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私たち一人一人の無自覚こそが、すべての巨悪の温床。。。

■負担額ナント1兆円!
それでも日本政府が辺野古に新基地を作りたい理由
米海兵隊は完全撤退の可能性すらあるのにわき道をゆく

ここは、日本だと思っていますか

辺野古バスの車内で

もし機会があったら、一度乗ってみられるといい。那覇市の沖縄県庁前から毎朝10時に出発する辺野古バス(「島ぐるみ会議」運行)に、である。

予約は不要で料金は往復1000円。たったそれだけで辺野古(那覇から約60km北東)の美ら海を眺め、新基地反対運動の現場を見ることができる。

私が乗ったバスの同乗者は30人。6割強が那覇市近辺の住民で、あとは北海道や東京、大阪などから来た人たちだった。

乗車前、私の気持ちは少し重かった。だって沖縄に基地を押しつけているのは「本土」の私たちだ。基地を引き取ろうともせず、現場を見学に行っても地元の人たちには迷惑なだけだろう。冷ややかな視線を向けられても仕方ないと思っていた。

ところが車内の空気はまるでちがった。和やかだ。60代後半と思しき沖縄の女性が仲間とマイクを握る。

「私たち、ぴちぴちの辺野古フラワーズです。ドライフラワーじゃないですよ(笑)。歌いたくてうずうずしてるんですが、いいですか」と断って、山本リンダのヒット曲「どうにもとまらない」の替え歌をノリノリで歌いだした。

♪噂はまったくその通りおいらの狙いは9条さ いつでも戦のできる国 それがおいらの夢なのさ
♪ああ憲法は変えればいいさ お友達で決めればOKさ 魔法の言葉 解釈改憲 もうどうにもとまらない

これを皮切りに皆が替え歌を次々と歌う。その中には抵抗の志気を鼓舞する歌もあれば、自分たちの姿を戯画化して笑い飛ばす歌もある。傑作だったのはやはり辺野古フラワーズの「呆けない小唄」である。

♪辺野古 辺野古で今日もゆく笑い忘れず よくしゃべり頭と足腰使う人 辺野古大学呆けません
♪入れ歯入れても 白髪でも頭はげても まだ若い ゲート前での座り込み 座るだけなら まだできる
♪ゲート前での座り込み 後ろ機動隊迫り来る 駈けてるつもりが ノロノロと 息を切らして 呆けません

爆笑の渦である。ああ、こうして「本土」の人間をもてなしてくれているんだなと私は感じた。彼女たちにも心の底では言いたいことが一杯あるだろう。でも、そんな素振りは微塵も見せない。どこまでも朗らかだ。

毎朝、機動隊と攻防

午前11時半、キャンプ・シュワブの第1ゲート前に到着した。国道沿いの土手にブルーシートのテントが並び、総勢200人ほどがいた。

昨年、辺野古の新基地建設が始まって以来、約400日、24時間態勢でつづく座り込みの現場である。

ここが最も緊迫するのは毎朝7時前後だ。工事用トラックが基地に入るのを阻止しようと人々が座り込む。機動隊がそれをごぼう抜きするのでけが人が絶えない。私たちのバスが着いたのは、その機動隊との攻防が終わって数時間後のことだ。

それでも炎天下のゲート前でデモが断続的に行われる。デモのない時でも必ず何人かが歩道際に座り込み、ゲートから出てくる米兵らにプラカードを掲げて訴えかけている。そのプラカードの一枚に書かれた英語を読んで私は思わず息を呑んだ。

「ウィ・リスペクト・ユー・バット・ノット・ユア・ジョブズ」。

あなたの人格には敬意を払うが、任務は尊敬できない、とでも訳したらいいのだろうか。

徹底して非暴力・不服従を貫く沖縄の抵抗運動を象徴するような言葉である。決して相手の人格を全否定しない。国籍や立場が違っても、同じ心情を共有できるはずだというメッセージが込められている。

米兵にとっては敵意をむき出しにされるよりよほど胸に応えるだろう。

あらためて、新基地は本当に必要なのか?

昼食後、「本土」組はバスで1・5Km離れた辺野古漁港に向かった。ここには11年前からつづく座り込みテントがある。テント内にはさまざまな資料が展示されていて、担当の女性がわかりやすく解説してくれる。まさに「辺野古大学」である。

彼女によれば、ここに計画されているのは普天間基地の代替施設なんて代物じゃない。オスプレイ搭載の強襲揚陸艦が接岸できる軍港と、在沖海兵隊の全必要量を賄う弾薬庫を備え、オスプレイ100機が駐機できる最新鋭の機能を持った基地だ。

いまの普天間基地には軍港がない。そのため海兵隊は佐世保にいる強襲揚陸艦の到着を待ってしか海外遠征できない。弾薬の出し入れも既存の辺野古弾薬庫で行わなければならぬ。そんなデメリットを一気に解消するのが辺野古の新基地だという。

でも、米軍再編で海兵隊は5年後にグアムなどへ分散配備される。しかも沖縄に残る海兵隊の主力は年中、海外を回っていて沖縄には3ヵ月前後しかいない。場合によっては完全撤退する可能性まである海兵隊のため、なぜ日本が1兆円も投じて新基地を作る必要があるのか。

そう訊こうと思ったら、彼女が先回りして説明してくれた。

「日本側にもメリットがあるんです。1兆円の公共事業は自民党の利権になるし、新基地は海兵隊がいないとき自衛隊が使えますからね。現実にキャンプ・ハンセンなどでは日米共同訓練が以前から行われています。今の集団的自衛権の問題と新基地建設は直結しているんですよ」

なるほどそういうことか。名目は米軍基地でも、実際には日米共用になる。将来、海兵隊がいなくなっても、自衛隊の基地として使える。政府の目論見では、情勢がどう変わっても沖縄は「基地だらけの島」でありつづけるというわけだ。

第1ゲート前に戻ると「西原町から来た前期高齢者」と名乗る男性が哀切なハーモニカの音を響かせながら、沖縄のフォーク歌手・安里正美さんの歌を路上で歌っていた。その声に耳を傾けるうち目頭が熱くなった。

♪癒しの島だと言いながら 多くの人が訪れるけど 足早に通り過ぎていく 冬の風のように 日本人でしょうか 僕は 日本だと思いますか ここは……

[週刊現代]

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Posted by nob : 2015年09月26日 13:51