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やりきれない深い失望感、、、いつまで米国支配に従属し続けるのか。。。
■[「原発ゼロ」後退]国民的議論を広げよう
政府は、先週決定したばかりの「原発稼働ゼロ」の御旗を、舌の根も乾かぬうちに、あっさりと降ろしてしまった。
「2030年代に原発ゼロを目指すというのはわれわれの方針だ」と野田佳彦首相が強弁しても、閣議の決定文に盛り込んでいない以上、事実上の方針見送りだ。
古川元久国家戦略担当相を議長に14日に決定した革新的エネルギー・環境戦略は、原発の40年運転制限や新増設をしないなどの原則を立て30年代に稼働ゼロを目指すとA4判約20ページにまとめていた。
しかし、閣議決定文はわずかに5行。戦略の中身は具体的に記さず、「柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」と早くも戦略自体の見直しだけを強調している。
こうした野田政権の及び腰は、原発ゼロに反対する経済界や原発が立地する自治体、原子力協定を結ぶ米国などに配慮が背景にあるとみられているが、今に始まった話ではない。
当初、民主党は原発を減らしながらも残す考えだった。しかし、次期衆院選をにらんで同党若手議員が「ゼロ」を求め、戦略に盛り込まれたとも指摘されている。
エネルギー政策の大方針を転換する困難さは十分理解できる。しかし、方針決定で右往左往し、結果、場当たり的な対応に終始する政権に明日の国政を任すわけにはいかない。次期政権にきっちりと民意が伝わるよう、原発政策についていま一度国民的議論を広げるべきだ。
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政府が自ら作った方針を閣議でほごにした同じ日、原子力規制委員会が発足した。東京電力福島第1原発事故の反省に立ち、新たに原発の安全規制を担う組織だ。
原発を推進する経済産業省から切り離し、内閣府の原子力安全委員会と一元化したのが特徴で、もたれ合いの構図と批判された「原子力ムラ」からの脱却を目指す。
当初4月に発足する予定が委員の人事で国会の同意が得られず、半年遅れた。委員長の田中俊一氏自身が原子力行政に携わった「ムラの住人」と批判を受けており、互いをかばい合う関係が温存されてないか気掛かりだ。
規制委の当面の課題は、40年で運転を制限する基準作りや再稼働を認める際の新たな基準作りだ。安全基準のレベルをどう考えるのか、時の政権との力関係や独立性の担保などの仕組みもまだ不明確で、今後も国民の目でチェックする必要がある。
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日本より早く脱原発を決めたドイツでも、政策が一貫していたわけではない。運転期間の延長を決めて後、福島原発事故を受けて、政策を凍結するなど一進一退だ。
政府は多くの国民が「原発ゼロ」を支持していることを受け止め、「今回こそ先送りせずに解決の道を見いだす」と決意した戦略を推進すべきだ。
脱原発の流れが、原発関係者のみならず、国民生活や他産業へ悪い影響を与えないよう、改革に伴う負荷を解消する努力も求められる。
[沖縄タイムス]
■原発ゼロ「変更余地残せ」 閣議決定回避 米が要求
野田内閣が「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」を目指す戦略の閣議決定の是非を判断する直前、米政府側が閣議決定を見送るよう要求していたことが二十一日、政府内部への取材で分かった。米高官は日本側による事前説明の場で「法律にしたり、閣議決定して政策をしばり、見直せなくなることを懸念する」と述べ、将来の内閣を含めて日本が原発稼働ゼロの戦略を変える余地を残すよう求めていた。
政府は「革新的エネルギー・環境(エネ環)戦略」の決定が大詰めを迎えた九月初め以降、在米日本大使館や、訪米した大串博志内閣府政務官、長島昭久首相補佐官らが戦略の内容説明を米側に繰り返した。
十四日の会談で、米高官の国家安全保障会議(NSC)のフロマン補佐官はエネ環戦略を閣議決定することを「懸念する」と表明。この時点では、大串氏は「エネ戦略は閣議決定したい」と説明したという。
さらに米側は「二〇三〇年代」という期限を設けた目標も問題視した。米民主党政権に強い影響力があるシンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)のクローニン上級顧問は十三日、「具体的な行程もなく、目標時期を示す政策は危うい」と指摘した。これに対して、長島氏は「目標の時期なしで原発を再稼働した場合、国民は政府が原発推進に突き進むと受け止めてしまう」との趣旨で、ゼロ目標を入れた内閣の立場を伝えていた。また交渉で米側は、核技術の衰退による安全保障上の懸念なども表明したという。
エネ環戦略は十四日に決めたが、野田内閣は米側の意向をくみ取り、「エネ環政策は、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」という短い一文だけを閣議決定。「原発稼働ゼロ」を明記した戦略そのものの閣議決定は見送った。
大串、長島両氏は帰国後、官邸で野田佳彦首相に訪米内容を報告している。
政府関係者は「事前に米側に報告して『原発稼働ゼロ』決定への理解を求めようとしたが、米側は日本が原発や核燃サイクルから撤退し、安全保障上の協力関係が薄れることを恐れ、閣議決定の回避を要請したのではないか」と指摘している。
◆「判断変えてない」大串政務官
原発ゼロをめぐる米国との協議について、大串博志内閣府政務官は二十一日、本紙の取材に対し「個別のやりとりの内容は申し上げられないが、米側からはさまざまな論点、課題の指摘があった。米側からの指摘で日本政府が判断を変えたということはない」と話した。
◆骨抜き背景に米圧力
<解説> 「原発ゼロ」を求める多数の国民の声を無視し、日本政府が米国側の「原発ゼロ政策の固定化につながる閣議決定は回避せよ」との要求を受け、結果的に圧力に屈していた実態が明らかになった。「原発ゼロ」を掲げた新戦略を事実上、骨抜きにした野田内閣の判断は、国民を巻き込んだこれまでの議論を踏みにじる行為で到底、許されるものではない。
意見交換の中で米側は、日本の主権を尊重すると説明しながらも、米側の要求の根拠として「日本の核技術の衰退は、米国の原子力産業にも悪影響を与える」「再処理施設を稼働し続けたまま原発ゼロになるなら、プルトニウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生んでしまう」などと指摘。再三、米側の「国益」に反すると強調したという。
当初は、「原発稼働ゼロ」を求める国内世論を米側に説明していた野田内閣。しかし、米側は「政策をしばることなく、選挙で選ばれた人がいつでも政策を変えられる可能性を残すように」と揺さぶりを続けた。
放射能汚染の影響により現在でも十六万人の避難民が故郷に戻れず、風評被害は農業や漁業を衰退させた。多くの国民の切実な思いを置き去りに、閣議での決定という極めて重い判断を見送った理由について、政府は説明責任を果たす義務がある。 (望月衣塑子)
[東京新聞]
Posted by nob : 2012年09月22日 23:59