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■犯罪収益:「はく奪制度」で被害者還元へ 政府が導入検討

 政府は、ヤミ金融や振り込め詐欺などの犯罪行為で生じた違法な収益を課徴金として納めさせて被害者に還元する「犯罪収益はく奪制度」を導入する検討を始めた。裁判による損害賠償は時間がかかり、提訴する余裕のない被害者は泣き寝入りになることも多く、救済が必要と判断した。金融庁は米国の同様の制度を07年度に現地調査し、同年中に日本での導入が可能か結論を出す。

 被害額を取り戻すには、加害者に損害賠償訴訟を起こすのが原則。12月から、新たに施行された被害回復給付金支給法で国が犯罪収益を没収し、被害者に分配できるようになった。しかし、刑事事件として立件され有罪判決が出なければ適用されない。刑事事件にならない被害を救うため、行政の関与を求める声が出ている。

 米国では、行政機関が被害者に代わって民事訴訟を起こしたり、刑事事件にならなくても行政処分で犯罪収益をはく奪し被害者に分配する制度が定着している。金融庁は米国の制度を調査し、日本の法制度下で導入が可能かを検討する。

 日本では犯罪行為や罰金・没収の認定を刑事裁判が担っており、「犯罪収益とはいえ、裁判を経ずに行政に財産を没収する権限を与えていいのか」との議論がある。このため、金融庁は談合や証券取引法の違反者から利益を取り上げる行政処分として定着してきた課徴金制度の活用が現実的とみている。

 行政機関が被害者や被害金額を認定する手法の確立なども、今後の課題になる。金融庁は「導入には国民的な合意が前提」(金融庁幹部)として来夏以降、金融庁の審議会などに諮問。専門家や世論の反応を見たうえで正式決定する考えだ。【清水憲司】

〔毎日新聞〕

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Posted by nob : 2006年12月31日 23:40