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対応にオバマ大統領の真価が問われる。。。

■イラン大統領、「米と対話」を初表明

 【テヘラン=久保健一】イランのアフマディネジャド大統領は10日、テヘラン市内で行われたイラン・イスラム革命30周年を祝う式典で演説し、革命直後から断交している米国との関係改善について、「互いに尊重し、公平な条件の下でなら対話の用意がある」と言明した。

 同大統領が、イランとの関係改善に前向きなオバマ米政権の発足後、米国との対話の意思を明確にしたのはこれが初めて。

 米側も、バイデン副大統領が7日、イランとの対話の意思を発表している。

 アフマディネジャド大統領はまた、オバマ政権が掲げる対中東政策の変更について「戦術的でなく、本質的なものでなければならない」と述べ、イスラエル支持政策などの変更を米国に求めた。

 ただ、同大統領は、1月末の演説では、過去の対イラン政策についての「謝罪」を米国に求めたのに対し、今回はそうした表現を控えており、米国を刺激しないよう配慮した可能性がある。

[読売新聞]


■イランの出方見極め オバマ大統領 信頼関係可能と強調

 【ワシントン=岩田仲弘】オバマ米大統領は九日の記者会見で、イランとの「相互信頼に基づく関係」構築が可能と強調。関係正常化に向けた直接対話に強い意欲を示した。

 同時に「これまで(相互に)不信感が増幅しており、(正常化は)一晩ではなし得ない」とも述べ、なおイラン政府の出方を慎重に見極める考えも強調した。

 米国は一九七九年の在テヘラン大使館占拠事件後の八〇年にイランと国交断絶後、イランに対して強硬姿勢を貫いてきた。特にブッシュ前大統領は、北朝鮮、イラクとともにイランを「悪の枢軸」の一角として敵視政策をあらわにしていた。

 一方、オバマ大統領は大統領選挙の時から関係改善のシグナルを送り続けている。

 ただ、「イランが握った拳を開くなら、手を差し伸べる」(中東の衛星テレビ局アルアラビーヤとのインタビュー)とも発言している。

[東京新聞/11日追加]


■イラン:革命30年 砂上に積んだ「安定」=春日孝之

 「乗り合いタクシーに乗るのが一番だ」。イランの言論人から、何度もそう勧められた。

 イランの都市部で庶民の一番の足は、多くが白タクの乗り合いタクシーである。だが、言論人が勧める理由は、交通手段としてではない。言論の自由が制約されているこの国で、時代の雰囲気を的確につかめる場としてである。見知らぬ者同士、気楽に、本音で政治を語れるのだ。

 「米国がイランを爆撃し、体制を倒してくれたら」。以前はそんな過激発言も珍しくなかったらしいが、今は、体制そのものへの批判は随分減ったという。

 イランは10日、革命30年を迎えた。だが、革命が「イラン革命」なのか「イスラム革命」なのか、論議がある。

 一般的な見方はこうだ。国民のさまざまな階層やグループが結集して親米王制を打倒し「イラン革命」が成就した。その後、革命の中心勢力だった聖職者が他の勢力を順次排除、革命を乗っ取る形で「イスラム革命」を成立させたというものだ。

 革命は、専制的な王制とそれを支えた米国に対し「富の公平配分」を掲げて立ち上がったものだった。キューバ革命など共産主義の影響も受けた。

 だが、革命の帰結について、国民の間には「そんなはずではなかった」「王冠が法衣に変わっただけだ」との不満が渦巻き、イランを去る者が相次ぐ。反体制派に押しやられた一部勢力は武装闘争を続けた。

 そして今。イラン人口約7000万のうち7割が革命を知らない世代。庶民にも携帯電話は行き渡り、自家用車も高根の花ではない。それなりに生活を楽しめるなら、多少の制約や監視をやり過ごせる程度に生活レベルは向上した。体制の存在を意識せずに済むようになった分、体制は安定し、同時に体制の「寛容度」が増したとも言える。

 だが、宗教イデオロギーを体制存立の基盤とする事実上の一極支配は、本来的にジレンマを抱え込んでいる。

 改革派聖職者のハタミ前大統領(97~05年)による言論や表現の規制緩和は「テヘランの春」と呼ばれた。結果的に体制を容認する国民のすそ野を広げたが、自由化は、進み過ぎても後戻りしても体制の根幹を揺るがすリスク要因となる。国民の自由への欲求は生活の満足度とも絡むからだ。

 イラン人はイスラム世界で最も世俗的な国民だ。私の周りで礼拝する者は皆無。そのイランで成立した「イスラム革命」に「中東情勢の予測は悪魔にのみ可能」と評した専門家もいたほどだ。乗り合いタクシーで語られる、革命当時から変わらないフレーズがある。「イランでこの先何が起きるかは誰にも分からない」【テヘラン春日孝之】

[毎日新聞/11日追加]


■イラン:革命30年 政教一致と民主主義 聖俗、矛盾と均衡

 10日に30回目の革命記念日を迎えるイラン。79年にイスラム聖職者ホメイニ師の主導で親米の王制を打倒し、政教一致体制を樹立した。今もイスラム的価値に基づく国家像を模索する。「非民主的」とも指摘される体制の内実を検証した。【テヘラン春日孝之】

