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立ち向かうのではなくしなやかに受け流す。。。

■心が強い人は「無感情」を習慣にしている 簡単!マイナス感情はこうしてリセットする

梅雨から夏にかけては、疲れがたまりやすい時期です。体の疲れ以上に、厄介なのが心の疲れ――ストレス、憂鬱、怒り、不安。「癒したくても、癒し方がわからない」ことが、一番の問題です。

しかし、2500年前にすべての苦悩から解放された、あのブッダなら、答えを知っています。

日常のちょっとした工夫で、心の疲れをきれいさっぱり洗い流すには――。中卒→大検→東大→永田町シンクタンク勤務→インドで得度という経歴を持つ独立派の出家僧・草薙龍瞬氏(近刊に『これも修行のうち。』がある)が、その秘訣を語ります。

ストレスや憂鬱は、現代人にはつきものです。欲や怒りを刺激する情報はあふれているし、苦手な人づきあい、気の進まない仕事・残業も次々にやってきます。特に4月から変化が続いたあとの梅雨の時期は、いっそう心が重たくなる季節です。

しかし「何事にも、きっと方法はある」というのが、ブッダの考え方。ストレス・憂鬱を上手に解消して、心を軽くしていく方法を“メンタルヘルスのエキスパート”ブッダは教えてくれます。

悩みの最大の理由は「マイナスの感情」

心が疲れる最大の原因は、「マイナスの感情」です。ムカついたり、緊張したり、落ち込んだりといった負の感情におそわれると、やる気を失い、物事に集中できなくなります。

こうしたとき、多くの人が「元気を出そう」「楽しもう」と考えます。「憂さ晴らしにお酒」とか「ストレス解消にスイーツを」とか。「気分転換についネットサーフィン」が、定番の人もいますね。

ただ、これだと効果は一時的ですし、度をすぎると健康を害したり時間をムダに使ったりします。ネットサーフィンで余計にストレス・モヤモヤが増す、というのはよくある話です。

ブッダなら、まったく違う発想をとります。マイナスの感情を癒す秘訣は、驚かれるかもしれませんが、「感情のない状態をとりもどす」ことなのです。

つまり、怒りも喜びもない“ニュートラルな”精神状態――ここに戻れるようになったら、心は劇的に健康になります。詳しく説明しますね。

感情のないニュートラルな状態がなぜ大事かというと、それが「心の基本」だからです。

実は、感情には3種類しかありません。つまり、

①快の反応 ―― 喜び・うれしさ・楽しさなど
②不快の反応 ―― 怒り・不満・憂鬱・くやしさなど
③快でも不快でもない“ニュートラルな”状態

このうち、人が追いかけるのは、①の快=喜びの反応。食べる、遊ぶ、他人の評価・リアクションを求めて頑張るなどです。

もともと心には、承認欲も含めた「欲求」があります。だから人間は、つらいときや疲れたときでも「欲求の満足」を求めます。結果的にごく自然に「快の反応」――楽しいこと・快楽――を求めようと考えます。

しかし、快の反応は「長続きしない」もの、そして「すぐ元に戻る」ものです。

現実に引き戻されたとき、そこに待っているのは「不快な反応」です。仕事がうまくいかない、人間関係が苦手、人の目が気になる、失敗して落ち込んでしまう……。日々の生活の中では、不快な反応のほうがむしろ多いのが現実ですよね。

つまり私たちの日常は、「快を追いかけながら、実際には不快に反応してばかり」です。人はいつだって「感情に振り回されている」のです。
現代人は、感情の「反復横跳び」で疲れきっている

しかし、「快か、不快か」しかない日常は、かなり疲れます。昔学校でやった「反復横跳び」を思い出してください。端から端まで速足で移動する――人間は「感情」でも、同じことをやっています。

ムカッとして、楽しんで、褒められると舞い上がって、叱られると凹んで……こうした感情的な反応を、休むことなく繰り広げています。

怒って、喜んで、怒って、喜んで、の繰り返し。まるで反復横跳びではありませんか。しかも「真ん中」(ニュートラル)が抜けている(!)。これで心が消耗するのは、ごく自然ですよね。

