「探す」「動く」「手放す」「赦す」Vol.2

クルマ、家、貯金は不要! 人は手放せばもっと成長できる

寺田倉庫前社長中野善壽×KonMari.Inc川原卓巳!プロデューサー対談(後編)

「こんまり」こと近藤麻理恵は、「片づけ」プロフェッショナルとして、世界で最も知られる日本人の一人となりました。麻理恵さんの世界進出の戦略を手掛けてきたのがプロデューサーであり夫でもある私、川原卓巳でした。初めて書き下ろした書籍『Be Yourself』では、麻理恵さんと二人で歩いてきた「自分らしく輝く」ための道のりをご紹介しています。
今回は麻理恵さんや僕と同じように「捨てる」「手放す」ことに独自の美学を持っている寺田倉庫の前社長兼CEO(最高経営責任者)の中野善壽さん。著書『ぜんぶ、すてれば』にも書かれてある「捨てる」哲学が人生を豊かに生きるコツと話す。前編(「寺田倉庫元社長が語る「人間は抜けているくらいがちょうどいい」)に続いて、後編では守るべきものがないほうが挑戦できると語る(構成:宮本恵理子)。

川原卓巳さん(以下、川原):インタビューの前編で中野さんは、「失敗の定義は人それぞれ違うはずだから、自分の物差しを変えれば、失敗と思っていたものもそうではなくなる。小さなことでも成功と思えば成功。すべては自分が評価するのだし、失敗は成功のための準備だと思えば何も怖くはないのだから、心配するより動き出せ」とおっしゃいまし た。

中野善壽さん(以下、中野):時間の使い方だってそうです。新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えたのに、無為に過ごしている人がどうも多いようです。金曜の17時から月曜の9時まで、あるいは平日の仕事を終えてから寝るまでの時間の過ごし方があやふやで、明確ではないんです。これはもったいない。その時間でできることはたくさんあるはずなのに。

川原:自由な時間を与えられても、 自分のために使うのが下手ですよね。自分の内側に関心を持って問い続ければ、自分が今どういう状態で、何をしたいのかが見えてくるはずです。それが分からなくなるほど、周りの期待や評価に合わせて、自分の声を置き去りにしている人が多いということなのでしょうね。

コロナ困窮の若者に自宅を提供

中野:一人の時間が増えるのはいいことだと思います。寂しさや孤独を感じる時間は、人間の成長にとって重要です。一方で、人と交わる時間も同じくらい重要。つまりはバランスです。

僕はこのコロナ禍の10ヵ月ほど、収入を失って家賃も払えなくなった若者たちに自宅の一部を提供してきました。狭い家に6人くらいを住まわせていると、「一人の時間が欲しいな」と思うようになる。けれど、「休業補償がようやく入ったから」と若者たちが出ていくと今度は寂しくてしょうがない。つくづく、人間は都合よく環境に慣れてしまうものだと実感しました。

川原:自宅を提供されていたというのも、すごい話ですね。

中野:僕は、大金は持たない主義で、若い頃から寄付をしてきたから、お金持ちではないのですが、世の中の金持ちはもっとこういう人助けをやるべきじゃないか、と思いますよ。

政府が配る10万円に文句を言うより前に、個人ができることもあるはずです。民間企業もお上の指示待ちではなく、もっと知恵を絞って思い切った行動をしたほうがいい。

例えば、本当に困っている若者が駆け込むのはいわゆるサラ金、消費者金融なんですから、もっと緩和策を敷いて即金で借りやすくしてあげればいいはずです。返せない分は政府が補償すればいい。こう言う時はスピードが何よりも大事なんですから。

