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■パート差別禁止対象限定 正社員並み 無期契約が条件 法改正案要綱

 パート労働者の待遇改善を目的に、厚生労働省が通常国会に提出する予定のパート労働法の改正案要綱が12日、明らかになった。正社員との賃金などでの差別待遇を禁止するのは、雇用契約期間に定めがないパートと明記。仕事内容のほか、採用や転勤など人事管理も正社員と全く同じとの条件もつけている。このようなパート労働者は極めて少ないとみられ、安倍首相はパート法改正を「再チャレンジ」促進策の柱の一つに掲げるが、政策効果も限定的となる可能性がある。

 16日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に提示する。要綱では、差別的取り扱い禁止の対象は「正社員と同視すべき短時間労働者」、つまり正社員的パートとし、具体的には、職務内容が同じで「期間の定めのない労働契約を締結している者」と定義する。有期契約を反復更新し、社会通念上、無期の契約とみなすことが相当と認められる人も対象に含める。

 さらに、こうした無期契約の人のうち、待遇差別禁止の対象は「雇用の全期間を通じ、正社員と同様の態様および頻度での職務変更が見込まれる者」とした。働いている間ずっと、仕事の内容や責任、配転などが正社員と等しいとの条件だ。

 厚労省は、実際の対象人数は「分からない」とする。パート労働者は05年に約1266万人いるが、同省の委託調査によると、自分で無期契約だと思っている人は約3割で、期間の短い有期契約の人が大半を占める。企業側の調査では、無期契約の人を雇うのは2割、仕事内容や転勤の扱いなどが正社員と同じパートを雇う企業は15%にとどまり、差別禁止の対象者はかなり限られると見られる。

 要綱ではこのほか、正社員への転換促進策として、正社員の募集情報を伝えて応募機会を与えることや、試験制度の導入、教育訓練への援助のいずれかの措置を義務づける。また、パートを雇う際、昇給やボーナス、退職金の有無を明示した文書の交付を義務づけ、違反企業には10万円以下の過料を科す。改正法の施行は来年4月とする。

◆格差是正へ実効性疑問

 《解説》今回のパート法改正は、パート労働者の処遇について、一部の対象者にせよ「正社員との差別禁止」を明示し、労働側の合意を取り付けていた。一方、経営側には、対象者を絞り込み、企業負担はさほど増えないと説得してきており、要綱が原則として無期契約の人を対象としたことで、この点が一層明確になった。企業の労務担当者からは「この条件に適合するパートはどれだけいるのか。実務への影響はほとんどない」との声が出る。

 しかも、パートの大半を占める有期契約の人については、均衡処遇の努力を求めるにすぎず、再チャレンジを掲げる割には、迫力不足は否めない。自民党が「正社員とパートの壁を取り払うのは重要な政治問題」(中川秀直幹事長)といえば、民主党も通常国会を「格差是正国会」と位置づける。パート法案をめぐる激しい議論が展開されそうだ。

〔朝日新聞〕

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Posted by nob : 2007年01月13日 23:58