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原子力ムラの連帯責任、、、そして看過した私達一人一人の責任、、、当時の真相よりも今後の対策。。。

■真相はどこに 検証・原発事故調(上)官邸介入 「稚拙で泥縄的危機管理」

 首相の菅直人(65)のイライラは最高潮に達していた。

 昨年3月15日未明。十数時間前には福島第1原発1号機に続き3号機が水素爆発。2号機も原子炉の圧力を抜くベントができず、危機的な状況となっていた。そのころ、経済産業相の海江田万里(63)や官房長官の枝野幸男(48)の電話が鳴る。東京電力社長の清水正孝(68)からだ。

 「2号機が厳しい状況だ。退避も考えている」。東電は必要な人員を残した上で、その他の人を退避させるとの趣旨だった。しかし、官邸メンバーは「全面撤退」と受け取る。報告を受け激高した菅は午前5時すぎ、官邸を飛び出すと東電本店2階の対策本部に乗り込んだ。そして職員に向かって大声を上げた。

 「撤退などあり得ない。命がけでやれ」「60になる幹部は死んだっていい」。身ぶり手ぶりを交えた“演説”は10分以上続いた。この様子は、テレビ会議システムを通じ福島第1にも伝わった。この間、事故対応の職員の手は止まったままだった。

 そして午前6時すぎ、4号機が水素爆発。同じころ2号機も原子炉に損傷が生じたと考えられている。重大局面を迎えたこの瞬間、菅はまだ東電内の個室にいた。その間に放出された放射性物質(放射能)は北西に拡散、高線量地域が広がっていった。

 実態とかけ離れ

 各事故調の報告書からは、首相をはじめとする官邸が事故対応に過剰介入し、混乱をもたらした状況が浮かび上がった。

 東電が全面撤退をするつもりだったか否かについては、事故調で判断が分かれており真相はいまなお不明だ。だが、官邸の過剰介入が、事故対応に悪影響を与えていたという点では共通している。

 政府事故調は「(官邸の)現場介入は弊害の方が大きい」と断罪。民間事故調も「専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となった稚拙で泥縄的な危機管理」と指摘した。東電事故調も「運転操作に関する指示など、現場実態からかけ離れた要求が政府首脳からされた」と批判した。

 官僚組織に欠点

 一方で、各事故調は官邸の“暴走”の原因が、経済産業省原子力安全・保安院など官僚組織にあるとも指摘している。

 「情報集約体制や原子力安全委員会による助言機能が十分でなかった」(政府事故調)のだという。実際、原子力災害対策本部の事務局長だった保安院院長の寺坂信昭(59)は、事故があった3月11日午後7時には、本部のある官邸を去り、保安院に戻ってしまう。福島第1にいた保安検査官ら職員8人も14日午後5時には現地から撤退。東電の全面撤退騒動が起きる前日のことだ。この時点で国は現場の情報を東電からしか得られなくなっていた。

 各事故調は、規制当局としての「危機意識」や「責任感」の欠如を指摘する。放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」が活用されなかったのも、国民の命を守るという意識のなさの表れであるとした。

 現場に混乱をもたらす政治家と危機意識の低い官僚たち。福島第1原発事故では、日本の危機管理の問題点が浮き彫りとなった。

 原発事故への備えやマニュアルがなかったわけではない。しかし、事故が想定を超えたとき、政治も国も、十分な対応が取れなくなっていたのだ。

 政府事故調委員長の畑村洋太郎(71)は、危機を想定することの限界を指摘し、報告書をこう結んだ。「この事故は人間の考えに欠落があることを教えてくれた」

 未曽有の原子力災害はいかにして起きたのか。21日には、原子力分野の専門家による「学会事故調」も発足、事故の究明にあたる。これまで政府、国会、民間、東電の4事故調が報告書を公表、だが未解明の点も残った。事故調はどこまで真相に迫ったのか。事故が投げかけた教訓と課題を検証する。(敬称略、肩書は当時)

【用語解説】政府事故調

 政府が昨年6月に設置。「失敗学」で知られる畑村洋太郎東京大名誉教授が委員長。事務局に検察官を置き検察流調査が特徴。聞き取りは政治家、東電関係者ら750人以上。7月23日に「複合災害への備えが必要」との最終報告書を提出した。

【用語解説】国会事故調

 昨年12月に国会に発足。委員長は黒川清元日本学術会議会長。国政調査権の発動も可能で出頭や資料提出に強い権限を持つ。委員会は原則公開でヒアリングは延べ1167人。「事故は明らかに人災」とする報告書を7月5日に公表した。

【用語解説】民間事故調

 政府や東電と独立した一般財団法人の立場で検証。委員長は北沢宏一前科学技術振興機構理事長。政治家や保安院関係者ら約300人から聞き取りをしたが、東電は応ぜず。2月27日公表の報告書で事故の背景に「規制のガラパゴス化」と指摘。

【用語解説】東電事故調

 事故の当事者として昨年6月に設置。山崎雅男副社長(当時)が委員長。外部専門家による検証委員会も設けた。豊富なデータを所有し作業員への詳細な聞き取りも可能。6月20日に「想定外の津波が原因」とする最終報告をまとめた。

[SankeiBiz]

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Posted by nob : 2012年08月26日 23:56