消費者金融の事業者は、若者がもっと気軽に寄れるように、カフェを併設したりして明るい雰囲気を出せばいい。

川原:現実の本質を見ていらっしゃいますね。それに気づいても言えない人が多いのに、中野さんは発言できるのは余計なものを全部捨ててきたからでしょうね。

中野:消費者金融のイメージが悪いのは、そこに行かざるを得ない人たちを差別しているからでしょう。僕は、社会にとって必要な金融機能だと思いますよ。

川原:どうプロデュースするかという問題なんでしょうね。弱者を救う少額貸出の金融システムとして、グラミン銀行は社会的評価も高いけれど、日本の消費者金融はコソコソと行くところだというイメージがあります。

中野:まさにブランディングだと思います。

何もないからこそ挑戦できる

川原:「みんな借りようぜ! 人生一発逆転を狙え!」というキャッチフレーズに変えるだけでも、かなりイメージは変わるでしょうね。

中野:返せなくなった時の救済措置さえ考えていけば成り立つはずです。こういう社会改革を担えるのは、やはり若い世代です。現職のリーダーたちはできていません。現実を知る世代が一つひとつ、ギャップを埋めていくことで、社会は前進すると思います。

川原:若者には現実の課題が身近にあるし、何も持っていないからこそチャレンジもできる。やっぱり「何者でもない」は強みなのですね。

中野:守るものが増えると弱くなってしまいます。身軽が一番。だから僕は家も賃貸だし、クルマも高級時計も持ちません。何も持たないと、新しいものを常に吸収できるんです。

僕はこれまでずっと台湾と日本を行き来していて、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけで50数年ぶりに200日以上連続で日本に滞在しています。東京の地下鉄の乗り換えもバッチリできるようになりました。

身軽になる手始めとしてクルマを手放すのはオススメですね。運動量が増えて、足腰も強くなりますし。次に家の引っ越し。子どもが巣立ったら、60平米以下の賃貸マンションで十分です。老後資金も貯め込み過ぎないこと。5000万円を超えた分は、全部寄付すればいいんですよ。

川原:お金は動かさなければ意味がありません。どんどん循環させて未来のために使う提案に僕も大賛成です。

中野:自分さえよければいいという考えではダメです。個人も企業も守りに入ってはいけません。

川原:そうやって循環型の社会をつくりながら、僕は、世界の中の日本の存在感を高めていきたいと思っています。僕が得意なのは、人やモノや場の価値を見つけて売り出していくこと。だからこれからも日本から世界へのプロデュースをどんどんやっていきたいと思っています。

中野:応援しています。オンラインの仮想空間の中で国境や世代を超えてつながれるネットワークも増えてきたことですし、仲間もどんどんできるでしょう。

川原:中野さんのような先輩方の力も借りて、未来を好転させる輪をつくっていきます。

まずは行動してみよう!

本連載を読んでくださって、ありがとうございます。

書籍『Be Yourself』では、これまで僕が経験してきたことから、あなたに伝えたいと思ったことを書かせていただきました。

一つひとつを順番に試してもらえたら、確実に人生が変わる。そう確信しています。

だからこそ、まずは実践してみてください。行動してみてください。動いてみてください。

情報は世の中にあふれています。本を買わなくたって、ネットサーフィンをするだけでもたくさんの情報を得られます。

でも、知っているだけでは人生は変わりません。本を読んで、「やってみよう!」という気持ちになって、まずは動いてみる。

もし書籍『Be Yourself』を通じて、何かを感じていただけたなら、その情熱のまま、小さくてもいいから簡単なことから始めてみてください。動き出すと、人生は確実に変わります。そして、その変化を起こした自分をほめてあげてください。

紛れもなく、あなた自身が決断した第一歩なのだから。

種明かしをすると、僕はこの本を、昔の自分の背中を押すつもりで書きました。

書いては消し、何度も練り直し、思った以上に時間をかけることになったのは、「何者にもなれないんじゃないかと焦っていた過去の自分」「やりたいことに蓋をしていた過去の自分」と対話を繰り返していたから。

当時の自分でも臆せず行動に移せるよう、実際に行動できる内容に整理し、各章の最後には実践すべきチェックリストも用意しました。また書籍『Be Yourself』の巻末には、自分を知り、活かし、発信し、環境を変えて、磨き続けるためのチェックシート記入見本も用意しています。

自分らしく輝くのは決して難しいことではありません。新しい一歩を踏み出しましょう!

