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整腸を制する者が健康を制する。。。
■ヨーグルトは食べるタイミングが重要だった!
今話題の「菌活ブーム」の落とし穴
笠井奈津子 [栄養士、食事カウンセラー]
就活、終活、婚活……。今やいろんな「○活」がある中で、今回取り上げたいのは“菌活”である。暑い時期には野菜ジュースや酵素ジュースを飲んでいた健康志向の人たちの中にも、なかなか気温が上がらない秋からの冬のうちに、「冷たいものはもうちょっと…」と菌活にシフトした人がちらほらいる。
菌活とは何かというと、菌、それも、もちろん良い働きをしてくれる菌を積極的に摂ることをいうようだ。それによって善玉菌が増えて腸内環境が整えば、多くの人が悩む便秘が解消されるだけでなく、免疫力も上がるし美肌にもなる。
人の消化管には100兆以上もの菌が存在しているといわれるが、そのすべてが良い働きをしてくれているわけではなく、年をとると悪玉菌が増える傾向にある。だからこそ、良い菌を補って腸内環境を整えることの価値が増すのだ。
そして、便秘の悩みなんてない、という男性も他人事と思わないでほしい。悪玉菌が減るということは、有害物質が減るため、解毒のために酷使される肝臓の負担が減る。日頃お酒の量が多かったり、加工食品や添加物が多いものをよく食べる人も、良い菌を意識して取り入れる必要があるのだ。
菌活しているのになぜ?
なかなか便秘が解消しない理由
菌活をしている、という方々の食事記録を見せていただくと……なるほど、それらしき食材がずらりと並んでいる。たとえば、こんな感じだ。
朝 パン+味噌バター、ヨーグルト
昼 きのこスープ
夜 鶏肉の塩麹グリル、ごはん、味噌汁、サラダ
でも、「便秘解消のために菌活をしているのになかなか解消されない」という。こんなに良いものをとっているのになぜ?と思うかもしれないが、あまり驚きがないのが正直なところだ。というのも、便秘に悩む女性には、ダイエットを意識して食事量が少ない方が多く見られる。
食事記録にあるような、その食事量の少なさこそが、便秘の原因にもなり、代謝の悪い、痩せにくい体を作ってしまうのだが…。せっかく菌活をしているのだから、望む結果を出せるように、その他の原因も考えてみたい。
朝ヨーグルトだけでは効果激減!?
乳酸菌にまつわる誤解
菌といえば、乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌、麹菌は馴染みがあると思うが、菌によってその働きはさまざまだ。まずはそれぞれの菌の働きについてみていこう。
菌が含まれる食品といわれて真っ先に思い浮かび、取り入れている人が多いのは、「ヨーグルト」ではないだろうか。菌の種類によって働きが違うと前述したが、ヨーグルトといえば!の乳酸菌は、この時期気になる花粉症対策にも効果があるといわれている。
乳酸菌とは、オリゴ糖などの糖を発酵させて乳酸をつくる微生物の総称。ブルガリアヨーグルトで馴染のあるブルガリア菌、漬物や乳酸飲料などに含まれている植物性の乳酸菌、ラブレ菌など、種類は200以上あるとされている。ビフィズス菌もその乳酸菌の一種であるが、同じ乳酸菌の中でさえ、機能性が異なる。
テレビのCMでも、「14日間チャレンジ!」というフレーズをよく耳にするが、そもそも、乳酸菌を摂ったらすぐに変わるわけではない。1日、2日で意味がない、と思うのではなく、まずは2週間チャレンジをして、それでも改善の兆しすら見えない場合には、その菌との相性が良くないのかもしれない。菌活でヨーグルトを摂っているのになかなか効果が出ないな…と思っている人は、各社、いろんな商品が出ているので、違う種類の菌を試してみよう。
乳酸菌にはタンパク質や脂肪の分解を助けてくれる働きがあるので、同じ乳製品の牛乳よりも消化吸収には良い。「牛乳だとちょっとお腹を壊してしまうんだよね…」という乳糖不耐症の方も、摂りやすいかもしれない。ただ、毎日のこととなると、やはりプレーンタイプのものがベスト。オリゴ糖と組み合わせると相乗効果があるので、甘い味が好きであれば、オリゴ糖甘味料を用いると良いだろう。
