« 拍手っ!!!私たちの国の実態は真逆のベクトルに向かって嘆かわしい限りですが、憲法9条の理念は世界に誇れる私たち国民の最大の財産。。。 | メイン | 外部被曝はこれからも絶え間なく、、、そして真の恐怖は内部被曝、それは流通によって、、、脅威は拡散し続ける。。。 »

また旅立つ君へVol.28/眼前にそびえる山に登ってみて、果てしなく広がる海原に漕ぎだしてみてこそ、初めて見えるそこにしかない美しい景色がある。。。

■自分のために生きる勇気~人生の舵をとるために考えたいこと

「足りないのはお金でも経験でもなく、勇気」
―なぜ人は一歩を踏み出すことを怖れるのか?
~白木夏子×安藤美冬 特別対談【前編】

「勇気」というキーワードをもとに彼女たちが語る、人生の選択、キャリアの分岐などの悩みを抱える人たちへのメッセージ。「足りないのはお金でも経験でもなく勇気」という言葉の意味とは?なぜ、一歩を踏み出す勇気とは?安藤美冬×白木夏子『自分のために生きる勇気』刊行記念対談前編!

なぜ一歩を踏み出す勇気を持てたのか?

安藤美冬さん(以下敬称略) 夏子さんとは先日(編集部注:3/20~3/23)沖縄で開催されたG1サミットでお会いしたばかりですね。

白木夏子さん(以下敬称略) そうですね。今日は美冬さんと対談できること、とても楽しみにしていました。

安藤 私、実はずっと夏子さんのことを追いかけていたんです。まだエシカルという言葉も日本に浸透していない、HASUNAを立ち上げられたばかりのころに雑誌に載っている夏子さんを見かけて。

白木 ええっ。そうなんですね。

安藤 「人にも地球にも優しい」というコンセプトで、しかも心から美しいと思えるデザインのジュエリーをつくられていて、「この人すごい! 気になる!」と。それからずっと夏子さんがメディアに出られるたびに注目していましたし、ジュエリーの新作もチェックしていました。

白木 うわあ、恥ずかしい。でも嬉しいです。

安藤 だから、今回『自分のために生きる勇気』という本を書かれたと聞いて、すごく楽しみだったんです。実際、読んでみると夏子さんらしい印象的な言葉が並んでいて、今の私の心にまっすぐに響く本でした。

白木 ありがとうございます。

安藤 どうして夏子さんがHASUNAを立ち上げようと決断したのか、どうやって鉱山と取引をしているのか、なぜいつも凛としているのか……今まで感じていた疑問がすっと腹に落ちたんです。
まず、タイトルに引きこまれたのですが、なぜこのタイトルにしたのですか?

白木 この本を書くにあたって自分のやってきたことを振り返って、今、何をいちばん伝えたいか? といろいろ考えたんです。伝えたいことはたくさんあったのですが、軸になっていたのは一歩を踏み出す『勇気』だと思って。

安藤 「勇気」。これって今の時代のキーワードですよね。

足りないのはお金でも経験でもなく、勇気

白木 自分の人生の舵をとるためには、選択肢が目の前に現れたとき、ひとつひとつ自分で決めていかないといけない。決断ってすごく勇気がいることですが、自分で考えて決断して前に進んだときに見えてくる景色は格別。そういうことを伝えかったんです。

安藤 自分の道を阻んでいるのは、結局自分なんですよね。自分の勇気が足りないだけ。たとえば私、毎日のように人生相談のメールをいただくんですよ。メディアで私を知ってくださった方々や本を読んでくださった方々から。この相談の中で比較的多い質問、何だと思いますか?

白木 美冬さんに聞きたいことと言えば……やはりキャリアのことでしょうか?

安藤 そうなんです。ざっくり言うと、独立にせよ転職にせよ「会社を辞めようか悩んでいます。どうすればいいと思いますか?」という質問。でも、これ、私に聞いている時点でその人の答えは決まってるんです。だって、こんな時代に30歳で集英社を辞めて独立した私が、「とりあえず、会社を辞めるなんてリスキーな選択は控えましょう」なんて言うはずがないですよね(笑)。もちろん、よほど無謀な状況であれば別ですが。

白木 たしかに(笑)。みなさん、背中を押してほしいんですね。

安藤 そうなんです。背中を押してほしいくらい心が決まっているのに、行動に移せない。じゃあ、この人たちに足りないものは何なんだろう? そう考えたとき、結局は勇気の問題なんだと気づいたんです。

白木 なるほど。

安藤 ということは、「どうしたら自分は行動する勇気が持てるのか」ということに絞って考えればいいはずですよね。この点についてどう思われますか?

