« 赤字を拡大するよりはマシということか。。。 | メイン | あっ、、、ありえない。。。 »
形振り構わぬ戦い。。。
■買収劇:米ヤフー、拒否貫く? MS、委任状争奪戦?
【ワシントン斉藤信宏】米マイクロソフト(MS)がインターネット検索大手の米ヤフーに総額446億ドル(約4兆5900億円)の買収を提案してからほぼ3カ月。米グーグルなどの参戦が相次ぐ中、MSがヤフーに対し「買収受け入れの期限」として設定した26日を迎え、事態は緊迫の度を増してきた。攻防の軍配はどちらに上がるのか。MSとヤフーのこれまでの交渉戦術・戦略などを基に、先行きを占った。
◇緊迫…迫る期限
MSとヤフーの攻防には、IT・メディア業界の垣根を越えて大手各社が参戦、米グーグルのシュミット最高経営責任者(CEO)は「MS排除への支援を惜しまない」とヤフーのジェリー・ヤンCEOに伝達した。一方、一時はヤフーとの提携を模索していたルパート・マードック会長率いるニューズ・コーポレーションが今月に入り、MSとの共同戦線に転換する構えを見せるなど事態は目まぐるしく変化している。
買収提案を拒否しているヤフーは米メディア大手タイムワーナー傘下の「AOL」と提携交渉中だが進展はなさそうだ。頼みの綱のグーグルとの提携も「司法省が独占禁止法違反の疑いで調査している」と伝えられ、実現可能性は低い。
ヤン氏ら経営陣が握るヤフー株は全体の1割未満で、「買収受け入れに向け交渉すべきだ」(第2位株主の投資会社レッグ・メイソン)と公言する株主も現れ、ヤフー経営陣は日を追って厳しい立場に追い込まれている。
ただ、ヤフー側はMSの提案を「(ヤフーの価値を)著しく過小評価している」と批判。「買収実現には買収額の引き上げが必要」としており、MSが買収金額を引き上げない限り、受け入れるつもりはなさそうだ。
これに対し、MSは買収額の引き上げを拒否しており、リデル最高財務責任者は24日、「即座に交渉に応じなければ週明けにも敵対的買収に乗り出すことを検討中」と述べた。
ただ、市場関係者の間では、MSがただちに強硬策に打って出るとの見方は少なく、「ヤフーの株主総会に向けて独自の取締役候補を擁立し、株主に賛同を求める委任状争奪戦に入る」との指摘もある。米メディアによると、MSは取締役候補10人と予備の3人をリストアップした模様で、7月中旬までに開かれる予定のヤフー株主総会が買収合戦の次の舞台となりそうだ。
◇相手は「悪の定刻」…ヤフーに抵抗感強く
ヤフー社員の間には、「企業風土の違い」を理由にMSとの統合を拒む空気が強い。創業者の一人、ジェリー・ヤンCEOは特に強い抵抗感を持っており、MSを退けるためなら“宿命のライバル”のグーグルとの提携も辞さない構え。グーグルもヤフーへの協力に前向きで、シリコンバレー企業の間に共通する根深い「反マイクロソフト」感情が背景にある。
MSは、圧倒的なシェアを誇るソフトウエアを武器にパソコン業界を掌握してきた。技術情報を共有する「オープン化」で成長してきたヤフーやグーグルから見ると、まさに「悪の帝国」に見える。
◇強攻策なら人心離反…ジレンマ抱えるMS
一方、MSの1~3月期決算は基本ソフト「ウィンドウズ」の不振などで減益となった。ソフトウエア販売に頼るMSの収益構造は限界に近く、弱みだったネット検索分野を強化して最大のライバル、グーグルと張り合うためにもヤフー買収は譲れない。ただ、敵対的買収に乗り出せば人心が離れるというジレンマも抱える。
◇ことば…委任状争奪戦
合併や取締役の選任など株主総会に提出された議案をめぐり、経営側と株主側の意見が異なる場合、双方がその他の株主から議決権の委任状を奪い合い多数派工作を繰り広げること。敵対的買収では買収側の株主が自らの提案を実現するため、委任状獲得を目指す。会社側はこれを阻止するため、一般株主から委任状を取り付けて対抗する。
◇当面、介入受けない見通し…ヤフー・ジャパン
日本のヤフー(ヤフー・ジャパン)の筆頭株主、ソフトバンクの孫正義社長は毎日新聞に対し、ヤフー・ジャパン株式の33%強を持つ米ヤフーがMSに買収されても「(ヤフー・ジャパンは)基本的に変わらない」と述べた。ただ「(将来的に)影響はあるかもしれない」と指摘、買収合戦の行方次第で影響が及ぶ可能性もある。
ヤフー・ジャパンは日本のネット検索市場で2割近くのシェアを占め、数%のグーグルを抑えて首位。「世界で数少ないヤフーの成功例」とされ、MSが米ヤフーを買収しても「当面、MSはヤフー・ジャパンには介入しないだろう」というのが一般的な見方だ。
ヤフー・ジャパンへの出資比率はソフトバンクが41.09%、米ヤフーが33.42%。米ヤフーの海外現地法人は100%出資の完全子会社が多いが、ヤフー・ジャパンは独立性が高い。ただ、発行済み株式の3分の1以上を持ち株主総会で重要事項への拒否権を握る米ヤフーをMSが傘下に収めれば、何らかの要求をしてくることもあり得る。ヤフー・ジャパンに対し、検索エンジンのライセンス使用料を引き上げる可能性もある。【川口雅浩、前川雅俊】
[毎日新聞]
Posted by nob : 2008年04月26日 23:15