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また旅立つ君へVol.95/自分だけが出逢える「本当の自分」

■「本当の自分」を見つけ、自分らしく生きるには

自分らしく生きることがどういうことかは、自明のように思えます。起きたいときに起きて、やりたいことをやる。誰にも流されず、他人の目なんか気にしない。でも、世界はそれを許してくれません。誰もが気づかぬうちに、本当の自分を隠して生きているのです。そのため、クリエイティビティ、創意工夫、自意識が抑圧されてしまいます。

親といる時、クライアントといる時、恋人といる時など、きっとあなたも、シチュエーションによってさまざまな自分を使い分けているでしょう。このような「自分のでっち上げ」は普通のことであり、誰でもある程度はやっているものです。

しかし、これに慣れてしまうと、本当の自分がわからなくなります。特に、SNSで自分をポジティブに見せることが「自分らしい」とされることが多い現代では、その傾向が強いようです。さらに悪いことに、最近のメディアは「自分らしく生きる」ことを、ほら吹き、道から外れた若者の代表、ヒステリー嗜好で変わった身なりのアウトサイダーのような取り上げ方をしています。

でも、それは本当の自分などではありません。自分らしく生きることとは、ところかまわず自分の意見を発言することではなくて、自分の意見に対する確固たる自信を持っていることなのです。

このように「自分らしさ」が流行るずっと前から、数々の哲学者が、その答えを求めてきました。ルソー、カミュ、サルトル、キェルケゴール、マズロー、メイ、バジェンタルなど、そうそうたるメンバーです。「Philosophy Now」では、これについて以下のように総括しています。

自分らしくあることは、各個人のミッションである。なぜなら、それぞれが人間らしくあるための自分なりの方法を持っており、自分らしさとは個々によって違うからだ。

さらに、自分らしさというものは、文脈によって大きく変わるもの。社会的、政治的、宗教的、文化的な特徴によるところも大きい。しかし、各個人の個性は、当人の中にではなく、当人がなる者の中に見つけることができる。

自分らしく生きることとは、1回のイベントなどではなく、継続的なプロセスなのだ。そのためには、自分を知るだけでなく、他者を知り、個人間の相互的な影響を認識することが必要だ。

本当の自分を求める目的が自己実現だけだとしたら、それは個人主義的なエゴである。しかし、そこに他者や広い世界への認知が伴うのであれば、それは価値ある目標になる。

要するに、本当の自分を見つけるには、自分に正直になるだけでなく、自意識を高め、謙虚になり、他者からのフィードバックを受け入れる覚悟が必要なのです。それは厳しく、終わりのないプロセス。なぜならあなたのアイデンティティは常に進化しているから。でも、それによって得られるのは、よりハッピーで、よりクリエイティブな自分です。心理学者によると、自分らしさを持つことで、優れた対処戦略、自己肯定感、自信、最後までやり抜く力が身につくそうです。

自分の経歴を振り返る

「自分のことぐらい知ってるよ!」と思うかもしれませんが、過去の自分をじっくり振り返ったことはありますか? 今のあなたを作っているのは、過去のさまざまな出来事であり、価値観であり、経験なのです。

「The Harvard Business Review」は、自分を定義するために、過去の経歴を詳しく振り返ることを勧めています。これまでの人生、どんなふうに育てられましたか? 新しい状況にはどのように対処してきましたか? コンフォートゾーンから飛び出したことはありますか? 自分の価値観をじっくり見つめなおしたことはありますか?

これを実施するには、心のエクササイズや日記を書くなどの方法がありますが、大事なのは、自分の過去をできるだけ客観的に見つめること。時間をかけて自分の過去の判断を批判し、そのような選択を下した理由を分析します。友人や同僚からもらったフィードバックについても考えましょう。

でも、いちばん大切なことは、過去の失敗を詳細に振り返ることです。自分がどれだけ自己中心的で無礼だったか。なぜそんな振る舞いをしてしまったのか。最終目標は、自分についてもっと知ること。だから、できるだけたくさんのことを振り返ってください。きっと、自分についてあまりにも知らなかったことに驚くと思います。

クリティカルシンキングの癖をつける

哲学者セーレン・キェルケゴールは、複数の本において、自分らしさ(authenticity=主体性と訳される)を、人が現実に向き合い、決断を下し、それにコミットし、責任を持つための目的であると述べています。つまり、キェルケゴールの言う自分らしさとは、現実に向き合い、自分の意見を形成することなのです。

クリティカルシンキングを身につけることが、自分らしさを見つけるうえで決定的な要素になります。批判的思考とは、細部に注意を払い、適切な質問をすることで、言われたことを鵜呑みにするのではなく、独自の意見を持つことを意味します。世界に対する自分なりの意見を持つことができれば、人任せではなく、自力で現実を読み解くことができるのです。そうすることで、自分の世界観を定義している先入観を知ることができるため、自意識を高めることができます。

