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働き続ける力、、、稼ぎ続ける力。。。
■老後破産しないために40代でやるべきこと
野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]
前回は、40代のビジネスパーソンがリストラ対象にならないためには、どのようなキャリアを達成していなければいけないかについて紹介した。今回は最初に、リストラ対象になったと思っていい端的な指標を紹介しておこう。前回のシリーズ「50代からの人生リセット術」でも紹介した基準ではあるのだが、これが最も致命的になる年代が40代なのだと思う。
それは、自分より2階層上の役職に就いた同期が誕生した瞬間だ。
もっとも、この瞬間は、言ってみれば不安が現実化したにすぎない。出世で差がつくのは結果であって、予兆はその前からある。その予兆が前回示したように、40代の自分がどのような存在になっているのか。社内だけでなく、社外にもその名は売れているのかどうかなのだ。
出世の階段も複雑系の時代に入ってきた。大企業でも、いったん本流から外れて関連会社などに出た人間が、本社に呼び戻されて社長になるというケースが出てきている。
つまりは、現在は傍流であっても、数年後の本流には決してならない、とは言い切れないのだ。逆もまた同じだが、自分が今は本流にいないからと出世を諦めるのは早い。
考えてみれば、業界で評判の人間がその会社の本流であるとは限らないものだ。しかし、傍流だが一言居士で業界の有名人、という例も多数ある。
むしろ、本流にいないからこそ、成功体験や既存事業の呪縛が薄く、新しい価値を生める人間であることが多い。社内だけでなく、業界の別の場所でも通用するような人間こそが、会社の次代のリーダーになるべきなのだ。
すなわち、傍流にいるからダメとも限らないし、本流にいるから安心とも限らないということ。ただ一つ確かなことは、どこであろうと、成果が出ていないのはやはり問題だ。
そう言うと、今の仕事が合わないから成果が出ないと短絡的に考え、青い鳥を追いかけて、自己申告を繰り返し、社内で次々と異動を繰り返す例がある。
しかしながら、今の仕事で成果が出せない人間が、外に出て急に活躍できるわけはない。だから、この場所が嫌だからという理由で今の職場から出るのはあまり賢い選択ではない。よほど合わないなら別だが、まず今の職場での働き方を見直して、成果を出す努力をすべきだろう。
40代になってこそ見つめるべき
等身大の自分と原寸大の現実
多くのビジネスパーソンは、それなりに自信があって、少しだけ不安があるものなのだが、その自信の根拠は果たして正しいだろうか。現実を直視した時に、将来にわたって自分のキャリアは安泰だと言い切れるだろうか。
逆に、あまりに自信を喪失し、過大に不安を抱えている人もいる。いずれにしてもバランスが悪い。まずは等身大の自分と、原寸大の現実を見つめてほしい。
私の目から見ると、自分のキャリアについて無責任な人があまりに多い。20代では考えていても、40代にもなると、あまり考えなくなるのが常だ。会社の居心地が、それまでよかったからかもしれない。「いい年をして、いまさら……」と思うのかもしれない。しかし、キャリアデザインに本来、終わりなどない。
終身雇用という制度はもはや存在しない。60歳まで会社にいたとしても、人生は80年以上。男性でも、4人に1人は90歳まで生きる世の中だ。40歳はまさに人生の折り返し地点にすぎない。
人事主導の適材適所もできない。もはや会社が個人を守ってくれない時代にあって、40歳代で自分のキャリアに無責任になるなどということはあってはいけないことだ。
いつだって、リストラの対象になり得るし、あるいは部署移動もままならない塩漬けにされるリスクもある。出向になり、その最中に本籍である事業部が取り潰されて、行き場を失うことだってある。
だから社内であれ、グループ内であれ、社外であれ、自分のキャリアデザインをしっかりと行う。その前提として、等身大の自分を見つめ、自分は何ができて、何をやりたいのかを明確に認識しておく必要がある。
