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変わるということ、、、それはそれまでの自らを一旦あるがままに受け容れることから。。。

■あなたの「性格」は、何歳で決まった?
転職先で生まれ変わろうとする
26歳男性の悩みとは?

岸見一郎(きしみ・いちろう)
哲学者

フロイトやユングと並ぶ心理学の巨人・アドラーは、現代を生きる私たちに人生観が変わるほどの気づきを与えてくれます。その教えをわかりやすく説いた『嫌われる勇気』は今や35万部のベストセラー。本連載では『嫌われる勇気』の著者・岸見一郎氏が、職場や日常生活で起こりうる皆さんのお悩みを「アドラー流」に解決いたします。
今回のお悩みは、26歳の男性によるもの。アドラー流の解決策はどのようなものでしょうか?

【今回のお悩み】

「性格が暗く上手くなじめません。
 転職先で明るいノリに生まれ変わりたいです」(26歳・男性)

私は子供の頃から性格が暗く、引っ込み思案であまり他人とうまくコミュニケーションがとれません。そのためか、最初は親しくしてくれていた友人もやがて離れていってしまいます。社会人になって表面上は多少うまくやれるようになってきましたが、飲み会とかは苦痛で仕方ありません。これから何十年もこうした生活を続けないといけないかと思うと、絶望的な気分になります。もうすぐ転職します。どうすれば、このダメな性格を変えられるでしょうか?

【アドラー流回答】

 その「性格」は、あなたが望んで選んだものです。

  まず、性格は生まれつきのものでもないし、変えられないものでもありません。

「性格(キャラクター)」という言葉が持つ、「変えられないもの」というニュアンスにとらわれないように、アドラーは「ライフスタイル」という言葉を使います。

 ライフスタイルとは、なにか問題を解決するときのパターン(癖)や、自分のことや他の人のこと、またこの世界をどんなふうに見ているか、を指します。

 たとえば同じ親から生まれ、ほぼ同じ環境で育ったきょうだいでも、性格はまるで違いますよね。このように性格とは、遺伝や環境によって決定されるものではないのです。

 われわれは幼児期の出来事を、大きなトピックであれば覚えています。怪我をしたとか、病気をしたとか、引越したというようなことです。ところが、それがいつのことだったかを時系列に思い出すことは、なかなかできません。

 しかし、これが10歳を越えるくらいになると、はっきりしてきます。当時の担任の先生の名前を覚えているでしょうし、友達のこともよく覚えているでしょう。

 アドラー心理学では、10歳前後の年齢で「このライフスタイル(性格)で生きていこう」と決心したのだと考えます。

 そのころの自分と今の自分は、見た目こそ変わっているものの、ライフスタイル(性格)はあまり変わっていません。

 たとえ自分のライフスタイル(性格)を不自由で不便だと思っていても、それとは違うライフスタイルを選んでしまったら、たちまち何が起こるかを予想できなくなる。

 その変化が怖かったから、変えられないのです。

 あなたは、自分の性格が暗く、引っ込み思案なので、他者とのコミュニケーションがうまく取れないといわれますが、そうではありません。

 ほんとうは、他者とコミュニケーションを取らずにすむように、「自分の性格は暗い」と思い、「私は引っ込み思案だ」と思っているのです。

 親しかった友人が離れていったとき(これは誰にでもあることです)にも、そのことを自分の性格のせいにしたいのです。

 これからも同じ生活が続くかどうかは、あなたが決めることです。

 ある日、突然、「明るい性格」になれば、そこからなにが起こるか予想がつきません。「暗い性格」のままなら、誰かがあなたから離れていったときにも「やっぱりそうだった」と思え、安心できるでしょう。

 もしも同じ生活を続けたくないのであれば、いまとは違うライフスタイルを選べばいいのですし、選ぶことはできます。

 ところで、私はあなたの性格が「ダメ」だとは思いません。

 自分のことを「暗い」と思ってこられたかもしれませんが、ご自分に対して違った側面から光を当てて見ることができます。

 たとえば、あなたは周囲の人を傷つけることがないように、あれこれと心を配ってきたのではないでしょうか。もしもそのことに思い当たるのであれば、あなたは「暗い」のではなく、「やさしい」といっていいのです。

 自分を暗いと見てしまえば、自分を好きになれず、他者と積極的に関わることもむずかしいでしょう。

 でも、やさしいと見ることができれば、そんな自分が好きになれ、他者との関係においても、一歩前進することができるはずです。

今回のアドラー流ポイント: ライフスタイル(性格)

アドラー心理学では、性格や気質のことを「ライフスタイル」と呼び、人生における思考や行動の傾向としてとらえます。そしてそのライフスタイルは、先天的に与えられたものでは決してなく、自分で選び選びなおすことも可能だとアドラーは説きます。しかしながら、新しいライフスタイルを選ぶと、新しい自分になにが起きるかわからず、目の前の出来事にどう対処すればいいかわからなくなります。すると「このままのわたし」でいるほうが楽であり安心だと感じ、人は自らに対して「変わらない」という決心を下してしまう傾向にあります。

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2014年07月07日 17:12