« 愚かしさの極み、、、正義や誇りの欠片もない。。。 | メイン | また旅立つ君へVol.105/ポーターレス »
前回いつかかったのか記憶がないほど久しぶりに風邪をクリスマスプレゼントに、ここぞ体内清掃とばかりに医薬品なしで静養中の雑炊で極度の発汗、人生4度目の失神してしまいました。
■失神
失神(気絶)は、突然起こる短時間の意識の消失です。
*失神は脳の機能が障害を受けると起こります。
*めまいやふらつきが一般的ですが、失神の原因によっては他の症状が出ることもあります。
*失神の原因を突き止めるために、チルト試験や心機能の検査が行われます。
*通常、横になることで意識は戻りますが、基礎疾患の治療が必要になるかもしれません。
失神は、脳に十分な酸素や他の栄養素が供給されないために起こる症状で、普通は一時的な血流量の減少によって生じます。体が血圧の低下を急速に回復できない限り、脳への血流は減少します。
原因
脳の機能が全体的に障害されない限り、意識を失うことはありません。このような障害は、通常は脳への血流量の減少によります。脳への血流量の減少は心疾患が原因で発生することもありますが、より一般的には何らかの原因により心臓に戻る正常な血流が妨げられ、それによって脳(および体の他の部分)への血流が減少することで起こります。まれに、脳底部の血管の疾患によって脳への血流量が減少することがあります。脳疾患であるてんかんによっても意識は失われますが、これは失神とはみなされません。慎重に検査しなければ、患者も医師も失神とてんかんを区別できないことがあります。
心機能の障害: 血圧を正常に保つのに十分な量の血液を心臓が送り出せなくなると、失神することがあります。たとえば、不整脈や心臓弁障害は心臓の機能を損ないます。このような障害がある人は、安静時には問題を感じません。しかし、運動時には失神しそうになったり、実際に失神したりします。これは運動によって体の酸素需要量が増え、それに見合うだけの血液を心臓が送り出せないためです。こうした失神は労作性失神と呼ばれます。このような障害がある人は、運動後に失神することもあります。運動中は心拍数が増えるため、心臓は血圧を適切に維持するのに十分な血液をなんとか送り出すことができますが、運動をやめると心拍数と心拍出量が減り始めます。しかし、運動中に多量の血液を筋肉とやりとりするために拡張していた筋肉内の血管は広がったままです(具体的には、筋肉内の細動脈は筋肉組織へ酸素と栄養素を供給するために拡張したままであり、静脈は運動中に生じた老廃物を取り除くために拡張したままです)。心拍出量の減少と細動脈や静脈の拡張が同時に起こると、血圧が低下して失神します。
肥大型心筋症(心筋症: 肥大型心筋症を参照)と呼ばれる心臓の異常も、運動中に起こる失神の原因となります。大動脈弁の重度の狭窄も同様の影響を及ぼします。これらの疾患は高齢者にも若年者にもみられますが、とりわけ高血圧の人に多くみられます。治療しないと死に至る可能性があります。
血流量の低下: 血液量が減りすぎると失神が起こる場合があります。血液量が低下する主な原因は出血です。その他に、下痢、多量の発汗、水分の摂取不足、多量の排尿(無治療の糖尿病[糖尿病(DM): 糖尿病を参照]やアジソン病[副腎の病気: アジソン病を参照]でみられる一般的な症状)などによる脱水症も原因となります。高齢者では、特に暑い季節や病気のため十分に水分を摂ることが難しい場合などに利尿薬を使用すると、脱水症を起こすことがよくあります(利尿薬は腎臓からの塩分と水分の排出を促し、尿量を増やして体内の体液量を減らします)。
加齢による影響
低血圧は、心臓に影響を及ぼす多くの疾患によって起こります。心疾患の多くは高齢者に一般的にみられるため、高齢者は低血圧になりやすい傾向があります。
心臓発作で心筋が衰えると、送り出すことができる血液の量が減り、低血圧につながります。感染症や心臓弁障害、心臓にダメージを与える薬の使用によっても、心機能は低下することがあります。また、心膜炎では、心臓を包む心膜(心嚢)の中にたまった体液が心臓を圧迫するため、血液を送り出す能力が低下します。
異常に遅い、または異常に速い心拍によって低血圧が起きることもあります。心拍が遅い場合(徐脈)、心臓は十分な量の血液を体に送り出すことができません。また、心房細動などにより心拍が速くなると、拍動の間隔が短くなり心室は血液で満たされず、十分な血液を体に送り出すことができません。