本書の主な内容

■第1章 自分を知る

まずは片づけから始めよう
あなたの魅力は「外」ではなく「内」にある
過去を手放しても「ゼロ」にはならない
「やりたくない」を書き出そう
あなたの「好き」が稼げるかは考えなくていい
時には堕落しきってみよう

■第2章 自分を活かす

時代の文脈を読む
まずは誰か一人の役に立とう
一つずつ丁寧に。途中で失敗してもいい
脱マウンティングのススメ
MUSTの円を小さくする
「今、有名か」は関係ない

■第3章 自分を発信する

最初は良き「受信者」になろう
お金を払って受け取ろう
最前列でかぶりつけ
得意な表現方法を選ぼう
最初はリツイートだけでいい
つながるチャンスを逃さない

■第4章 環境を変える

環境を変える5つのサイクル
てっぺんを目指さなくたっていい
「当たり前」の基準を変える
手を挙げるだけで抜きん出る
上手に「助けて!」と言ってみる
GIVEのしすぎに注意しよう

■第5章 自分を磨き続ける

シルクのパジャマで自分を大切に
早起きで地球を独り占め
夫婦のミーティングは散歩をしながら
午後イチはご褒美タイムから始めよう
身近な人を「さん」付けで呼ぶ
本来のあなたに戻してくれる人を大事にする

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「探す」「動く」「手放す」「赦す」

寺田倉庫元社長が語る「人間は抜けているくらいがちょうどいい」

寺田倉庫前社長中野善壽×KonMari.Inc川原卓巳!プロデューサー対談(前編)

「こんまり」こと近藤麻理恵は、「片づけ」プロフェッショナルとして、世界で最も知られる日本人の一人となりました。麻理恵さんの世界進出の戦略を手掛けてきたのがプロデューサーであり夫でもある私、川原卓巳でした。初めて書き下ろした書籍『Be Yourself』では、麻理恵さんと二人で歩いてきた「自分らしく輝く」ための道のりをご紹介しています。
今回は麻理恵さんや僕と同じように「捨てる」「手放す」ことに独自の美学を持っている寺田倉庫の前社長兼CEO(最高経営責任者)の中野善壽さん。著書『ぜんぶ、すてれば』にも書かれてある「捨てる」哲学が人生を豊かに生きるコツと話す。今回はその前編(構成:宮本恵理子)。

川原卓巳さん(以下、川原):寺田倉庫を経営改革し、天王洲アイルをアート街に変えた中野さん。著書『ぜんぶ、すてれば』を読んで深く感銘を受けたので、お会いできてとても嬉しいです。余計なものを削ぎ落として、本来の自分の価値を見つめて、大切に育てていこう。そんなメッセージを込めて僕は『Be Yourself』という本を書いたのですが、まさに中野さんがやってきた経営改革、人生の積み重ね方は僕のモデルです。

中野善壽さん(以下、中野):ありがとうございます。若い人に響いたのでしたら嬉しいですね。川原さんはおいくつですか。

川原:36歳です。

中野:いいですね。僕はいろんな世代の友人が多いのですが、40代後半から60代くらいの世代はすっかり諦めちゃっている人が多いんです。うまくいかないことを他人や世間のせいにして自分を慰めている。

確かに、苦労して頑張って学校も出て仕事も頑張ったのに「なんでこうなっちゃうの?」と失望する気持ちも分かるけれど、「すべては自分の気持ち次第で、因果応報なのだ」と気づかなければ、人生は進んでいかない。「世間の評価も目標も何もかも捨てていい。大事なのは、今、ここにいる自分の気持ちだ」 というメッセージを僕が発しているのは、他責でがんじがらめになっている人たちへの激励のつもりなんです。

