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自民党における唯一の希望。。。

■安倍首相「小泉進次郎が邪魔だな」。誰が敵か、はっきりわかった。
総選挙内幕レポート「291議席圧勝」の全舞台裏 
2014年12月24日(水) 週刊現代

目立ちすぎる、人気がありすぎる、しっかりしすぎる

進次郎が喋れば喋るほど、国民の注目が集まり、自民党の好感度は上がる。しかし、安倍総理はどんどん霞んでゆく。このジレンマをどうするべきか—今回の選挙で、総理はひそかに決意した。

アイツは「両刃の剣」

「国民から信任を頂いた」

衆院選の開票が進み、大勢が判明した14日深夜。安倍総理は自民党本部に詰めかけた記者たちの前で、こう述べて満面の笑みを浮かべた。すべて、総理の目論見通りに事は進んだのだ。

開票が始まるやいなや打たれた「自公で3分の2に迫る勢い」のテロップに、自民党本部は沸いた。

多くの有権者には、今回の総選挙は「なぜ今実施されるのか」さえもはっきりとわからない、意味不明の選挙と映ったはずだ。安倍総理にとっては、それこそが狙いだった。選挙の目的は、消費税増税先送りでも、アベノミクスの審判でもなく、「勝つこと」そのもの、そして総理の任期を延ばすことだったのだ。

投票日直前、自民党が内々に行った議席予測の値は274議席。一時は新聞各紙で「自民党単独で300議席超え」と報じられたが、自民党選対は実際には「20議席減」をも覚悟していた。

それがフタを開けてみれば、海江田万里民主党代表や渡辺喜美元みんなの党代表ら、野党の大物が次々と消えていく。議席は291とわずかに減らしても、その戦果はなお、自民党の「圧勝」と言うにふさわしいものだった。

しかし開票の夜、党本部の開票センターで安倍総理や谷垣禎一幹事長が当選者の名前にバラをつける傍らで、安倍総理に近いある自民党ベテラン議員は、こうつぶやいていた。

「これは、総理にとっては難しくなるな—」

選挙に勝ったとはいえ、これから待ち受ける「政局」で勝てるとは限らないのだ。

とりわけ、党内の「安倍派」が危機感を強めたのが、各局の選挙特番に文字通り「出ずっぱり」だった、小泉進次郎復興政務官の発言の数々だった。

「すでにやってきたことを声高に言い続けるよりも、むしろ(アベノミクスの恩恵の)実感がないという人たちに、何を訴えるのか。アベノミクスの先にあるものは、いったい何なのか」

「福島県内の原発は、全基廃炉にする。これは忘れちゃいけない」

アベノミクスの「功績」ではなく、「その先」を問いかける。安倍総理が、選挙戦の中で決して触れることがなかった原発の問題について、堂々と「廃炉」を口にする—。改めて力を見せつけた安倍総理の意向を、一切関知しない歯切れの良さ。多くの視聴者は、「自民党をぶっ壊す」と叫んだ彼の父・小泉純一郎元総理の面影を重ねたはずだ。

安倍総理にとって、進次郎氏はいわば「両刃の剣」である。安倍総理はもちろん、他の自民党議員を引き離して圧倒的な人気を誇る進次郎氏は、強力な集票マシーンになる。だが裏を返せば、彼の露出が増えれば増えるほど、国民の期待は安倍総理ではなく、進次郎氏へと傾いてゆくのだ。

織田信長しかり。ユリウス・カエサルしかり。外敵を打ち負かし、強大な力を手にした途端、「身内」に暗殺された権力者は数知れない。警戒すべきは、「遠くの敵」ではなく「近くの味方」であるというのが、古今東西の権力者たちが教訓としてきた真理である。

「進次郎が、邪魔になるかもしれない」

あの満面の笑みの裏で、安倍総理の脳裏を過ったのは、そんな思いだったに違いない。

大過がなければ、'18年までの向こう4年間、粛々と安倍政権が続く。それを最も苦々しく思うのは、野党議員ではなく、むしろ自民党幹部である。

安倍総理の「デジャヴ」

前回、'12年の自民党総裁選で安倍総理と接戦を繰り広げた、総理の「最大のライバル」石破茂地方創生相。進次郎氏は当時、安倍総理ではなく石破氏に票を投じたといわれる。

石破氏は今回の選挙戦の間、穏やかならぬ思いを抱いて地方遊説に回っていた。

「この総選挙は、地方創生選挙なのです」

投票日の直前には、一日10ヵ所近くを回ることもあった石破氏。安倍総理が「アベノミクスの是非を問う選挙です」と連日繰り返しているにもかかわらず、彼は行く先々で総理の言葉を無視し、こう断言してはばからなかった。

