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学校外、家庭でも禁止しなければ、実質的効果は薄い、、、結局は親子の主体性と責任に委ねる以外にはない。。。

■いま考えたい——子どもにケータイは必要か

携帯電話は子どもの間にも急速に普及している。そこに波紋を投げかけた、橋下大阪府知事の「小中学校へのケータイ禁止令」。はたして、子どもに携帯電話は必要なのだろうか。

 12月3日、大阪府の橋下徹知事は、府内の政令市(大阪、堺)を除く公立小中学校で、児童生徒による携帯電話の持ち込みを原則禁止とする方針を明らかにした。小中学校への「ケータイ禁止令」発令だ。公立高校に関しては、通学範囲の広さなどから、持ち込みは認めるものの、校内での使用は禁止される。

学校に携帯電話は必要か?

 携帯電話禁止の理由としては、携帯電話への依存傾向が強い子供ほど、学習時間が短いなどという調査結果が出たことを挙げている。文部科学省は「都道府県単位の規制は聞いたことがない」という。

 このことに関しては、鳩山邦夫総務相や、塩谷立文部科学相らが賛同する一方、東京都の石原慎太郎知事は「親が判断することだ」という見解を示している。しかし、その東京都もすでに10月、学校への持ち込みの原則禁止を呼びかける通知を出している。

 今回は、何かと物議を醸す橋下府知事の発言だったために波紋を広げたが、実は学校での携帯電話使用に関しては、文部科学省が7月25日に通知を出しているのだ。それによると、都道府県や指定市の教育委員会などに対して、「校内では原則禁止にする」「機能を限定する」といった具体例を示して、取り組みの徹底を求めているという。つまり、大阪府知事の発言自体は、文部科学省の方針と同じということになるのかもしれない。

 学校における携帯電話の是非をどう考えるだろうか。筆者の意見を聞かれれば「不要」と答える。

 学校の中で携帯電話が必要なケースは多くない。授業中に使うのはもってのほかだし、休み時間に使う理由もない。もし、親などが緊急で連絡を取りたい場合、学校に直接連絡して取り次いでもらえばいい。教育の場である学校では原則的に携帯電話の出る幕はないはずである。

 一方で「子どもの安全のために携帯電話は必要だ」という人も出てくるだろう。携帯電話があれば、トラブルの際に連絡が取れるし、機種によっては GPS機能でおおよその所在も把握できる。しかし、これで「安全」となるわけではない。不幸にも事件に巻き込まれた児童の中には、防犯ブザーや携帯電話を所持している子もいた。逆に、「携帯電話を持たせているから安心」という親の過信につながる方が問題である。

 といっても、かつては街中に設置されていた公衆電話も、撤去されて数が少なくなってきた。携帯電話の普及が、公衆電話を減少させてしまったのだ。つまり、外出時における緊急時の連絡手段が少なくなってしまっている中で、携帯電話を取り上げるのはどうかという意見も一理ある。

 しかし、橋下府知事がわざわざ「持ち込み禁止」を表明しなければならないほど、現状はひどいのだろうか。

いじめをまん延させている携帯電話

 基本的に携帯電話の持ち込みを許可している学校は少ないが、親が買い与えているケースも多く、その場合は必然的に学校にも持っていくことになる。

 小中学生の親が買い与えている場合、前述のように防犯・セキュリティの意味で持たせている場合がほとんどなので、親の目が届かない学校へ持っていくのは当然となるからだ。最近は、教師の犯罪など、学校も安全な場所ではないという事件が報じられるケースも増えており、親が過剰になっているきらいもあるのかもしれない。

 しかし、学校はもともと、携帯電話の持ち込みを前提としていなかったため、それに対する方策がなされていなかった。その結果として、なし崩し的に、学校への持ち込みが増えていってしまったのだろう。学校では原則禁止にしていても、抜本的な規制ができていなかったのが実情ではないだろうか。いわば、橋下府知事の発言は、この問題を改めて認識させてくれる契機になったともいえよう。

 さて、子どもによる携帯電話の使い方をみると、年齢が上がるほど、通話から電子メール、インターネットへと変わっきているようだ。その変化とともに、見過ごせない状況が生まれてしまった。「ケータイ」からのネットを使った中傷、いじめである。

 この事象自体は昔からあるものだが、それがケータイを媒体とすることによって、悪化しているようなのだ。自己紹介サイトである「プロフ」を偽装されたケース、学校裏サイトでの悪口雑言、そしてケータイメールを利用した言葉によるいじめ——。

 特に、ケータイメールを使う場合は深刻だ。つまり、ケータイがそのまま凶器となるわけである。24時間、ケータイを持っている限り、いつ送られてくるか分からないメール。それが楽しいものであれば生活を豊かにしてくれるが、いじめの手段として使われた場合は最悪だ。

 しかも、ケータイやネットを利用したいじめの場合は、教師など外部の人間による把握が非常に難しくなる。「学校裏サイトチェッカー」が公開されたが、これとて万全ではない。

 ケータイのマイナス面はそれだけではない。出会い系から援助交際に発展したり、事件に巻き込まれたりするケースもある。先日は、ドラッグストアで医薬品を万引きし、それを転売するという事件が発覚したが、万引き実行役の少年は、ケータイ闇サイトで集められている。

