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私も入浴後就寝まではできる限りモニター画面を見ないように心がけています。。。
■スマホの「ブルーライト」は何がマズイのか
害するのは「目」じゃなくて「健康」だ
小木曽 健
グリー 安心安全チームマネジャー
「スマホの「ブルーライト」は何がマズイのか 害するのは「目」じゃなくて「健康」だ | インターネット、正しく怖がろう!
パソコンやスマホの「ブルーライト」は何がマズイのか
突然ですが、読者のみなさんに質問です。
「ブルーライトは好きでしょうか」
「目に悪いものだから嫌いに決まっている。当たり前のことを聞くな」と怒ることでしょう。では「今度一緒に、ブルーライトをたっぷり浴びに行こう」と誘われたとしたらどう思いますか。「身体に悪いから浴びたくないよ」と思うかもしれません。
でも、天気がいい日の青空の美しいスカイブルーは、ブルーライトの「ブルー」と同じなのです。つまり日光浴をする、ということはブルーライトをたっぷり浴びる、ということ。そもそも、太陽から届く光の中でも青は特に大気中で拡散しやすいため、空は青いのです。
ここで疑問が浮かび上がります。ブルーライトは本当に目に悪いものなのでしょうか。
ブルーライトは目に悪い?
みなさん、どこかしらで「スマホやパソコンのモニターから出ているブルーライトは目に悪い」という話を聞いたことがあると思います。
でも、実は一般的なスマホ・パソコンの使用時間で、ブルーライトが許容範囲を超えるダメージを目に与えるかというと……。筆者の知る限り客観的・長期的な検証データは、今のところありません。
もちろん、パソコンやスマホで目を酷使するのは良くないですし、その結果、目の疲れや老化、場合によっては目にダメージが発生する可能性があるのは間違いありません。ですが、その原因を考えた場合、目の焦点を長い時間にわたって固定化することによる悪影響のほうが大きいのです。少なくとも、ブルーライトだけのせいにするのは、無理がありそうです。
一般的なスマホ・パソコンの使用時間なら、ブルーライトだけのせいで目が損傷する、という決定的なデータはありません。それなのに……世間には、何がなんでもブルーライトが悪いといわんばかりの情報があふれており、ちょっと違和感を持ってしまいます。
しかもブルーライトの問題点について書かれているウェブページを見ると、なぜか極端な条件下での検証データを多用していたり、なぜかブルーライト対策の商品・サプリの広告が貼られていたりします。「ブルーライト悪玉説」で誰かが得をするのだろうな、と考えてしまいます。
もちろん別にブルーライトに義理立てするつもりはないし、肩を持つ気もありません。もし誰かが客観的で科学的で長期的な検証を行ない、ブルーライトの「ワル」判定がされれば、受け入れます。回りくどくなってしまいましたが、ブルーライトが健康を害するかどうかについては、科学的な検証の余地があるのです。
「目」じゃなくて「健康」を害する
しかし、少なくとも寝る前にスマホやパソコンのブルーライトを見ることが「健康」を害するというのは、ほぼスジの通った話です。「目」ではなくて、「健康」を害するのです。
青空のもとで日光浴をしたら、誰だって頭が冴えます。同じように「寝る前のスマホ」も、まぶしいスマホ画面が脳を活性化させます。そんな状態で眠りにつけば、睡眠の質が下がるわけです。つまり、「ブルーライトが目に悪い」のではなくて、「寝る前のブルーライトは、睡眠の質を下げて健康に悪い」ということなのです。
筆者はこれを逆手にとって、朝は寝床でスマホを手に取り、アプリを立ち上げ、ブルーライトをガンガンに浴び、頭をスッキリさせてから起きているくらいです。
家庭のスマホルールをどう作るべきか
この「寝る前のブルーライト」は、子育てや家庭のルール作りとも関係があります。
家庭のスマホルールでよくあるのが、「我が家では〇時以降、スマホ禁止」というものです。このルールは「子どもがスマホで夜更かし → 翌朝に寝坊 → 朝ごはんも食べずに学校へダッシュ → 母親が激怒」という手続きを踏んで作られることが多いと思いますが、残念ながら効果をあげずに失敗するケースが多いのです。
たとえばある家庭で、「夜9時以降スマホ禁止」というルールが作られたとします。すると、かなりの確率で、こんなことが起きます。ルール初日、この家庭のお子さんは、夜9時ギリギリまで大慌てでLINEをやりまくっています。バタバタです。そして夜9時になった瞬間、「あ~間に合った、疲れたぁ!」って言いながらマンガを読み始めます。結局、寝る時間が早まることはないのです。
でも、これは仕方がないのです。そもそもルールが必要になるのは、何らかの弊害が起きているときです。その弊害を解決するために作られるのがルールですが、「夜9時以降スマホ禁止」には弊害のことが触れられていないのです。ルール作りには、「弊害の見極め」がものすごく重要です。そして多くの家庭で「弊害の見極め」でミスをしているのです。
スマホを夜遅くまで見ていることの「弊害」は何か。弊害はズバリ、「睡眠の質を悪化させて健康を害すること」です。
極端な話、夜更かしだろうが、朝食抜きだろうが、健康であればいいのです。しかし、そんな人は例外的な存在ですから、ほとんどの人にとって、スマホを夜遅くまで見ていることの弊害は、「寝不足によって健康を害すること」です。だからこの弊害に直結したルールを作らないと、問題は解決しません。
先ほどの「夜9時ルール」は睡眠時間の確保にまったくつながっていないため、失敗するのも仕方がないのです。では、どうすればいいのか。
弊害:寝不足で健康を害する状態
対策:質の良い睡眠を△時間以上、摂らなきゃダメというルール
になります。これに「ルールを〇回破ったら、スマホは解約、没収」というペナルティでも加えておけば完璧です。
「やり方は任せるから、ちゃんと睡眠時間を確保するんだよ。もしルールを守れなかったら……わかっているよね」
こんな感じで、シンプルなルールを作ればいいのです。あまり細かい条件は付けないほうがいいです。なにしろ子どもは、ルールに物言いつけるのが仕事みたいなものですから、ルールが細かければ、「このルールの、この部分のせいで失敗した」と言い訳できる逃げ道を作ってしまいます。だから、なるべくシンプルにしましょう。
「やり方は任せるから」もポイントです。裁量権を与えられているんですから、失敗しても自分のせいです。言い訳できません。誰だって、裁量権を与えられれば「挑戦してみるか」という気になります。
軸はブレずに「弊害は何?」
ここでブルーライトの話に戻ります。質の良い睡眠のためにはどうすればいいのか。
「寝る前のブルーライトは質の良い睡眠を害する」ということを説明し、「寝る〇時間前にはスマホを見ない」「〇時以降はベッドにスマホをもちこまない」といった約束をしましょう。この約束を守った場合に限って質の良い睡眠と認めればいいのです。
うまくいかなかったら、なぜ失敗したのかを親子で話し合って検証し、改良していけばいいわけです。ただし、「寝不足で健康を害する状態」という弊害を取り除く、という軸を変えてはいけません。「ブルーライトは目に悪い(=スマホは目に悪い)からスマホの使用時間を2時間に限定する」といった方向にブレてしまいがちだと思いますが、それだと弊害(寝不足)を取り除くという本来の目的から離れてしまうのです。
この連載のタイトルは、「インターネットを正しく怖がろう」ですが、ブルーライトも正しく怖がるようにしてください。
[東洋経済ONLINE]
Posted by nob : 2016年11月19日 10:14