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増長蔓延する勘違い者。。。
■現代のお遍路さんは“多士済々”…善意をこき下ろす“勘違い者”の残念
来年、四国霊場八十八カ所が開創1200年を迎えるのを機にお遍路の今を伝えようと、11月、外国人や女性のお遍路さんを中心に取材を重ねた。「お遍路さんの魅力は?」という質問に、国籍や性別、年齢に関係なく誰からも返ってきたのは、感謝や感動の言葉だった。1200キロ以上もの距離を歩き通す「歩き遍路」の挑戦者たちは、普段では得がたい思いを胸に四国を離れるようだ。
(高松支局 藤谷茂樹)
■海外に広がる魅力
「25歳の年に特別なことにチャレンジしたかった」。お遍路に挑戦する理由をこう語ったのは香港在住の黄君賢さん(25)。宿泊先の香川県宇多津町の善根宿「うたんぐら」で答えてくれた。
黄さんは香港のホテルに勤務。これまで2度、日本を訪れていたが、四国は初めて。雑誌でお遍路を知り挑戦を決めたという。
「四国の美しい山や海を眺めながら歩き続ける毎日は幸せだった」と笑顔で語り、お遍路さんに対して食べ物などを提供するお接待には、「香港ではありえないこと」と驚く。
「四国ではみな笑顔であいさつを交わしてくれた。それがとてもうれしかった」と黄さん。残す札所は10カ所ほどで「もうすぐゴールなのは本当に寂しい」と近づく四国との別れを惜しんでいた。
お遍路に挑戦する外国人は増加傾向にある。たどり着けば「結願(けちがん)」となる第88番札所、大窪寺(香川県さぬき市)から北西4・5キロにある「前山おへんろ交流サロン」には、最後の休憩地として多くの歩きのお遍路さんが立ち寄る。
同サロンの集計では、平成16年7月からの1年間に訪れた歩き遍路は1743人で、うち外国人は10人。ここ数年、外国人は年間60〜80人で推移。昨年7月からの1年間では、2463人のうち98人にまで増え、アウトドア志向で、歩きながらの自然や人とのふれあいを楽しんでいる。
同サロンスタッフの秋友京子さん(64)によると、お遍路を知るきっかけとして、スペインの世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」を挙げる外国人が多いという。「スペインにお遍路のパンフレットやシールがあり、それで興味を持って、インターネットで詳しく調べるそうです」
■“クセ”になるお遍路
白装束姿でひたすら歩き、札所の寺を目指す。お遍路は苦行というイメージが強い。実際に「修行の道」で、身内の不幸などを理由にお遍路を始める人も多い。ところが、近年増えてきた若い人たちの動機は、意外なほど気軽だ。
今春に続いて2回目のお遍路に挑戦中だった千葉県柏市の高野晃子さん(32)は「何で思いついたのか覚えていませんが、ぱっと思いついたのがお遍路だった」と打ち明ける。
看護師をしていた高野さんは、勤め先を辞めた1年間を「人生の休養」にすると決めた。普段はできない海外旅行、ボランティア活動…。やりたいことをあれこれ思い浮かべたが、結局、選んだのはお遍路だった。
1回目の序盤は、慣れない土地での歩き旅に、目的地に着けるかなど不安が先に立ったが、行程の半分を超えたあたりから歩く楽しさを覚えた。
「気持ちの良い景色。人とのふれあいも良かった。お寺をお参りすることで、家族やご先祖のことも感じた。何より、ただ歩くだけで、“社会的な生産”をしないという贅沢(ぜいたく)な時間を過ごせた」。こうした思いが2回目の挑戦につながった。
今回は八十八カ所とは別に、空海とゆかりがある別格二十霊場も回ることにした。別格霊場巡りはお遍路さんも少なく、道も整備されていないが、道中で知り合った大阪府寝屋川市の男性(55)が案内役をかって出てくれた。
身内の供養をきっかけにお遍路を始めたこの男性は、今回で7回目の巡礼となり、「これまで見えていなかったものが見えてきた。道すがらの小さな仏像、境内の木々、寺の彫刻。いい旅になっている」と話す。
なぜ何度も挑戦するのか。「達成感もあるが、お遍路は心の修行。(結願とともに)まだ達成していないという思いが強くなるからです」。男性は静かにこう語った。
■善意を勘違い
来年は四国霊場八十八カ所の開創1200年にあたり、お遍路さんの一層の増加が見込まれる。霊場がにぎわいを増しそうだが、一方で迎える地元では、「お接待」をはき違える人も増えるのでは、と懸念の声も出ている。
住民がお遍路さんに食べ物や飲み物を渡す「お接待」は、信仰を示すお布施の一形態とも言われ、あくまで個人個人の善意であり、サービスではない。
例えば、お遍路さんに自宅の一部や別棟を無料か格安で提供する「善根宿(ぜんこんやど)」と呼ばれる宿。これも善意や信仰から来るもので、ホテルや旅館ではない。だが、善根宿をサービスと受け取り、「汚い」「寒い」とこき下ろす人がいるなど、地元とのすれ違いも生じている。
フェイスブックなどで女性のお遍路相談を受けることが多い霊場会公認先達の福田久恵さん(51)は「気分転換の1つとして、歩き遍路があってもいい。現実での肩書も名前もない、1人のお遍路さんになれる」と気軽な挑戦は歓迎する。そのうえで、「自分には非日常でも、お接待を施す地元の人たちにとっては日常の世界。そこにおじゃまするという謙虚さは忘れないでほしい」と呼びかける。
四国八十八ケ所霊場会(香川県善通寺市)の推計では、結願を達成するお遍路さんは年間13万人。だが、これには車やバスなどで巡拝する人も含まれるため、歩き遍路の人は数千人とみられる。
お遍路の始まりは、「辺地(へち)」「辺路(へじ)」と呼ばれた、現世とは別の世界とつながる海岸などの僻地を歩く修行だったといわれる。札所の寺院を巡って納経帳に朱印をもらうことが目的のように見えるが、本来の目的は「歩くこと」そのものにあるようだ。
日々の生活のなかで見失ったものを再発見する。それが現代のお遍路さんの1つの姿なのかもしれない。
[産経新聞]
Posted by nob : 2013年12月16日 08:40