前回'12年秋の総裁選で安倍総理に惜敗し、それからというもの、安倍総理は石破氏の「牙」を徹底的に叩き折り、ひっこ抜き、反乱の芽を摘んできた。今年9月の内閣改造で閣内に取り込まれると「もう石破は終わった」という声さえ永田町では聞かれるようになった。しかし、

「石破さんは、地方党員からの支持が相変わらず高い。今回も、『次の総裁選は期待してるよ』と声をかける人が時折いました。そのたびに、石破さんは黙ってゆっくりとうなずいていた」(自民党選対関係者)

自民党総裁選は、来年9月末に行われる見通しだ。安倍総理としては、何としてもそこで再選され、残り3年間の総裁の地位を手に入れたい。できれば、無投票で再選されるのがベストだ。ただ、それに黙っていない人物は石破氏だけにとどまらない。政治評論家の浅川博忠氏が言う。

「対抗馬の候補として、石破氏のほかに谷垣幹事長、岸田文雄外相、そして古賀誠氏らいわゆる『長老』が後押ししている野田聖子氏の名前も挙がっています。

来年1月から始まる通常国会では、集団的自衛権行使容認に関する法整備について議論しなければなりません。世論の反発が強まれば、党内のリベラル派が反主流派勢力に転じる可能性があります。その状態で総裁選を迎えるというのは、安倍総理にとっては苦しいシナリオです」

もし、石破氏らが次の総裁選に出馬を決め、自民党を割るような事態になれば、安倍総理は集団的自衛権の問題を先送りし、秋の臨時国会で継続審議することにして、総裁選を乗り切る戦略に出るだろう。

だが、今の石破氏らが、単独で安倍総理に対抗できるとは考えづらいのも事実だ。浅川氏が続ける。

「石破氏は地方で人気があるといっても、やはり安倍総理が幹事長や地方創生相のポストに封じ込めたこともあり、十分に力を蓄えられていない。岸田氏は外相を務めて知名度は上がりましたが、次の総理にはまだ早い」

安倍政権の「次のサプライズ」

だからこそ、「ポスト安倍」をめぐる政局の軸は進次郎氏になる。

安倍総理と小泉親子には、浅からぬ因縁がある。小泉純一郎元総理は、'03年にまだ49歳の安倍総理を幹事長に大抜擢し、その後の総理への道筋をつけた張本人だ。安倍総理にとっては、小泉元総理こそが政界における「父親」であり、その路線を受け継ぐ「師匠」だった。

「しかし安倍総理は、小泉元総理が'05年の『郵政解散』で刺客をぶつけた造反議員を、第一次安倍政権で復党させました。このことに、元総理は激怒した。『脱原発』路線は、安倍総理への意趣返しだという見方もあるほどです」(全国紙政治部デスク)

今年2月の東京都知事選挙に、小泉元総理は同じく総理経験者の細川護煕氏を擁立し、「脱原発」を掲げて安倍政権に異を唱えた。

今回の総選挙で、自民党が争点としなかった原発を語る進次郎氏に、安倍総理は「嫌な予感」を抱いたはずだ。シンプルで堂々としたその語り口は、父親にそっくりだった。

前回の総裁選では、決選投票で安倍総理が108票、石破氏が89票を得た。このとき、キャスティングボートを握ったのは石原派だった。しかし、今年 9月の内閣改造で安倍総理は徹底的に石原派を排除し、同派閥からは一人も閣僚として登用しなかった。失言続きだった領袖、石原伸晃元環境相の「連帯責任」を取らせたというわけだ。

「前回、石原派の票は安倍・石破で割れた。次の内閣でも石原派が冷遇されるようなら、半数以上が『反安倍』に回ってもおかしくはない」(自民党幹部議員)

次回の総裁選でカギを握る人物は、やはり進次郎氏をおいて他にない。確かに彼の父・小泉純一郎元総理は、ヒトにもカネにも無頓着な政治家だった。今の進次郎氏個人にも、まだ本格的に派閥を仕切れるほどの動員力、資金力が備わっているわけではない。政治評論家の有馬晴海氏は、「進次郎氏は、現時点ではあくまで『自民党の進次郎』にすぎない」と評する。

その一方で、今回の総選挙でも全国70ヵ所を応援演説で飛び回った進次郎氏は、今回の総選挙における自民党最大の功労者となった。当然、来年9月の総裁選でも、彼の動きは最も注目を集めるだろう。

前回の総裁選で石破氏に票を投じた進次郎氏が、「反安倍」に回る可能性は極めて高い。そうなれば、安倍総理はまさに「四面楚歌」と言うほかない状況まで、一気に追いつめられてしまう。前出の浅川氏が言う。