川原:僕らの先輩世代には素晴らしい方々も多いのに、後ろ向きな気持ちのまま滞っているのはもったいないですよね。

中野:その点、今の20代・30代にはパワーがある。うつむきがちな世代の上に立って、「自分たちが超えなければならないんだ」という気概がある。この世代がうまくまとまっていけば、日本は変われる可能性が高いと希望を持っています。

ちょっと抜けているくらいが
ちょうどいい

川原:大先輩がそう言ってくださる のは、心から嬉しいです。僕たちの世代は生まれた時から不況続きでしたし、社会人になってからもおいしい経験はしてこなかった。だから楽観もしなければ悲観もしないけれど、このままでいいとは到底思っていない。自分たちの子どもの世代に、同じ社会を受け渡したいとは全然思えないんですよね。

最近は同世代が一部上場企業の社長になったり、国会議員になったりと、世の中のリーダーシップをとれるようになってきて、斬新な改革に挑もうともしている。でも、その時に壁になるのがやはり上の世代で……。中野さんのような立場の方が「いいから、若いやつらに任せておけ」と言ってくださるのが、本当にありがたいです。

中野:今、30年後の世界を予測す るデータを集めているところなんですけれどね、おそらくその頃には土地に根付いた国という概念はなくなって、散歩する感覚でアジアと日本を行き来するようになるでしょう。そんな未来への転換を、今の20代・30代は難なくできるはずです。40代以降の世代にも、もちろん果たせる役割はある。要はそれぞれの 役割を自覚して、それ以外のものを手放せるかが大事なんですよ。

中野さんの秘書:これ(襟の乱れ)、どうします? 整えましょうか?

中野:あまりちゃんとし過ぎないほうがいいんじゃない? 人は完璧に整えるより、ちょっと抜けているくらいがちょうどいいんだから(笑)

川原:いいですね、その抜け感。チャーミングですし、その姿勢に共感します。大人がちょっと抜けた姿を見せてくれると、僕らはホッとできます。

中野:僕はチャームポイントだらけですよ。例えば、お菓子の袋を開けるとき。年を取ると力を入れないと開けられないので、ついフルパワーでやっちゃって盛大に中身をこぼしちゃう(笑)。

川原:全部完璧にされると、周りはとっつきづらくなってしまいますからね。

中野:ファッションもそう。きちんとした上で、あえて崩す。人と会う時は、鏡の前でちゃんと服装を整えて、頬の筋肉も下がっていないかチェックした上で、30分くらいは普段通りに過ごす。ちょっと崩したくらいが、愛嬌があるでしょう。

作り込みすぎないほうが
ホンモノを伝えられる

川原:極意ですね。「作り込みすぎないほうがいい」というのは、僕もNetflixで番組制作をする際にも強く意識している点です。僕らの番組はドキュメンタリー形式なので筋書きがありません。しかし、コンテンツとしては面白くしたいし、「片づけで人生が輝く」というコアメッセージは確実に伝えたい。

では何をするかというと、“整えて、手放す”。テーマに合う人選やスタッフワークといった事前準備は完璧に設定するけれど、いざ撮影の現場に入ったら何も手を加えない。片づけを体験する家族がありのままの自分をさらけ出せるように、カメラも、照明も、録音も余計な手出しをしないように細心の注意を 払う。

すると、“らしさ”が画面ににじみ出てくる。本当の姿が表現できる。その結果、2019年にはNetflixで配信されたリアリティショーの中で世界で一番視聴された番組に選ばれるという栄誉をいただきました。

