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■世界株安、止まらず

 世界同時株安から一夜明けた1日、東京市場は前日に続いて大幅下落し、回復するかに見えた米国市場も再び急落で始まった。欧米のヘッジファンドなどが資金を引き揚げる動きは続いており、世界株安の波が静まらない。円高も進み、企業業績への悪影響も懸念される。市場には「一時的な調整」との見通しもあるが、世界を動き回る投資資金の変調が株価回復の重しになる恐れもある。

●外国投資家、売りに転換

 2月27日の中国・上海市場の株価急落は世界中で巨額投資をするヘッジファンドなどの投資家心理を冷やし、欧州、米国、日本の順番に株安が波及した。翌28日も主な欧州市場が軒並み続落。28日の米ニューヨーク市場のダウ工業株平均は上海市場が少し落ちついたことなどを受けて上昇したが、翌3月1日は急落して始まり、世界的な株安連鎖が続いている。

 そのサイクルの中で、東京市場も1日午後に日経平均株価が一時1万7300円台を下回った。背景には昨年後半からの上昇基調を支えてきた外国人投資家の変化がある。彼らは、日本企業への好業績期待から、世界の市場に比べて割安感のある東京市場への投資を増やし、東証によると2月第3週は7週連続で買い越しだった。

 だが今回の株安で欧米ヘッジファンドなどが資金を安全性が高い債券市場などに振り向ける傾向が出た。

 東京市場でも1日の朝方の外資系証券の売買注文動向が2日連続で売り越すなど、利益を確保するための売りに転じる動きがある。「この傾向が続けば、相場が上昇に転じにくくなる」との見方も出ている。

●円高不安も膨らむ

 外国為替市場も不安定な動きが続く。1日の東京市場の円相場は午前中に1ドル=118円80銭台まで円安が進んだ後に利益確定を狙う円買いドル売りが強まり、午後5時現在は前日午後5時時点より48銭円高ドル安の1ドル=118円10~12銭。

 世界株安の影響による円高ドル安は一服したかに見えたが、1日のニューヨーク外為市場では一時、1ドル=116円台後半まで円高ドル安が進んだ。

 世界株安を機に、低金利が続く日本でカネを借り、高金利が続く欧米やアジア市場に投資する「円キャリートレード」の資金が逆流。株を売って資金を引き揚げ、借りた円の返済に充てるという動きから円高が進むという流れも収まっていないようだ。

 みずほコーポレート銀行の福井真樹シニアマーケットエコノミストは「海外ファンドは大きく損失を被った。ドルの買い戻しが積極化するには時間がかかる」。

 野村証券の岩沢誠一郎ストラテジストは「1日の東京市場の株価続落の底流には、円高ドル安が進むのではないかとの不安感がある。為替相場の動きへの警戒感が出ている」と指摘する。

●企業業績に影響大

 円安が好業績を支える国内企業も少なくない。新光総研が東証1部上場のうち1139社の07年3月期決算予想をまとめたところ5期連続の増収増益の見通しだ。円安が輸出企業の収益を押し上げ、経常利益は前期比4・9%増の見込みだ。

 だが、今回の世界株安から円高への懸念が強まっている。大和総研の試算では、1円の円高で東証1部上場の全企業(金融機関を除く)の経常利益は計約2千億円減るという。浜口政己・調査企画部次長は「世界の景気や消費が落ち込む懸念もあるが、企業業績への影響はむしろ円高の方が大きい」と話す。

 トヨタ自動車の07年3月期の為替レートの前提は1ドル=116円、1ユーロ=147円。円安を追い風にこの期の連結決算では営業利益2兆2千億円を予想するが、為替が1円円高になると、対ドルで350億円、対ユーロで50億円減る計算だ。

〔朝日新聞〕

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Posted by nob : 2007年03月02日 15:17