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妥当な判断、、、使用者次第でもろ刃の剣になるのだから。。。
■ウィニー逆転無罪、開発者の責任限定的 違法コピーの課題残る
ファイル交換ソフト「ウィニー」の開発者を逆転無罪とした8日の大阪高裁判決は、ソフトを使った著作権侵害行為について、開発者がほう助罪に問われる範囲は限定的とする基準を明確に示し、罪の成立を否定した。開発者の創造性に一定の配慮を示したが、ウィニーを使った違法コピーが横行する実態は深刻化しており、著作権者の被害を食い止める有効な対策が急務だ。
一審・京都地裁の判決は、ほう助罪の成立要件に関して、「ウィニーの現実の利用状況やそれに対する認識、提供する際の主観的態様がどうかということによる」との基準を提示していた。しかし高裁は「現実の利用状況の把握は困難で、主観的意図がネット上に明らかにされる必要があるかどうかもはっきりしない」として、一審の基準は相当ではないと判断した。
[日本経済新聞]
■ウィニー:「正当に評価」開発者、逆転無罪に笑顔
ファイル共有ソフト「ウィニー」の開発者に、逆転無罪を言い渡した8日の大阪高裁判決。1審・京都地裁とは逆に、著作権法違反のほう助罪に問われた元東京大助手、金子勇被告(39)に「著作権侵害を勧めておらず、ほう助にあたらない」と結論付けた。しかし、事件後もインターネット上では著作権侵害の拡大に歯止めがかからず、一方で、ウィニー技術を応用したビジネスソフトも登場した。事件を置き去りにしたまま、ネット社会は進み続けている。
04年5月に逮捕され、保釈中の金子被告はスーツ姿で法廷に入り、背筋を伸ばして判決主文を聞いた。「原判決を破棄する。被告人は無罪」。小倉正三裁判長の言葉が響くと、傍聴席の支援者らにどよめきが起きた。金子被告は時折目を閉じたり、手を体の前に組んだりしながら判決理由に聴き入った。
判決後、金子被告は大阪市内で記者会見。弁護団や支援者約10人の拍手を受け「よかった。非常にいい判断だ。技術の価値を正当に評価していただいた」と顔をほころばせた。
「1審判決であいまいだった点に明快に答えてくれた。5年間、何がほう助なのか分からず、何もできなかったが、判決は他のソフト開発者にもいい影響を与えると思う」と興奮気味に語った。
一方、ネット上で著作権侵害行為が続いている状況について「開発者は万能ではない。ユーザーは迷惑をかけずにソフトを使ってほしい」と呼びかけた。
公判は、金子被告を支援するIT関連の技術者でつくるNPO法人「ソフトウェア技術者連盟」(大阪市)のメンバーらも傍聴。連盟理事でプログラマーの佐野義彰さん(34)=東京都三鷹市=は「事件を機に開発者は萎縮(いしゅく)させられていたので、自由に開発できると思うとほっとしている。判決が確定すれば開発熱がまた上がってくると思うが、既に技術開発で海外から後れをとっているのでどれだけ取り戻せるかは疑問だ」と話した。
ファイル共有ソフトは、ウィニー流行後も「Share(シェア)」などが開発され、現在もゲームソフトや映画などの違法コピーに悪用されている。
一方、金子被告は逮捕後、支援者らが05年に設立したIT企業の技術顧問に就任。ウィニー技術を応用し、大型サーバーなしに映像やビジネスのデータを効率的に送信するシステムの開発に携わった。システムは、テレビ局などで動画配信などに活用されている。
[毎日新聞]
■「この5年間は裁判に勝つことが自分の仕事だった」
無罪判決を受け、Winny開発者・金子勇氏が会見
ファイル共有ソフト「Winny」開発者の金子勇氏が8日、著作権法違反幇助の罪に問われていた裁判の控訴審で逆転無罪の判決が出たことを受け、会見を行った。
● 「事実を正確に認定した、正当な判断」金子氏
金子氏は判決について、「事実を正確に認識した、正当な判断だったと思う」とコメント。主任弁護人の秋田真志弁護士は、「原判決を明確に否定し、幇助についての基準が明確に示された上で、無罪となったことは非常に良かった」と感想を述べた。弁護団の事務局長を務めた壇俊光弁護士も、「金子氏が真摯な開発をしていたというところが決め手になったのではないか。違法な行為をするなと呼びかけていたという、基本的な事実が評価された」と控訴審判決を評価した。
