意外に知られていない腸活のコツ

 

ヨーグルトだけでは不十分?!腸活のポイントは〝腸内発酵〟にあり

ヨーグルトだけ食べていては腸活としての意味がない?!

近年、健康意識の高まりとともに、〝腸活〟話題に上がることが多くなった。実際、調査会社のネオマーケティングが実施した「健康と腸活」(全国 20~60代の男女、N=1,000)をテーマにした調査によると、34.4%が食べ物による腸活をしていることが判明。約3人に1人が腸活を実践しているという結果となった。

さて、同調査で「どんな食べ物で腸活をしていますか?」という質問もあるが、これには9割が「ヨーグルト」と答え、“腸活=ヨーグルト”の認識が多いことがわかった。

これに対して腸の専門家である松生クリニック院長、松生恒夫(まついけつねお)先生は、「私のクリニックに来られる患者さんも、ヨーグルトを食べることが腸活だと思っている方は少なくありません。しかし、ヨーグルトだけ食べていては、腸活としての意味がありません」と話す。

松生先生によれば「そもそも腸活とは、腸内環境を整え健康に役立てること」。

「主役は腸内細菌です。腸内細菌の分け方の1つに、身体に良い健康効果を及ぼす善玉菌、悪影響を及ぼすのが悪玉菌、中立の立場である日和見菌という3つが知られています。この3つはそれぞれ腸の中で日々陣取り合戦を繰り広げており、善玉菌を増やし、その活動を活性化させることが良い腸活に繋がるとされています」

腸内細菌による発酵を促すことが腸活では何よりも重要

「ヨーグルトに含まれている乳酸菌の多くは、胃酸に弱く、消化の過程でほとんど消滅してしまい、腸に届く時はほとんどが『死骸』となっています。しかし『死骸』となっても善玉菌のエサとなり、増やすことに一役買っていることに間違いはありません」

「ビフィズス菌の中には、大腸に届くものもありますが、何より大切なことは善玉菌の活動。具体的には善玉菌がエサを食べて産生物を出すこと、つまり発酵です。腸内細菌による発酵を促すことが、腸活では何よりも重要なことなのです。そんな正しい腸活のためにはヨーグルトに加え、発酵に必要なエサも並行して善玉菌に与える必要があります」

ポイントとなるのは「食物繊維と腸内発酵力」

「善玉菌の有効なエサとなるのが、食物繊維です。食物繊維は今や、炭水化物、脂肪、タンパク質、ミネラル、ビタミン、に次ぐ『第六の栄養素』と称されるほどの存在。ビタミンやタンパク質など他の栄養分のように消化・吸収されて力を発揮する食品成分とは性質が異なり、食物繊維は人間の体に消化・吸収されない成分。小腸の消化管酵素の作用を受けず、大腸まで到達し、善玉菌のエサとなり、発酵を促進してくれるのです」

「善玉菌はエサである食物繊維を分解し、健康に増進に有効な酪酸を始めとした短鎖脂肪酸を産生します。この一連のしくみを腸内発酵といい、酪酸をはじめとする短鎖脂肪酸が増えます。すると、腸内の酸性度が高まり、ビフィズス菌などの善玉菌は棲みやすく、悪玉菌は棲みにくい環境になります。また、酪酸は整腸効果を高めたり、肥満を予防するなど、全身の健康維持にも深く関係しています」

一方、食物繊維の有効な摂り方は、実は食材選びにあると松生先生は指摘する。

「サラダに入っているレタスやキャベツなどの葉物野菜は大半が水分で、かなりの量を食べないと十分な食物繊維が摂れません。発酵力を高める食物繊維は、穀物や根菜類、海藻、フルーツなどにも多く含まれます。全粒小麦、小麦ブラン(ふすま)や玄米のふすま部分に含まれるアラビノキシラン、大麦やオーツ麦に含まれるβグルカン、菊芋や玉ねぎにふくまれるイヌリンなどが該当します」

松生恒夫(まついけ つねお)先生 / 松生クリニック院長、医学博士

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