心疾患の治療に用いるカルシウム拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、パーキンソン病治療薬などの薬の中にも、血圧を下げるものがあります。
起立性低血圧は、高血圧の治療薬を服用している高齢者に特に多く見られます。高齢者では、排尿時(排尿失神)や食事の後(食後低血圧)に低血圧や意識の消失がみられる傾向もあります。
体は低血圧を予防する多くの機構を持っていますが、高齢者ではこの機構がうまく働かなくなります。
迷走神経への刺激: 首、胸、腸へとつながる迷走神経が刺激されると失神が起こることがあります。迷走神経が刺激されると心拍が遅くなります。またこの刺激により、吐き気、皮膚が冷たく湿っぽくなるなどの症状がみられます。このような失神は、血管迷走神経性(血管運動性)失神と呼ばれます。迷走神経は、痛み、恐怖、血を見たことなどによる不快感、嘔吐、多量の排便、排尿などによって刺激されます。排尿中または排尿直後の失神は、排尿失神と呼ばれます。まれに、食べものを勢いよく飲みこむことで迷走神経が刺激されて失神することもあります。
血流量の減少: 緊張によって、心臓に戻る血液の量が減少した場合にも失神することがあります。せきによる失神(咳嗽失神)は通常、そのような緊張によって起こります。排尿後や排便後の失神の一部は、緊張と迷走神経の刺激が原因です。前立腺肥大のある高齢の男性が、排尿時に膀胱を空にするためにいきむ必要がある場合、この種の失神を起こしやすくなります。重いものを持ち上げたときに起こる失神(重量挙げ失神)は、運動中に十分な呼吸をせずに重いものを持ち上げたり押したりしようとするときの緊張が原因です。
血圧の問題: 急に座ったり立ち上がったりしたときに起こる失神は起立性失神といいます。特に高齢者に多くみられます。起立性失神は起立性低血圧が原因です(低血圧: 起立性低血圧を参照)。起立性低血圧とは、立ち上がったときに重力により脚の静脈に血液がたまって生じる低血圧を、血管の収縮や心拍数の増加などの代償機序によって十分に回復できない状態です。これと似た失神に閲兵場失神があります。閲兵場失神は、暑い日に長時間立ったままでいるために起こります。脚の筋肉を使わないでいると、心臓に血液を戻せなくなります。その結果、脚の静脈内に血液がたまって血圧が低下します。
高齢者では、食後に血圧が下がりすぎる食後低血圧(低血圧: 食後低血圧を参照)によって失神することがあります。
その他の問題: 不安などによって非常に呼吸が速くなる過呼吸あるいは過換気によっても失神が起こることがあります。この失神は過換気性失神と呼ばれます。過呼吸では、体から大量の二酸化炭素が吐き出されます。二酸化炭素の血中濃度が低下すると、脳内の血管が収縮し、気が遠くなったり失神したりします。
まれに、脳の一部(底部)への血流が突然減少する軽度の脳卒中によって失神が生じます。脳卒中による失神は高齢者でより多くみられます。赤血球の不足(貧血)、肺疾患、血糖値の低下(低血糖)、糖尿病など、他の多くの疾患によって、特に代償機序も損傷した場合には失神が生じます。
特定の薬も失神の原因となります。そのような薬の中には高血圧、狭心症、心不全の治療に使われる薬が多数含まれています。これらの薬を使用する場合は、血圧を下げすぎないように慎重に投与量を調整する必要があります。
症状
特に立っているときには、失神する前にめまいがしたり、ふらついたりします。失神して倒れた後は血圧が上昇しますが、その理由の1つは、横になることで血液が重力に逆らわず脳へと流れるようになり、失神の原因が取り除かれるということです。しかし、あまり急に起き上がると再び失神します。
不整脈による失神は通常、突然始まって突然回復します。場合によっては、失神する直前に動悸を感じることもあります。
血管迷走神経性失神は座っているときや立っているときに起こります。失神する前には、吐き気、脱力感、あくび、視力障害、発汗などがよくみられます。皮膚は冷たく湿っぽくなり、顔色は非常に青白くなり、脈拍が非常に遅くなって失神します。
前兆症状とともに徐々に始まり、同じようにゆっくりと回復していく失神は、血液中の変化、たとえば糖濃度の低下(低血糖)や二酸化炭素濃度の低下(低炭酸ガス血症)などが原因で発生します。低炭酸ガス血症が起こる前にはたいてい、指先や唇の周りにしびれてチクチクするような感覚があります。