中野:「本物のらしさを映し出す」という姿勢にはまったく同感です。

失敗は、成功のための準備
そう思えば何も怖くはない

川原:世の中に流れる嘘の多さに、 みんな気づいているけれど続けているのはおかしいという違和感があるんです。「こうあるべき」「こういうものだから」に縛られて、本当はあるはずもない “正しさ”を追いかけて、みんなが自分自身を見失っている。だから「目が死んでいる」なんて言われてしまうし、生身の人間らしさが感じられない社会になってしまう。もっと枠を外れて、失敗してもいいじゃないかと言いたいです。

中野:そもそも、失敗の定義は人それぞれ違うはずです。だから自分の物差しを変えれば、失敗と思っていたものもそうではなくなる。小さなことでも成功と思えば成功です。すべては自分が評価することであって他人が決められることではありません。それも失敗は、成功のための準備だと思えば何も怖くはないでしょう。

川原:心配するより動きだせ、ということですね。(後編に続く)

[DIAMOND online]

私は一番好きなことは趣味として留め、二番目以降を仕事にしています。。。

 

好きを仕事に──。まさに多くの人が憧れる理想的なワークスタイルを実現してきたのが、芸人でYouTuberのヒロシだ。

「ヒロシです」からはじまる哀愁ある自虐芸で一世を風靡し、一時は最高月収が4000万円を超えるほどの人気者に。2015年には、大好きなアウトドアやソロキャンプをテーマにしたYouTubeチャンネル「ヒロシちゃんねる」を立ち上げ、今年9月にはチャンネル登録者数100万人を突破した。

さらに、この12月には、少年時代を回想した最新エッセイ『沈黙の轍 ずんだれ少年と恋心』(大和書房)を刊行。独特な視点と心に染みる語り口がクセになる、意外な文才を発揮している。

「一発屋」などという世間のイメージとはうらはらに、着々と、飄々と、自分のやりたいことを実現させてきたヒロシ。「やりたいことしかやってない」という彼は、なぜ現在の成功を掴めたのだろうか。

その秘密はずっと続けてきた習慣にある。ひとつは「種まき」、そしてもうひとつが、今回初めてその存在を明かしてくれた「やりたいことノート」だ。やりたいことだけやって成功する方法について、詳しく語ってくれた。


やりたいことをやってるだけ。「戦略」なんて何もない

ピン芸人でブレイクしてから一度、テレビの世界を離れました。トーク番組のひな壇も先輩との付き合いも苦手で。精神的に追い込まれすぎてマンションから飛び降りようとしたこともあった。これ以上、テレビに出るのは無理だと思いました。2009年頃です。

それからは、複数の「種」を同時にまいてきました。「種をまく」といっても、ただやりたいことをやるだけ。頭で考えるだけじゃなく、「やりたい」「面白そう」と思ったら、その瞬間に小さくてもいいから「動く」ことをとにかく続けました。

カフェ経営もやったし、バンドもやった。その中で、自分の予想を超えるほど当たったのがソロキャンプYouTubeだったんです。

キャ ンプは小さい頃から好きでした。YouTubeを始めたのは、自分のための記録。たとえばエッフェル塔に行ったら写真を撮りたくなるように、キャンプに 行っていたら自然と焚き火の動画を撮りたくなった。そして「YouTubeというものがある」と知って、1人のキャンプを記録するために投稿をはじめて、 続けていたら見てくれる人が増えたんです。

とはいえ、やりたいことをやっても、成功もあれば、失敗もあります。じゃあ成功するための僕なりの「戦略」があるのか? 正直、何もありません。

皆、僕がたくさん動いて種まきしたことのうち、「成功」した部分しかみえていないだけなんです。たとえばYouTubeを始める前、「ヒロシのワクワク放送局」という生配信をしたら、一応全国区で顔が知られた芸人なのに、視聴者は2人だけでした。でもそんなことあったの誰も知らないでしょ。知っているのは その2人だけ。気づかれていない失敗を他にもたくさんしてきました。