 子どもたちが被害にあうケースでは、相変わらず減らない盗撮。最近でも、東京家庭裁判所の事務官が、女子高生を盗撮したとして逮捕された。

 また「有料サイトの料金が未納になっている」という名目でお金を詐取する事件も後を絶たない。子供が引っ掛かった場合は、親にバレたら怒られると思って、お金を振り込むために新たな犯罪を起こしてしまうケースがでてくるかもしれない。ケータイは便利なものであるが、同時に危険なツールにもなる。ケータイフィルタリングもあるが、それだって完全とはいえないだろう。

 しかし、すでに子供たちの社会の中に、ケータイは深く入り込んでしまっているのだ。いくら学校で禁止しても、子どもたちが学校の外に出た瞬間にケータイに依存するな状況では意味がない。いじめに悪用する子どもがいるならやめさせる必要がある。

 ただ「使うな」「禁止」というのではなく、「なぜ、学校で使ってはいけないのか」「何をしたらいけないのか」などといった「ケータイ教育」を、学校および家庭でする必要に迫られているのだ。親は安易に携帯電話を与えるのではなく、使い方のルールを明確にし、違反したら取り上げるくらいの家庭教育をしなければならないのだ。

 河村官房長官は、12月4日夕の記者会見で橋下知事の方針に触れ、「子どもたちの安心安全の問題は、解決方法が考えられるのではないか」と述べている。保護者が、子供の安全の意味で携帯電話を持たせている場合は、携帯電話ではなく別の方法を考える時期にきているのかもしれない。ケータイ依存の状態は子どもにとって、良い状態ではない。

携帯電話の新しい可能性

 携帯電話のマイナス面を取り上げてきたが、もちろんユーザーが発展させている新しい可能性もたくさんある。

 最近は「ケータイ小説」「ケータイコミック」といったものが若者を中心に流行しているが、ケータイコミックスに「音楽」が加わった「うたコミ」なるサービスも開始された。新しいメディア展開として注目される。ケータイカメラからQRコードを読み取ることで、さまざまなサービスを受けられるようになってきた。携帯電話サイトと連動することで、モデルが着用する服を会場で見ながら、すぐに携帯電話から注文できるというファッションショーも開催されている。

 学生に絡んだ内容では、携帯電話のメールを活用した就職支援を実施する大学が出てきた。企業説明会や求人情報などといったものを携帯電話メールで配信することで、きめ細やかにサポートするというのだ。キャリアやコンテンツ提供企業にこうした発展を期待したいところだ。だが、子供への影響にも配慮する必要がある。携帯電話の利点と欠点は、コインの裏表のように常に対として存在しているのである。

[ITMedia]


■【主張】携帯禁止 家庭でも厳しいルールを

 大阪府の橋下徹知事が、公立の小中学校で子供たちの携帯電話の持ち込みを原則禁止することを明らかにした。

 朝から晩まで子供たちが携帯電話を手放せない現状には歯止めが必要である。橋下知事の方針を支持したい。

 文部科学省などの調査では携帯電話を持っている子供は小学6年で約3割、中学3年で約7割にのぼる。高校ではほとんどの生徒が持っている。

 親が連絡、防犯用として持たせるケースもあるのだろう。しかし、多くの親は子供たちの使用実態を知らないのではないか。

 携帯電話には通話以外にメール交換などができる便利な機能がついている。「日本PTA全国協議会」が今春発表した調査では、携帯電話を持つ中学生の半数、小学生でも約1割が深夜までメールをしていた。

 この調査では、メールの返信がすぐにこないと不安になるという子供が少なくなかった。部屋にこもり携帯画面ばかりみていては、学力にも影響する。橋下知事の危惧(きぐ)は当然だ。

 持ち込み禁止に対し、「防犯上必要」など反対の声があるが、大阪府は「両親が働いていて安全確保のため持たせている場合」などを例外として配慮するという。

 そもそも学校の授業に関係のないものは持って行く必要がない。親がまず注意すべきことだ。

 携帯電話を通じ、性や暴力の有害情報に触れたり、犯罪に巻き込まれたりする事件が増えている。メールでうわさ話や悪口を送信し合うなど、いじめの温床にもなっている。

 石川県野々市町では携帯電話を持たせない運動に取り組み、非行防止などにも効果があった。新潟県妙高市は原則所持禁止を呼びかけるという。こうした地域ぐるみの取り組みは少数派だ。

 政府の教育再生懇談会が今春、「必要のない限り持たせない」とする提言をしたときにも保護者らの反応は鈍くみえた。

 子供たちは、お互いの顔がみえないメール交換に熱中するより、友人と外で遊び、本を読むなどの時間がもっと必要だ。橋下知事も「携帯から離れて自分の時間を使ってほしい」としている。

 橋下知事の「禁止宣言」を機会に家庭も責任を自覚すべきだ。携帯電話を持たせるなら親が使用ルールを決め、守らせてほしい。

[産経新聞]

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Posted by nob : 2008年12月08日 21:14