■1日2~3杯のコーヒーで脳卒中や心臓病のリスクが軽減!最新の研究で判明
4月開催の第71回米国心臓病学会年次学術集会で発表された3つの新しい研究により、毎日コーヒーを飲むことが心臓の健康に大きく関わることが判明した。
研究者たちは、1日に2~3杯のコーヒーを飲むことが「心臓病」や「心臓リズムの異常」のリスク軽減につながる可能性を発見。さらに学会のプレスリリースによると、コーヒーを飲むことで寿命が伸びることもわかったという。総合的に言えば、コーヒーによる心臓への健康効果の有無は、心血管疾患の有無に関わらないようだ。
この研究に使用するデータは、10年以上にわたり50万人以上の健康情報を集めた大規模データベース「UK バイオバンク」から得られた。研究者は、参加者のコーヒー消費量を調査。「心臓リズムの異常」、「心血管疾患」、「心疾患関連による死亡」、「その他の原因による死亡」との関連性について調べるため、1日当たり「1杯まで」から「6杯以上」で消費量を比較した。
これらの研究では、心臓の健康に影響を与えうる食事要因や、参加者がコーヒーを飲む際にクリームや砂糖(これらはそれぞれ心臓の健康に影響を与える可能性がある)を加えるかどうかについては考慮されていないので、注意が必要。また、研究参加者は白人が多く、実際の人口を反映したものではない。 ただし、運動、アルコール、喫煙、糖尿病、高血圧の有無は考慮されている。
研究結果は?
最初の研究では、心疾患の既往歴のない382,535人の参加者のデータを調査。参加者の平均年齢は57歳で、男女比は等しい。この研究では、1日に2~3杯のコーヒーを飲むと、冠状動脈性心疾患、心不全、心臓リズムの異常、または他の理由で死亡するリスクが約10~15%低下し、最大の効果を得られることが判明。脳卒中や心臓関連の死亡リスクが最も低くなるのは、1日1杯の人であることも明らかになった。
2つ目の研究は、心血管疾患の既往歴がある34,279人が対象。結果として、1日に2~3杯のコーヒーを飲む人は、コーヒーを全く飲まない人に比べて死亡率が低くなった。さらに、消費量に関わらず、コーヒーを飲むことで心臓リズムの異常のリスクが低くなることも分かった。実際に、不整脈のあった24,111人はコーヒーを飲むことで死亡リスクが低下したという。
3つ目の研究では、コーヒーの種類の重要性について調査。「インスタントコーヒー」と「豆を挽いたコーヒー」、「カフェイン入り」と「カフェイン抜き」でそれぞれデータを比較し、心臓に与える影響を調べた。この研究でも、(インスタントと挽きの両方で)1日2~3杯のコーヒーが、不整脈、心臓の動脈閉塞、脳卒中、心不全のリスク低下という観点で最も効果を得られることがわかった。デカフェのコーヒーは不整脈には影響はなかったが、心不全を除く心血管疾患を減少させた。
では、もっとコーヒーを飲んだ方がいい?
心臓に不安がある場合、これまで専門家たちはコーヒーを避けることを推奨してきたが、プレスリリースによると、今回の新たな研究では1日に2~3杯のコーヒーであれば問題ないという結果が示されたとのこと。しかし、カフェインの摂取量を増やす前に、医師に相談することが大切なのでお忘れなく。
この研究の最終著者であり、豪メルボルンにあるアルフレッド病院&ベイカー心臓・糖尿病研究所のピーター・M・キスラー医師は、「コーヒーは心拍を速める作用があるため、飲むことで特定の心疾患を誘発したり、悪化させてしまうことを心配される方もいます。そのため、一般的な医学的助言として、コーヒーを避けるように言われることがあると思います。ですが、我々のデータは、コーヒーの摂取を控えるよりも、むしろ心疾患の有無にかかわらず、健康的な食生活の一部として取り入れるべきであることを示しています」とプレスリリースで述べている。「コーヒーを飲むことには、中立的効果(飲んでも害はないということ)か、心臓への健康効果があることがわかりました」
これまでの常識を覆す研究により、ほとんどの場合で、心疾患があってもコーヒーを控える必要はないことが明らかになった。「我々の研究は、コーヒーを飲むことは安全であり、心臓病を患う人々にとって健康的な食生活の一部となり得ることを示しています」とキスラー医師。
コーヒーのマイナス面は?
コーヒーを飲まない人、もしくは1日1杯程度しか飲まない人は、それ以上増やす必要はない、とキスラー医師は述べている。特に、コーヒーを飲むことで不安や不快感が生じる場合は無理に飲むべきではない。
「私にとって重要なのは、心血管疾患の有無にかかわらず適量であればコーヒーを飲んでも安全だとわかったことです。これらの結果で、普段飲んでいない人々にコーヒーを勧めることはありません」と述べたのは、UTサウスウェスタン・メディカル・センターで循環器内科教授・予防心臓病学部長を務めるアミト・ケラ医師。
「最近の他のデータでは、コーヒーが心拍数を上げ、睡眠時間の減少など他の影響がある可能性もわかっているので、特に観察研究の結果から一律に推奨することには注意が必要です」
また、ケラ医師はこれが観察研究であることから、個人の習慣とコーヒーを飲むことの効果を切り離して考えることは難しいという懸念も示している。
実のところ、心臓を強くするために働いているのはカフェインではなく、研究者たちはコーヒー豆そのものに理由があると仮定しているという。キスラー医師によると、コーヒー豆には100種類以上の生物活性化合物が含まれており、それらは酸化ストレスや炎症の抑制、インスリン感受性の向上、代謝の促進、腸の脂肪吸収の抑制、心拍の異常につながる受容体のブロックに役立つとのこと。
米国心臓協会によると、心血管疾患には心臓発作や脳卒中、心不全、不整脈、心臓弁膜症など、心臓に関する多くの問題が含まれており、統計では米国成人の約半数が心血管疾患に罹っていることが示されている。ケラ医師は、心臓の健康のために、地中海式ダイエットのような食習慣を取り入れることを推奨しているが、もし、医師の同意があり、カフェイン摂取が苦にならないのであれば、毎日の習慣にもう1杯、コーヒーを加えてみるのもいいかもしれない。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
From: Women’s Health JP
[ELLE]