とにかく、やりたいことは全部やればいい。その過程で、何か結果がでるかもしれない。でもやりたいことだから、結果がでなくても楽しいんですよ。

書きなぐった「やりたいこと」に自分を寄せていく

「自分のやりたいことがわからない」という人には、20年間つづけている僕の習慣が役に立つかもしれません。それは、毎年正月にノートに手書きで「やりたいこと」「なりたい自分」を箇条書きにすることです。

大学生の頃から始めて、芸人として落ち目の時も、今でもつづけています。ただ書くだけですが威力はすごくて、ソロキャンプの仕事や会社の経営も書いてから実現しました。

大切なのは、「やりたい」「こうなりたい」と思いつくことはずらーーーーっと全部書き尽くすこと。僕は何ページにもわたって書くこともあります。

「できる、できない」は一切考えない。ストッパーをかけず、自分の欲望をそのまま書くんです。ちょっとしたことから大それた夢までなんでもいい。「携帯を新しくする」「金髪にする」「年収3億円にしたい」「総理大臣になる」「CAとチョメリたい」だっていいんです。

ノートを誰かに見せたら「総理大臣になれるわけない」「あの有名女優とやれるわけない」と言われるでしょう。でも人に見せるものじゃないから思いつくまま書けばいい。

書 くことの何がいいか? アンテナが立つようになるんですよ。たとえば「芸人になりたい」と書いたら、テレビでオーディション番組の告知が映っていると 「ん?」と反応できるようになります。それが365日積み重なって、自然と「やりたいこと」へ意識や行動が引っ張られるようになるんです。

「やりたいこと」の1年以内の成功率は悪いですよ。普通の大学生の頃に「芸人になる」「冠番組をもつ」って書いていましたから。でも長いスパンで考えたら効果は大きい。10年前の正月に書いたことは、ほとんど達成していると思います。

書いたら見返すことはありません。1年後の正月になったら新たに「やりたいこと」「なりたい自分」を書いていく、とても簡単なことですよ。

始めたら3年は続けた方がいい」なんて信じない

やりたいことも、気が乗らなくなったらやめればいい。「案外楽しくないな」と思うかもしれないし、僕も釣りはずっと好きだったけれど、キャンプを始めてからぱたっとやらなくなりました。また無理のない範囲で続ければいい。

YouTubeは5年も続けているから、「継続できる努力家」だと思われることがあるけど、それはぜんっっっっっぜん違う。

よく見てもらうと、YouTubeは不定期更新なんです。お金稼ぎが目的なら毎日更新の方がいいと思うけど、僕は気が向いたらキャンプに行って、投稿するスタンス。だから5年やっている割に本数は少ないんですよ。

僕は「継続」できない人間です。小さい頃から憧れていた漫才師になったとき、ネタを定期的に作るどころか、サボっていた。翌日にネタ見せがあるのにネタが完成していなくて、少し焦っていても、コンパの誘いがあったら迷わずコンパに行ってましたから。

でも、そうやって途中でやめると、他人から批判的な目線を向けられることがあるかもしれません。「働いたら3年は続けた方がいい」とか言うけれど、そういうよくわからない押し付けは、子どもの頃から疑問でした。

小学生のときにサッカーする時、自然と僕はディフェンスに回されて、クラスの人気者は勝手にフォワードだったことがよくあって。彼らが点を決めて喜んでいる のを僕はただ後ろで見ていたんですよ。「なんでこいつがモテるために俺が付き合わされなきゃいけないんだろう」って思いながら。だって、サッカーの技術試 験をして配置が決まったんじゃなくて、クラスの暗黙のヒエラルキーで決まっているだけなんだから。

つまり、誰が決めたのか、根拠に納得できないなら、一切気にしなくていいんです。やめたいならやめて、続けたいなら無理なく続けたらいい。

言えることはただ一言、「動け」


僕 はYouTube以外のチャレンジも「失敗」とは思っていないんです、生配信もカフェもバンドも。小学生の頃は漫画家になりたいと思って、赤塚不二夫の 『まんが入門』を読んで、Gペンやインクも買ったけれど、すぐやめました。でも、三日坊主だって結果が出なくたっていい。そのとき、やりたいことをやれた。