診断
失神を起こす原因の中には重大なものも含まれるため、医師は原因の特定を試みます。不整脈や大動脈弁狭窄症などの心疾患は命にかかわります。その他の原因であれば、それほど心配する必要はありません。
症状の特徴から原因が示唆されることもあります。その場に居合わせた人の話も役立ちます。深刻な疾患が懸念されるのは、前兆症状なしに(特に運動時に)発生する失神、息切れや胸痛などを伴う失神、けがにつながる失神、失神した患者に心臓や神経系の検査で異常な所見が認められた場合です。また、何らかの疾患を有するかどうか、処方薬や市販薬を服用しているかどうかも確認する必要があります。
ストレスの多い状況で起こった失神や、吐き気、発汗、冷たく湿っぽい皮膚、蒼白など、血管迷走神経性失神の症状がみられた後で起こる失神は重症ではないことが多く、診断のための検査や治療が必要になることはまれです。
心臓の電気的活動を記録する心電図検査(ECG)により、原因となっている心疾患を検出できることがあります。失神の原因を決定するには連続的な心電図検査が必要となる場合があります。この検査では、電池式の小型の装置(ホルター心電計)を装着します。ホルター心電計は、普通に日常生活を送っているときの心臓の電気的活動を24時間以上記録します(ホルター心電計による心電図の連続記録イラストを参照)。もし、失神と一致して不整脈がみられる場合は、必ずとはいえませんが、不整脈が失神の原因と考えられます。
超音波により心臓の画像を映す心臓超音波検査(心エコー検査—心血管系の病気の診断: 心臓超音波検査(心エコー)とその他の超音波検査を参照)など、その他の検査では、心臓に構造的または機能的な異常があるかどうかを検出できます。血液検査では、低血糖症や貧血の有無がわかります。
てんかんによる意識消失(けいれん性疾患を参照)は、失神とは原因も治療法も異なるため識別が必要です。これら2つを識別するために、脳の電気的活動を記録する脳波検査(EEG)を行うことがあります(脳、脊髄、神経の病気の診断: 脳波検査を参照)。また、てんかんの後は意識消失から回復するのが遅く、意識がもうろうとした状態が少なくとも10分は続きます。
失神の原因であると考えられる障害を特定するため、医師は安全な条件の下で失神発作を再現してみることがあります。たとえば、患者に速く深く呼吸してもらう場合や、心電図検査で心拍を監視しながら頸動脈洞(血圧を監視するセンサーがある内頸動脈の一部)の上を静かに圧迫する場合があります。この圧迫で頸動脈洞内の血圧が一時的に上昇するため、体は全身の血圧が上昇したと思いこみます。頸動脈洞は血圧を下げるように脳へ信号を送り、その結果、意識が遠のいたり失神したりします。
チルト試験(心血管系の病気の診断: チルト試験を参照)は、失神の原因を突き止めるために一般的に行われます。モーターのついた検査台の上に患者をベルトで固定し、その後、検査台をほぼ立っている状態まで傾けます。この位置で最大45分間静止し、血圧と心拍数を連続して監視します。血圧が下がらない場合は、心臓を刺激するイソプロテレノールを投与し、検査を繰り返します。この薬を投与すると検査に反応しやすくなります。
治療
多くの場合、体を水平に寝かせておくことで意識は回復します。脚の位置を高くすると、心臓と脳への血流が増して回復が早くなります。急に起き上がったり、何かに寄りかかったり、直立の姿勢で運ばれたりすると、再び失神する可能性があります。したがって、失神した人は完全に回復するまで寝かせておくべきです。
心拍があまりにも遅い場合は、心拍動を刺激する電子装置、ペースメーカを植え込む手術を行って心拍を適切に調節します(正常な拍動を保つ人工ペースメーカについてイラストを参照)。心拍があまりにも速い場合は、アテノロール、メトプロロールなどのベータ遮断薬(ベータ・ブロッカー)などの薬で心拍を遅くします。心拍が不規則な場合は、正常な律動を回復させるために除細動器を植え込むことがあります(不整脈: 正常な律動の回復を参照)。低血糖や貧血など、その他の原因による失神も治療できます。血液量が非常に少ない場合は点滴で輸液を補給し、心臓弁障害の場合には手術を考慮します。
[メルクマニュアル医学百科]
Posted by nob : 2015年12月28日 12:53