い込まれることとなった。ケースごとに状況は異なるので一概には言えないが、いずれにしても突然、職を失うことになった人は多い。

さらにコロナの感染が収まったとしても、ここから経営状態の厳しい企業や商店が破綻するケースは出てくるだろう。さらに皮肉なことだが、ワクチン の開発やウイルス自体の終息に伴ってコロナ禍が収まってくると、公的支援も縮小されるかもしれない。そうなると経営状況の良くない企業にとっては、ますま す厳しくなることも予想される。

そんな状況の中で、収入源が一カ所しかないというのは明らかにリスクである。サラリーマンといえども、ある日突然、職を失うということが今後現実 的に起こりえるからだ。もちろん最近増えつつある副業もそれなりに必要なことだろうが、やはり夫婦がそれぞれ別の仕事を持つ、それもできれば異なる職種や 業種の仕事に就くのが理想だろう。

退職後の収入の大きさも考慮に入れると
「長く働く」ことも重要

また、「夫婦共働き」に加えて「長く働く」ということも重要なポイントだ。前述したように冒頭で紹介したレポートで出てきた生涯賃金はあくまでも 退職金を含めず、60歳まで働いた場合を基準としているため、60歳以降も働いた場合はさらに金額が増える。現時点で、サラリーマンが60歳以降に働く場 合、引退する年齢の平均は男性が68.8歳、女性が66.2歳である(総務省「国勢調査」から)。この年齢まで非正規、フルタイムで働いた場合の賃金の合 計は男性の場合で言うと、退職金を含めて4000万円となっている。

 女性についてのデータは掲載されていないが、引退年齢が早いことと男性に比べて生涯賃金がかなり低いことも合わせて考えると、男性の半分ぐらいではないかと推定される。それでも合計すれば6000万円ぐらいとなる。老後資金形成の方法として、最強なのは夫婦共働きだろうが、それに加えて、「長く働く」ということも重要なポイントであることがわかるだろう。

60歳で定年を迎えた後、68歳まで働くのは嫌だと思う人もいるだろうから、そういう人はもちろん働かなくてもよい。ただ、現在では男性の平均寿 命は81歳、女性は87歳となっている。かつて定年年齢が55歳だった昭和26年当時の平均寿命は、男性で65歳である。つまり仕事から完全引退した後、 残りの人生は10年ぐらいしかなかったのである。そこで、これを今の平均寿命81歳に置き換えて考えてみると70歳まで働いても別に不思議ではない。現に 高年齢者雇用安定法が今年の3月に改正され、来年(2021年)4月1日からは、企業に対して70歳までの就業機会の確保が努力義務として定められた。時 代はまさに「長く働く」方向へ向かいつつあるのだ。

世の中には老後の資産形成のために投資をすべきだという声は多い。筆者も投資は好きだし、それ自体を否定するものではないが、投資をするには自分でリスクを取る覚悟が必要だ。投資という不確実な手段を老後に備える方法の第一優先とすべきではない。やはり“夫婦共に”“長く働く”ということが最強の 老後資産形成法と考えるべきだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)

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ジム・ロジャーズ「年金はますます目減りする」

逃げ切れると思っているなら大きな間違いだ

「日本は成長しないかもしれないが、年金もあるからなんとかなるはず」・・・。だが、ロジャーズ氏は「そういう人ほど痛い目に遭う」と言う。

ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。今回は『ジム・ロジャーズ 大予測:激動する世界の見方(東洋経済新報社) 』から、海外投資と海外移住、子供の教育についてお伝えします。

もはや日本にいても、海外投資が不可欠

大投資家のジム・ロジャーズ氏は断言します。「残念ながら、これから日本は確実に貧しくなっていく。財政赤字が膨らんでいく一方で、日銀が金融緩和でお金を刷り続けている以上、将来、円の価値は確実に下がるからだ。円がいまの価値を保っているうちに、早急に海外に資産を移すことを勧めたい」