2009年にテレビを離れてから「『芸人なのにYouTubeやってる』と思われたら恥ずかしい」と踏み留まっていたら、今はありませんでした。

先のことを考えすぎて動かないのが、一番良くない。絶対に成功する法則なんてないんだから、「やりたい」「おもしろそう」と思った瞬間に、小さくてもいいからすぐに行動すること。僕から言えるのは一言に尽きます、「動け」。

[Forbes]

アルコール消毒は、必要最小限に!

花王、人の手指にウイルスを減らす「バリア機能」発見。乳酸が寄与

清宮信志

寒天培地によるハンドスタンプ法による、大腸菌塗布直後と3分後の評価(大腸菌を緑色に発色させている)。

花王 パーソナルヘルスケア研究所、生物科学研究所、解析科学研究所は、ヒトの手指に、ウイルスを減少させるバリア機能が生まれつき備わっており、風邪やインフ ルエンザのかかりやすさに関連していることを世界で初めて明らかにした。バリア機能には個人差があり、手汗から分泌される乳酸が機能に寄与しているとい う。

従来の手洗いやアルコール消毒による菌やウイルスの除去・不活化効果は、一過性のものであるのに対して、生来の手指のバリア機能は恒常的であることから、手指のバリア機能を高めるという新しい衛生習慣の提案につなげるものとしている。

人間の手指は物を持つという運動機能のほかに、触ることで対象物を理解する知覚機能を持つため、接触感染では重要な意味を持っている。菌やウイルスと共存 してきた人間の体内には免疫機能として「抗体」が備わっているが、花王は、ヒトと外界との界面、ヒトの表層の感染防止機構に着目。特に手指はヒトと外界の 重要な接点であるため、菌やウイルスに対抗しうる力を獲得している可能性があると考え、研究に着手した。

予備的な試験として、感染症にかかりにくい意識のあるヒトと、かかりやすい意識のあるヒト数名を選別。手指に大腸菌を塗布して、直後と3分後の手指の菌の状態を調査した。その結果、かかりにくい意識のあるヒトの手指では3分後に菌が大幅に減少していた。

次に、6名のヒトの手指表面の成分を採取して、抗菌・抗ウイルス活性(菌やウイルスを減少させる効果)を評価したところ、手指表面の成分には、大腸菌だけ でなく、黄色ブドウ球菌やインフルエンザウイルス(H3N2)を減少させる効果があることを確認した。また、この効果には個人差があり、いずれの菌・ウイ ルスに対しても高い効果を持つヒトや、その逆のヒトがいることもわかった。

手指表面の成分の抗菌・抗ウイルス活性

さらに、10名のヒトを対象にした数日間の調査で、手指表面の成分の抗菌性の日内・日間変動を検証。抗菌性が高い5名と低い5名に分けたところ、その関係が維持されていることがわかった。

手指表面成分の抗菌性の日内・日間変動(黄色ブドウ球菌に対する評価)

これらの結果から、ヒトの手指には菌やウイルスを減少させる機能が備わっていて、その機能には個人差があり、その機能が恒常的に高いヒトがいるとの着想を得られたという。この機能を「手指バリア」と名づけ、さらに研究を進めた。

手指バリアの重要成分は「乳酸」

20~49歳の健常な男女から、感染症にかかりやすいヒト55名、かかりにくいヒト54名の計109名を選抜し、手指表面の成分を採取して、その抗菌活性 を調査。その結果、評価に用いた大腸菌と黄色ブドウ球菌のいずれに対しても、感染症にかかりにくいヒトの成分の抗菌活性が高く、手指バリアが感染症のかか りにくさに寄与していることが強く示唆された。

