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心はガラス細工のように脆い。。。

■通勤途中やプレゼン中に腹痛や下痢に!
なぜ緊張するとお腹が痛くなるのか

重要なプレゼンや試験で腹痛に…
ついには仕事に支障が出始めたMさん(40歳)

通勤経路のトイレチェックが日課
緊張するとお腹を壊してしまう

 Mさんは、中堅電子部品商社のサラリーマン。大事なときに、いつもお腹が痛くなるので、通勤経路や営業経路でのトイレチェックは欠かせない。しかも「洋式便器かどうか」は重要な問題だ。

 Mさんは子供のときからのクセで、ズボンを全部脱いでからでないと大便ができない。和式便器だとどうしても、ズボンが脱ぎにくく用が足せないのだ。普段の通勤時でも、いつも利用している乗換駅のトイレの個室が気になる。自分は行きたくもないのに、誰も入っていないとなぜか安堵する。

 緊張するとお腹を壊してしまう体質を、人生で最初に自覚したのは歯医者の待合室。小学生だったMさんは、歯に麻酔の注射をされる恐怖で心臓が口から出そうだった。そのドキドキのあとに腹痛がきた。そして、痛みと下痢で歯医者のトイレから一歩も出られなくなってしまったのだ。心配した母がトイレのドアをノックしても、なかなかお腹の痛みはおさまらなかった。

 大学受験の朝もそれは起こった。前夜から緊張で眠れなかったMさんは、予定より早く自宅を出たものの、駅に着くと前夜から降った雪で電車が遅れていた。

「乗るはずだった電車に乗れない!」

 そう思った途端、ドキドキとともに腹痛が襲ってきた。慌てて入った駅のトイレには長い行列ができていた。仕方なく並んだが、やっと入れた個室は苦手な和式便器で、お腹が痛いのにも関わらず、用が足せなかった。そのあとの試験は散々で、大学受験に失敗しまった。

 就職活動で、一流商社の最終面接に残ったときもそうだった。三次面接が終わり、意気揚々と出かけた面接会場の廊下で急にお腹が痛くなった。慌ててトイレから戻ったものの、そのときは既に名前を呼ばれた後だった。

 焦って役員室に入った。しかし、汗だくで、しどろもどろの受け答えをした自分が、入社試験に通るはずもなく、もちろん不採用。それがトラウマになってしまったためか、その後の他社の面接もうまくいかず、親のコネで何とか電子部品の専門商社に入社することができた。

社会人になってからも腹痛の連続
重要な会議にも遅刻する有様

 Mさんの会社では、昇進試験が毎年1回定期的に行われる。今年の昇進試験でやっと部長代理になれる。課長になって5年。“万年課長”と家族に言われ続けていたMさんが40代を迎える前にようやく巡ってきたチャンスだ。

 大手電機メーカーの新製品情報をいち早くキャッチして、ライバル会社から自社の半導体にスイッチさせたことで会社の売り上げに貢献できた。リーマンショック以降、予算未達で停滞気味だったチームのムードがにわかに活気づいていた。Mさんは最近仕事が楽しくなっていた。昇進試験前日からパワーポイントの資料を使って、部下の前でリハーサルをした。そして迎えた昇進試験の当日、会議室でプロジェクターに自分にパソコンをつないだ。そのときだった。

 役員が全員座った会議室を見回した瞬間、急な腹痛に襲われた。そのまま進めようと思ったが、言葉が出てこない。

「失礼します」

 そう言って退席し、トイレに向かった。しかし腹痛はあるのに、便がでない。自分の持ち時間は30分。20分のプレゼンのあと、10分も質疑応答だ。慌てて会議室に戻ったときには7分ロスしていた。昨日のリハーサルで、プレゼンは20分丁度で終わるように段取りしてあるのにと思うと、気持ちばかりが焦った。

 そうしたトラブルがあったが、1ヵ月後、Mさんは無事昇進した。部長代理の席は課長の席と違って机も広く、椅子も大きい。昇進して今までと一番変わったのは、月曜朝の幹部会議に出席するようになったことだ。

 しかし、まさかあの朝、Mさんの人生が大きく変わると思っていなかった。

 その朝Mさんは、いつも通り出社していた。すると、乗換駅で急に便意を感じ、駅のトイレに向かった。ところが、いつも入る個室は故障中。一刻を争うMさんは、次の駅で降りトイレに入った。

 無事にトイレから出て慌てて電車に乗り込むも、電車が人身事故でストップするという不運に見舞われた。そして、遅刻厳禁な会議に、こともあろうに遅刻してしまったのだ。自分の席につくともう会長が席にいた。「すみません」と入っていくと会長が一言、こう言った。

「M君、またトイレに行ってたの?」

「昇進試験のことを会長は覚えていたんだ」と思うだけでまた全身が緊張した。Mさんはその日を境に、会社に行こうとするだけで、お腹が痛くなってしまうのだった。

ビジネスマンに多い
ストレス性の過敏性腸症候群

 数日休んだあとに消化器の専門外来を訪ねた。そこで医師から告げられた言葉は過敏性腸症候群。ストレスや温度など、刺激に過敏になってしまう体質ということがわかった。自分の他にも悩んでいる人が多いという言葉に少し安心した。ストレスのない暮らしはできないが、これからはトイレばかりを気にする自分を少しだけ戒め、気楽にしていようと心に決めた。

 財団法人脳神経疾患研究所の消化器センター長 西野徳之医師はこう語る。

「Mさんの場合は働き盛りのビジネスマンに多い典型的なストレス性の過敏性腸症候群です。下痢や便秘は身体の大事なサイン。長く続くようであれば、消化器専門のドクターに気軽に相談に来てください。下痢を無理に止めようとして、腸の動きをとめてしまう薬を常用し続けると、便秘を起こすこともあります。下痢が気になるときは緩やかにお腹に作用する薬をお守り代わりに持ち歩くことで、かなり精神的に楽になると思います。過敏性腸症候群の方は無理にトイレを我慢しないことが大切です。

 また加齢とともに腹筋がおちて、腸の働きが悪くなります。普段から腰に負担のないように腹筋を鍛える運動をするとよいでしょう。また、下痢を繰り返す方のなかには、その方の生活背景や心理状態に影響されることもあります。さらには炎症性腸疾患、膵疾患、腫瘍などの器質的な疾患が原因となっている場合もあります。たかが下痢と侮

らず、症状が長引くようであれば一度消化器内科の医師に相談してみて下さい。」

(J&Tプランニング 市川純子)

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2011年08月15日 01:25