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見護りと寄り添いから、、、忍耐は愛あればこそ。。。Vol.2

■妻がウツになった。どのように接すればいいか
「不安なく暮らす」ための全課題
俳優 萩原流行

「胸を裂いて、苦しみの塊を取り出したい」

22年前のある日、僕が仕事から家に帰って「ただいま」といっても、妻から返事がありませんでした。いつもなら「お帰りなさい」という声が聞こえるのに、様子がおかしい。

「どうしたの? 具合でも悪いの?」

そう尋ねると、「明日、病院に連れていってほしい」と頼まれました。その病院とは数日前、NHKで紹介されていた精神病院でした。

「もう我慢できない。胸を裂いて、苦しみの塊を取り出したいの!」

妻にそういわれたときは、一瞬、頭が真っ白になりましたが、すぐマネジャーに連絡して翌日の仕事の入りを遅らせてもらい、朝一番で病院に行きました。医師はうつと診断し、妻の病院通いがはじまりました。

その頃、僕は仕事で朝6時に家を出て夜中の3時に帰るという生活をずっとしていて、妻の生活も昼夜逆転していました。しかも僕は外で弁当などを食べず、家に帰って妻がつくる食事と会話を楽しみにしていました。後から考えると、そうしたことも妻のプレッシャーになっていたのかなと思います。

うつを患った妻への接し方については、医師からこう注意されました。

「奥さんにとってあなたは旦那さんであり、父母、兄弟であり、恋人であり……。要するに奥さんにとっての全世界はあなたなんです。だから奥さんが何かいったとき、『それはダメ』という言葉は絶対に使わないでください。絶対的な存在の人に拒否されると、どうにもならなくなってしまいますから」

それ以来、僕は「ダメだ」という言葉は一切使っていません。言葉で傷つくことが多いと聞かされたので、はじめは相当、話す言葉に注意しました。ちょっとした話でも「そういうふうにとったの?」ということがあるじゃないですか。何気ない人の言葉が、心をズタズタにする。そのことが本当によくわかるようになったのは、妻がうつを発病してから数年後、僕自身がうつになってからでした。

たとえば「元気ないじゃないか」といわれると、「元気ないと思われているんだ……」と内にこもっていってしまう。相手に悪気がなくても、病気なので曲解しちゃうんですね。

逆に最近はうつの人に「頑張って」といってはいけないと広まっていますが、いわれた人が必ず傷つくわけではありません。いろんな状況があるなかで、その言葉が人を傷つける場合があるということです。その意味では、言葉の選び方が難しいのは確かですが。

相手の状況を全部把握しているわけではないのですから安易に引っかかるようなことをしゃべってはいけません。

芝居をやっていることもあって言葉が本当に重要だと僕は思います。言葉の上には感情がのっています。神経質になりすぎてもよくないですが、心の中に相手への思いやりを持って話すことが大切です。そんな気持ちがあれば傷つけても「ちょっと言いすぎたかな。ごめんね」とフォローできるでしょう。

うつは誰でもなる可能性があります。奥さんとは毎日10分でも目を見つめ合って、会話を持つ努力をしたほうがいいと思います。それでおかしな感じがあれば、「どうしたの?」といってあげる優しさが必要です。

とはいえ、普通に暮らしていた伴侶が急にうつを患っても、まずわからないでしょう。僕の場合、妻がSOSを出してくれたおかげで彼女を救うことができました。彼女は自分がSOSを出せば、僕が受け取ると思ってくれたんだと思います。だから、夫婦に信頼関係があることが大事なんでしょうね。

僕たちは青春時代を芝居で共有していたので尽きることなく話せる。会話の多い夫婦なんですよ。話題はなんでもいいから、お茶でも飲みながら2人で話をしましょう。1つの時間を2人で共有し合うことが、夫婦の信頼関係をつくるには一番だと思います。

萩原流行
1953年、東京都生まれ。世田谷学園卒業後、劇団「ザ・スーパーカムパニイ」に所属。73年初舞台。つかこうへい事務所を経て、83年フリーに。以後活動の場を舞台、TV、映画等と広げ、現在に至る。著書に『Wうつ』がある。

[PRESIDENT online]

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Posted by nob : 2013年11月10日 21:18