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彼の真意がどこにあれども、、、脱原発への影響力に期待。。。Vol.8

■田原総一朗 「直感の天才」小泉元首相が日本の原発政策を変える

 小泉純一郎元首相が講演などで脱原発を訴えている。ジャーナリストの田原総一朗氏は、小泉元首相の発言が日本の原発政策に変化を促すと話す。

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 小泉純一郎元首相の脱原発発言が大きな話題になっている。

「原発が動かなくなってからもう2年くらいになる。政治が早く、将来原発ゼロにしようという目標を打ち出せば、多くの国民がどんどん協力すると思います」

 私は、小泉元首相は「直感力の天才」だと思っている。

 小泉氏が自民党の総裁選に出馬しようかどうか迷っていたとき、私はある人に頼まれて小泉氏に会った。そして「出馬についてどう思うか」と聞かれたので、「経世会(旧田中派)と、平気でとことんケンカする気があるのなら、私は支持してもよい」と答えた。「でもね、殺されるかもしれないよ」とつけ加えると、小泉氏は「殺されても、やる」と、きっぱりと言った。

 もっとも経世会とケンカするといっても、一般の人にはよくわからない。小泉氏は総裁選の街頭演説で「自民党をぶっ壊す」と言い換えて熱弁を振るい、有権者の圧倒的な支持を得た。こういうところの感覚がすごいと思う。

 2005年の「郵政解散」でも、すさまじい直感力を示した。郵政民営化関連法案には自民党内にも反対する議員が多く、衆議院はぎりぎりで通ったものの、参議院はほぼ間違いなく否決の情勢だった。そこで長老議員たちは「採決しないで継続審議にせよ。否決されたら総辞職しかない」と説得したのだが、小泉首相は採決に踏み切り、否決されると、何と衆議院を解散した。

 多くの政治家もメディアも「小泉自民党は大敗する」と読んだが、「命をかける」「全政治生命をかける」と威勢よく言い放って、なんと大勝した。このときメディアが使ったのが「小泉劇場」という言葉だ。

 今回の小泉氏の脱原発発言は、フィンランドを訪問して「オンカロ」を視察し、「原発はダメだ」と直感したのである。「オンカロ」はフィンランドがつくった世界初の使用済み核燃料の最終処分場である。そこで使用済み核燃料の無害化に10万年以上かかると聞いて、冒頭の発言になったのだ。実は、このとき日本の原発メーカーの幹部が同行していて、彼は「高速炉で処理すれば300年で無害化できる」と説明したのだが、小泉氏は理解してくれなかったと不満を漏らしている。

 現在、自民党政権は原発推進の姿勢を強めているが、日本の原発には様々な問題がある。最大の問題は原子力を含めたエネルギーの総合戦略ができていないことだ。原発問題は経済産業省、環境省、復興庁、文部科学省、厚生労働省など、いくつもの省庁にまたがっていて、総合戦略が策定しにくい構造になっている。

 さらに汚染水問題、廃炉問題、再稼働問題、除染問題、そして最終処分場の問題など、難問が山積みだ。決着に向かっているのか、悪化しているのかさえよくわからない。何より原発問題の責任者がどこにいるのかもよくわからない。

 小泉発言は少なからぬ影響力がある。政府の原発担当幹部たちは困惑しているはずだ。しかし、だからこそ、私は小泉発言が原発総合戦略を後押しする、というより、いや応なく前倒しで進めざるを得なくさせるのではないかと考えている。

 小泉氏の「脱原発」発言で何となくホッとした人も多いかもしれない。だが、実は「脱原発」であろうとなかろうと、原発をめぐる数々の難問に取り組まざるを得ないのである。

[週刊朝日]


■小泉純一郎の「脱原発」で政界再編 細川元首相が“共闘宣言”

 10月16日、「脱原発」を掲げ、動きだした小泉純一郎元首相(71)が、千葉県木更津市で開かれた講演会に登場した。演説するその姿はかつて、「自民党をぶっ壊す!」と叫んで首相を射止めた現役時代さながら。100分間にわたって熱弁する“小泉劇場”に、居並ぶテレビカメラ、会場を埋め尽くした約1100人の聴衆が聴き入った。

 その迫力におののいた永田町では、小泉氏が「脱原発新党」を立ち上げるという噂が駆け巡ったが、そこはこう否定した。

「どっかの新聞でまた、原発ゼロの新党を考えているんじゃないかというのもあったけど、そんなこと毛頭考えてません。私の話が聞きたいという所には行ってお話しして、何かの参考になればという話なんです」

 だが、衆参で“絶対多数”を誇る安倍内閣を攻めあぐねる野党が、この好機を逃すはずもない。各党から続々とラブコールが送られているのだ。昨年末の衆院選以降、存在感が薄れていた生活の党の小沢一郎代表も、かつての政敵をこう評価した。

「小泉氏も政治の現場を離れ、公平な高みから眺めて脱原発という心境に至ったんだろう」

 菅直人元首相、民主党もエールを送った。とはいえ、野党バラバラという現状を見る限り、「脱原発」を軸とした政界再編は夢のまた夢。そんな中、意外な“キーマン”として名前が挙がっているのが、細川護熙元首相である。

 1993年、日本新党の代表として38年ぶりの自民党からの政権交代を実現。98年に60歳で電撃引退した後は、芸術家として活動してきた。長く政治の世界から距離を置いてきた細川氏だが、3.11以後は「脱原発」に目覚めているという。関係者が証言する。

「細川氏は最近も、エネルギー関連の専門家と会うなどして『脱原発』の道を模索している。そんな細川氏に数週間前、小泉氏が人を介して『会いたい』とアプローチしたようです」

 小泉氏と細川氏が脱原発で共闘すれば、その影響力がさらに増すことは必至。果たして本当なのか。細川氏本人を直撃すると、こんな答えが返ってきた。

「小泉さんとは会って話をしたいと思っています。当然、原発の話題になるでしょう。8月に視察したという、フィンランドにある使用済み核燃料の最終処分場の話を聞いてみたい。どこまでの話になるかわかりませんが、日本の現状は本当に深刻。どう行動するべきか考えなければならない」

 実は、細川氏には小泉氏と意外な縁がある。小泉氏が自民党総裁選に出馬する直前まで、細川氏や田中秀征・元経済企画庁長官らとともに「行政改革研究会」として活動していたのだ。月に1度、食事をしながら、小泉氏の持論だった郵政民営化などの改革案を語り合ったという。

 小泉氏と同じく、細川氏も自身の政界復帰については固く否定する。それでも、原発問題には強い危機意識を持っていた。

「福島第一原発の状況は危機的で、4号機の崩落があった場合、影響は一国にとどまらない。民主党政権時代、野田佳彦首相に『脱原発で旗幟(きし)を鮮明にすべし』と助言しましたが、その後の対応は本気度が見えませんでした。波風は立てたくないのですが、戦うべきところは、体を張らないといけないと思っています」

 となると、目指すところはやはり野党再編なのか。

「どの政党がくっついてというような永田町の話ではなく、国民運動にしていかなければならない。政権交代を実現した日本新党も、元は国民運動でした。脱原発が『一部の人が言っていること』と思われている今の空気を変えなければならない」(細川氏)

[週刊朝日]

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Posted by nob : 2013年11月03日 23:46