白木 そうですね。ひとつ大きな要素として、「失敗してもやり直しがきく」という安心感。これは勇気を持つ助けになると思います。HASUNAに人生を賭けようと思っていた私ですら、いざ事業を始めるときは「失敗したらもう終わりだ、これはラストチャンスだ」とは考えないようにしていました。どちらかというと、「万一うまくいかなくても、なんとかなるだろう」と(笑)。

安藤 あはは、楽天的ですね(笑)。もし失敗したらどうしよう、とは考えなかったんですか?

白木 うーん、そうですね。人ってだいたい、やりたいことがいくつかありますよね。濃淡はあれど。

安藤 たしかに。

白木 だから、失敗したらその濃淡の濃いところで別のことをしよう、と思っていて。ジュエリー職人になる、再就職先を探す、世界を旅してビジネスを立ち上げる、結婚する……具体的にいろいろ考えていました。あえて、他の道があるということは意識していた気がします。「失敗は絶望じゃない」と言い聞かせて。

安藤 なるほど。たしかに、「失敗は絶望じゃない」と思えば、一歩を踏み出すハードルはぐっと低くなるのかもしれませんね。

人がいちばん怖いのは、社会的に「失敗者」と思われること

安藤 あ、そういえば、私も独立するとき、失敗したときの「他の道」は考えましたね。

白木 そうなんですね。それはどんな道ですか?

安藤 資格取得や再就職などいくつか考えていたのですが、そのうちのひとつに、コンビニエンスストアで働くことがありました。

白木 コンビニ! 意外でした。それはまたどうしてですか?

安藤 私、とにかく、コンビニが大好きなんです! 高校生のときには学校に内緒でアルバイトをしていましたし、今も毎日、必ず通っています。コンビニ好きが高じて雑誌で連載を持つことになったくらい。コンビニって、ラインナップやレイアウトで大きな差別化を図ることが難しいですよね。だからこそ、棚の見せ方や商品につけるPOP、企業や雑誌とのコラボなど、店頭でやってみたいことがいろいろあって。

白木 あぁ、なるほど。たしかにすごく楽しそうですね。

安藤 だから、独立が失敗したらアルバイトで雇ってもらって、そこで頭角を現して店長になって……なんて妄想していました(笑)。コンビニだけでなく、ほかにもやってみたいことはたくさんある。だから、失敗したとしても「人生終わった」と絶望はしないと思います。人生はワン&オンリーじゃないはずですから。

白木 美冬さんに相談される方々だって、「失敗しても、即人生が終わるわけではない」と頭ではわかっているのではないでしょうか。仕事は、世の中には本当にたくさんありますから。自分が何にこだわるか、というだけで。

安藤 つまり、勇気が出ないのは、金銭的な問題がメインではないということですよね。結局、みんな何よりも「社会的に失敗者と見なされること」が怖いんじゃないでしょうか。

白木 そうですね。「あの人は起業したけど失敗して無職だ」「この人は独立したけど仕事がないらしい」と思われることは、怖いし恥ずかしい。けれど、それは他人の目を気にせず自分で決断する勇気、つまり「自分のために生きる」勇気を持つことで解決できる問題です。

安藤 本当、そのとおりだと思います。私、ちょっと前から勇気について結構考えているんですが、その中で「勇気には2つのフェーズがある」と気づいたんです。

白木 2つのフェーズ?

安藤 1つめは、歯を食いしばって体を震わせながら、恐怖や羞恥心と戦うフェーズ。2つめは、思い切って行動に移すフェーズ。つまり、ガタガタ震えながら恐怖や羞恥心と戦うことは、「勇気へのプロセス」なんです。

白木 恐怖や羞恥心と戦うことをやめてしまうと、勇気を得るフェーズまで到達できない、ということですね。結局、全部、自分の問題なんですよね。「できる」「できない」と囁く天使と悪魔。そのどちらを選択するかは、自分しか決められないから。

迷いや羞恥心は、確信と自信に変えていける

安藤 夏子さんは、なぜ「投資ファンドの会社を辞めて起業する」という勇気を持てたんですか? もう何万回も聞かれた質問かもしれませんが(笑)、みんな気になるところだと思うんです。ごく普通に会社員として働いていた女性が、どうして起業を、しかも日本にはないビジネスモデルを立ち上げて世界中の鉱山と取引をしようなんて思ったのか。

白木 よく誤解されるのですが、最初から「よし、ジュエリーで起業しょう!」と思っていたわけではなくて。初めのころは、何をやるか、どうやるか、ブレてブレて仕方がなかったんです。

