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本当は誰のこだわりなのか。。。

■クライスラー破綻:提携交渉、次々不調に

 ◇破産法申請、米大統領「政府が後ろ盾」強調

 「クライスラーが生まれ変わる歴史的な一日だ」--。米自動車大手、クライスラーは4月30日、ニューヨーク州の破産裁判所に連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し経営破綻(はたん)した。しかし、ナルデリ最高経営責任者(CEO)は同日社員に送った手紙で破産法申請がクライスラーの終わりでなく、イタリア大手、フィアットとの提携を通じた再生の始まりであることを強調した。

 だが、クライスラーが裁判所に提出した資料には、07年から、危機で経営が傾いた08年11月ごろまで、ゼネラル・モーターズ(GM)との合併交渉のほか日産自動車や韓国の現代自動車、ロシアの自動車メーカー「GAZグループ」まで、手当たり次第に提携相手を求めて交渉をした足跡が記されている。株式の8割を保有する米投資ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントが、かなり以前から単独での生き残りは難しいと判断していたことが分かる。

 交渉は不調に終わり、政府支援を取り付けるために最後にたどり着いたのがフィアットだった。

 「クライスラーの車を買おうと決めたら、米政府が後ろ盾になっていることを思い出してほしい」。30日、クライスラーの破産法申請を発表するため、異例の会見に臨んだ米オバマ大統領は、同社のセールスマンのように国民に呼びかけた。だが、業界や市場には「結局は政府による『ゾンビ企業』の温存に終わり、米自動車産業の競争力回復につながらないのでは」(米投資会社)との冷めた見方もある。

 ◇悲願の米国再参入 「400万台」にこだわり

 「日本の自動車メーカーが手ごろな価格でデザインも優れたハイブリッドカーを作れるのに、どうして米国メーカーはできないのか」--。

 クライスラーが米連邦破産法11条を申請し、経営破綻(はたん)する前日の4月29日のホワイトハウスでの会見で、オバマ米大統領は米国自動車産業のふがいなさにいら立ちを爆発させた。

 「自動車産業は米国の象徴であり、消滅させるわけにはいかない」と米自動車復活に意欲的なオバマ大統領だが、クライスラーに象徴されるように長年、研究開発投資を怠り、最先端の小型車やエコカー(環境対応車)の技術力に乏しくては、いくら公的資金をつぎ込んでもムダ金に終わるだけ。

 クライスラーは今年1月中旬にデトロイトで開かれた北米自動車ショーに「クライスラー」「ダッジ」「ジープ」の代表ブランドでそれぞれ1台ずつ電気自動車の試作車を出品。ジム・プレス社長は「我々にはエコカーの技術も人材もある。無いのは量産に向けた資金だけだ」と盛んにアピールした。しかし、バッテリーなど肝心の技術について「企業秘密」の一点張りでまともに説明できないクライスラー幹部の姿に、業界では「張りぼてではないか」との失笑さえ漏れた。

 そんなクライスラーの悲惨な状況を知ったオバマ政権の自動車問題作業チームにとって、ビッグ3(米自動車大手3社)の一角の完全消滅を避けるには、外資との提携に頼るほかなかった。小型車が主力で環境技術開発にも意欲的なイタリア大手、フィアットをクライスラーとの交渉につなぎ留めることは必須だった。

 フィアットのトップが世界で競争可能とされる「400万台クラブ」(年間生産台数400万台以上)入りを目指す再編論者のマルキオンネ氏だったことも好都合。ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車から、韓国・現代自動車、ロシアの自動車メーカーまでがクライスラーの体たらくぶりに「提携を深めても経営の重荷になるだけ」と二の足を踏む中、年間1000万台以上の需要を抱える北米市場への80年代以来の再参入を悲願とし、拡大志向の強いフィアットのマルキオンネ氏だけは「火中の栗(くり)」のクライスラー救済に意欲を示し続けた。

 「米自動車産業の復活」を目指すオバマ大統領と、海を越えた再編で日本や欧州の上位メーカーに追いつこうとするイタリアの猛烈経営者。破産法を申請したクライスラーが清算を逃れたのは、この2人の野望の合作だが、そこには本来の主役のはずのクライスラーの存在感は皆無だった。

 オバマ大統領はクライスラーはフィアットとの提携完了で「強く、効率的な企業に生まれ変わる」と強調。フィアットのマルキオンネ氏は「クライスラーだけでなく、自動車産業が抱える問題にも建設的な解答が示せる」と自信をみなぎらせたが、業界では経済合理性とはかけ離れた思惑で進むクライスラーの再生劇の前途を危ぶむ声が強い。

 ◇手続き、30~60日で 全米自動車労組、株式55%保有

 クライスラーは今後、イタリア大手・フィアットから、新車開発など技術と役員も含めた人材の両面で支援を受けるほか、米国とカナダ両政府から総額100億ドル(約1兆円)余りの公的支援を得て、早期の経営再建を目指す。

 破産法手続きでは事業資産の大部分を新生クライスラーに移管。提携先のフィアットが20%の株式を持つほか、主要債権者である全米自動車労組(UAW)が55%、米政府が8%、カナダ連邦・州政府が2%をそれぞれ保有して、30~60日間での法的手続きの終了を目指す。経営を指揮する新たな取締役会を9人で構成し、政府とUAWが合わせて6人、フィアットが3人を派遣する。フィアットは将来的に35%まで持ち株比率を引き上げることが可能。さらに、米政府から受けた公的資金を完済すれば、発行済み株式の最大51%を取得して子会社化できる条項も盛り込まれた。【坂井隆之】

[毎日新聞]

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Posted by nob : 2009年05月02日 23:04