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また旅立つ君へVol.40/やりたい人はやれば、やめたい人はやめれば、その時々の納得の基準を自他どちらに求めるかだけの差、、、自らの内なる心の声に従えばいいだけのこと。。。
■自分のために生きる勇気~人生の舵をとるために考えたいこと
究極のリスクは死ぬことだから、
「何かが起こる方」に賭けるしかない。
―――白木夏子×南壮一郎対談
金融の世界から体ひとつでスポーツビジネスへ転身し、そして最近ではインターネットの世界で起業したビズリーチの南壮一郎氏と、ジュエリー業界での経験ゼロからブランドを立ち上げたHASUNA白木夏子さん。異色の経験を持つ二人が語ったのは、リスクについてでした。人生に迷っている人、必読です!(構成・田中裕子)
特別な人間なのではなく、自分のリスクを把握できただけ
白木 今日は、ずっと尊敬していた株式会社ビズリーチの南壮一郎さんとの対談が実現して、とても嬉しいです。
南 G1サミット(*編集部注・日本、世界を担っていくリーダー達が学び、交流する「日本版ダボス会議」を目指して創設されたプラットフォーム)などでご一緒はしているけれど、なかなかちゃんとお話する機会はなかったんですよね。今日はよろしくお願いします。
白木 よろしくお願いします!
南 早速ですが、今日、せっかくだから聞きたいと思っていたことがあるんです。僕、講演会でよく「自分は南さんみたいに元気ではないし……」と言われるんですが……。
白木 元気(笑)。
南 でも、確かに世の中には挑戦する人としない人がいるな、と思って。じゃあ「挑戦した人」である白木さんの元気の源って何なんだろう? ということを聞きたくて。
白木 元気の源、ですか?
南 たとえば、挑戦するときの「怖い」という感情とどう向き合ってきましたか? 一歩を踏み出すとき、少なからずありますよね、そういう感情。
白木 そうですね……。いろいろな思考法はこの本に書いたのですが、いちばんは「人生を棒に振ることが最大のリスク」と考えることでしょうか。
南 なるほど、人生を棒に振ること。白木さんの「棒に振る」はどういう定義でしょうか。
白木 やりたいこともできず、毎日を鬱々と過ごすこと、です。このまま晴れない心を持ちながらなんとなくおばあちゃんになってしまうんだろうか、「やりたいことができなかったなあ」と思いながら死んでしまうんだろうかって考えると、「それは嫌だ!」って。
南 白木さんにとって時間こそが宝なんですね。いや、本当に共感します。何もしないでだらだら過ごすことは最大のリスクですよね。
白木 そうなんです。南さんはいかがですか? 多くの方は「失敗するかも」という恐れから足がすくんでしまうのだと思いますが、そういう気持ちとどうやって折り合いをつけていらっしゃいますか?
南 失敗に怖気づくと、現状維持に逃げてしまいそうになりますよね。そういうときは、自分に言い聞かせてるんです。「失敗したらどうする? ネタにすればいいじゃないか!」と(笑)。
「失敗したら、ネタにしよう」とは?
白木 あはは、ネタにする。
南 そう。だって、ネタって、ひとと違うことをしないと生まれないじゃないですか。居酒屋で、「昨日は電車に乗って出社して、エクセルで表をつくって、ランチを食べて、資料をまとめて退社しました」というストーリーを話されたら、どうですか?
白木 うーん、いまいち盛り上がらないかもしれませんね。
南 そう。ネタって人と違うことをすること、つまりは挑戦することからしか生まれないんです。それって、エピソードとして客観的に見たらものすごく興味深いじゃないですか。聞いていて面白いし。
白木 確かに。
南 だから、怖気づきそうになったら、3ヵ月後のとある飲み会にワープした姿を想像するんです。「南、お前、面白いことしたんだって?」「そうそう、実はあのとき……」って盛り上がっているはずだって。
白木 そう思えるのも南さんの心が強いからだと思いますが(笑)。
南 ちがうちがう。僕だって普通の人間だから、失敗したくないし、悪口も言われたくないし、人に迷惑だってかけたくないと思ってるんですよ。だから、これは「おまじない」なんです。怖気づいたときに心理的なバリアを取り除くための。
白木 「おまじない」ですか。なるほど。
南 そういう「おまじない」を自分にかけつつ、小さいことを積み重ねて、一歩を踏み出し続けているだけなんです。
白木 でも、南さんがされていることは決して小さいことではないですよね。金融業界からスポーツビジネスに転進して楽天イーグルスの立ち上げを行ったり、ネットベンチャーを起業されてわずか5年で400人規模の組織に成長させたり。
南 自分の中ではそう考えているんです。あまり高尚に考えすぎると、気張ってしまって失敗するリスクが逆に大きくなってしまうんですよ。だから、僕は人と違うチャレンジをするときは「自分の人生をくすぐる」くらいの軽いイメージを持っています。小さい話じゃないか、と。でも、そういう小さい一歩一歩を積み重ねていかなければ、大きなことはできないと思っています。
リスクは、社会が勝手につくったルールでしかない
白木 南さんの最初の大きな挑戦は、やはり金融業界からスポーツビジネスに転身しようと決められたときですか?