その上で、今いる会社に対しても、自分には何ができて、何をやりたいのか。自分にはこういう特性と指向性があるということを、しっかりと主張すべきなのだ。それで初めてキャリア自立ができる。
そう、大事なのは自己認知とキャリア自立だ。
まずは自己認知をして、自分の強みを把握し、また自分の意志を確認して、将来自分がどうなっていきたいのかを知る。そこまでできれば、次に自分がどうすべきなのかが見えてくる。
いくつになっても大切なのは
自分が何をしたいか、だ
従来のキャリア論では、若い人たちは将来を見つめないとキャリアを考えたことにはならないという風潮があるので、根拠のない未来を描き始める。その描いた未来にしっかりとしたハシゴを掛けられればいいのだが、あまりに目標が遠いと、偶然の要素が多すぎて、それはあまりにリアリティがない。
だから若いうちは、むしろ足元を見つめたほうがいい。
一方で年齢を重ねていくと、だんだんキャリアについては気にしなくなって、目先の、超現実的なことしか語らなくなる。Can(できること)やWill(やりたいこと)は忘れ去り、Must(やらなければならないこと)の要素だけがどんどんと大きくなってしまう。
しかし、中年から壮年になればなるほど、本来であれば社会貢献への関心を深め、若い世代の育成に努めるべきである。そしてますます、内ではなく、外からの評価が大切になっていく。自分自身の価値を最大化すべき時期に差し掛かっているはずだ。
つまりはMustではなく、Willを大事にすべきなのだ。そのWillを達成するために、今いる会社には自ら愛され方を提案し、さらにセカンドキャリアの可能性もよくよく吟味する。場合により、近い将来のキャリアチェンジの準備を開始することも必要になる。
そのための棚卸しは、頻繁に行ったほうがいい。人間、その気になればいくつになっても学べる。いくつになってもCanは増えるし、Willを研ぎ澄ますこともできる。
貯金があっても大丈夫、ではない
必要なのは「80歳まで月10万円稼ぐ力」
これは、40代、50代になっても、まだまだ自己実現を忘れないでほしいという意味に加え、常にそのようにアグレッシブでいなければ、今後はますます老後破産も増えていくという警告でもある。60歳以降のキャリアデザインは、40代の今に掛かっている。
貯金があるから大丈夫と考える人もいるだろう。それは甘い。今後はますますインフレ傾向に拍車がかかると予測されている。ご承知のとおり、年金の支給額もどんどん減っている。だから、ストックに頼るのは実はかなりリスキーだ。
さらに言えば、人生何があるかわからない。病気や事故、子どもの不始末から大きな借金を背負ってしまった人もいる。だから、ストックがあっても、月々わずかでいいからフローの収入を得る道があったほうがいい。たとえば80歳まで月10万円稼ぐ術があれば、かなり安心なはずだ。
根底にあるメッセージは、もはや会社には頼れないということ。前回もお話したように、30代後半、40代になればどうしたってキャリア自立しなければ先が描けない。会社はそもそも合目的に人が集まって成り立っている組織だから、それは仕方がないことだ。
そうは言っても、個人も会社を利用できる。会社は学び、人脈を増やすための場所でもある。会社の目的にも合致して、そして自分の将来のためにもなる仕事を冷静に選んでいく。それを会社に提案し、認めさせて、自分の腕も磨く。
そうすれば、将来的に、キャリア自立できるフロー力を身に着けることができる。まだまだアジアの時代が続くと思うのであれば、たとえばベトナム語を話せるようになる。そして、40代だろうが、50代だろうが、ベトナムに出向してさらに力をつければいい。
だから、老後のために貯金をするのもいいかもしれないが、これからでもさらに、自分のために投資をしてほしいと思う。
今の会社の中だけで、いわばローカルカルチャーの中だけで通用するようなスキルではフロー力としては弱い。自分は、果たして、会社の看板を外しても稼ぐことができるのか。それを問うてほしい。大金を稼げる必要はない。数万円でも稼げるかどうか、そこを問うてほしいのだ。
[DIAMOND online]
Posted by nob : 2015年03月03日 17:50