そして、ヨーグルトを摂るタイミングにも注意!実は、生きた菌を腸に届けるのは結構難しい。なぜなら、乳酸菌は胃酸に強くないから。体に良いと思って、朝ヨーグルトだけ、空腹のときのごまかしにヨーグルトを、というよりも、胃酸が薄まっている食後のタイミングで摂った方が効率的といえる。
また、発酵食品だから時間が経つほどに良いのではないか…と一瞬思うが、含まれる菌によっては、時間の経過と共に菌の数が減るともいわれる。製造年月日が若いものを、できるだけ新鮮なうちにいただくのがより良いのかもしれない。
食物繊維としても欠かせないきのこ
扱いやすい菌活アイテム
そして、色々試してみてもヨーグルトだけでは便秘が改善されないというなら、食物繊維が不足していないか振り返ってみよう。食物繊維は、便のかさを増やすものとしても、善玉菌のエサとなるものとしても、欠かせない存在。となると、食物繊維が豊富な「きのこ」に注目してみたい。
今が旬ではないものの、年間を通して手に入り、価格も安定しているきのこ。きのこを漢字に変換すると、「菌」になるくらい、きのこそのものが菌である上に、腸内の善玉菌を育てるために必要な食物繊維も併せ持つ。
脂質を気にしたり、塩分を気にしたり、カロリーを気にしたり…といった必要がないのも良い。わざわざきのこスープを作らなくても、炒めものや味噌汁の具としても良いし、ほぐしたきのこをアルミホイルに包んで、トースターで加熱して、ゆず胡椒やみそ、少量であれば焼肉のタレなどで味付けして、おかずの一品にしても良い。加熱時間が短くて扱いやすいのも、菌活のアイテムとしてはなんともうれしい。
また、乳酸菌つながりでいくと、ヨーグルト以外にも、チーズやキムチ、糠漬けにも菌は含まれている。抗アレルギー作用、整腸作用がいわれているが、油ものや肉食が多くて腸内環境が乱れている人は、同じ乳酸菌の中でも、乳脂肪が多い乳製品ではなく、キムチや糠漬けを選んだ方が良いだろう。
いずれにしても、食事でとりこんだ菌は、便となって3日ほどで体外に排泄されてしまうため、日々継続して食べることが大事だ。特に、乳酸菌は体内に長くとどまることができない。気まぐれ的な摂取で終わらないようにしよう。
コンビニでも手に入る発酵食品
朝食に取り入れることから始めよう
また、日本は発酵大国ともいえるくらいに、菌の力を利用して作られる発酵食品が多くある。実はコンビニでも手に入りやすく、菌活は日常に取り入れやすい。ヨーグルトはもちろん、チーズ、納豆、キムチ、味噌……、さらに生鮮食品が充実しているところなら、きのこもお目にかかることができる。
これらの発酵食品は、組み合わせて食べることでより効率が上がる。納豆キムチはそのままでもいただけるし、味付けとしての組み合わせでは、味噌バターなんていうのもありだ。キムチは胃腸が弱い人には積極的におすすめできないが、ダイエット中の朝食にコンビニで買える「納豆」「キムチ」「ごはん」を取り入れることを徹底したクライアントは、体重が落ちた以外にも、便通が整ったり、ガスの臭いが減った、と効果を感じていた。
ただ、便秘解消に目的をおくのであれば、やはり、朝食をきちんと摂ること、できるだけ1日3度の食事のリズムをつくること、が基本となる。その上で、菌活で腸内環境をよくすることに加え、食物繊維の多い食品や水分を充分に摂ること。さらには、ダイエット中だからと極端に脂質を控えることなく、便のすべりをよくする脂質もちゃんと押さえること。……結局はバランスよく食べてください、ということになるのだが、極めようとすればキリがない。
同じコンビニでも何を選ぶのか、手間をかけたくない中で何を選ぶのか、といえば、菌活、という視点は、多忙なビジネスマンには向いているのかもしれない。
[DIAMOND online]
Posted by nob : 2014年04月29日 17:52