 ◇我々は北朝鮮とは違う

 ◇制限付きの民意--幅広く直接選挙、立候補者は選別

 「我々は北朝鮮とは違う」。イランでよく耳にする言葉だ。「ならず者の独裁国家と同一視しないでくれ」との思いがにじむ。

 米国のブッシュ前大統領はイランを北朝鮮と同様に「悪の枢軸の一角」と指弾し、「体制転覆の必要性」も公言した。

 改革派のハタミ前政権時代、当時の米クリントン政権と関係修復に向けた「雪解け」ムードが進んだ。

 だが、この流れを断ち切った要因の一つが、オルブライト米国務長官(当時)の演説の一節だったと指摘される。

 「イランは民主主義に向かってはいるが、選挙で選ばれていない者たちに支配されたままだ」

 イランの革命体制は最高指導者が行政、立法、司法、さらに軍部を統括する一極支配システムである。だが、体制が道徳などイスラム的価値を基盤とする以上、西洋の民主化モデルと目指すべき方向やありようが異なるのは当然だろう。

 とはいえ、米国の指摘に反し、大半の中東専門家は「イランは制度上、中東では上位の民主国家」という評価をしているのだ。

 聖職者である最高指導者は国民の間接選挙で、大統領や国会議員は直接選挙で選出される。選挙権も18歳以上の男女が持つ。

 そうした体制の正当性に疑問を呈したオルブライト氏の発言が指導部の逆鱗(げきりん)に触れたという。

 だが、イランの選挙システムが「非民主的」と映るのも事実だ。最高指導者を選出する専門家会議のメンバーは、護憲評議会が立候補者を事前審査して選別する。

 大統領選挙でも国会議員選挙でも、立候補者は事前審査を通る必要があり、体制の意向が反映されるというわけだ。過去の選挙では改革派の有力候補が多数排除されてきた。選挙で「不正」のうわさも絶えない。

 ハタミ前政権は護憲評議会などの権限縮小を試みたが、保守派の抵抗で失敗した。現在、体制の主要機関トップは保守派が独占している。

 だが、イランの民主度をどう見るかは、評価する側の立場や視点で異なる。王制時代末期の一党支配に対し、今は複数政党制だ。保守派と改革派がせめぎ合い、制約付きながら政治的自由はある。

 公の場での体制批判はタブーだが、アフマディネジャド大統領は経済・外交政策で痛烈な批判を浴びている。その大統領は先の大統領選挙で、イスラム的価値観から外れたこの国の「腐敗体質」を指弾し、国民の心をとらえた。

 ハタミ前大統領は最近、「我々は革命の目的に向け、改革を少しずつ進めていく必要がある」と語った。この言葉は革命30年を経てなお、イランが壮大な実験のさなかにあることを表している。

 ◇最高指導者と大統領 決定過程、不透明に--交渉相手が誰かはっきりしない

 昨年6月、最高指導者ハメネイ師の外交顧問、ベラヤティ元外相から毎日新聞など一部メディアに論文が届いた。冒頭はこうだ。

 「最高指導者は憲法上、国政全般で最終決定権を持つ。だが、ハメネイ師は自身の判断で、国家の重要案件にしか関与しない。広範に権力を行使しないのは、各機関の責任者に問題克服を期待しているからだ」

 論文は「革命の価値観を守る(体制の安定と維持)ためにも、他国との交流を推進し、国際社会で責任を果たすことが重要だ」と強調していた。

 当時、米欧などはイランに対し、経済支援などの「見返り案」を提示してウラン濃縮活動停止を迫っていた。だが、アフマディネジャド大統領は非妥協の姿勢を貫き、イスラエルに挑発的な発言を繰り返していた。

 論文は、核政策には触れていないが、趣旨は明らかだ。イスラエルがイラン空爆を想定した軍事演習を実施した直後の時期であり、危機感を深めたハメネイ師がベラヤティ氏を名代に、外国メディアを通じて大統領の動きをけん制しようとしたのに違いない。

 だが、大統領は公の場で「核問題では政府が責任を持つ」と反論。「彼(ベラヤティ氏)が個人的見解を持つのは自由だが、彼は核政策に関与していない」と喝破した。憲法上、大統領は体制ナンバー2だが、背後の最高指導者に異を唱えたとも言える。

 イランの複雑な権力構造について、評論家のアブディ氏は「島」の集合体に見立てる。核問題では最高安全保障委員会や原子力庁など七つか八つの「島」が関係するが、「島」同士の意見交換や調整はないという。

 米国のギブス大統領報道官は先月、イランとの対話を巡り「交渉相手が誰になるかはっきりしない」と述べた。誰が交渉窓口で、実権を握っているのか、極めて不透明なのだ。

 ハメネイ体制は、カリスマ的な初代最高指導者ホメイニ師とは異なり、「集団指導」あるいは「談合政治」と呼ばれる。先の論文からも、ハメネイ師が重要施策に限り、全体状況を見極めた上で最終決断しているのだろうと推察できる。

 米外交・国際政治専門誌フォーリン・アフェアーズにも寄稿するシャヒド・ベヘシティ大のサリオルガラム教授は「核政策を含め意思決定過程の不透明さが米欧などのイラン不信の背景にある。透明化が体制にとって最重要課題だ」と指摘する。不透明さが体制自体の不気味さにもつながっているからだ。

[毎日新聞/11日追加]

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Posted by nob : 2009年02月10日 23:44