日本にいると、日々のニュースは「今日の新型コロナウイルス感染者は何人出たか」や「特別定額給付金はいつになったら届くのか」などの話ばかりのようですね。

しかし「その裏」では、英格付け会社のフィッチ・レーティングスがコロナの影響で邦銀を格下げしています。例えばみずほフィナンシャルグループとその子会社の存続性格付けは「BBB +」へと引き下げられました。これに対して私が今住んでいるシンガポールの3大銀行の同格付けは「AA -」と、日本のメガバンクよりも高格付けです。

日本人は依然として銀行の預金保険や保護される金額の範囲を気にする人が多いかもしれません。しかし、私は、そのような預金保護の話は、他の国の人からは聞いたことがありません。むしろそれよりも、フィッチのような会社が行っている銀行の格付けや財務基盤を見て、お金を預けるかどうか判断をしている人が少なくありません。

ロジャーズ氏はこう言います。「現在、多くの資産を持っている高齢者たちは、基本的には円高の時代を生きて来た人たちだ。円で資産を持っていれば、その価値は相対的に上がっていった。だから、現金を主体に貯金を増やしていくという行動は、大きく間違ってはいなかった」。

しかし、これからは円の価値が下がることを考えて行動しなければならないのです。ロジャーズ氏は警鐘を鳴らし続けます。「もちろんインフレにも警戒が必要だ。日本の財政はもはや危機的な状況にある。ここまで膨らんだ財政赤字を大きく改善することなどできないし、巨額の借金の返済などできるはずがない。歴史上、財政赤字で窮地に陥った例はたくさんあるが、いずれもきちんと返済できた例はない。結局はみな猛烈なインフレに襲われ、国民の資産価値は大きく失われることとなった」

年金がもらえても、円安とインフレで目減りする

すでに現役を退いている人はもちろん、現在50歳よりもちょっと上の世代も「自分たちの生きている間は大丈夫だろう」と思っている人が多いかもしれません。

しかし、ロジャーズ氏は言います。「日本円で保有する資産と年金をあてにしている人が多いのは想像できる。だが、そういう人ほど痛手が大きくなる。 額面通りの金額を受給できたとしても、円安とインフレで実質的な価値は大きく目減りしてしまうからだ。財政破綻した旧ソ連の年金が、猛烈なインフレでその価値をほとんど失ったことを知るべきだ」

現在、会社員と専業主婦の夫婦2人の標準的な年金額は月22万円程度です。仮に30年後も同程度の金額がもらえたとしても、その時のインフレ率や円の価値次第では、現在から生活水準が大きく下がってしまう可能性もあるのです。

日本人がインフレのことを考えないのは、「失われた30年」でデフレ状態に慣れ過ぎているからかもしれません。しかし、戦後のインフレなど日本でもインフレが酷かった時代も多くあり、今後も同じような状態が永遠に続くとは言い切れません。

しかし、海外投資をすることによって、成長をしている地域から配当を得ることができる可能性が高まります(日本への投資がまったくダメということではありません)。

「1980年代や1990年代には、一般人が海外に投資するのは、ややハードルが高かったかもしれない。しかし、いまでは普通に海外の口座がつくれる。そもそも面倒くさいことが嫌いな人は、海外の株や債券のETF(上場投資信託)に投資すればよい」

実際、SBI証券や楽天証券などのネット証券ではアジアやアメリカ株などの取引が簡単にできます。税金の申告は必要ですが、今では、海外のオンライン証券や銀行口座なども開けることができます。

さらに言えば、日本にいて将来を心配するだけではなく、いっそのこと日本脱出をしてしまうという手もあります。そのためには、やはり英語などの語学ができる方が有利です。実際、日本でも子供の英語教育がちょっとしたバブルとなっています。

子供に「稼げる外国語」を身につけさせる

ロジャーズ氏はアメリカ人ですが、今後はどこが世界の成長の中心となるのかを見極め、早くから行動していました。「私がアメリカを離れてシンガポールに移住を決めた理由の1つは、2人の娘たちに英語とあわせて中国語を習得してほしいと思ったからだ。いま世界の共通語は英語だが私は20年以上も前か ら、将来的には間違いなく中国語の影響力が大きくなることを確信していた」

