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産経と読売、そして中国、どちらの視点が正しいのか、、、真実に気付き変えていけるのは私達の世論だけ、、、真の平和国家への邁進、これこそ日本の進むべき途。。。

■【主張】アフガン拉致殺害 テロの現実を直視したい

 アフガニスタンで日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の伊藤和也さん(31)が武装グループに拉致され、殺害された事件は、痛ましくも悔しい限りである。伊藤さんの活動に敬意を表し、ご家族に心からのお悔やみを申し上げたい。

 今回の事件は、テロの現実を直視するよう迫るとともに、「テロとの戦い」、アフガニスタン復興支援、民間ボランティアの現地での活動の進め方などに再考を促すものとなった。

 武装グループは、金目当ての犯罪集団ではなく、反政府武装勢力タリバンと関係がある可能性が強まっている。タリバンの報道官も関与を認め、共同通信の取材に「すべての外国人がアフガンを出るまで殺し続ける」と述べた。

 ペシャワール会は、現地で長年、医療活動、農業指導を続けてきたNGOで住民の信頼も厚かった。伊藤さんがいかに慕われていたかは、事件後、多くの住民が犯人を追い、救出活動に加わったことを見ても分かる。

 同会の現地代表、中村哲氏(61)は米軍の攻撃、自衛隊の派遣に反対し、タリバンに理解を示すような発言もあった。そんなNGOまで狙われたことが深刻だ。中村氏も記者会見で「治安情勢の認識に甘さがあった」と語った。

 タリバンや米中枢同時テロの実行犯、国際テロ組織アルカーイダらイスラム原理主義の過激派によるテロは「すべての外国人が…」という報道官の発言を待つまでもなく常軌を逸している。

 武装勢力の活動は7年越しのテロ掃討作戦にもかかわらず、再び活発化し、米軍や北大西洋条約機構(NATO)主体の国際治安支援部隊(ISAF、現在40カ国)の死者が急増、外国人ボランティア襲撃も頻発していた。

 このため、NATOは増派を決め、国際社会は復興支援額を積み増そうとしている。そうした流れの中で、日本だけがインド洋での給油活動から撤退したらどうなるか。戦線離脱とみなされよう。しかも、それは国内の偏狭な政治的思惑が原因とあれば、国際的信用を失うこと必定だ。

 “丸腰”であるボランティアたちの活動も、治安が確保されなければ続けようがない。伊藤さんの遺志を継ぎ、NGO活動を守るためにも、いまは現地での治安確保、テロとの戦いに全力を再結集するときである。

[産経新聞]


■NGO職員殺害 アフガン安定へ協力を続けよ(8月29日付・読売社説)

 昨年以来、深刻な治安悪化が続くアフガニスタンで、ついに日本人の犠牲者が出てしまった。

 アフガン東部ジャララバード近郊で誘拐された民間活動団体(NGO)「ペシャワール会」職員、伊藤和也さんが、遺体で発見された。事件は最悪の結末を迎えた。

 伊藤さんは5年前から、米や野菜の栽培など、農業指導に取り組んでいた。高い志を抱き、異国の地で汗を流す中、現地住民にも溶け込み、強い信頼関係を築いていた。極めて無念だったろう。

 アフガンの旧支配勢力タリバンが事件への関与を認めている。武装勢力を掃討する駐留外国軍兵ばかりでなく、人道支援に尽力する善意の民間人までが、テロの標的となる。現在のアフガン情勢の厳しさを象徴するものだ。

 ペシャワール会は昨年末から、治安悪化を踏まえて、日本人スタッフ約20人を順次、帰国させている最中だった。だが、支援活動に区切りをつけるなどの事情から、約半数は滞在を続けていた。

 外務省は昨年7月以降、アフガン全土に退避勧告を出しているが、同国内には、国際協力機構(JICA)、NGO関係者ら140人以上がとどまっている。

 丸腰の民間人の自衛には限界がある。自爆テロや外国人の誘拐が続くアフガンの現状を踏まえれば、安全を優先して一時出国や帰国を検討する時ではないか。

 一方で、日本としては、アフガンの平和と安定を回復する国際社会の共同行動の一翼を担う態勢を堅持する必要がある。

 日本は従来、14・5億ドルのアフガン復興支援と、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を実施してきた。経済支援と人的貢献は、いわば「車の両輪」であり、どちらも欠かすべきではない。