南 そうですね。そのとき、人生で初めて「リスク」という言葉を意識したかもしれません。
白木 確かに、人生のリスクって学生時代にはなかなか実感しませんものね。
南 同じ会社に居続けることを想定すると、サラリーもキャリアも、なんとなく未来の想像がつくじゃないですか。ロールモデルもいるし、5年後、10年後、20年後の姿が「見える」というか。初めてそのレールを踏み外すという選択を考えたとき、何も見えなくなってしまったわけです。ものすごく怖くなりましたね。
白木 その恐怖をどうやって乗り越えたんですか?
南 そのときは、やればできる、と思ってがむしゃらに(笑)。でも、実際挑戦してみて思うのは、普通のことを一生懸命やれば意外とできてしまう、ということ。とにかく、世の中にはがむしゃらにやる人が圧倒的に少ないだけ。リスクという言葉は、社会が勝手につくったルールでしかないんです。
白木 なるほど、やらない人にとってはそう見えるというだけなんですね。では、当時はとりあえず目をつむって恐怖を乗り越え、スポーツビジネスの世界に飛び込まれた、と。
南 最初はビジネスの世界に飛び込んだというより、あまりにもツテもアテもないので、ひたすら自分を営業していましたね。そうそう、営業と言えば、26歳のとき単身アメリカに渡りました。映画『マネーボール』のモデルにもなったメジャーリーグの球団、オークランド・アスレチックスのGMに会いに。
白木 スポーツビジネス経験ゼロ、しかも26歳の日本人がいきなりGMを狙うなんてすごいですよね。会って、どうされようとしていたんですか?
南 もちろん、「仕事をください」と直談判しようと思って。でも、当然アポなしだから、受付の女性に門前払いされてしまったんです。「お約束がございませんから」と取り付く島もなくて。こんなとき、白木さんならどうされますか?
白木 うーん……。アポイントを入れていないわけですから、帰るかもしれません。
南 いや、普通、帰りますよね。でも、僕は居座ったんです。受付の前で3時間以上。
白木 3時間以上も、ですか!
何かを得たいのであれば、「恥ずかしい」を乗り越えなければならない
南 そう。だって、「言われるがままホテルに帰って、日本に戻って、何か得るものはあるか?」って考えたら、何もなかったから。もちろん、受付の前に日本人が長時間居座っていると目立つし、変な目で見られるし、決して歓迎されていないのはわかるから、ものすごい心理的な負担は大きかった。でも、何か起こるか起こらないかとしたら、少しでも起こる方に賭けたくなったんですよ。
白木 やるかやめるか、どちらかしかないですものね。
南 やめるのって本当に楽で簡単です。むしろ、やめることが常識。やることは非常識。でも、あとあと人に話して面白がられるのは、非常識な行動をとった話じゃないですか。だから、待てるだけ待とう、と。
白木 やっぱり「ネタになるかどうか」は重要なんですね(笑)。
南 それに、待って自分が失うものって何もないなと思って。それどころか、もし、結局会えなかったとしても、あとあと日本で「お前、どれくらい待ったんだよ」と聞かれたとき、「いやー、3時間粘ったんだけど」という話題になるでしょう? その方が面白いな、と(笑)。それに、何かビジネスチャンスがあるときにこの話をしたら、熱意も伝わるじゃないですか。
白木 そうですね。結局、GMにはお会いできたんですか?
南 そう、それがラッキーなことに、3時間経ったころ、受付のお姉さんが不憫に思ったのかGMの右腕の方に会わせてくれたんです。
白木 すごいですね!
南 そこから直接ビジネスにつながることはなかったけれど、確実に人生の積み重ねになりましたね。今もこうしてお話できているわけですし。
白木 私も、悩んだ末に起業していろいろな壁を乗り越えて学んだのは、何かを得たいと思うのであれば「恥ずかしい」を乗り越えないといけない、ということでした。恥ずかしいのは人と違うことをするからこそ生まれる感情です。でも、その違いにこそ価値があるんですよね。
南 そのとおりだと思います。リスクっていろいろ頭をよぎってしまうんですけど、結局、究極のリスクって死ぬことなんですよ。
白木 ああ、そうですね。本当、そのとおりです。
南 人生うまくいった、いかなかった、なんてプライドの問題でしかない。究極のリスクではないわけです。だから、「これが失敗しても、死なないし」という言葉も僕のおまじないのひとつです。「もし事業がつぶれてしまっても、死なないから」と。そのときはまた頑張ればいいんですよね。
白木 そうですよね。私も、かつてバックパッカーとして世界中を旅してから、「大丈夫、死なないから」という気持ちは強く持つようになりました。人間、劣悪な環境でも生きていけるんだって。それに、バックパッカーは最小限の荷物、最低限のお金を持って旅をしていくのですが、その経験から「持たない生活」もできるんだ、ということが分かったんです。
南 なるほど、「持たない生活」ですか。
白木 今の日本は豊かですから、ついつい持ちすぎてしまうんですよね。でも、そういう旅を経験していると、「自分は持たない生活にも適応できる」という確信を持てる。モノを持たないことを怖れなくなったんです。
南 だからこそ、一回いろいろなものを失ってしまってもまた復活しようって思えるのですね。
■夢は9割叶わない。
弘兼憲史
“夢を諦めず、がんばり続けるのは正しいのか?”