実際、シンガポールのローカル校では英語と中国語のバイリンガル教育が行われています。また、シンガポールにある2つのアメリカンスクールでも、授 業の半分以上を中国語で行う特別クラスが複数用意されており、欧米人にとても人気が高いのです。英語が母国語の子供達でも、幼稚園など低年齢から中国語やスペイン語などの外国語を習います。

シンガポール人の銀行員の中にも、英語と中国語ができ、かつ日本語も話せるという人も決して少なくありません。英語と中国語ができるのは当然で、そ の他にもう一つ言語ができると優位性があるようです。母国語しか話せないという人は、これからの世界では、「絶滅危惧種」になっていくのかもしれません。

「長女が14歳の頃、私は彼女に『外に出て仕事を見つけてきなさい』といった。それまでは家の手伝いをすると小遣いをあげていたが、そろそろ外で働 く経験をしてもらいたかったからだ。私は、マクドナルドで時給8ドルのパートタイムの仕事を探してくるだろうと思っていたが、彼女はなんと中国語を教える時給25ドルの仕事を見つけてきたのだ」

すでにロジャーズ氏の長女は、シンガポールのローカル有名校を経て、今は英国のボーディングスクールで学んでいます。しかもインスタグラムでも得意 の中国語を活かしてオンラインレッスンを行うなど、精力的に活動をしているようです。実は、私たちがロジャーズ氏へのインタビューの際には、彼の次女も やってきて、英語、シングリッシュ(シンガポール訛りの英語)、普通の中国語などを流ちょうに話してくれました。

「当初はアメリカにいて、娘たちに中国語を学ばせようと考えていた。だが、それでは私が思うようなレベルには上達しないとわかった。だから、家族でシンガポールへの移住を決めた。中国をネイティブランゲージとする環境に身をおいたようがよいと思ったのだ。もうシンガポールに移住して10年以上になる が、いまでは娘たちは中国語を流ちょうに操るようになっている。同じように中国語圏に移住をするなら、カナダのバンクーバーや台湾も良い場所だと思う」

日本人が、ネイティブスピーカーが少ない日本国内で英語を学ぶのは困難です。ロジャーズ氏の娘もシンガポール訛りのシングリッシュを話すようになっ たので、旅行で香港に連れて行き、発音が通じるかどうか試させたそうです。今ではアメリカ英語、シングリッシュの両方と、中国語も流暢に話しますが、当時は訛りがあって海外で英語が伝わらなかったようです。

日本の金融機関も富裕層へのサービス強化が不可欠

5月1日の記事「ジム・ロジャーズ『必ず最悪の結末』が訪れる」でも触れましたが、今回、ロジャーズ氏のメインインタビュアーを務めたモンラッシェ・キャピタル社はシンガポールで「ファミリーオフィス」のサービスを行っています。

このサービスは富裕層の海外移住や子供の教育など、生活周りから資産運用や税務アドナイスなどまでを一括して行うサービス業を言います。同社も、住 宅のwi-fiのセットアップから子息の学校選びや願書の提出の支援まで行っていると言います。さらに言えば、シンガポールの銀行は自動車の売買仲介、新電力の契約斡旋、不動産の売買仲介なども行っているところもありますし、欧州系のプライベートバンクなどでも子供の願書の手伝いなどのファミリーサービスも行っているところもあります。

今後、少しでも収益構造を改善するために、邦銀もファミリーサービスなどに乗り出す流れになるかもしれません。ロジャーズ氏も収益環境の厳しい地方 銀行などは、例えば人材関連やその他のビジネスへの関与を高めていくようにするなど、生き残りのための工夫が絶対に必要だと主張します。

教育も金融サービスも、小さな島国の中だけで生活していると、どうしても自国でのサービスがすべてだと思いがちです。しかし、世界は広く、選択肢はたくさんあるのです。少なくとも、気づき始めた日本人の富裕層の間では、静かな「日本脱出」が流行り始めています。


花輪 陽子 : ファイナンシャルプランナー

[東洋経済ONLINE]