Q.ひなびた温泉ってナニ?
A.ズバリ、“せわしない現代の時間の外”にある温泉です。
昨今注目の「ひなびた温泉」という言葉。大辞林によると「ひなびる」とは<田舎らしい感じがする。野暮である。いなかびる。>を意味する。つまり、ゴージャスやラグジュアリー、はたまた超便利で快適、という温泉宿とは真逆の存在なのである。
10年ほど前から、ひなびた温泉の魅力を発信してきた「ひなびた温泉研究所」 によると、ひなびた温泉の定義は「この“せわしない現代の時間の外”にある温泉」となる。ひなびた温泉研究所ショチョー・岩本薫さん曰く、「かつて、某ウイスキーのCMで“時は流れない。それは積み重なる”とあったように、ひなびた温泉には、過去から綿々と流れてきた時間が積もっている」そうだ。
わかるような? わからないような? もっと具体的には?
「お湯の表面や湯船、蛇口、カラン、浴室全体、建物や温泉街全体にも、そうした“時間”が積もっているのが“ひな湯”なワケで。それらを、五感を総動員して感じるべし!」とのこと。
副ショチョーの上永哲矢さんによると、「再開発や後継者不在により、廃業せずにはいられない昨今、そのままの姿でいることが素晴らしく、われわれにできるのは愛すること、応援すること!」という。どこに“ひな湯愛”を感じるかはヒトそれぞれ。身を“湯”だねてみよ!
ひなびた温泉=ひな湯は、
ゆるくておおらか、ガツガツしていない。
ゴージャスな湯船も最高級のおもてなし、いっさいなし。
ひなびた温泉=ひな湯の味わい方
高級なお宿やスーパー銭湯のように、なんでもかんでも整っているなんてことは絶対にありえないのが「ひな湯」というもの。
不便であったり、キレイとは言い難い……なんてコトは瑣末な問題。ともかく、湯のよさと、そこに蓄積された時間を堪能することに注力しよう。
2 ボロくたって、いやボロさを楽しめ。
3 不便だからこその満足感にひたれ。
湯が違えば蛇口も異なる
蛇口をチェック!
群馬県
四万温泉「積善館」
見事なまでに、温泉の析出物(白とエメラルド色)で彩られた蛇口は積善館の「元禄の湯」で。
島根県
東郷温泉「寿湯」
この路地裏隠し湯系で見つけた蛇口に出会うには、7、8mほどの狭〜い通路をくぐり抜けねばならない。
栃木県
「日光澤温泉」
最寄りのバス停から徒歩2時間。山好きのオアシスとしても知られる宿の蛇口は無骨でかっこいい。
静岡県
熱海温泉「竜宮閣」
源泉成分が付着するため、年に一度は交換するという。んー、ストイック。
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[ディードットサンロクゴ]