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人は聞きたいことだけを聞きたいように聞き、、、話したいことだけを解ってほしいように話している。。。

■「カン違いの多い人」が知らない会話の本質
人は自分が「聞きたい」ように聞いている

宇都出 雅巳 :トレスペクト教育研究所代表・学習コンサルタント

「ええっ!この資料、午前中までだったんですか? てっきり今日いっぱいまでだと……」。
こうしたコミュニケーションでの勘違いで起こる仕事のミスは、かなりやっかい。どちらも正しいと思っているために、「言った」「言わない」の問題で議論が泥沼化したり、上司や取引先から一方的に怒られたりと、重大化しがちです。
『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』の著者であり、脳科学・認知科学に詳しい学習コンサルタントの宇都出雅巳さんが、コミュニケーションによるお互いの勘違いの原因と対策を解説します。

「コミュニケーションはキャッチボール」ではない

仕事においてコミュニケーションは必要不可欠です。大半の仕事は一人で完結するものではありませんし、人とかかわるサービス業が増えています。さらにチームの垣根が平気で国境をまたぐような時代です。ビジネスシーンではコミュニケーションの重要性がますます高まっています。

それと比例してコミュニケーションミスも増えています。コミュニケーション頻度が高まる一方で、対面でのリアルタイムのやり取りは減って、メールやSNSでの文章ベースのやり取りが増えているのも、コミュニケーションミスの増加に拍車をかけているのでしょう。

そしてこのコミュニケーションミスは、「きちんと伝える」「きちんと聞く」といった心構えのレベルで改善できるものではありません。実はきちんと伝えてもその通りには伝わらないし、きちんと聞いても正確には聞けないのです。

「そんなバカな……」と思う人もいるでしょうが、これが脳科学や認知科学がここ数十年の間で明らかにしてきた事実です。まずはこれを受け入れることがコミュニケーションミスをなくすスタートラインです。

あなたは「コミュニケーションはキャッチボールである」と思っていませんか?これはコミュニケーション研修などでよく使われるたとえですが、実はコミュニケーションはキャッチボールのようなものではありません。それとは全く違うものです。

コミュニケーションを何かボールのやり取りのように考えることが、コミュニケーションについての誤解を生み、結果的にコミュニケーションミスを誘発する要因にもなっています。では、コミュニケーションとはどういうものなのでしょう。

他人の話は、無意識に自分の記憶を元に理解している

コミュニケーションでは、やり取りされる言葉(キャッチボールでのボール)に注意が向きがちですが、重要なのはそれぞれの人の中で思い出されている「記憶」です。それこそがコミュニケーションで伝えようとしていることであり、伝わっていることなのです。具体的な例も挙げながら解説していきましょう。

話し手が自分の記憶にある経験を他人に話すとき、その記憶のすべてを言葉にするわけではありません。たとえば、「昨日、渋谷で友人とお酒を飲んだ」と誰かに話すとしましょう。しかし、「昨日」といってもそれが朝なのか昼なのか夜なのかわかりません。また渋谷といっても渋谷のどこなのか、そもそもお店だったのか自宅だったのかも省略されています。

こうしたすべてを言葉にしていては会話が成立しません。ですから、そのとき話し手は必ず情報を「省略」します。

普段は「何が省略されている」ということをわざわざ意識しなくてもコミュニケーションは成立します。それは、話し手の言葉の省略された部分を、聞き手が無意識に記憶を連想し、自動的に補完しているからです。

ただ、話し手が話した記憶と、聞き手が連想した記憶は、もちろん異なります。蓄積してきた「記憶」が違うわけですから連想ゲームのように結果が違って当然です。

普段のコミュニケーションでは、聞き手は自分の記憶を頼りに相手の言葉の省略されている部分などを補完し、解釈を加えて理解(したつもり)となります。

こうした思い出していること自体が意識にのぼらない記憶のことを認知科学では「潜在記憶」と呼びます。(ちなみに意図的に思い出そうとする記憶のことを「顕在記憶」といいます。)

職場におけるコミュニケーションミスはそれなりに知識や経験が増えてくると起こりやすくなります。というのも、相手の言葉を聞くことによって引き出される記憶が、知識や経験がある人ほど多くなるからです。そのせいで、相手が意図していた言葉の意味とは違う記憶が無意識に反応してしまいがちになります。

