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薬剤に依存するだけの対症療法ではね。。。

■医療ナビ:抗うつ剤 どう使いこなす?
日本で処方された抗うつ剤の内訳と推移

 ◆どう使いこなす?

 ◇相性、人それぞれ

 ◇便秘、眠気…副作用強い従来型/新規型、「自殺リスク増加」指摘も

 ◇効果なければ変えてみて

 ストレス時代の「心の風邪」ともいわれるうつ病。若者を中心に、精神科などを訪れる人も増えている。治療では抗うつ剤が用いられることも多く、99年から「新規抗うつ剤」と呼ばれる薬が発売されて選択肢が広がったが、薬により患者との相性も副作用も異なる。

 日本で処方されている抗うつ剤は、三環系、四環系などといわれる「従来型」と、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)と呼ばれる「新規型」に分かれる。

 これらの薬はいずれも、脳内で信号や情報を伝える役割を果たす「神経伝達物質」のバランスを整える作用がある。神経伝達物質には、セロトニン(S)やノルアドレナリン(N)などがある。

 SやNは神経細胞から放出され、次の神経細胞に情報を伝えた後で、再び元の神経細胞に取り込まれる(再取り込み)。SやNは気分や感情などをコントロールしている。そこで、抗うつ剤の多くは再取り込みを阻害して、神経間のSやNの量を増やすことで効果を発揮する仕組みだ。

 従来型は60年代から使用されている。しかし、口の渇き、眠気、便秘など副作用が強く、大量に飲むと不整脈などをおこす危険がある。新規型は欧米で開発され、日本では99年に販売開始となった。基本的な作用は従来型と同じで、従来型の持つ副作用を少なくしたのが特徴とされている。

 米食品医薬品局(FDA)は04年、「すべての抗うつ剤は小児・思春期の自殺リスクを高める」と警告、その後対象を24歳以下まで拡大した。杏林大保健学部の田島治教授(精神保健学)によると、FDAの警告は、新規抗うつ剤服用群の方が、偽薬服用群よりも自殺行動が高まったとの報告が基になった。一方、フィンランドでは、SSRIなどの抗うつ剤の服用で自殺未遂は増えたが、自殺完遂は減ったとの結果もある。

 田島教授は「SSRI服用で、衝動的な自殺願望が高まることがある。飲み始めの9日間が危険なので、注意が必要だ。しかし、各国のデータを合わせると自殺完遂は減っている」と話す。

 また、帝京大溝口病院の張賢徳准教授(精神科)は「SSRIは自殺衝動との関連がいわれるが、突然行動に出るわけではない。心配しすぎず、刺激症状が表れたらすぐに医師に相談するように心がけてほしい」と話す。

 刺激症状というのは、服用後にいらいら感などが強まったと感じる場合や、服用した患者がそわそわしているなどの行動が見られる場合だ。また、抗不安剤は中枢神経症状を抑える働きがあるため、刺激症状が表れやすい飲み始めの時期に併用するとよいという。張准教授は「ただし、抗不安剤は依存性があるため、長期間飲み続けないように」とアドバイスする。

 同じ新規抗うつ剤でも、相性は患者それぞれだ。田島教授によると、米国の研究で、SSRIを中心にした種々の治療法を順に試したところ、一つ目で改善した患者が36・8%、二つ目で改善したのは30・6%で、三つ目、四つ目でそれぞれ残り1割ほどが改善したという。田島教授は「ある治療法で効果がなくても、薬や治療法を変えれば効果が出る可能性があることを示した」とみる。

 また、SSRIによる副作用は、眠気や胃腸障害、体重増加など、同じSSRIでも薬によって異なるという。

 国立精神・神経センターの樋口輝彦総長は「SSRIとSNRIは代謝の仕方が違う。SNRIは肝機能に影響しにくく、高齢者には出しやすい」と話す。一方で、「新規型は従来型より安全性が高いため、安易に処方される傾向がある」と指摘する。【柴田真理子】

 ◇患者の声

 抗うつ剤を使っている患者はどう感じているのか。東京都内で開かれたうつ病の自助グループの集まりなどで聞いた。

 ■73歳女性

 誰とも会いたくない、家事もできないと思い始めたのは3年前。背骨の圧迫骨折の痛みで眠れなくなったころからだ。「あんたとは親の決めた結婚だったんだ。好みの女じゃない」。骨折する直前、夫に言われた一言が、頭にこびりつくようになった。

 神経科を受診し、SSRIのパキシルを半年飲んだ。1日に10ミリグラム1錠から始め、「良くならない」と医師に話すと、処方量が倍に。途端に朝起きられなくなった。そのころ、新聞でパキシルの自殺リスクに関する記事を読んだ。「そういえば、電車のホームで飛び込もうとしたことがあった。車輪の大きさに驚いてやめたけど」。パキシルはやめ、今は精神安定剤を飲んでいる。

 ■うつで休職した中年男性

 SSRIのデプロメールは効果がなく、パキシルは副作用の吐き気で続かないため、三環系抗うつ剤を飲んだ。副作用で口が渇き、ふらついて倒れたこともあったが、うつ症状は改善。この2年はSNRIのトレドミンを飲んでいる。「薬が自分に合い、復職もできた」という。

 ■うつ病歴10年で休職中の男性会社員(42)

 三環系の抗うつ剤を数種類飲んだ。復職を考えるたびに医師にSSRIを勧められるが、仕事のことを考えると症状が悪化してSSRIでは効かなくなり、三環系に戻ってしまう。

 ■2度目の休職中の男性会社員(52)

 パキシルだと、そう状態になり、ルボックスは腹部に不快感があって続かない。

 ■東京都の出版プロデューサー、小野一之さん(54)=ペンネーム

 40代に職場の人間関係で悩んだ。出版社の役員だったが社長と合わず、3カ月で体重が6キロ減少。趣味のバイクも乗りたくない。「うつかもしれない」と思い、受診した。

 精神安定剤と三環系抗うつ剤を処方された。「いらいらしなくなった」。SSRIが発売されると、医師に希望して試したが、三環系との違いは感じなかった。

 今も月1回通院し、パキシルや睡眠薬など4種類の薬を飲む。不安になると、多めに飲んでしまう。「自分は薬に対してまひしているのではないか。そろそろ薬以外の療法を試した方がいいのでは」と考えている。

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 ◇主な抗うつ剤 一般名、カッコ内は商品名 

 ■三環系

 塩酸イミプラミン(イミドール)

 塩酸クロミプラミン(アナフラニール)

 塩酸ロフェプラミン(アンプリット)

 マレイン酸トリミプラミン(スルモンチール)

 塩酸アミトリプチリン(アミプリン)

 塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)

 アモキサピン(アモキサン)

 塩酸ドスレピン(プロチアデン)

 ■四環系

 塩酸マプロチリン(ルジオミール)

 塩酸ミアンセリン(テトラミド)

 マレイン酸セチプチリン(テシプール)

 ■塩酸トラゾドン

 塩酸トラゾドン(デジレル、レスリン)

 ■SSRI

 マレイン酸フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)

 塩酸パロキセチン水和物(パキシル)

 塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト)

 ■SNRI

 塩酸ミルナシプラン(トレドミン)

〔毎日新聞〕

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Posted by nob : 2007年06月14日 14:52