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■インドよ、ロシアを忘れるな 急接近の米を警戒 プーチン大統領

 【モスクワ=駒木明義】ロシアのプーチン大統領は25、26の両日インドを訪問し、シン首相らと会談する。冷戦期から一貫した友好国で、軍事、原子力、エネルギー分野の協力強化で合意する見通しだ。中印ロの連携強化で米国の一極支配に対抗するという思惑があるロシアにとって、05年以降インドを核保有国として事実上容認し、急接近する米国への警戒もうかがえる。

 プーチン大統領の訪問を前に、ロシアのキリエンコ原子力庁長官とイワノフ副首相兼国防相が今週、相次いでインド入りした。インド軍の装備の7割以上が旧ソ連・ロシア製。また、インドへの原子力協力は現在ロシアだけが行っており、両国の協力関係を象徴する2分野となっている。

 キリエンコ氏は22日、ロシアの協力でインド南部に建設中のクダンクラム原発に対し、今年春に最初の核燃料を供給する方針を表明した。100万キロワットの原発2基が、今年と来年稼働する予定だ。「インドは核不拡散体制順守の観点から非の打ちどころがない国だ」と持ち上げ、ロシアとしてもインドを核保有国として容認する姿勢を鮮明に打ち出した。

 一方イワノフ氏は同日、プーチン大統領訪印時に多目的輸送機の共同開発・生産で合意する見通しを明らかにした。また、新規の原発建設、サハリン沖の石油天然ガス開発プロジェクト「サハリン3」、イランとインドをパキスタン経由で結ぶガスパイプライン計画などでの協力を歓迎する考えを表した。

 インドに対するロシアの積極姿勢は、両分野で米国が存在感を増しつつあることへの警戒感の表れでもある。ロシアは、インドが近く入札を予定している次世代戦闘機126機の供与契約に意欲を表明しているが、インド側は慎重だ。05年にインドへの武器輸出を解禁した米国が主要な競争相手とされ、軍事分野でのロシアの独占的な立場は揺らぎつつある。

 エネルギー消費が急増しているインドは、ロシアからの調達増強に期待しているが、天然ガスパイプラインについては、ロシアが推すイランルートと競合するトルクメニスタンルートを同時に検討。イランとの協力に反対する米国への配慮があると見られる。

 対印貿易高では、米国は05年に250億ドルを超え、04年に30億ドルだったロシアにすでに大きく水をあけた。

 ロシアは、中国、中央アジア4カ国で作る上海協力機構や、中印ロ3カ国の外相会談などの枠組みで、米国の一極支配への対抗を目指してきた。しかし、昨年6月の上海協力機構首脳会議では、オブザーバー4カ国のうちイラン、パキスタン、モンゴルから首脳が参加したのに対し、インドからはデオラ石油相が出席。当時米議会で進んでいたインドとの原子力協定承認に向けた審議への配慮だったと見られている。

〔朝日新聞〕

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Posted by nob : 2007年01月24日 13:14