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彼の真意がどこにあれども、、、脱原発への影響力に期待。。。Vol.38/結局それを容認する私たち国民一人一人の問題。。。

■エネルギー基本計画は単なる再稼働宣言だった!?

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

 福島第一原発では濃度の高い放射能汚染水を間違えて別の建物に送っていたという。東京電力はこの汚染水誤送事件の原因を調査したが、今のところ判明していない。

 要するにこれは「3年経っても原発事故は収束していない」ことを意味している。前方ばかり見て全力疾走しているから、後ろのことがおろそかになっているのだ。

 換言すると、安倍晋三政権が原発回帰のための新エネルギー基本計画を閣議決定することに関心を集中し過ぎたから、事故現場に気の緩みが生じたということだろう。

 この誤送事件は全くの想定外のことだというから、これからも想定されていない事態が起きる可能性はある。

数値も期限も明示されない
エネルギー基本計画の無内容さ

 さて、今回の基本計画を精読してもその無内容さに驚かされる。今までのエネルギー政策、原発政策を続行していくという宣言のようなものだ。

「原子力規制委員会の規制基準に適合した原発の再稼働は進める」とした部分が計画の核心部分だ。これでは再稼働までに首相などの政治判断も不必要になり、規制委の審査結果によって自動的に再稼働していくことになる。政治や行政が不人気な決断から逃げている印象だ。

 さらに気になったのは「原発依存度は、可能な限り低減」とした部分だ。深く読めば、これは必ずしも原発の基数を減らすことにはならない。原発を減らすのではなく、依存度を減らす、しかも「可能な限り」である。

 これから電力消費が拡大していけば、依存度が低下しても、原発が増えていく恐れがある。むしろその可能性のほうが高いのである。「依存度の低減」は、原発政策の転換ではなく、むしろその続行を強く打ち出しているとも言える。

「エネルギー政策に奇策は通用しない」とか「万全の対策を尽くす」とか決意表明のような文言が並ぶが、それがまた無内容さを浮き彫りにしている。その最たるものが「高レベル放射性廃棄物は国が前面に立って最終処分に向けた取り組みを進める」だ。今までできなかったことを信用しろと言っても無理である。言葉だけの努力規定に聞こえる。総じてこの計画には数値も期限も明示されていない。これでは計画ではなく、単なる「再稼働宣言」に過ぎない。

 なぜそうなったのか。それは事故の第一級の被告である原発行政と電力会社が自ら判決文を書いたからだろう。全く事故を反省し学んだ形跡がうかがえないことに怒りさえ感じる。

 当初、この基本計画は、昨年末に決定される予定であったが、突発した都知事選によってここまで先送りされてきた。確かに年末にこの計画を決めたら、都知事選の様相も変わっていたかもしれない。集団的自衛権問題もそうだが、これほど民意を退けている政治に明日はないと言うべきだろう。

細川・小泉両氏の新法人が
安倍政権の原発政策に立ちはだかる

 ところで、前のめりの安倍政権の原発政策に、都知事選で連携した細川護熙元首相と小泉純一郎元首相がまたもや立ちはだかろうとしている。

 5月7日に一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を立ち上げ、自然エネルギーの推進、原発再稼働と原発輸出を阻止するための活動を開始する予定だ。

 最近の細川・小泉両氏は、選挙敗北の後遺症は全く見られず、最後の仕事、一生の課題に向けて鬼気迫る闘争心が感じられるようになった。

 原発事故から何も学ばなければ、世界からも後の世代からも強い批判を招くだろう。原発事故は、「安全性」より「経済性」を重視したために起きた。それにもかかわらず、政権は「経済性」を一段と重視した計画を掲げたのである。

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2014年04月17日 09:45