人生をより良くするには「やめる決断」が必要。
「努力すれば、夢は叶う」「がんばることは素晴らしい」。学校や社会の中で、この価値観を教えられてきた人が多いかと思います。しかし現実問題として、本当にこの考え方は正しいのでしょうか。人生を充実させることができるのでしょうか。
「夢を諦めずにがんばり続ける」のは、
本当に正しいのか?
夢を持つのはすばらしいことです。でも、夢には期限をつけるべきだと僕は思っています。
前回の記事でも述べましたが、僕の知人に、芸大合格を目指して5年、10年と挑戦し続けている人がいました。そんな人に対して「夢を諦めずにがんばっているなんて、すごい!」と評価する人も大勢いますが、僕は懐疑的です。
もちろん、がんばること自体を否定するつもりはありません。
しかし、「芸大合格を目指していたら、30歳になっていた」ら、その人の人生は本当にそれでいいのだろうかと思ってしまいます。
仮に芸大に合格しても、それで画家になれるわけでも、イラストレーターになれるわけでもありません。飯が食える保証など、どこにもないわけです。
こんなことを言うと、「世の中には何十年も不遇の時代、下積みを経験した後に成功する人もいるじゃないか」と反論する人が出てきます。テレビや雑誌は、そんな「不遇の成功者」をとり上げ、美談に仕立て上げるのが大好きです。
1人の成功者の陰には、
何十万の「夢破れた人たち」がいる
しかし、その「成功者」がほんのひと握りであることは、あまり強調されません。
1人の成功者の陰には、何千、何万、何十万の「夢破れた人たち」がいます。人生を台無しにしてしまった人もいるでしょう。
厳しい現実に蓋をして「がんばり続ければ夢は叶う」「諦めなければ、失敗はない」という聞こえのいいメッセージだけを発し続けるのは、やっぱり僕は違うと思います。現実は現実として、シビアに向き合うべきなのではないでしょうか。
しかし、「夢を持つな」と言いたいわけではありません。僕がここで言いたいのは「夢に期限をつけること」。
スポーツ選手や芸能人、漫画家、芸術家、会社社長、弁護士、会計士などいろんな夢を持つのはいいでしょう。
でも、その夢を無計画に、一生(あるいは何十年も)追い続けるのはあまり得策ではないと思います。
「30歳までがんばってダメだったら、
きっぱり諦めよう」
例えば僕の場合、大卒で入った会社の松下電器産業(現在のパナソニック)を3年で辞めて、漫画家の道を目指しました。
漫画家になれる人なんて、万に1人、十万人に1人、いえ、百万人に1人の世界でしょう。そんな世界を夢見て、せっかく入った大企業を辞めるなんて、それこそとんでもない決断です。普通に考えれば、無謀な選択以外の何物でもないでしょう。
しかし、僕だって若いなりに夢に期限をつけていました。会社を辞めたのが25歳だったので、「30歳までに自分の作品が印刷され、出版されなければきっぱりやめよう」とはっきり決めていたのです。
たまたま、最初に応募した作品『風薫る』が入選して、『ビックコミック』に掲載されることになりました。今から40年前の、1974年のことです。包み隠さずに言えば、才能があったのかもしれないし、運も相当良かったのでしょう。
だから結果として「夢の期限」が訪れる前に、1つの夢を叶えてしまったわけです。とはいえ、夢に期限をつけることはとても大事だと、今でも思っています。
人生をより良くするには、
「やめる決断」が必要
なぜなら、「何かをやめる」というのは、本当に難しいからです。
結婚より離婚のほうが難しいとよく言われます。確かにその通りで、たいていの物事は始めるよりも、やめるほうがはるかに困難です。自分が長い間がんばり続けていることなら、なおさら大変だと思います。
自分の能力に見切りをつけるのはさらに難しいでしょうし、「これまで費やした時間と労力が無駄になるのでは?」と考え始めたら、どんどん先延ばしにしたくもなります。株で損をしている人が「もうちょっとしたら、再び値が上がるんじゃないか」と思うのと似たような心境です。
しかし、人生をより良く生きるには、「やめる決断」が必要なのです。そんな決断を後押ししてくれるという意味でも、あらかじめ「夢に期限をつけること」が大切なのではないでしょうか。
期限をつけたら、そこまでは迷うことなく、必死でがんばる。でも、期限までに夢(あるいは、それに向かう段階)を達成できなかったのなら、潔く諦める。
そんな戦略と見極めが、人生には必要だと思います。
[いずれもDIAMOND online]
Posted by nob : 2014年05月26日 20:10