« 一歩前進するも、、、時間の問題での解決を望みたい。。。 | メイン | 小さな政府と自治体づくりは民間移譲から、、、国から自治体に移譲しても何も変わらない。。。 »

ボーダレス、官民一体、個人の意識改革、、、今こそ真剣かつ具体的な取り組みを。。。

■温暖化対策:CO2半減政府案 「覚悟」問われる日本

 安倍晋三首相が24日発表した地球温暖化対策は、温室効果ガスの排出量を巡り経済産業省などが抵抗した「2050年までに半減」の数値目標を明記し、環境問題に取り組む首相の姿勢をアピールした。ただ、どの時点を基準に半減するかを示す「基準年」の明記が見送られ、実効性には疑問符がつく。排出量が多い米国や中国も巻き込んだ温暖化防止の国際的枠組みをどう作るかの道筋も見えない。来月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)で議論の主導権を握る「切り札」となるかどうかは不透明だ。【江口一、西田進一郎、大前仁】

 ◇「基準年」明確にせず

 「科学的に精密な議論ではなく、まずは国際社会に向け政治的にインパクトのあるメッセージを狙った」。環境省幹部は政府の地球温暖化対策発表の舞台裏を明かす。

 果たして、「50年までに現状の50%の排出削減」で地球温暖化は防げるのか。結果は基準とする「現状」をいつにするかによって変わる。

 今回の方針で意図したのは、人間活動などによって排出される温室効果ガスの量と、森林や海洋などの吸収量を同じにすることで、大気中の濃度の安定を図ることだという。

 同ガスの約8割を占める二酸化炭素(CO2)の排出量は、1990年に約230億トン。その後、急激に増加し2000~05年の平均では約264億トンになった。一方、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)報告書によると、吸収される量は約114億トンだ。

 単純計算では、基準年を京都議定書の90年にすると、CO2の排出量と吸収量の均衡を達成できる。しかし、今回の方針で示した「現状」とすると、CO2は増加し続ける。

 政府は「半減」を打ち出したが、基準年を明確にしなかった。記者団の問いに対し、担当者は「吸収量には誤差が大きい。基準年を明確にすることではなく、世界と目標を共有することが重要だ」との説明に終始した。

 国立環境研究所参与の西岡秀三さんは「長期的な目標を日本が初めて示したことは評価していい。ただ世界が半減なら、先進国の日本は7~8割は減らす必要があるという覚悟も求められている」と話す。

 政府は、実現への第一歩として京都議定書の目標達成のために各家庭で1人1日1キロのCO2削減などを打ち出した。また、産業分野では原子力の活用や技術革新などを挙げた。だが、従来の内容を繰り返すにとどまり、新たな削減策は示されなかった。

 世界自然保護基金(WWF)ジャパンの鮎川ゆりかさんは「日本の削減目標を掲げていないため、これでは国内で大幅削減を達成するための措置がとれない」と批判。日本の排出量の4割以上を占める産業部門や発電所などへの言及が足りないことにも不満を示し、「さらに省エネ投資を促進させなければならない」と強調している。

 ◇外交効果は不透明

 「『半減』の明記」にこだわった安倍首相だが、ハイリゲンダム・サミットで出される地球温暖化問題に関する最終宣言には、米国の反対を受け、数値目標は盛り込まれないとの見方が強い。数値目標をうたったことが、温暖化対策に積極的ではない米国や中国、インドも参加した枠組み作りを目指す日本の戦略にどんな影響を与えるのかは読み切れない。

 「米国、中国、インドと協力しながら、温室効果ガスを増やさないよう協力しなければ意味がない」。浅野勝人副外相は24日の記者会見で、米国や中国、インドを13年以降の「ポスト京都」の枠組み作りに加えることの重要性を強調した。

 実際政府は、4月の日中、日米両首脳会談で、米中両国から温暖化防止への前向き姿勢を引き出し、一定の成果を上げた。急にハードルを上げ過ぎて、米中がついて来なくなる事態は避けたいのが外務省の本音だ。

 省内には「欧州の言う『90年比で半減』ならば米国や中国も難色を示したろうが、(現状比半減という)今回の案なら反対しないのでは」(幹部)との楽観論もあるが、別の幹部は「サミットは8カ国が合意を目指す場。自分の政策を提案する場ではない」と語り、数値目標が各国の合意に与える影響を懸念する。ただ、政府筋は「数値目標を入れなかったら『米国に甘すぎる』と受け取られてしまう」と漏らした。

 ◇参院選にらみ官邸が主導

 今回の提案は、政府内で別名「安倍イニシアチブ」と呼ばれる。首相を中心に官邸主導で練り上げられたためだ。首相は夏の参院選をにらみ、改憲への意欲を示すタカ派色だけでなく、環境重視を打ち出し支持を広げたい思惑が絡む。

 首相は1月の欧州歴訪の際、英国のブレア首相や環境相経験者のドイツのメルケル首相らと会談し、「国際社会の環境問題への高い関心を痛感した」(周辺)。帰国直後の施政方針演説で「『21世紀環境立国戦略』の策定」を唱え、塩崎恭久官房長官に具体策づくりを指示。しかし政府内には関係する環境省、経済産業省の利害対立から「どうせ小粒になる」(政府関係者)との見方が強かった。

 塩崎長官が動いたのは2月14日。「安倍内閣における環境対策の取組の強化・加速について」と題する1枚の文書を手渡すと、首相は大きくうなずいた。書かれていたのは「我が国の優位性を発揮しつつ世界をリードする総合戦略が必要」との指摘だった。

 塩崎長官は3月下旬、外務、経産、環境の3閣僚を加えた関係閣僚会合を設置し省庁の頭越しに調整する舞台を整えた。首相も休日にゴア前米副大統領の地球温暖化への取り組みを紹介した映画「不都合な真実」を鑑賞するなど、自身の意気込みを発信。サミットへの出発直前の発表にこぎつけた。

〔毎日新聞〕

ここから続き

Posted by nob : 2007年05月25日 09:26