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歯の健康Vol.2/歯と歯茎と舌の状態は健康のバロメーター。。。

■頭痛、肩こり、腰痛の原因は「舌」かもしれない
噛み合わせの悪さが引き起こす体調不良

安藤 正遵
安藤歯科クリニック院長

原因不明の体調不良に悩んでいませんか

「長年、原因不明だった頭痛や肩こりが嘘のように消えました」。筆者が経営する歯科クリニックの患者Aさんは、喜びを口にしました。

頭痛や肩こり、慢性疲労、腰痛など、はっきりとした原因がわからず、なんとなく体が不調だという人は少なからずいます。これを専門的には「不定愁訴」といい、一筋縄では治療できないとても難しい症状とされています。整体や鍼灸などで改善しようとしている患者も少なくないようです。

一方、私は長年の研究と実体験から歯科治療のノウハウが不定愁訴の改善に有効性を示すケースをいくつも知っています。治療から15分足らずで症状が改善した例もあるほどです。ポイントは噛み合わせと「舌」の位置。実際に1996~2013年までに私の経営する歯科クリニックで噛み合わせ治療を行った295人のうち、76%が偏頭痛を、67%が首のこりを改善するなど、さまざまな症状に対する有効性を示しました。無気力、難聴、背中の痛み、肩こり、腰痛などが改善した人も少なくありません。

つらい不定愁訴は、下あごの位置のズレが原因になる場合があります。下あごにズレが生じると頭蓋骨が傾き、首や肩や脊椎のバランスが崩れます。これが不定愁訴に繋がります。

その下あごのズレは、どのようにして引き起こされるのでしょうか。歯科大学では、上下のあごの位置は歯で決まると教えられています。しかし、私はこれまで300人以上の患者さんの噛み合わせ治療を行う中で、この理論に疑問を抱いてきました。

今、これを読んでいるあなたは、つねに上下の歯を食いしばっているでしょうか。答えは「ノー」だと思います。私たちの上下の歯は、食べ物を噛むとき以外は触れ合ってはいません。2mm程度の隙間が空いた状態をキープしています。普段は、下あごは咀嚼筋群という噛むための筋肉によってブランコ状態となっているのです。

歯が下あごのズレの原因でないならば、本当の原因は何なのでしょうか。そうです、その理由が「舌」なのです。「歯並びが悪い」「かぶせものをしている」などの理由で、舌が収まるスペースが狭くなったり、鋭利な歯が舌にストレスをかけていたりすると、舌はつねに緊張した状態を強いられることになります。その舌の状態によって、下あごの位置は左右されているのです。

以前、右下の歯が舌側へ倒れ込むように生えている症例を目にしたことがあります。舌は刺激を避けるために、左へ逃げるようになり、それにともなって下あごも左へずれていました。大きな歪みが生じ、頭痛や腰痛などの体の不調も抱えていました。

歯のアーチが小さく、歯が直立して生えることができずに舌側に倒れ込んでいる症例の治療にあたったこともあります。舌に歯がめり込んでいる状態のため、舌が受けるストレスが相当なもので、不定愁訴の症状も重度なものでした。

戦後、食生活が改善し、飽食の時代に突入したことにより、現代人の歯は変化しました。そのさまざまな変化により、現代人はあごのズレを引き起こしやすくなっています。

あごのズレを引き起こす原因

あごのズレを引き起こす原因は以下の4つが挙げられます。

①歯が大きくなった

現代は栄養状態がよくなったため、日本人の平均身長は50年前に比べて1.08倍になり、それにともなって歯も大きくなりました。歯が大きくなれば、必然的に舌の収まるスペースは狭くなり、舌へのストレスは増大します。

②あごが細くなった

食生活の変化により、噛む回数が減ったことで、現代人のあごは細くなりました。現代人の咀嚼回数は縄文時代の7分の1にまで減っています。あごが細くなったことで、舌の収まるスペースはますます狭くなっているのです。あごが小さくなったため、歯がきれいに収まらず、舌側に倒れ込んでしまう傾向にあります。

③歯が尖っている

現代人はやわらかいものを食べる機会が多いため、歯がすり減らずに尖っている傾向にあります。歯が尖っていると、舌は口の中でつねに緊張状態になり、下あごのズレにつながるのです

④舌の肥大化

現代では、熱中症や健康維持のために水を飲むことを勧める傾向にあります。水を飲むこと自体はいいのですが、舌は血管が豊富な組織のため、体内の水分量に敏感に反応します。水分過多になると、舌も大きくなる傾向にあります。

このように、現代の食生活の変化により、舌が置かれている口内環境は悪化の一途をたどってきました。舌の収まるスペースが狭くなり、さらに舌の肥大化も相まって、下あごのズレが引き起こされています。現代では、ほぼすべての人が何らかの形で舌にストレスをかけているといえます。まさに、下あごのズレとそれにともなう不定愁訴は現代人特有の現代病だといえるのです。

下あごのズレが原因の不定愁訴は、舌が歯から受けるストレスを取り除くことで症状を改善させることができます。私の経営する歯科クリニックでは、わずかに歯を削ることで舌のストレスを無くす独自の咬み合せ治療を実施しています。

従来の咬み合せ治療では、歯の矯正やマウスピースを活用していましたが、その治療法では、歯と舌の関係に問題がある場合は改善ができませんでした。そこで、舌の問題を解決するため、歯の高さだけでなく、大きさ・傾き・尖り具合・被せ物の状態など総合的に診たうえで治療を行っています。

この治療法では、舌のストレスを大幅に取り除くことが期待できます。治療の際は、歯の一番外側のエナメル層を0.1~0.5ミリ程度削って調整します。エナメル層には神経が通っていないので、治療には痛みはありません。早い人は、治療後15分程度で不定愁訴の症状改善を実感できます。他ではどうしても治らなかった不定愁訴の原因を解消し、症状の改善が見込めるのです。

もし、あなたが原因不明の体調不良に悩まされているなら、下記の項目にどれだけ当てはまるかチェックしてみてください。

チェックしてみましょう
□ 噛んだ時のカチカチ音が小さいか、二重音である
□ 首か肩がいつもこっている
□ 口が開きにくい
□ 口を開けるとあごが痛い
□ 口を開けるとあごで変な音がする
□ 腰痛がある
□ 胃腸の調子が悪い
□ 歯ぎしり、食いしばりがある
□ いつもあごの周りの筋肉がこっている
□ 歯科で詰めたかぶせものが高いと感じている
□ 口の中で歯の尖りや邪魔を感じる

【チェック判定】
当てはまる項目の数
●3個未満 噛み合わせの影響は少ないようです
●3~5個 噛み合わせが影響しています
●5~7個 不調は噛み合わせからもきています
●8個~ すぐに咬み合わせ治療を受けることをお勧めいたします

医療機関で治療を試みたにもかかわらず、効果が見られない肩こりや腰痛、偏頭痛、慢性疲労などの症状をお持ちの人は、一度、噛み合わせを疑ってみる必要があるかもしれません。

[東洋経済ONLINE]

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Posted by nob : 2017年07月23日 17:41