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その時は遅かれ早かれ必ず来る。。。
■南海トラフ、超高層揺れ最大6m…長周期地震動
内閣府の専門家検討会は17日、南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の超高層ビルが、最大6メートル揺れる可能性があるなどとする予測を初めて公表した。
検討会は「ビルの揺れは東日本大震災時を上回るだろう」として、ビルの安全対策の徹底を求めた。
南海トラフの広い範囲で断層がずれ、マグニチュード9級の地震が起きたと想定した。主に高さ100メートル以上の超高層ビルを対象に長周期地震動という特殊な揺れの影響を推計した。
東京23区では、高さ200~300メートルのビルの最上階が最大2~3メートル揺れる。大阪市住之江区では最大6メートル。揺れの継続時間は、東京23区は3~5分程度だが、大阪市や神戸市では約7分以上の場所もある。
[読売新聞]
■南海トラフ、長周期地震動 超高層、被害見通せず
内閣府の検討会が17日公表した南海トラフ巨大地震による長周期地震動の予測は、大都市圏の超高層ビルが最大でどの程度揺れるかなどを初めて推計した。だが、過去のデータが不足しているため被害の予測には限界がある。関係省庁やビル会社、住民らには、想定外の事態が起こりうることを見据えた対策が必要だ。
前例少なく対策必要
「長周期地震動が検討され始めたのは最近。経済的、人的損失がどの程度になるかや、必要な対策までの予測は難しい」。内閣府の検討会委員を務めた古村孝志・東京大教授(地震学)は予測の限界を訴える。南海トラフ地震で国は2012年、最悪の場合は32万人が死亡し、240万棟が倒壊・焼失するとの被害想定を発表したが、今回はこうした推計はしなかった。
被害予測が難しいのは、参考になる過去の例が少ないからだ。
大きな長周期地震が発生するのは、マグニチュード(M)7以上で、震源の深さが10〜30キロ程度の浅い場所という条件がある。日本で初めて高さ100メートルを超す「霞が関ビル」が東京都心に建ったのは1968年。その後の地震で長周期地震動による被害が大都市で出たのは、83年の日本海中部地震(M7・7)▽2004年の新潟県中越地震(M6・8)▽11年の東日本大震災(M9・0)−−などで、東日本大震災を除けばいずれも局地的で軽微だった。
だが、30年以内に70%程度の確率で起こるとされる南海トラフ沿いのM8〜9級地震は、長周期地震動の発生条件に合致する。しかも特に揺れが大きく、時間も長いとされる東京、名古屋、大阪の3大都市圏には超高層ビルが集中する。
日本建築学会の09年の集計では、高さ60メートル以上の建築物は全国に約2500棟あり、長周期地震動の影響を受けやすい固有周期が2秒以上の建物は約1100棟。うち6割が関東平野に、2割が大阪平野に建っている。その後も、あべのハルカス(大阪市阿倍野区)、虎ノ門ヒルズ(東京都港区)などの超高層ビルが建設され、国土交通省によると今は3000棟前後あるという。
ビルの中では、どのようなことが起きるのか。報告書によると、長周期地震動で倒壊することはないが、エレベーターの停止や火災などの恐れがあるという。揺れが長く続けば、中にいる人は避難がなかなかできず、船酔いのような自律神経の失調が起きる恐れもある。揺れ幅が6メートルに達すると、固定していないと部屋の隅から隅へ飛ぶ家具もあり、負傷の危険も高い。
北村春幸・東京理科大教授(建築構造学)は「想定外の事故も起きかねず、けが人が出た時の救助方法や、中にいる人を帰宅させる順番など、いろいろな面を想定した対策が必要だ」と警戒を促す。
また、長周期地震動は、ビルの固有周期や築年数、構造などで揺れに差が出るため、必要な備えも一様ではない。久田嘉章・工学院大教授(地震工学)は「高層ビルの管理者は、今回の推計を基に揺れがどの程度かを把握し、設計者と一緒に被害を小さくする方策を考えてほしい」と呼び掛ける。【久野華代】
改修民間任せ 法令基準なし
日本建築学会の09年の集計では、固有周期2秒以上の建物約1100棟のうち、制振・免震装置があるビルは約半数にとどまった。しかし、11年の東日本大震災などを機に、長周期地震動に備えた改修を進めるビルが増えている。
70〜80年代に次々と超高層ビルが建った東京・西新宿。74年に完成した新宿三井ビル(地上55階、高さ225メートル)は、東日本大震災で最上階が約2メートル揺れた。所有する三井不動産(東京)は鹿島と共同で開発した制振装置を15年に屋上部へ6基設置した。この装置は、振り子式のおもり(300トン)がビルの揺れと逆方向に揺れることで全体の動きを抑えるもので、室内工事がないためテナントへの影響を軽減でき、眺望を損なわない利点もあった。
三井不動産の担当者は「テナントのニーズは震災を機に『安全なのは当然。さらに安心感を持ちたい』にまで高まった」と話す。
森ビル(東京)はソフト面の対策にも力を入れる。03年完成の六本木ヒルズ森タワー(同54階、同238メートル)など所有する都内の11棟で、ビルに設けた地震計からすぐに建物の揺れ幅などを計算し、メールで社員に伝えるシステムを構築し、館内放送などに活用。担当者は「専門家でなくても影響が分かり、迅速な対応につながる」と説明する。
しかし長周期地震動対策は、現状では構造設計上の基準などが法令で明確に定められておらず、所有者らの判断に委ねられているのが実情だ。ビルの改修を検討しているある会社の担当者は「改修をしようにも統一化された基準や制度がないため、テナントへの影響やコスト面を考え、ためらう部分もある」と漏らす。
国土交通省は10年末、超高層ビルの設計で、長周期地震動も念頭に置いた構造計算を求める対策案を示し、意見を募っていた。だが、内閣府が長周期地震動の影響予測をすることになり、検討を保留。当面は所有者らに自主対策を促す通知を出していた。今回の報告を踏まえ、基準作りなどを改めて検討する方針だ。
テナントや住民の対策では、家具などの固定が最重要だ。防災グッズの製作などを手がけるNPO法人プラス・アーツは、行政が勧める強度の高いL字型金具の設置が難しい場合、身の回りにある物で代用する方法を講座などで紹介している。例えば、家具の上に滑り止めシートと段ボールを置いて天井との隙間(すきま)を2センチ以内にし、家具の下にも滑り止めシートを敷くと転倒防止に有効という。【狩野智彦】
[毎日新聞]
Posted by nob : 2015年12月18日 09:53