なお、感染症にかかりやすいヒトとは、過去3年間にインフルエンザに2回以上かかり、過去1年間に風邪の発症が3回以上のヒト。かかりにくいヒトは、いずれも0回のヒトのこと。

感染症のかかりにくさと手指表面成分の抗菌活性の関係

さらに、20~40代の男女54名の手指表面の成分を採取し、黄色ブドウ球菌とインフルエンザウイルスを用いて抗菌・抗ウイルス活性と相関の高い化合物の 特定を調査した。その結果、その両方に対して相関がある複数の化合物の中でも特に、手汗から分泌される「乳酸」が重要であることが判明。

手指上での乳酸量と、手指表面成分の抗菌・抗ウイルス活性との関係

乳酸水溶液を、手指に存在する範囲で乳酸量を変えて手指に塗布した実験では、乳酸量が多くなるほど抗菌活性が向上したという。

乳酸を塗布した際の手指上での抗菌活性の変化(大腸菌に対する評価)

今後は、手指の感染症に対するバリア機能をより深く研究し、新しい衛生習慣の提案を実現していく。

[impress Watch]

宇宙のロマン

太陽系外惑星からの電波放射をはじめて検知した!?

松岡由希子

<米コーネル大学、仏PSL大学らの研究チームは、地球で初めて太陽系外惑星からの電波放射である可能性がある電波バーストを検知した…… >

電波望遠鏡を用いた宇宙観測により、うしかい座から発せられたとみられる電波バーストが検知された。これは地球で初めて検知された太陽系外惑星からの電波放射である可能性がある。

米コーネル大学、仏PSL大学らの研究チームは、オランダの電波望遠鏡「LOFAR」を用い、ホットジュピター(恒星に近い軌道を公転する高温で大 質量の太陽系外惑星)を擁する星系から電波バーストを発見。その候補となる太陽系外惑星として、かに座55番星、アンドロメダ座ウプシロン星、うしかい座 タウ星を約100時間にわたり観察した。

その結果、太陽系から約51光年の距離にあるうしかい座タウ星から14〜21メガヘルツの範囲で電波バーストが確認された。一連の研究成果は2020年12月16日、学術雑誌「アストロノミー・アンド・アストロフィジックス」で発表されている。

木星を太陽系外惑星に見立て、電波放射を観測

研究チームでは、2019年1月29日に発表した研究成果において、太陽系外惑星の電波放射を分析するためのデータパイプライン「BOREALIS」を開発。この仕組みを検証するべく、木星を太陽系外惑星に見立 て、「LOFAR」を用いてその電波放射を観測し、「木星が太陽系外惑星であったとしたら、木星の電波放射はどのようになるのか」を「BOREALIS」 で計算した。

今回のかに座55番星、アンドロメダ座ウプシロン星、うしかい座タウ星の観察でも「BOREALIS」が用いられている。研究論文の筆頭著者でカー ネル大学のジェイク・ターナー博士研究員は「木星での研究から太陽系外惑星の電波放射がどのようなものかを学んだうえで、実際にそれを探し、見つけることができた」と今回の研究の成果を強調している。

ただし、検知された電波信号は弱く、うしかい座タウ星から放射されたものかどうかについて不確実性は依然として残っている。研究チームでは、複数の電波望遠鏡を用いて、うしかい座タウ星の電波信号の追跡観測をすすめている。

太陽系外惑星の居住適性などの解明にも役立つ

太陽系外惑星からの電波放射の観察は、太陽系外惑星の磁場を検出するための有望な手段であるとともに、太陽系外惑星の内部構造や大気散逸、居住適性などの解明にも役立つ。

研究論文の共同著者でもあるコーネル大学のレイ・ジャヤワルダネ教授は「追跡観測で確認されれば、この電波放射の検知は太陽系外惑星への新たな扉を開き、太陽系から何十光年も離れた異星人の世界を調べる新たな手段を我々に与えるものとなるだろう」と期待を寄せている。

[Newsweek]