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核燃料サイクルを懲りずに尚も推進するのなら、、、現存施設をすべて廃炉に、再設計から核廃棄物処理処分までのすべてを東京の中心で行う覚悟で。。。

■規制委、もんじゅに運転再開の準備停止命令

 原子力規制委員会は29日、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の点検漏れ問題で、日本原子力研究開発機構に対し、運転再開の準備停止を命令することを正式に決めた。同機構を所管する文部科学省も近く改革本部を設け、抜本的な体制見直しを始める。ただ組織に根深く張った安全軽視の体質を改善できるか不透明感が強い。

 規制委は30日に原子力機構の幹部を呼び、命令文書を渡す。管理体制が改善されるまで試運転の再開準備を認めない。もんじゅ計画の大幅な遅れは必至だ。

■漏洩事故が批判増幅

 茨城県東海村の加速器実験施設「J―PARC」でも23日、管理区域外に放射性物質が漏洩し、規制委への報告が1日以上遅れた。高エネルギー加速器研究機構との共同運営とはいえ、「原子力発電について国民が不信感を持っている中で、緊張感と危機感に欠ける」(下村博文文部科学相)と批判が絶えない。

 原子力機構は2005年、核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所が統合して発足した。もんじゅは核燃機構の前身の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が建設した。動燃は1995年、もんじゅでナトリウムの漏洩事故を起こし、事故情報隠しで批判を浴びた。97年には、東海村再処理施設で爆発事故が発生。98年に核燃機構へ改組された。もんじゅは10年に試運転を再開したが、まもなく燃料交換用の炉内中継装置が落下し、停止した。17年以上にわたって発電が止まっている。

■蓄積されぬ技術

 文科省幹部は「原子力機構は研究者の集まり。もんじゅについても研究開発という意識が強く、電力会社とは緊張感が違う」と嘆く。

 近く発足する文科省の改革本部は、7月末をめどに組織体制と業務の改革案をまとめる方針だ。点検漏れ問題で17日に辞任した鈴木篤之前理事長の後任は近く決まる。新しい理事長の下で、まず職員の意識改革が進まなければ、同じ過ちを繰り返しかねない。

[日本経済新聞]


■「高速増殖炉」って何ですか?

原子炉の一つのタイプで、炉心に入れた核燃料よりも多くの核燃料を生み出します。このため、資源の乏しい日本にとっては「夢の原子炉」として大きな期待を持たれていました。

 ウランやプルトニウムなどの核物質が核分裂を起こすと、中性子が高速で飛び出します。

 この「高速中性子」を次の核分裂に使い、連鎖反応を維持する炉が「高速炉」と言われます。なかでも、原子炉内に入れた核燃料の量を上回る量の新しい核燃料を、運転しながら生み出す炉を「高速増殖炉」と呼びます。

冷却材の液体ナトリウム漏れで火災

 日本にある原発の軽水炉は冷却材の水が中性子のスピードを落として、核燃料の連鎖反応を維持しています。一方、高速増殖炉は、中性子のスピードを減速させる必要がないので、当然のことながら水のような減速材は使われません。軽水炉では炉心から熱を取り出す冷却材として水を使っています。一方、高速増殖炉は冷却材として液体金属——なかでも液体ナトリウムが多く使われます。軽水炉よりも高温で運転される高速増殖炉では、高圧をかけることなく500度を超える高熱にできるナトリウムが水などよりも扱いやすいからです。

 ナトリウムは、水や酸素に触れると激しく反応する性質があり、ナトリウムが循環する施設の設計には高度な慎重さが必要です。しかし、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、1995年12月、配管からナトリウムが漏れ、空気中の酸素と反応し、火災が起きました。この火災で「もんじゅ」は停止しました。

炉内中継装置の落下トラブル、1万件近い点検漏れで停止命令

 事故後の「もんじゅ」は地元の理解を得るために10年以上もの歳月を要し、2010年5月に運転再開にこぎ着けました。ところが、同年8月に、今度は燃料交換に使うための炉内中継装置(3.3トン)を炉内に落下させるトラブルを起こし、再び運転がストップしました。

 同機構は、今年度中の運転再開を目指し、準備を進めていました。しかし、1万件近い点検漏れが見つかったため、この再開準備は原子力規制委員会から停止命令が出されることになり、運転再開のメドが立たなくなりました。

 高速増殖炉開発は、基礎実験を行う実験炉、技術的に実用性を検証するための原型炉、実用化に向けた経済性や安全性などを検証する実証炉、実用炉である商業炉という順に開発が進んでいきます。「もんじゅ」は原型炉の位置づけでした。しかし、度重なるトラブルで運転が停止したままになり、実証炉計画は白紙とされ、もちろん商業炉開発のメドも全く立っていません。

「もんじゅ」を熟知した技術者が減っていく

 「もんじゅ」はあまりにも長い期間運転されずにいます。「もんじゅ」の開発当初から関わり、「もんじゅ」に思い入れのある技術者はどんどん減っています。「もんじゅ」を熟知して、責任感のある技術者がいなくなっているのです。「もんじゅ」の安全性をどう保っていくのか心配になります。

 (調査研究本部主任研究員 三島勇)

[読売新聞]

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Posted by nob : 2013年05月30日 07:25