安藤 えっ、夏子さんもそういうときがあったんですね。

白木 もちろんありましたよ。「国際協力」をテーマに考えてはいたのですが、具体的にはまったく固まらなくて。マイクロファイナンス、投資会社、ファッション……本当、いろいろ考えました。その選択肢のひとつに、ジュエリーがあったんです。

安藤 そうだったんですね。

白木 最終的に自分の原点や経験に立ち返ってジュエリーを選んだのですが、「これだ!」と決めるまでは本当に苦しかったですね。自分が何がしたいのか分からないときが、人生でいちばんつらかったかもしれません。

安藤 なによりも、目標がない状態がつらかった、と。

白木 ええ。しかも、「これだ!」と決めてすぐに自信を持って進められたかというと、そうではなかった。実は……どこか「恥ずかしい」という気持ちがあって。

安藤 恥ずかしい?

白木 働きながら事業計画を起業家の方々に見ていただいたのですが、自分でもつたない計画だと分かるんです。だから、その不完全な計画書を手に相談するのは本当に恥ずかしかった。無謀だと思われないか、嘲笑されないか、勝手に心配になって。

安藤 ああ、わかります! 私も最初のころ、「独立して何をやるの?」って聞かれるのがすごく恥ずかしかったです。自信がなかったからだと思うんですが……。

白木 そうですね。羞恥心は自信のなさから生まれると思います。私の場合、日本で初めてのビジネスモデルだから、できるかどうかもわからない。頓挫してしまったら大嘘つきになってしまう。毎回、穴があったら入りたいような気持ちでした。
けれど、だんだん「私に経験がないのは仕方がない。それにきっとこの人も、私が思うほど私に期待していないはず」と思うようになって。

安藤 吹っ切れたんですね。

白木 ええ。タダで付き合っていただいてるんだし、何も失ってないはず、と(笑)。そこから開き直って、それまで以上にHASUNAの構想を話すようになりました。「これ、いいんじゃない?」「こうすればもっとよくなるよ」とフィードバックをもらうごとに確信を重ね、次第に自信を持ち始めることができたんです。

安藤 確信と、自信。いい循環ですね。

白木 ブレてブレて仕方がなかったけれど、私の場合、たくさんの方に相談して、背中を押していただくことで揺れが固まっていきました。だからこそ、最後は自分で「これだ!」と決められたんです。

安藤 なるほど。いろいろな人に背中を押してもらいつつも、やっぱり最後は自分で決断したんですね。
この本の帯に「今こそ人生の舵をとれ!」とありますが、良い航海士になるには経験を積むしかないんですよね。ずっと天気に恵まれて、航路どおりに進んで、追い風に吹かれつづける……なんて船はなかなかない。

白木 それは「一流の航海士」というわけではないですしね。たまたま運がよかっただけで。

安藤 嵐に遭遇したらそれも経験、航路を外れたらそれも経験、向かい風でぜんぜん進まなくなってもそれも経験。そう腹を決めて進み続けるしか、一流にはなれない。「もういやだ!」と思うような経験を何度も経て、ようやく自信と確信、そして勇気が持てるようになる。今、夏子さんのお話を聞いてそう思いました。

白木 荒波に揉まれて「もう転覆する!」と思っても、一晩明ければからり晴天。なんて状況は、まさに人生と同じですね。

岡本太郎、高城剛――なぜ、人生の岐路には「洋行」があるのか?

安藤 この本の中で、夏子さんがロンドンに留学したことで人の目を気にしなくなった、というエピソードがとても印象的でした。「世間体は自分がつくっているもの」という。

白木 日本にいるときは、人の目のために生きていたと言っても過言ではありませんでした。人にどう見られているか、どう評価されているかがいつも心配だったんです。それが、ロンドンというとんでもないマルチカルチュラルの環境で過ごすことで、「他人の目は自分で勝手につくりあげていたものなんだ」とはっとして。

安藤 まさに「自分のために生きる勇気」を手に入れたきっかけだったんですね。

白木 そうですね。赤面症が治ったり人前で話せるようになったりしたのも、この「勝手に囚われていた他人の目」から脱却できたからだと思います。

安藤 実は私も、夏子さんと同じくらいの時期にアムステルダムに留学していたんです。でも、夏子さんと違って、私は留学生活をあまりエンジョイできなかった。日本人は学部全体でも私ひとり。英語のレベルはクラスでもダントツに低い。もう、完全に萎縮していました。ちょうど留学中に9.11の同時多発テロが発生したのですが、学生も教授もみんな集まっては議論をするわけです。ところが、英語で議論なんて私には当然無理で、その輪に入れないばかりか、話にすらまったくついていけない。

白木 マルチカルチュラルの中で発言しないと、存在がだんだん「無」になってしまいますよね。

安藤 そうなんです。そこで、このまま鬱屈としていてもダメだ! と早々に学校生活に見切りをつけ、“課外授業”と称して自分なりに学校外でいろいろな人と交流するようになったんです。

白木 課外授業?

