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「しがない自分の有名性を使わないと申し訳ない」、、、著名人に持ってほしい発想。。。

■坂本龍一がメディア・アート展 環境保護に力、法人も設立

 音楽家坂本龍一の活動がめざましい。京都を拠点にしたマルチメディアアート集団「ダムタイプ」の中心メンバー高谷史郎と共同で、東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で、メディア・アート展を開いているのを機に、作品と現在について聞いた。

 同展は「LIFE—fluid、invisible、inaudible…(流動するもの、見えないもの、聴こえないもの)」。坂本の音楽と高谷の映像を融合させ、展示室全体を作品化している(11月4日まで)。

 1.2メートル角、高さ30センチの9基の水槽が天井からつるされ、雲や戦争の光景、英語の詩、数式など、上から投射された映像を底からのぞいたり、透過した床の像を見たり。刻一刻、映像は形を変える。水槽の装置から発生する霧のため、揺らぎ、うつろう。

 水槽ごとに2個、全体で18個設置されたスピーカーから、鳥のさえずりや虫の声など自然界の音や、詩文の朗読といった人の声が聞こえる。99年に坂本が作曲したオペラ「LIFE」を主な素材とした約400種もの音源が、コンピューターでランダムに選ばれる。今年3月、山口市の山口情報芸術センター(YCAM)で先行発表した作品のICC版だ。

 「音楽は普通、線的な思考で出来ているけれど、これは面的思考法」と話す。

 自然を取り込む作品の志向とも合致するような環境保護活動に力を注ぐ坂本は7月、「more trees」という法人を立ち上げた。寄付を募って自ら植林作業をするほか、そうした活動をしているNPOなどの団体を援助する媒介役を目指す。「しがない自分の有名性を使わないと申し訳ない」

 本業の音楽では昨年、「『コモンズ』というレコード会社のようなもの」を立ち上げ、今年は、細野晴臣、高橋幸宏の元「YMO」メンバーと、新曲を作り、一緒にライブしたり、CM用に曲を作り直したり。「声高に『YMO再結成』を叫ぶつもりはない、ゆるい集団」。イラン出身でニューヨーク在住の映像作家、シリン・ネシャットの映画音楽も手がける。

 オペラ「LIFE」から8年。「21世紀は、少しはまともになるかなと思っていたが、戦争と革命の世紀だった20世紀よりひどくなったんじゃないか。力の行使がまかり通っている」

 70年。大学闘争の余燼(よじん)が残っていた東京芸大で、新入生なのに無精ひげをはやし、よれよれの黒レインコートで、ゲバ棒を持っていた坂本の姿は印象に残る。語り口は今、静かだが、「ニューヨークにいると、日本はやはり憲法が歯止めになっていると見える。9・11以後も改正されなかったのはラッキーだ」。覚めた目と秘めた情熱は変わっていない、と見えた。

[朝日新聞]

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Posted by nob : 2007年10月13日 23:53