たとえばあなたが後輩から仕事の相談を受けたとします。あなたの頭の中にはその相談に関連する知識や経験が豊富にあります。すると関連する記憶が次々と活性化され、「ああ、あのことね」「後輩の悩み所はここだろう」といったように「わかったつもり」になってしまうわけです。これが勘違いのもとになります。

逆に記憶のストックの少ない新人は、相手の話のキーワードが自分の記憶に結びつきにくいので、省略された部分を補完することができません(だから上司は丁寧に説明しないといけないのです)。

仕事でのコミュニケーションミスといって真っ先に思い浮かぶのは、情報の伝達ミスではないでしょうか。つまり相手に伝えたと思ったのに実は相手が正しく理解していなかったケースです。

簡単な仕事の指示やアポの日取りといった情報なら、情報をできるだけ省略せず、かつ相手が間違えそうな箇所を強調するなどして説明すれば、おおかた伝わります。

しかし複雑な仕事の手順など、相手の理解力が問われる情報はいくら丁寧に説明しても完全に伝わるかどうかわかりません。そこで効果的なのが相手に復唱してもらうことです。

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)の著者で、学習塾教師である坪田信貴氏は、その著書のなかで生徒に教えたことを復唱させることの重要性を説いています。

復唱するためには教わったことを完全に理解していないとできません。あいまいな理解のままだと論理展開が組めないので、説明もアヤフヤになります。何度も指摘しているように、人は脳の補完機能があるため、すぐにわかったつもりになります。復唱によって自分がどこまでを理解して、どこから理解していないのか、はっきり認識することができるのです。

仮にすべてを理解して難なく復唱できたとしても、復唱したことによって記憶を定着させやすくする効果もあります。仕事の現場でも後輩などに何かを指導して、それが伝わったかどうか確認したいのであれば、復唱してもらうことが最も確実です。

また復唱は自分自身で行うこともできます。たとえば研修やセミナーで何かを学んだり、本を読んだりしたとき、本当に自分がそれを理解したかどうかをチェックするには実際にアウトプットしてみることをおすすめします。

誰かに口頭で説明してみてもいいですし、文字に書き出しても構いません。SNSを使って「備忘録」と題して学んだことを簡単な文章にまとめてみてもいいでしょう。他人が読んでも理解できる文章を書くには、確実に自分自身が理解している必要があるわけですから。

また、ビジネスのコミュニケーションにつきものなのが「言った」「言わない」のトラブルです。相手と自分の記憶が異なるわけですから、互いの正当性を主張したところで結論は出ません。

そういった事態を防ぐためには客観的な事実として記録を残すしかありません。最近はスマホで手軽に録音ができますが、すべての会話を録音するのも現実的ではないので(マナー上の問題とデータ容量の問題で)、ここはやはり、もっとも原始的、かつ手軽なメモがいいでしょう。

とくにメモであればその場で書き込みつつ、相手にもそれをリアルタイムで見せることができます。実はこれが非常に重要です。一般的に会議の席などで相手にも見えるようにメモをとる人は少ないですが、あえて相手にも見えるように堂々と書き出す方が、経験上、絶対におすすめです。

もちろん、ホワイトボードやフリップチャートがあれば、そこに書き出していくのもおすすめです。ホワイトボードはスペースがなくなったら、写真に撮って新たに書き出しましょう。

対面のコミュニケーションにこだわる意味

いくら当人が「伝えたつもり」「聞いたつもり」でもミスは起きます。対面でのコミュニケーションですらそうなのですから、顔の見えない電話やメール、SNSではどれだけコミュニケーションミスが起きているか、恐ろしくなったかもしれません。

非対面型コミュニケーションの弱点は、相手の反応がリアルタイムでわからないことです。対面で意識を相手に向けていれば、相手の顔色が変わったり、言葉の前に微妙な間が入ったりとわずかな異変にも気づくことができます。そうやって反応がわかるからこそ臨機応変に軌道修正がかけられるわけですが、相手の顔が見えないメールであったら反応を想像するしかありません。

まだ電話であれば口調で反応がなんとなくわかりますし、LINEやメッセンジャーでリアルタイムに短文の応酬をするのであれば若干はマシかもしれませんが、それでも対面での会話に勝るものはありません。

仕事のスピードアップのためにさまざまなコミュニケーションツールを活用することはいいことです。しかし、相手に誤解されるおそれがある場合や、相手の反応を見ながらではないとうまく伝えられない込み入った話などは、手間がかかっても電話なり対面での会話を心がけましょう。

[東洋経済ONLINE]

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Posted by nob : 2016年09月19日 13:46