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温暖化対策/気候変動に関する政府間パネル(IPCC)採択

■温暖化対策「今後20年の努力重要」 IPCC統合報告

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は16日夜(日本時間17日午前)、スペインのバレンシアでの総会で、地球温暖化についての科学的知識を広くまとめた統合報告書を承認した。報告書は、海面水位の上昇や生物種の絶滅などに関して後戻りのできない大規模な影響が表れる危険性がはっきりしてきたと新たに指摘。「今後20〜30年の努力が長期的なリスク回避の度合いを決める」と国際社会に対応を強く迫る内容となっている。

 統合報告書は、今年に入って3度にわたって公表した分野ごとの作業部会報告書を横断的にまとめ直し、長期的展望などを追加した。IPCCが6年ぶりに作成する第4次評価報告書の中核となり、温暖化問題で政策決定をするうえで最も重視される文書として、12月にインドネシア・バリ島で開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)をはじめ、京都議定書後の対策などを話し合う際の論拠になる。

 今回の報告書では、特に温暖化の影響を受ける地域として、サハラ以南のアフリカや小島嶼(とうしょ)国などを例示。作業部会段階では、被害をめぐる各国の思惑の違いからこうした記述は見送られていたが、差し迫っている危機を具体的にイメージしやすいよう盛り込んだ。

 途上国側の強い要請から、温暖化に適応していく必要性に力点を置いたのも特徴で、農業や健康、水問題などの分野で対策や資金・技術面などの課題を指摘した。

 新たな知見では、「より少ない気温上昇でも予想以上の被害がもたらされたり、後戻りがきかない変化が突然起こる可能性が見えてきたりした」などと作業部会報告書以上に強い危機感を打ち出した。気温上昇を低くするレベルで温室効果ガスの濃度を安定させるには「今後20〜30年の削減努力と投資が、長期的リスクの低減、回避、遅延をかなりの割合で決定づける」との踏み込んだメッセージを盛り込んだ。

 総会は12日から始まり、世界各国の科学者や政府関係者らが参加した。全体で約2000ページに達する第4次評価報告書のなかから統合報告書に何を盛り込むか、連日深夜まで議論が続いた。

[朝日新聞]


■温暖化対策、2050年までに300兆円必要・IPCCが試算

 【バレンシア=下田敏】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は17日、バレンシアで開いた総会で第4次報告を採択した。地球温暖化の進行を抑えるには、2050年までに全世界の国内総生産(GDP)の最大5.5%(約300兆円に相当)が必要になると試算。「今後20—30年間の削減努力と投資が大きな影響を与える」と、国際社会の取り組みを訴えた。 今年前半に開いた三つのIPCC作業部会の評価報告を統合したもので、6年ぶりの研究成果となる。国連の潘基文事務総長は同日の記者会見で「国際社会の協力による持続的な行動で破滅的なシナリオは回避できる」と強調した。

 報告は早急な対策がなければ、地球の平均気温が今世紀末に最大で6.4度上昇するなど事態が深刻化すると警告。気温の上昇幅を2—3度に抑えなければ世界的に損失が拡大すると指摘したうえで、影響の抑制には50年までに二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出を半減させる必要があるとした。

[日本経済新聞]

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Posted by nob : 2007年11月17日 22:34