クリティカルシンキングは、非常に骨の折れる作業です。現実と先入観の両方について考え始めると、対処しなければならない不一致があまりにもたくさんあることに気づくでしょう。たとえば、30歳までには家族を持つものと考えていたにもかかわらず、自分の気持ちと向き合ってみると、そうしたいと思えない。それは、子どものころから刷り込まれた先入観なのです。

いま自分が持っている世界観と同時に、自分の中で大切にしている原則にも注目しましょう。誰もが、何かしらの信念のもとに育てられてきました。でも、その多くは、今の自分の考えとは一致しないはず。たとえば、仕事のときはスカートをはきなさいと両親に教えられ、それに従っていたら、自分がスカート嫌いだという事実に気がつかなかったなんて話も耳にします。

これは暢気な例ですが、人種、宗教、セクシャリティなど、もっと重大な問題を抱えている人もたくさんいます。このように、小さなころから続けている習慣や世界観を、少し疑ってみましょう。昔ながの信念を見つめなおすチャンスはめったにありませんが、詳しく振り返ることで、自分のことがもっとわかるようになるはずです。

目標を定義しなおす

今の自分が大切なのは確かですが、どんな人間になりたいかという目標も、同じくらい大切です。恐れずに自分らしく生きるには、目指す先を知っておく必要があるのです。かねてから、なりたい自分が、今の自分を示す最良の指標だと言われてきました。Joshua Knobe准教授は、「New York Times」への寄稿で、こう述べています。

哲学的な伝統を見れば、この質問には比較的わかりやすい答えを見つけることができます。多くの哲学者が支持するその答えでは、人間の最も特徴的かつ根本的な性質として、合理的な内省ができる能力を挙げています。

人は、衝動や気まぐれなど、つかの間の感情をたくさん抱えています。しかしこれは、その人の最も根本的な部分ではありません。本当の自分を知りたければ、立ち止まり、自分の中の最も深い部分にある価値観について考えることです。

ヘロイン中毒に苦しむ人を例にとりましょう。その人は、誘惑に負けてまた注射に手を伸ばしてしまいます。これを「あの人らしい」とか「人となりを表している」と言うのは、いささかばかげています。その人は、自分をだまして、大切にしていることをあきらめているのです。

やりたいことを見つけるのは簡単ではありません。でも、自分が将来ほしいものを知ることで、本当の自分が見えやすくなります。ここでは、自分の目標と価値観を知りましょう。

いつか引退したい? 結婚したい? 無人島に暮らしたい? お金持ちになりたい? こんな風に、自分の目標について時間をかけて考えたのはいつですか? 今の目標は、5年前と同じでしょうか? きっと違うでしょう。価値観や目標は、時とともに変わるもの。行動は、それについてくるのです。

目標ややりたいことがわからないなら、やりたいことを見つける方法について書いた過去記事をご覧ください。

その中でも、私は個人的マニフェストをオススメします。個人的マニフェストを書くには、机の前に座り、自分なりの価値観を定義したいトピックをいくつか選びます。他人に定義してもらわずに、とにかく深掘りしてください。倫理、性格、その他あなたが重要だと思うものであれば、何でも構いません。

トピックを選んだら、自分の信念、モチベーション、意図を書き出します。自明のようでいて、いざ書き出してみると、自分の予想とは違う内容に驚くこともあるでしょう。

リアルワールドで行動に移す

自分について詳しくなっても、引き続きこの世界を航海しなければなりません。それは多くの人にとって、今の仕事を甘んじて続けることを意味します。一見、それは難しいことのように思えます。少なくともある研究において、自分の社会的アイデンティティを隠して働くことは、仕事に対する不満の原因になりやすいという結果が出ています。

自分らしくあることは、自分の心を何から何まで包み隠さず話すことではありません。誠実であることは大切ですが、私たちは常に攻撃しあっているわけではありません。職場でも同じです。声に出して言いたいことを言う必要がありますが、相手が誰かをいつも考えてください。

たとえば、銀行の役員室で初めて会った人に、昨夜行ったストリップクラブについて話すのはやめた方が無難です。これは、社会的なアイデンティティを隠しているのではなく、相手によって情報開示の方法に気をつけることを意味します。

友人関係や恋人との関係でも同じことが言えます。正直で誠実、かつ自分らしくあること。そして、どんなに奇抜なアイデアでも、自分の考えを話すこと。自分が心を開くと、相手も開いてくれることに驚くでしょう。そして、そのプロセスで、自分についてもっと詳しく知ることができるようになるのです。

Thorin Klosowski(原文/訳:堀込泰三)

[ライフハッカー]

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Posted by nob : 2015年05月28日 16:20