安藤 はい。友人のお父さんや大学の先輩など、様々なツテを辿って、現地の日本企業にオフィス見学に出向いたり、現地で活躍するアーティストと仲良くなってライブに招待されたり、バーで同性愛者の弁護士と話したり……。

白木 さすが、幅広いですね(笑)

安藤 面白かったですよ。オランダでは同性婚が認められていますから、多様な価値観を学ぶという点でもいい経験になりました。……こういう感じで、自発的におこなったフィールドワークで得られたことはたくさんあったんです。ただ、結局、大学の授業は20%くらいの満足度で終わってしまって。

白木 留学エピソードというと成功体験ばかりが耳に入りますが、とてもリアルな声だと思います。

安藤 はい。私の留学体験は、「大学生活」という面では完全に失敗でした。けれど、私みたいな人は決して少なくないと思うんです。留学が期待はずれな結果に終わり、打ちのめされてしまった人。でも、私の場合、この失敗を受けて「あぁ、私が勝負するフィールドは日本なんだ!」と逆にすっきりしたんですよね。

白木 なるほど。

安藤 「海外に出たいとずっと思っていたけれど、どうやら長期滞在は向いていないようだ。だったら私は、日本でやっていこう。どんな環境だって日本語が使えるだけでマシなはず!」と(笑)。自分に失望することなく、本当にポジティブな気持ちでそう思えた。これは留学に行かないとわからなかったことです。

白木 もし留学に行っていなかったら、今でも海外への憧れを持ちつづけていたかもしれませんね。

安藤 そうなんです。もちろん、今でも東京をベースキャンプにして、海外にあちこち出かけて仕事をすることは目標にしています。でも、あくまで「短期滞在」という話。海外で長く生活するようなライフプランは、手放しました。

白木 なるほど。私みたいに考え方が変わってブレイクスルーする人もいるし、美冬さんのように消化不良分をポジティブに変換して、行動の原動力にする人もいる。海外に行くことで、なにかしら人生の転換期を迎えるのですね。形は人それぞれですが。

安藤 そうですね。私の尊敬する岡本太郎さんも高城剛さんも、人生の岐路となるときにはやっぱり海外へ行かれています。岡本太郎さんは芸術家として一生を捧げることを誓ったときはパリに留学中でしたし、高城さんは日本でマルチクリエイターとして活躍した後、バルセロナに拠点を移して海外を飛び回っています。そんな状況について、高城さんはご自身の著書の中で「洋行せよ」とおっしゃっていて。

白木 つまり、海を渡れ、ということですね。

安藤 はい。日本にいると聞こえてくるノイズやしがらみから離れられるから、じっくりと人生を見つめ直せる。海外に行くことがひとつの人生の岐路になるのは、きっと、そうしたプロセスを経て「勇気」を手にいれるからじゃないかと思うんです。

安藤美冬(あんどうみふゆ)
起業家/コラムニスト/Japan in Depth副編集長/多摩大学経営情報学部非常勤講師 株式会社スプリー代表。1980年生まれ、東京育ち。慶応義塾大学卒業後、集英社を経て現職。ソーシャルメディアでの発信を駆使し、肩書や専門領域にとらわれずに多種多様な仕事を手がける独自のノマドワーク&ライフスタイル実践者。『自分をつくる学校』学長、講談社『ミスiD(アイドル)2014』選考委員、雑誌『DRESS』の「女の内閣」働き方担当相などを務めるほか、商品企画、コラム執筆、イベント出演など幅広く活動中。多摩大学経営情報学部「SNS社会論」非常勤講師。Japan in Depth副編集長。TBS系列『情熱大陸』、NHK Eテレ『ニッポンのジレンマ』などメディア出演多数。著書に7万部突破の『冒険に出よう』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。
公式ホームページ:http://andomifuyu.com

白木夏子(しらきなつこ)株式会社HASUNA代表取締役・チーフデザイナー。 1981年鹿児島県生まれ、愛知県育ち。短大を卒業したあと、2002年ロンドン大学キングスカレッジ進学。国連インターン、投資ファンド会社を経て、2009年HASUNA設立。人、社会、自然環境に配慮したエシカルジュエリーブランドを日本で初めて手掛け、注目を浴びる。テレビや雑誌やはじめ、あらゆるメディアに出演し、そのビジネスと生き方に絶大な支持を集めている。世界経済フォーラムGSCメンバー。

〜続く

[DIAMOND online]

ここから続き

Posted by nob : 2014年04月14日 05:06