「そうした事態を防ぐために、安倍総理は何とかして進次郎氏を取り込もうとするでしょう。これから焦点となるのは、進次郎氏の入閣のタイミングです」

安倍総理としては、「できすぎる男」進次郎氏に行く手を阻まれるわけにはいかない。「憲法改正」という、祖父・岸信介元総理もなしえなかった偉業を実現するためにも。

この選挙の圧勝で、安倍総理は「向こう4年間の白紙委任を得た」と言われる。だが当の総理には、与えられた4年の任期をフルに使うつもりはないし、その必要もない。なぜなら、「勝負はあと2年以内に決まる」と確信しているからだ。いったい、どういうことか。

安倍総理は全議員、全国民の裏をかき、解散総選挙で291議席を手にした。誰もが「バカバカしい」と思うことを不意打ちで実行し、確実に勝つ。そんな総理の「サプライズ」が、あと二つ残っている。

一つ目が「2016年7月、衆参ダブル選挙」である。知っての通り、憲法改正発議には、衆参両院の3分の2以上の同意が必要だ。前出の有馬氏が言う。

「参議院で議席を増やすには、単独選挙では限界があります。参院議員には確固たる支持基盤がなく、有権者は『なんとなく』投票することになる。衆参ダブル選挙にすることで党組織と後援会をフル稼働させなければ、定数の3分の2を超えることは難しい。来年4月の統一地方選挙が、この衆参ダブル選の足場を固める前哨戦となるでしょう」

現在、参院で自民党が占める議席は114。再来年の参院選で、昨年7月に実施された選挙と同程度の票を得れば、130前後まで増える。それでも3分の2にあたる162議席までは、およそ30議席足りない。

「問題は公明党です。おそらく安倍政権が提示する憲法改正案は、自民党の作った草案にまるごと交換しましょう、という形になる。必要に応じて最小限加筆する、『加憲』を掲げる公明党の方針とは相容れません。

そこで『憲法改正の是非を問う』総選挙に打って出れば、公明党のみならず、与野党の全員が踏み絵を踏まされ、憲法改正を軸にした政界再編が起こります。

現状でも民主党の半数近く、維新の党、次世代の党が改憲賛成派。これらが自民党に合流すれば、たとえ公明党が連立を離れても、衆参両院で3分の2は確保できる」(前出・全国紙政治部デスク)

もちろん安倍政権には、国内外からこれまでとは比較にならない激しい批判が浴びせられるだろう。だが、毎日ひたすらアベノミクスと唱え、株価上昇に力を注ぎ続けるのも、すべてはこの瞬間のためだ。総理にとって経済政策は目的ではなく、手段にすぎない。

潰し合いが始まる

憲法改正を問う衆参ダブル選は、戦後日本最大のバクチになる。それを乗り切れば、安倍総理はすぐさま第二のサプライズ「電撃国民投票」を発動するだろう。

国民投票を行い、過半数が賛成すれば憲法は変わる。あと1年半で国民的議論が進むとは考えづらいが、「外圧」があれば世論は黙る。文化学園大学助教で、著書に『永続敗戦論』がある白井聡氏が言う。

「今回の自民党の獲得議席数では、すぐ憲法改正に進むのは難しい。ただし、例えばアメリカが、イスラム国に地上部隊を投入することを決めたらどうなるか。アメリカの『知日派』が期待するのは『自衛隊のフル活用』です。集団的自衛権の行使容認は、その期待に応えるための手続きだった。

安倍政権は、解釈改憲で自衛隊を戦場に送り込む可能性がある。そうなれば、改憲のチャンスが訪れるのです。なぜなら、『現に戦争している』という状態ができれば、改憲といっても『現状の追認』にすぎなくなりますから」

あと2年耐えれば、使命は終わる。9月の総裁選さえ乗り切れば、いける—。だからこそ安倍総理は、今回の「圧勝」を表面上は喜んでいても、内心では不安に苛まれているのだ。

「総理が描いていたのは、今回の総選挙では議席数を維持した上で任期を延ばし、次の衆参ダブル選で一気に両院3分の2を取りに行くという計画です。しかし、選挙前の293議席から減らしたことで、党内からも批判が出るのは必至です」(前出・自民党幹部議員)

選挙戦が始まる直前、進次郎氏は「有権者は冷めている」「なぜ解散なのか分からない」と繰り返した。もし今後、安倍総理が強引に憲法改正を進めようとするなら、間違いなく進次郎氏は総理に異を唱え、政権に反対する人々の拠り所になるだろう。総裁選、衆参ダブル選の双方で進次郎氏を抑えられなければ、総理の野望は崩れる。

この総選挙が、安倍政権の「終わりの始まり」なのか。結論が出るのは、遠い先のことではない。

[現代ビジネス]

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Posted by nob : 2014年12月30日 10:30