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祖国と国民に背を向けた政府の愚策。。。

■集団的自衛権新法 平和憲法を葬る気なのか2013年8月26日

 「衣の裾から鎧(よろい)が見える」とは、こういうことを言うのだろう。

 日本国憲法で平和主義を掲げるこの国は、危険な方向へ急速にかじを切りつつある。

 安倍政権と自民党内で、憲法解釈で禁じられてきた集団的自衛権の行使容認を想定した新法「集団的自衛事態法」(仮称)の整備が検討されている。

 自衛隊が集団的自衛権を行使する際、文民統制の仕組みを徹底させるため、首相の指示によって対処方針を作り、国会承認を義務付けることが軸となるという。

 表面的には、文民統制、国会承認という、国民や国会に理解を得やすい体裁を取り繕いつつ、平和憲法が定める「戦争放棄」「専守防衛」を事実上放棄する集団的自衛権行使容認の流れをつくる狙いがあるのは明らかだ。

 不戦を誓う憲法9条を持つ国の基本形を変え、何が何でも集団的自衛権の行使を可能にしたい安倍政権の思惑が露骨に打ち出されるようになってきた。本末転倒である。袖口の下から武力志向の危うさを帯びた鎧がちらついている。

 国の在り方としても、手続き論から見ても、明らかにおかしい。

 安倍晋三首相は米軍との連携強化をにらみ、集団的自衛権行使容認に前のめりになっている。私的諮問機関の有識者懇談会の報告書を基に、憲法解釈を変更する形で行使容認に踏み出そうとしている。

 自国が攻撃されていないにもかかわらず、密接な関係がある国が攻撃を受ければ、その国とともに戦争に加担する。それが集団的自衛権が行使された戦闘行為の姿だ。米国が戦争を起こせば、日本も参戦する仕組みが確立してしまう。

 歴代の内閣法制局はどんな政権下にあっても、「国際法上、集団的自衛権を保有しているが、行使は現行憲法の限界を超え、許されない」との解釈を維持してきた。

 だが、安倍首相は、集団的自衛権行使容認論者とされる人物を内閣法制局長官に任命した。行政府内の憲法解釈の最高責任者を政権の意に沿う人物にすげ替えて布石を打っている。

 国民は政権のきなくさい動きを冷静に見詰めている。最新の全国世論調査は、集団的自衛権をめぐり、「行使できないままでよい」が47・4%で最も多かった。

 安倍首相は10年、20年先の国の姿をどう描いているのか。国民への説明責任を果たすべきだ。

[琉球新報]


■TPP閣僚会合 急ぐ理由はどこにある

 ブルネイで開かれた環太平洋連携協定(TPP)閣僚会合は、年内妥結に向けて「重要な節目」となる首脳会合を10月に開くとした共同声明を発表し閉幕した。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて首脳会合を開いて大筋合意し、年内妥結を目指す方向だ。年内決着を急ぐ米国の意向を反映したものだが、日程ありきの交渉の進め方には強い疑問を禁じ得ない。

 TPP交渉参加について日本政府は「国益」を強調するが、それが本当に国民の利益につながるのか依然不透明であり、農業や医療関係者らをはじめ、国内では反対意見も根強い。年内妥結ありきの拙速な議論は到底許されないと肝に銘じるべきだ。

 そもそも米国が年内決着を急ぐのは、来年秋に中間選挙を控えたオバマ大統領の実績づくりにあるとされる。オバマ政権の公約である輸出倍増計画の達成に向け、TPPを最大の成果として有権者にアピールしたい思惑だが、あまりにも動機が不純すぎる。

 閣僚会合後の合同記者会見では「米国が自国のルールを押し付けているのでは」との質問も出た。「米国益」を隠そうともしない露骨な姿勢に、TPPの危うい本質が見え隠れする。これでは対等かつ公正な貿易交渉とは言えまい。

 実際、参加12カ国による交渉は、焦点となっている関税撤廃や知的財産をはじめ、いまだ多くの分野で難航しており、年内妥結へのハードルは極めて高い。

 特に日本が聖域に掲げるコメや麦、サトウキビなど甘味資源作物などの重要5品目の取り扱いは、現時点でも一切不明だ。今回の交渉では、米国やオーストラリアとの関税交渉に入れず9月中旬以降にずれ込む見通しだ。残りわずか3カ月で国民が納得できる結論を導き出せるのか、甚だ心もとない。むしろ乱暴と言うべきか。

 にもかかわらず、甘利明TPP担当相は年内妥結目標で米国と歩調を合わせた。国有企業の扱いをめぐる現行案に懸念を示すマレーシアなどが越年を辞さない構えを示したのとは対照的だ。

 安倍晋三首相はTPP交渉参加を「国家百年の計」と大見えを切ったが、ならば、なおさら焦りは禁物だ。国益を守り切る見通しが立たぬなら、交渉脱退も選択肢とすべきだろう。国民の安定した暮らしと安全を最優先すべきだ。

[琉球新報]

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Posted by nob : 2013年08月27日 11:32