控訴審判決では、Winnyが備えていた機能は通信の効率化を図るものなどで、著作権侵害を助長するために設計されたものではないと指摘。Winny自体は、有効利用も悪用も可能な価値中立的なソフトであると認定した。Winnyが価値中立的であるという認定は一審判決でも行っているが、一審判決ではソフトの利用実態や開発者の認識が幇助が成立する判断基準になるとして、金子氏はWinnyが悪用されているという実態を認識しながら開発・公開を続けたことが幇助にあたるとして、罰金150万円の有罪判決を言い渡していた。
これに対して控訴審判決では、Winnyは2002年5月の公開後に何度もバージョンアップを重ね、2004年5 月に金子氏が逮捕された事件に至っているが、一審判決の基準ではどの時点から幇助犯が成立するのかが判然としないと指摘。利用実態についても、統計の取り方によって幅があり、どの程度の割合で幇助犯が成立するのかといった基準も明かでないとして、一審判決の基準は十分でないとした。
その上で、価値中立的なソフトをネットで提供することが著作権法違反の幇助にあたるかどうかは、違法行為をする人が存在していることをソフトの提供者が認識しているのみでは足りず、ソフトを違法行為の用途のみ、あるいは違法行為を主要な用途として使用させるように、ネット上で勧めてソフトを提供している必要があると説明。金子氏は、2ちゃんねるの書き込みやソフトのREADMEファイルなどで、Winnyで違法なファイルをやりとりしないよう注意喚起しており、コンテンツの新たな課金システムの可能性についても述べるなど、Winnyを著作権侵害の用途のみに使用させるように提供していたとは認められないとして、無罪の判断を下している。
● 改良版Winnyの公開については「何がベストかをよく検討したい」
2004年に逮捕されてからこれまでの5年間、どのようなことを考えてきたかという質問に対して金子氏は、「最初は警察に協力したいと思ったし、有罪になるとしても自分だけの問題だと思っていた。しかし、警察のやり方が強引だったので、このまま有罪になってしまうと日本にとっても損失になると思った。この 5年間は、裁判に勝つことが自分の仕事だと思い、ほとんど裁判のことだけを考えてきた」とコメント。捜査機関に対しては、「影響力が大きいので、捜査は極力慎重にお願いしたい」と語った。
無罪が確定すれば、Winnyをより良いソフトに作り直したいかという質問には、「極力、全体として良くなる方向に持っていければいいと思っているが、それが具体的にどのようなことかは、まだ判決が出たばかりなのでわからない。情報漏えいについてもやれることがあればやりたいが、これから考えていきたい」と説明。「ソフトを作っている側からできることは何かあるはずなので、できるだけ何かをしたいとは思うが、ソフトも万能ではない。ユーザーにはソフトを正しく使ってほしい」と語った。
裁判の立証活動でポイントとなった点について、秋田弁護士は「法廷外の進行協議において、裁判所はWinnyの技術についてかなり熱心に見ており、それも1つの判断のポイントになったかと思う」とコメント。また、控訴審の証人尋問で示したWinnyの利用実態も、 Winnyが価値中立的なソフトであるという判断材料になったと思うとした。壇弁護士は、「諸外国の事例を挙げたことも、普通の事件ではやらない手法だが、今回は成功したのではないか。今回の判決は米国のグロックスター判決を意識した基準になっている」と語った。
会見後、支持者に対する説明会で挨拶に立った金子氏は、「支援していただいた方々のおかげで戦うことができ、無罪が勝ち取れた。本当によかった」として、支援者に何度も感謝の言葉を述べた。
一審の最終意見陳述で金子氏は、「情報漏えい問題に対応した改良版のWinnyを開発したが、現状ではこれを公開することもできない」と語っていた。判決が確定すれば改良版のWinnyを公開するかという問いに対しては、金子氏は「何がベストかを良く検討したい」とコメント。壇弁護士は「今回の判決であれば、情報セキュリティの観点からは、少なくとも(Winnyの)バッファオーバーフローの脆弱性については対応したい」と語った。
[INTERNET Watch]
Posted by nob : 2009年10月08日 23:11