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私の周りにも。。。
■妻の稼ぎが頼り!勝ち組DINKSがリストラ
『その年齢で管理職もやっていて、資格の一つも持っていないんですか!』と、叱られました。嫌味なもの言いに腹が立つというより、呆然としました。
モデル家計簿
家族の人数●4人
世帯主年齢●40歳
世帯年収●800万円
非消費支出●12万1534円
手取り収入●54万5133円
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自分たちは節約しているつもりでも、いまだにバブルまみれの家族が多い。その象徴が子供の私立学校への進学で、親同士の行動にも大きな影響を与える。
「国産車じゃみっともないし……」となりがちなのだ。また、会社の部下や後輩に自腹を切って奢ることも多く、「その他の消費支出」が膨らむ。将来、破綻が必至というシミュレーション結果を突きつけて、頭のなかのバブルを弾けさせるのが一番の良薬だ。
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櫻井家の家計簿
家族の人数●2人
世帯主年齢●40歳
世帯年収●1000万円
非消費支出●23万3000円
手取り収入●60万円
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夫がリストラされる前の世帯年収が2000万円という裕福なDINKS夫婦を象徴する家計である。まず、子供がいないのに高額な保険掛け金は必要ない。解約して安いネット保険などに変更すべきだろう。いまのマンションを手放して、都心の賃貸に引っ越すのも一つの手である。それだけで妻のグリーン車の交通費5万円が浮く。夫の就職が決まった後も、妻の年収だけでやっていくくらいの家計リストラをすべきだ。
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一方、夫婦ともに高収入の仕事を持ち、子供がいない。いわゆるDINKS生活を謳歌していたのが神奈川県・三浦半島在住の櫻井清さん(仮名)夫妻だ。
櫻井さんは中堅どころの広告代理店の部長職。妻も同業他社のクリエーティブ部門で活躍し、ともに約1000万円の年収を稼いでいた。「とくに節約なんて考えずにカネを使っていました」と櫻井さんはいう。
たとえば櫻井さんの妻は通勤時間を睡眠や勉強にあてるために横須賀線のグリーン車を利用しているが、グリーン券の費用は自腹である。櫻井さん自身も趣味のギターやウクレレ、自転車、パソコンなどに数十万、数百万円単位でお金を使ってきた。海が見える駅前の分譲マンションに住み、車はドイツ製の高級車だ。
優雅な暮らしが暗転したのは、2008年暮れのこと。リーマンショックによる業績悪化を理由に、櫻井さんが所属していた部署が人員削減をともなうリストラの対象にされたのだ。
「あのときのことは忘れられません。12月中旬、急に全社員集会が開かれました。社長は弁護士2名を同席させたうえで、こう言い放ったんです。『残念ですが現下の経済状況を鑑み、業績が悪化している××部を廃止し、最大20人の希望退職を募ります。応募者には規定の退職金に加え、在籍年数に応じて割り増し分を支払います』」
才気煥発型の櫻井さんは、大学卒業以来これまでに同業4社を渡り歩いてきた。櫻井さんのビジネスの才を開花させたのが、12年前に入社したこの会社である。次々と新事業を立ち上げ、収益に貢献。40歳を迎えるころには20人を率いる部長職として、役員一歩手前の待遇を受けていた。
ところが、このたびの急速な景気悪化で状況は一変。櫻井さんの活躍を快く思っていなかった役員がここぞとばかりに暗躍し、強引なリストラ案を通してしまったというのである。
「希望退職とはいうものの、定数に達しなければ指名解雇を行うという噂が流れました。子供が生まれたばかりの30代の男や、入社したての女子社員など残してあげたい奴らが何人かいました。もし僕が残って、彼らが肩たたきにあったら申し訳ないという気持ちがありました。というよりも、こんな状況なのに会社にしがみついたとしたら、自分の卑怯さを許せずに僕自身が辛いだろうと思ったんです」
櫻井さんは淡々と語る。希望退職に応募し、1月末で会社を去った。
「資格の一つも持っていないんですか」
しかし、再就職のあてはなかった。
「12月中に転職サービス会社に登録してみたのですが、40代で部長という条件を見ただけで『あいにく用意できるポストはありません』。だから厳しいんだろうな、とは思っていました」
だが、求職市場の冷え込みは櫻井さんの想像以上だった。ハローワークに行っても、まず相手にはされない。
「最初に希望年収を聞かれるので、控えめに『500万円』と書いたら『そんな仕事、あるわけないでしょう!』と叱られました。管理職経験者を対象にした人材銀行という窓口があるのですが、そこへ行ってみると『その年齢で管理職もやっていて、資格の一つも持っていないんですか!』と、また叱られました。嫌味なもの言いに腹が立つというより、呆然としました。僕のほうに常識がなかったんでしょうね」
そこから櫻井さんは「資格」に目覚めた。しかも、ホワイトカラー向きの社会保険労務士や税理士などではない。
「昔から気になっていた」という電気工事関連の資格である。
「いま目指しているのは、通称『電験三種』といわれる第三種電気主任技術者です。本来は電力会社のエンジニアが取得する資格ですが、これを持っていると年齢がいくつになってもビル管理の仕事などに就きやすいんです。それで勉強を始めたんですが、やってみると楽しいですよ」
いま櫻井さんは、電験三種の勉強のため、水筒2本に麦茶をつめて自宅近くの図書館へ毎日通っている。お昼にはいったん帰宅するが、閉館時間まで約10時間を勉強にあてる。
むろん資格を生かして働きたいという希望はある。だが「社会復帰に備えて集中力を途切らせないようにしたい」というのが、櫻井さんが勉強に打ち込むための隠れた目的である。
「働き盛りの年齢なのに無職でぶらぶらしていると、社会から弾き出されたような気持ちになって、いても立ってもいられないんです。このままだらけた生き方をしてしまったら、社会復帰できないんじゃないかという恐怖がありますね」
幸い妻は、激務に愚痴をこぼしながらも、年収1000万円の仕事を続けている。当面は生活に困ることはないし、恵まれているほうだろう。
しかし「仕事人間だった」という櫻井さんが自分自身を保つには、手ごたえのある仕事を早く見つけることが必要なのだ。
[プレジデントロイター]
Posted by nob : 2010年01月24日 13:07