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神頼みならぬ(実体が伴わない)株頼み、、、虚構の先に未来はない。。。

■アベノミクスの神通力に陰り
消費税増税に赤信号が点滅!

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

4~6月のGDPは7.1%減!
7~9月も予想以上に悪化か

 政府は9月8日、本年4~6月のGDP(国内総生産)の改定値を発表した。

 それによると、8月発表の年率換算前期比6.8%減の速報値をさらに下回り、7.1%減となった。

 消費税率を8%から10%に上げる最終決定は年末12月初旬に予定されている。来年10月に10%に上げるなら、来年度予算編成前に決めなければ歳入の見積もりなどに支障が出るからだ。

 だが、ここに来て示されるさまざまな経済指標は、実体経済が想像以上に弱含みであることを示し、年末の増税決定に不安感を増幅させている。

 本年の1~3月期の駆け込み需要や、4~6月期の反動減は想定内のこと。ただ、4~6月期の落ち込みは大きく、当初の予想を越えるものであった。

 問題は、年末の最終決定に際して最重要の判断材料となる7~9月期の経済の実績が、官民の予想よりかなり悪くなりそうなことだ。

 政府は「4~6月が悪くても7~9月は良くなる」と楽観していたようだが、7月、8月の景況を示す個別の経済指標が示され始めると、とても楽観できるようなものではない。

 8月末に発表された7月の家計調査では、前年同月と比べて実質で5.9%も減少し、何とその下げ幅は6月の3.0%減の倍の大きさとなった。それに7月の完全失業率は6月より0.1ポイント上昇し、好調だった雇用状態にも陰りが生じている。

 さらに、消費者物価指数は昨年7月比で3.3%も上昇、賃金の伸びがそれに追いつかないため実質賃金が低下し続けている。

 4~6月のGDPが下方修正された要因は個人消費の伸び悩みとともに設備投資の不振も大きな原因だ。設備投資は、速報値の2.5%減から5.1%減にまで下方修正されたのである。

 GDPは、民需の柱である個人消費と民間設備投資でその7、8割を占められる。この2つの柱が不調であれば、GDPの数字が持ち直さないのは当然だ。

 モノの売れ行きが良くなれば生産が増加し、雇用も賃金も増加し設備投資が活発になる。この初歩的な経済法則にアベノミクスは応えていないのだろう。

 百貨店が好調で、コンビニが不調。これもふしぎな現象だが、株高頼みの政策がなせるわざなのかもしれない。

消費増税は見送りの方向か?
谷垣幹事長就任で「経済の内閣、財政の党」に

 7~9月と言ってももう9月。この短期間に劇的に改善する特効薬はない。後追いで巨額の経済対策を講じても間に合わなくなっている。

 増税推進派は「法律に書いてあるから」というが、そんなことは理由にならない。このまま経済が推移すれば、年末の決定を先送りするのは当然だろう。

 おそらく、安倍晋三首相は増税先送りに傾きつつあるだろう。彼は、財務省に取り込まれていない数少ない首相だから、経済が不調なら増税を見送ることができよう。

 首相は内閣改造後の会見で、あらためて「経済最優先」を強調した。私はこれを「増税見送りもあり得る」とのメッセージと受け取った。

 党や内閣の幹部の中で最も「何が何でも増税断行」と考えているのは、谷垣禎一自民党幹事長かもしれない。それに歩調を合わせるのは党内の財務省OBなどの有力者だろう。

 こう考えると、今後は「経済の内閣と財政の党」という奇妙な逆転対立構造になることもあり得るだろう。

 世論調査では、谷垣幹事長に対する期待は大きい。それは消費税増税に対してではなく、特定秘密保護法、原発再稼働、安保政策などに対して、彼に軌道修正を主導してほしいということにある。それをしっかり受け止めてほしい。

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2014年09月12日 18:02