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そのとおり。。。
■ガザ停戦 「必要な犠牲」なんてない
イスラエルが、パレスチナ自治区ガザ地区への攻撃停止を宣言した。ガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスも即時停戦を表明した。
昨年末にイスラエル軍がハマスへの攻撃を始めてから、1300人以上の命が失われた。犠牲者の6割以上は、民間人だという。約4000戸の住宅が破壊され、約4万5000人の住民が国連施設などに避難したと報じられている。
こんな惨状は、直ちに止めなければならない。イスラエル、ハマス双方の停戦表明を歓迎する。
ただし、停戦が長続きする保証はない。どちらも一方的に停戦表明しただけだからだ。ハマスは、イスラエル軍の1週間以内の完全撤退を条件とした。一方、イスラエルは、ガザへの軍事物資密輸の阻止を撤退の前提としている。
イスラエル軍が駐留を続けたり、ハマス側がロケット弾攻撃を再開したりすれば、停戦は水泡に帰しかねない。
イスラエルが停戦に踏み切ったのは、「過剰な攻撃」に対する国際世論の強い批判があったからだ。
国際社会は、この機会を逃してはならない。仲介役のエジプトは、欧州や中東など関係国に呼び掛けて首脳会議を開き、対応を協議した。エジプトや国連による調停を強く後押しし、和平の動きを軌道に乗せたい。20日に発足する米国のオバマ新政権にも指導力を期待する。
まずは、イスラエル軍の早期撤退を求めたい。また、「天井のない監獄」と呼ばれ、住民に窮乏を強いているガザの境界封鎖を解除すべきだ。
停戦や治安維持、武器密輸を監視する国際部隊の派遣も必要だろう。
戦闘でがれきの野と化した町を再建し、住民が暮らしていけるようにすることも急務だ。日本も復興支援や医療・教育など、人道面での支援ならば少なからぬ貢献ができる。
「コラテラル・ダメージ」という政治用語がある。米カリフォルニア州知事のシュワルツェネッガー氏が主演した映画の題名にもなった。
直訳すれば「付随的な損失」。政治や外交の世界では「目的遂行のためのやむを得ない犠牲」という意味で使われる。人命すら「必要経費」のようにみなす、嫌な言葉だ。
ガザ攻撃を、イスラエル政府高官は「やむを得ない犠牲だ」と説明した。まさにこの考え方だ。テロを仕掛けるイスラム過激派の側も同じ理屈だろう。
だが、「必要な犠牲」などあってはならない。「私たちは人間扱いされていない」というガザ住民の叫びから、世界は目をそらしてはいけない。国家や組織の利益に基づく冷徹な論理がまかり通る限り、ガザの悲劇は繰り返される。
「コラテラル」には、「担保物件」という意味もある。ガザの停戦を、中東和平実現への担保として守り抜きたい。
[西日本新聞]
Posted by nob : 2009年01月20日 16:50