 復興支援では、道路、空港の整備のほか、元兵士や軍閥の武装解除など治安改善にも力を注いできた。給油活動は、テロリストの移動や武器・麻薬の輸送を監視する多国籍海軍を支援するものだ。

 アフガンでは、40か国の部隊が900人超の犠牲者に耐えつつ、治安維持や地域復興活動に従事している。それと比べれば、極めて危険が少ない給油活動さえもやめるようでは、日本に対する国際社会の評価は地に墜(お)ちるだろう。

 アフガンを安定させ、テロを撲滅する戦いは、日本にとって決して人ごとではない。来月召集の臨時国会で、給油活動延長のための新テロ対策特別措置法改正案を成立させることは必須の課題だ。

[読売新聞]


■伊藤さん拉致、死亡 遺志を生かす道探ろう

 残念ながら最悪の結末になった。アフガニスタンで武装グループに拉致された日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の伊藤和也さん(31)が遺体で発見された。アフガン復興に身をささげ、志半ばで命を絶たれた伊藤さんの無念さは察するに余りある。

 身柄を拘束された実行犯二人が捜査当局の調べに「治安悪化を印象付けて、外国人を追い出したかった」と供述しているという。反政府勢力のタリバンが犯行への関与を認めているといわれるが、実行犯とタリバンとの関係はまだ分かっていない。身代金目的との見方もある。動機や背景などを一刻も早く解明してほしい。

 ペシャワール会は、診療所を運営し、井戸を掘り、農業指導や食料支援に力を注いできた。「丸腰」で地元住民の中にとけ込んで二十年余り。地道な活動で厚い信頼を築き上げてきたのである。

 日本人スタッフ全員が民族服を着て現地の習慣や伝統を尊重、安全には最大限の配慮をしてきた。

 農業支援のリーダー格だった伊藤さんもすっかり風土になじんでいた。拉致後は村人数百人が捜索に当たったのも、地元の人から好かれていたということだろう。

 それでも、最悪の事態が起きてしまった。同会の現地代表中村哲医師は治安悪化について「情勢に対する認識が甘かった」と無念さをにじませる。住民との信頼関係を力に活動を続けることで、これまで大きな事件に巻き込まれなかった。それが油断になったとしたら残念である。

 アフガンの治安は最近、急速に悪化している。国際治安支援部隊によるタリバン勢力の掃討作戦で民間人の犠牲が後を絶たない。住民の反感は高まる一方で、外国人の拉致事件も多発している。

 そうした中で起きた事件は、人心の荒廃の深さを浮き彫りにした。日本のNGOが拠点をパキスタンに移すケースが増えているのも仕方がないだろう。ただ、支援の手を引けば武装勢力の思うつぼだ。ペシャワール会は日本人スタッフを全員帰国させるが、中村医師が残ってアフガン人スタッフで事業を継続するという。伊藤さんの志を生かすためにも、事件を乗り越えて支援活動をどう継続していくか、見直しが必要だ。

 それにしても政府の対応は心もとない。情勢の把握に手間取り、一時は誤った解放情報に振り回された。独自の確認手段を開拓してこなかったつけではないか。

 さらに、町村信孝官房長官の記者会見にはあきれた。伊藤さんの遺志に応える「平和協力国家」の努力として、テロとの戦いをあげ、さらにインド洋の給油活動の重要性を強調したのである。中村医師はかねてから「戦争をしない国日本の人間ということで守られてきた。それが、米国支援に自衛隊を派遣して以来、怪しくなった」と口にしてきた。それなのに長官の言葉は「我田引水」ではないか。政府はアフガン支援、国際貢献の在り方をもう一度検討し直してもらいたい。

[中国新聞]

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Posted by nob : 2008年08月29日 23:54