家に帰ったら、鏡を見てみましょう。「疲れているな」と思ったら、「感情で反応しすぎているのかな」と考えてみてください。

「これからは、感情で反応しない。“ニュートラルな心”を大事にしよう」と唱えましょう。この発想が、これからの人生を変えます。ラクに過ごせる時間が増えていくのです。

ニュートラルな心に帰るプチ修行

では、感情のないニュートラルな心は、どうすれば育つのでしょうか。コツは、「感覚に意識を向ける」ことです。

そのスタンダードな方法は、深呼吸して、①鼻孔の感覚や、②おなかのふくらみ・縮みを感じ取ること。

最近、注目を浴びているマインドフルネスです。その元祖は、もちろんブッダです。【前回の記事:心が強い人が持つ「他人に反応しない」技術】

「感覚に意識を向ける」という発想は、いろんな形で応用できます。たとえば、

①手をグーと握って、パーと開く。その「手の感覚」を意識する。

②「吸う」を「1」、「吐く」を「2」と数えて、10まで数える(感情をリセットするために、50、100まで数えてもOK)。

③道を歩くときに、歩数を1、2と数えて、100までやってみる。

数を決めれば終わりが見えるので、集中しやすいかもしれません。スマホのタイマーを使うのもよいかもしれませんね。

「感情で反応しない。ニュートラルに帰る」ことを方針に、試してみてください。

ちなみに「感情がない」状態といえば、禅の修行僧や、試合に挑むアスリートを思い浮かべるかもしれません。

確かに、その場面の彼らに感情はほとんどありません。なぜならそれが「目的達成に欠かせない」からです。禅僧がめざすのは悟り。アスリートがめざすのは、最高の成果・勝利です。このとき「感情的な反応」は、邪魔にしかなりません。だからニュートラルな心境で、目の前のターゲットに集中しているのです。

こうした心掛けは、私たちの日常にも欠かせません。作業に集中する心。相手をよく理解する心。ムダな考えに気を取られない心。人前で緊張しない心。落ちこまない心――。これらは、仕事・プライベートに大きな力を発揮します。

こうした心の「土台」を作るのが、ニュートラルな精神状態なのです。

ニュートラルな精神状態に戻ることができれば、そこから「ポジティブな方向に」考えることも可能になります。元気も回復していきます。

多くの人が勘違いしていることですが、「ネガティブ」からいきなり「ポジティブ」にもっていこうとするのは間違いです。「ニュートラル」から「ポジティブな反応」に向かうことが、正しい(ムリのない)道なのです。

たとえば、梅雨の季節は、心の健康を回復するチャンスです。雨降りしきる日の駅のベンチに座って、「プチ座禅」をやってみましょう。目を閉じて、雨の音を聞きます。だんだんニュートラルな境地に入っていきます。

もし感情で反応するだけなら、「雨の日ってジメジメしてイヤだな」と思うかもしれません。でも「感覚を意識する」発想に立てば、「空気の潤い」を感じることができます。これは、緑深い禅寺で目を閉じているのと、実は変わらないのです。

ちょっとした心掛けで、心は劇的に回復する

感覚を意識できれば、気が滅入りそうになる梅雨だって心を浄化することに使えるのです。これぞプチ座禅。

他にも簡単に実践できることがあります。

これから猛暑に突入したら、コンビニの冷気に当たって気持ちをリセットする、冷やしたビールやスムージーで気分を変える。こうした日頃のちょっとした動作を「感覚を意識して」やる。そうすることで、マイナスの感情をきれいにリセットするのです。一年中いつでもできる、心の健康回復術です。

辛いことがあるのは、頑張っている証拠。そんな自分を、責めず、裁かず、感情で反応せず、そっと受けとめてあげましょう。そしてこう考えるのです――「きっと方法はある」と。

今回は「感情の疲れを癒す方法」を紹介しました。カギは「感覚を意識して、ニュートラルに帰る」こと。

さっそく練習して、これからの季節を乗りきっていきましょう。イザ、プチ修行!

[東洋経済オンライン]

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Posted by nob : 2016年07月19日 18:44