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確かに有り得ない。。。

■社説:視点 金正日総書記 演出と脅迫の戦術を放棄せよ=論説委員・中島哲夫

 北朝鮮の最高指導者、金正日(キムジョンイル)総書記は、いったいどんな状態なのか。9月9日の建国60周年行事を欠席したのを機に重病説が噴出したが、1カ月余り過ぎた今も決定的な情報はない。

 韓国の情報機関は当初、金総書記が脳卒中か類似の発作で倒れたものの回復段階にあるという見解を示した。「わきで支えれば立ち上がれる」「自分で歯磨きできる」などと、見てきたような話もあった。

 米国からは「もっと深刻だ」という情報が多く流れ、日本では「すでに死んでいる」との見方も示された。最近では、訪米した韓国の国防相が記者会見で「通常の統治を行うに問題がない」と述べた。米韓両情報当局の判断だという。

 公表されないルートによる情報収集と分析の結果なので「どれが正しい、これは間違いだと断定できない」と、この分野の専門家は話す。もどかしいが、当面は待つしかない。

 注目すべきは、この流動的情勢のなかで北朝鮮が「米国によるテロ支援国家指定の解除」という成果を上げたことだ。

 米政府が国内や日本での反対の声にもかかわらず解除に踏み切った要因は「ブッシュ政権最後の100日間に北朝鮮が核実験をする懸念」だったと、米政府当局者らの証言をもとにワシントン・ポスト紙が報じた。

 イラクで失敗したブッシュ大統領にとって「北朝鮮核問題への対処も誤り、2度目の核実験まで許した」という評価を受けるのはつらいだろう。この不安心理に付け込まれたのだとすれば、北朝鮮の「技あり」という話になる。

 また、指定解除の理由になった核計画検証の米朝合意も問題が多い。内容はごく大筋が発表されたにすぎず、次の6カ国協議で仕上げ、採択する。だがニューヨーク・タイムズ紙によると、米朝が合意した案文は北朝鮮の譲歩の部分が漠然と表現されており、細部の具体的合意は口頭でなされたという。北朝鮮得意の粘り、揺さぶりに使いやすい構造だ。実に危うい。

 こうした成果を得た交渉術はいかにも北朝鮮らしい。危機を演出し脅迫する瀬戸際戦術。金総書記が病床で指揮したとすれば、満足しているだろう。

 しかし、いずれ限界が来る。中国や米国、韓国は「金総書記なき後」に備えている。無用な混乱や犠牲を回避するために、北朝鮮自らも大きな決断をすべきだ。まず最高指導者の健康状態を明らかにし、次の6カ国協議に誠実に臨むことが、最良の道である。ほぼあり得ないこととは思いつつ、提言してみる。

[毎日新聞]

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Posted by nob : 2008年10月19日 11:58