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主治医は自分自身、、、自らの生を救えるのは自分自身のみ。。。
■余命は半年…がん治療医ががん患者になって分かったこと
医師が理解できるように説明してくれない――。医師への不信感を抱いた人は少なくないだろう。もしかしたらそれは、医師と患者の認識の違いが原因かもしれない。
西村元一氏(58)は、2015年3月、突然の下血で検査を受けたところ、根治不能の胃がんが発見された。肝転移もしており、治療をしなければ余命半年との診断だった。大腸がん専門の外科医としてがん患者と接してきたが、一転、がん患者に。余命半年の宣告から1年半が経過した。
■質問しなければ医師は「理解している」とみなす
この間に得たのは、(1)「今まで通りお任せします」は成り立たない(2)何も言わないと、何もしてもらえないかもしれない(3)理解できないことはしっかり確認(4)主治医以外にだれが自分のこと全体を把握しているか確認を(5)患者が参加できる、関われる部分があれば積極的に参加する――の5つのことだ。
「患者が変わらないと医療者も変わらない。自分の命は、ある程度自分で責任を持つ覚悟が必要なのです」
医師の立場で「患者はこのように理解しているだろう」と考えていたことが、患者の立場からすると、必ずしもそうではない。
たとえば、抗がん剤として処方される口腔内崩壊錠。飲みにくい錠剤を口の中でラムネのように溶けて吸収しやすくなるように開発された薬で、医師として処方している時は、「非常に有用な薬」と思っていた。
しかし、自分が患者になって使い始めると、飲みづらい。口腔内崩壊錠は溶け出すと甘くなるが、抗がん剤の副作用による味覚障害で甘味の閾値が低下しているためだ。自分と同様に「ありがた迷惑な薬」と感じている人がいることも知った。
「理解できないことがある。しかし医師が忙しそうだから、質問をしたら悪いから、と黙っている。医師からすれば、『患者さんは理解しているから黙っている』となりかねません」
■患者の苦しみは口に出さないと伝わらない
少しでも疑問に思ったら、口に出す。抗がん剤の副作用にしても、「つらい」「耐え難い」と医師に言うことで、そのつらさを軽減する方法を提案してくれる可能性は十分にある。医療技術は進歩しており、現在は、抗がん剤の副作用を軽減する薬も多数出ており、効果を発揮している。
情報があふれ過ぎている時代だ。西村医師は「不要な情報をシャットアウトし、正しい情報を得ることが重要」と指摘。
「専門知識を持っていないと、どの情報が正しいか分からない側面もあります。病気になる前からかかりつけ医をつくる。同級生や知人などの医療関係者との関係をつくっておくことも大切」
西村医師は免疫療法も受けている。エビデンスがない免疫療法には賛否両論があるが、さまざまな情報から「毒にはならない」と確認し始めた。
「ただし、標準治療が大前提。それも『正しい情報』につながりますが、『……をすれば治る』といった聞こえのいい情報は、疑ってもいいと考えています」
医師、がん患者、双方の立場から感じるのは、「変な情報の方が魅力的。それゆえに、そちらに流れてしまっている人が多い」ということだ。がん治療は時間との闘いでもある。変な情報に踊らされ、その時最も効果を発揮する治療を受けられなかった、という人は決して珍しくない。
▽にしむら・げんいち 金沢赤十字病院副院長。抗がん剤、手術による胃全摘、放射線治療、免疫療法を受ける一方で、がん患者を支援する「金沢マギー」の施設づくりと人員確保のための「元ちゃん基金」を創設。著書に「余命半年、僕はこうして乗り越えた!」。
[日刊ゲンダイDIGITAL]
Posted by nob : 2016年12月28日 17:43